秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

2016参院選

1377/日本の「左翼」-青木理。

 何日か前に<民主主義対ファシズム>等の図式の「観念世界に生きている」朝日新聞や大江健三郎の名を挙げるついでに、青木理の名前も出した。
 その青木理が7/24夜のテレビ番組(全国ネット)に出ているのをたまたま見て、さすがに正面からは「左翼」的言辞は吐かないだろうのだろうと思っていたら、最後の方で「歪んだ民主主義からファシズムは生まれるとか言いますからね」とか言い放った。
 さすがに日本の「左翼」の一人だ。テレビの生番組(たぶん)に出て、<民主主義対ファシズム>史観の持ち主、民主主義=反ファシズムという図式に嵌まっている者、であることを白状していた。その旨を明確に語ったわけではないが、「左翼」特有の論じ方・対立軸の立て方を知っている者にはすぐに分かった。
 その青木理は、毎日新聞7/25夕刊(東京版)にも登場していた。
 同紙第2面によれば、青木は、今次の東京都知事選に関して、鳥越俊太郎の元に「野党4党が結集したことが、どういう結果をもたらすか」、「一強状態の安倍政権と対峙するための橋頭堡を首都に築けるか、否か」という「視点でもこの選挙を見ています」と言ったとされる。
 さすがに日本の「左翼」の一人だ。野党4党の結集が「結果」をもたらしてほしい、「安倍政権と対峙するための橋頭堡を首都に築」いてほしい、と青木が思っていることがミエミエだ。
 青木理の名前は、月刊Hanada2016年9月号(飛鳥新社)誌上の青山繁晴の連載のp.209にも出てくる。
 青山によれば、6/30発売の週刊文春7/07号の中で青木理が「元共同通信社会部記者」と紹介されつつ、青山を「中傷」しているらしい(週刊文春は購読せず、原則として読まないので、直接の引用はできない)。
 さすがに日本の「左翼」の一人だ。青山繁晴の考え方・主張を知っているだろうし、青山が自民党から参議院議員選挙に立候補したとなれば、ますます批判したくなったとしても不思議ではない。
 青山によれば、青木は「朝日新聞の慰安婦報道を擁護する本」を出しているらしい。これを買って読んだ記憶はまるでないことからすると、私の青木理=「左翼」という判断は、その本の刊行以前に生じていたようだ。
 青木理は<日本会議>に関する本も最近に出したようだ。菅野完の扶桑社新書も気持ち悪いが(産経新聞の関連会社で育鵬社の親会社の扶桑社がこういう内容の新書を刊行することにも、日本の「保守」派の退嬰が現れている)、青木理による<日本会議>本がもっと気持ちが悪く、「左翼」丸出しの本になっているだろうことは、想像に難くない。


1370/2016年参院選-<保守リベラル>派と<リベラル容共>派の対立。

 一 2016年参院選の結果について、自民党、自公与党、さらには<改憲勢力>の勝利または前進ということが言われているようだ。
 だが、と敢えて指摘しておくが、参議院議員は6年任期で3年ごとに半数ずつ改選されるところ、3年前の選挙(改選)結果と比べるならば、自民党の獲得議席数は後退している。その他の主な政党も含めて記せば、つぎのとおり。
 自民65→55(-10)、公明11→14(+3)、民進17→32(+15)、おおさか維新5→7(+2)、共産8→6(-2)。
 民進、公明、お維新は増やし、自民、共産は減らした。これが獲得議席数を3年前と比べての、客観的数字だ。
 自公与党は-7だった。民進・共産・社民・生活4党では+13だった。野党統一無所属というのも+3ほどはあるらしいので、後者は+16くらいだろう。共産が-2というのも、ある程度は野党系無所属に流れた結果だろうから、そのままに受け取ることはできない(共産党は比例区での850万票という目標は達成しなかったが、2000年以降での比例区獲得票数は今回が最多だったことに注意しておく必要がある)。
 要するに、とりわけ9年前・2007年に比べての3年前・2013年の自民党の大勝という「財産」のおかげで、今回の減少にもかかわらず全体としては勝利している外観があるのであり、3年前に比べれば、自民党は明らかに<後退>の傾向(トレンド)にある。
 二 自民党、自公与党の「勝利」なるものは、<保守>派の勝利を意味しない。<保守>の意味にかかわるが、自民党は「保守」政党ではまったくなく、<保守リベラル>政党とでも評すべきだろう。
 したがって、当たり前だが、今回の選挙結果は、産経新聞の論調の勝利でも月刊正論(産経)の論調の勝利でもあるはずがない(論調がある、としてだが)。
 自民党に投票した有権者のいったい何%が産経新聞の読者であり、さらに月刊正論(産経)の読者であるのだろう。自民党のカッコつき「勝利」にまったく貢献しなかったとは言わないが、新聞の中でいえば、自民党のそれに寄与したのは、圧倒的に読売新聞だろう。
 「保守」言論人はいい気になってはいけない。
 中西輝政も指摘したように、東京裁判史観に対して自覚的に批判的な有権者は、おそらく10%もいない。
 圧倒的に<東京裁判史観>に影響を受けたままで(何と安倍晋三首相は村山談話=これまでの政府の立場を unshakable into the future(揺らぎないものとして将来にわたって)継承すると明言したのだから、それもやむをえないと言うべきだろう)、戦後の「個人」主義・「自由」主義に深く浸っている多数の有権者が<よりまし>または<より悪くない>政党として自民党を選択したにすぎない(それも比例区の得票数では3分の1程度であり、全有権者比では6分の1になってしまう)。
 現在の諸政党間に見られる対立は、<保守リベラル>派と<リベラル容共>派の対立だと考えられる。決して、<保守>=反・共産主義派と日本共産党を中核とする<容共>派の対立の構図にはなっていない。
 三 改憲勢力2/3以上という結果も、3年前と同じ改選結果が繰り返されたとすれば、より容易に達成されたはずのものだった。上に指摘した自民党の(3年前と比べての)「後退」によって、ギリギリ達成されるということになった。
 これで念願の憲法改正が実現されるだろうと小躍りしている<保守>派の人々もいるのかもしれない。
 憲法改正は秋月も望むところだが、何と月刊正論に馴染みの「保守」言論人の間ですら優先的改憲条項についてまるで一致がないことは、月刊正論(産経)の今年の春の号のアンケート結果でも明らかだ。
 何度か書いたように、<憲法を改正しよう>とだけ叫んでも無意味だ。
 改正条項(96条)の改正に安倍首相が言及すれば、それを支持する論考が産経新聞等に並び、安倍首相・自民党が緊急事態条項の新設を優先するらしいとの情報が伝えられるや(百地章もそうだが)緊急事態条項の必要性を説く論考が産経新聞等に出てくる、という「自由な」発想の欠如・不十分さを<保守>派は克服しなければならない。
 また、自民党は改憲を立党の精神とするといっても、現在の草案がいかほどに自民党員・自民党国会議員によってしっかりと支持されているかは疑わしい。改憲が現実の政治日程になっていなかったからこそ、党内の委員会が作成した案が党のそれとして了承されたにすぎず、現実に(どの条項でも、九条二項でもよいが)具体的な改憲発議の議論になってくれば、<時期尚早>とか<無理するな>とかの手続・方法を理由とする反対論が、自民党内ですら必ず出てくるように推察される。
 そうした自民党であっても、現在は自民党国会議員だけでは改憲の発議はできないのだ。
 具体的改憲内容・手続・手法をめぐって、自民党は「保守」政党と<保守リベラル>政党に割れる可能性がある。
 民進党も、改憲に積極的か消極的かで割れる可能性がある。
 秋月は、共産・社民・生活および民主「左派」を微々たる勢力(合わせて5%以下の得票率)に追い込み、実質的な「保守」政党と<反共・リベラル>政党の二大政党制になるのが長期的には望ましいと考えたりする。産経新聞の社説が述べていたような、<健全な二大政党制になるような民進党の変化を>という構想とは、まったく異なる。
 自民党は、「保守」から<反共・リベラル>まで広すぎる。
 ともあれ、憲法改正の具体的内容・方向・手続等をめぐっての、建設的・生産的な国会議員の離合集散は望ましいと思われる。もっとも国会議員に限らず、とくに自民党所属の各級議員について感じるのだが、理念や政策ではなく<自己の議員職を維持するためにはどっちに付くのが有利か>を判断基準として行動する議員が多いと見られるので、上のような二大政党制が日本に生まれるのは(前提としての<容共>諸政党の激減もそうだが)掴み得ない「夢」かもしれない。

1364/日本の「保守」-水島総という勇気ある人、月刊正論(産経)誌上で。

 中西輝政「さらば安倍晋三、もはやこれまで」歴史通2016年5月号(ワック)から再び引用する。
 ・「保身、迎合、付和雷同という現代日本を覆う心象風景は、保守陣営にも確実に及んでいる」(p.97)。
 ・「心ある日本の保守派」が、「安倍政権の歴史認識をめぐる問題に対し、ひたすら沈黙を守るか、逆に称賛までして」、意味ある批判・反論をしないことに「大きな衝撃を受けた」(p.109)。
 こうした中で、水島総という人物は、勇気がある。
 月刊正論(産経)3月号p.106で水島は言う。「時が経つにつれ、安倍政権が歴史的大愚行を犯してしまったことが明らかになりつつある」。
 このあと2007年のアメリカ下院決議に当時の第一次安倍晋三政権は「反論も抗議も」せず、安倍総理も「残念」だとしたにとどまるという経緯等を、批判的に述べている。
 この2007年7月米国下院決議については、秋月も当時、警戒しなくてよいのか、放置してよいのか等を(たぶん直前に)記していた。その過程で、岡崎久彦が<じっと我慢するしかない>旨を書いていることを知って(正確な文章は最近の中西輝政論考の中にある)、改めて確認しないが、当時、そんなことでよいのか旨の疑問を示したこともあった(はずだ)。
 また、水島総は、2015.12の日韓慰安婦問題「合意は、我が国の安全保障体制にも重大な痛手を与える可能性がある」として、「人心」・「自衛隊員の士気」への影響等に論及している(p.108-9。異なる観点からの安全保障の観点からの疑問・批判は、後出の西尾幹二論考にもある)。
 そして水島総は、安倍政権「打倒」は主張しないが、安倍政権「不支持」を宣言する(p.110-1)。
 同じ3月号の西尾幹二「日韓合意、早くも到来した悪夢」は、最後にこう述べていた(p.81)。
 「日本人の名誉と運命を犠牲にしてこのような決断をあっという間にしたことが成功だったと言えるかどうかは、本当のところまったく分からない」。
 「言論界はいま、この問題で政治的外交的に過度に配慮する必要はなにもない。日本人の名誉を守るために、単純にノーと言えばよい」。
 「政治と言論、政治家と思想界とは立場が違うのだ。…。こちらから政治家に歩み寄るのはもってのほかである。安倍シンパの協力者たちには、そうあえて苦言を呈したい」。
 この言からすれば、水島総は同時期に、西尾幹二の言うような姿勢を示していたことになる。
 一方、別の雑誌の翌4月号で、2015.12日韓慰安婦問題「合意」を擁護、支持していた<保守>派らしき者もいたわけだ。この人物はいつから<安全保障・軍事>評論家になったのだろう。この分野の専門知識はほとんどないはずだが。また、いつから「政治評論家」になったのだろう。
 水島総月刊正論2016年8月号(産経)では、いわゆるヘイトスピーチ法に反対して、「だから言ったじゃないか、一体なぜ…こんな思いを第二次安倍政権樹立以来、もう何度も味わってきた。ざっと思い出しても、…」と書き始める(p.274)。そして言う。
 「『左ウィング』を拡げようとしたとき、安倍政権の根幹が崩壊する」(p.279)。
 成立してしまったこの法律に秋月も反対だ。この法律が責務法・理念法としてあるならば、在日本の「本邦外出身者に対する」<不当な優遇>を解消するための基本法があってもよいだろう。ここでまた?「歴史」とか「謝罪」を持ち出してはならない。
 それはさておき、上のような水島総の主張も、勇気がある。この論点を、産経新聞や月刊正論(産経)はいかほどに取り上げてきたのだろうか。
また、水島総は、上の法律の背景に<外国>があることを指摘しつつ、つぎのように締めくくる。p.279-280。
 「冷戦終結で、ソ連共産党は消失したが、共産主義は依然として、形を変えて生き残り続けている。それを私たちは夢々忘れてはならない。その中心が中国共産党である」。安倍政権を打倒したいのは、「国内の野党勢力だけではない」、「中国共産党政府」だ。「スパイ天国と言われる我が国に、様々な国際共産主義謀略工作組織が深く広く浸透しているのは公然の秘密である」。
 秋月は<保守派>の中でもごく少数派に属していると自覚しているのだが、このような、 (中西輝政、西岡力、江崎道朗らと同様の)明確な<反・共産主義>の主張を読むと、少しは安心する。もっとも、「様々な国際共産主義謀略工作組織が深く広く浸透している」としても、それは決して「公然の秘密」と言われるほどにはなっていないように見える。具体的な指摘と具体的な<暴露>が必要だ。
 なお、以上は、2016年参院選における投票行動をまったく意識しないで書かれている。
 そう言えば、ネット上で、安倍晋三の実際の言葉かどうかは確認していないが、つぎの面白い表現を見かけた。
 <いいですか、皆さん。民進党には、必ず共産党が付いてくるんですよ。

1263/具体的・建設的で戦略も意識した議論を-憲法改正をめぐる保守派の怠惰。

 月刊正論1月号(産経新聞社)に、田久保忠衛「衆院選で忘れてはならぬ/憲法改正のラスト・チャンス」がある(p.158-)。産経新聞の憲法改正案起草委員会の一員だった人物(かつ国家基本問題研究所の幹部)が憲法改正の必要性を説き、衆院選の重要な争点とすべき旨を主張してるのだが、これを概読して、2010年11月03日の産経新聞「正論」に掲載された、やはり田久保忠衛の「憲法改正の狼煙上げる秋がきた」を読んで感じたのと似たようなことを感じた。
 当時感じたことは、この欄の2013.08.12投稿でも繰り返されている-「問題は、いかにして、望ましい憲法改正を実現できる勢力をまずは国会内に作るかだ。/この問題に触れないで、ただ憲法改正を!とだけ訴えても、空しいだけだ」。
 当時は民主党政権下だったので現在とはやや状況は異なるが、発議自体に各議院議員の2/3以上の賛成が必要であることに変わりはなく、これが達成されている状況にあるとは、衆議院に限っても明確には言い難い。
 また、国会議員の構成は民主党政権下に比べれば改憲のためにより有利にはなっているだろうが、そもそも憲法「改正」の具体的内容は改憲派(あるいは「保守派」)において明確になっているのか、という根本的問題がある。
 田久保は月刊正論1月号で現前文・現九条の改正と緊急事態対処条項の三つに少なくとも触れているようだが、田久保には尋ねてみたいことがある。
 まず、産経新聞社「国民の憲法」草案起草委員の一人として、すでに公表されていた自民党の憲法改正案を知っていたはずだが、産経「国民の憲法」案・要綱と自民党改憲案はまったく同じではないはずのところ、なぜ両者には違いがあるのか?、自民党の改憲案をそのまま採用しなかった具体的理由は何なのか?
 これくらいのことを明らかにしてくれていないと憲法改正のための具体的な議論はできないのではないか。
 また、憲法改正は-いずれまた触れるだろうように、明治憲法を全体としてそのまま復活させるという主張を採用しないかぎり-現憲法全体に対して改正案全体を提示して、全体について一括して支持するか否かを国民投票によって決する、というのではない。一箇条(の改正または新設)のみについて一回の記載か、複数の条項についての改正案(新設を含む)に即して複数回の(賛否の)記載を国民に問うのか、というやや技術的な(とはいえ現実には重要な)問題もあるが、いずれにせよ、改正が優先されるべき個々の条項について改正(・新設)の賛否を国民に問うことになるはずだ。
 しかして、田久保はいったい現憲法のどの条項から改正を始めるべきだと考えているのか。この点も明らかにしてくれていないと、憲法改正についての具体的な議論はできない。
 田久保忠衛に限らない。月刊正論2月号(産経新聞社)に、八木秀次「見え始める憲法改正への道筋」という魅力的なタイトルの論考があるが(p.58-)、総選挙結果の政治評論家的分析が3/4を占め、憲法改正に関する、上のような疑問に答えるところはない。ただ一つ、「憲法改正を政治日程に載せるためには1年半後の参議院選挙で改憲派の議席を確保しなければならない」等の、率直に言って改憲派ならば誰でも書けるようなことを書いているにすぎない。
 たまたま田久保忠衛と八木秀次の名を出したが、①両議院に2/3の改憲派を生み出し、国民投票でも国民・有権者の過半数の支持を得るための戦略・戦術、②すでにある改正案もふまえて、具体的にどのような内容の条文にするかのより突っ込んだ検討(ちなみに、櫻井よしこは「国防軍」ではなく「国軍」でよいと、どこかに書いていた)、③そもそもどういう順番で、改正案を国民に提示していくのか、についてのきちんとした検討、はいずれも、改憲派(「保守派))において、決定的に遅れているか、まったくなされていない。
 実に悲観的(・悲惨的)で危機的な状況にある、とすら言える。改憲派の論者たちは、本当に、真剣に、現憲法を変えたい、「自主憲法」を制定したい、と考えているのだろうか。
 このような状況では、安倍晋三首相が、憲法改正について具体的なことを語ることができないのも、当然だ。適当に何かを論じ、書いていれば済む立場に、安倍首相はいるわけではない。発議に必要な要件を彼は痛いほど理解しているだろうし(96条改正問題にもかかわる)、また、具体的な改憲条文を示した上で国民投票にかける必要があることも、どの条項から始めるべきかという問題があることも、当然に強く意識しているはずだ。
 にもかかわらず、安倍首相の問題意識・問題関心に応え、具体的にサポートする議論を改憲派(「保守派))が行ってきているとは思えない。
 優先順位にしても、公明党の「加憲」論に配慮して、安倍首相は緊急事態対処条項から始めたいのでは、という憶測記事を新聞で読んだことがあるが(何新聞だったかは忘れた)、かかる程度の<優先順位>論すら、改憲派(「保守派))は何もしていないのではないか。現九条か、前文か、緊急事態条項か、それとも「環境権」か?
 改憲派(「保守派」)の怠惰だ。
 もともと自民党は安倍晋三が言うとおり、「自主憲法の制定」を悲願としてきたのだから、改憲派(「保守派」)が、たんに、<憲法を改正しよう>と主張しても、訴えても、ほとんど意味はない。いいかげんに、それだけの主張や議論はやめるべきだ。
 ついでに言うと、周知のとおり、憲法改正反対(とくに現九条2項護持)の政党・運動団体があり、憲法学者の大半は<護憲派>とみられるところ、現96条改正や現九条改正に反対する憲法学者等の主張・議論に、改憲派(「保守派」)は適確に反駁してきているだろうか。
 例えば、昨2014年に、東京大学の現役教授・石川健治は朝日新聞に「乾坤一擲」の長い文章を載せ、京都大学の現役教授・毛利透は読売新聞紙上で護憲の立場で論考(・インタビュー回答)を載せていたが、これらに、迅速に改憲派(「保守派」)は反応し、これらを批判したのだろうか。
 <憲法改正を>だけ叫ぶのはいいかげんにしてほしい。具体的かつ建設的で戦略も意識した議論が、そして<護憲派>に対する執拗といってよいほどの批判が、必要だ。
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