一 François Furet(フランソワ・フュレ,1927-1997)には、20世紀の共産主義に関するつぎの大著があり、邦訳書が(いちおう)あるので「試訳」を掲載したことはないが、言及はときどきしてきた。ドイツのE・ノルテ、アメリカのT・ジャット等に関連していたからでもある。
François Furet, Le Passe d'une Illusion :Essai sur l’idee communiste au XX siecle (1995).
=(英語飯) The Passing of an Illusion -The Idea of Communism in the 20th Century (1999). 総計約600頁。
=(独語版) Das Ende der Illusion -Der Kommunismus im 20. Jahrhundert (1996). 総計約720頁。
=(邦語版) 幻想の過去 -20世紀の全体主義(楠瀬正浩訳,バジリコ,2007). 総計,約720頁。
なお、最後の邦訳書の表題は「過去」→「終わり(終焉)」、「全体主義」→「共産主義」と訂正されるべき旨は、何度か記した。
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二 François Furetには没後のつぎの書物もあり、主題について、上の大著と関係が深い。
邦訳書はない、と見られる。
以下、何回かに分けて、「試訳」する。全部は不可能だろうが、上の大著に関連する、著者以外による〈序文〉等も含める。
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フランソワ.フュレ、うそ・熱情・幻想—20世紀の民主主義的想像力。
François Furet, Lies, Passions & Illusions —The Democtratic Imagination in the 20th Century.
(The University of Chicago Press/Chicago & London、2014/原仏語書、2012)
********
①
訳者はしがき/Deborah Furet。
あなたが読もうとしている書物は、たんにFrançois Furetが出版する最後の作品であるかもしれないというだけではない。
この書物は、出版事業での小さな冒険でもある。
この書物は、対話で生まれた。"Audiographie" シリーズは、Artieres とJean-François Bert がEdition de l'EHESSのために考案した。それは、文字となった話し言葉は著作者の考えだけではなく、思考の方法や過程にも光を当てることがありうる、という発想に基づいていた。この書物はそのシリーズの最初の一冊だ。
この書物は、Furetが長時間一人で机に向かって仕事をして用箋に執筆した彼の他の著作とは違って、二人の人物の誠心誠意からの会話からできあがった。二人ともに、生涯にわたる思考を具体的に表明していた。//
このシリーズの監修者のChristophe Prochasson は、この文章を綿密に吟味して編集しつつ、Furetの伝記を執筆した。そして優しくも、この冒険を少しばかり前進させるのを私に許してくれた。
彼の序文は、この書物の区分けや区分けする過程での追加・変更を記して、読者を誘導するだろう。
University of Chicago Press の編集者たちとともに私は、説明的な翻訳ではなくより適切で流暢な論考になるよう努めた。
こうして我々は、付着した虚飾、テープに録られた部分と訂正された部分の印刷上の違い、テープ録音への全ての注記を含む一定の脚注を除外した。
最初の出版は、もちろん、フランス語版で見ることができる。//
1987年以降にFuretとともに仕事をしたMargarett Mahan に、真摯かつ心のこもった感謝を捧げる。民主主義の情熱へのこの宝石のごとき考察をするに際しての彼女の役割に対して。//
——
②「序文」へと続く。
François Furet, Le Passe d'une Illusion :Essai sur l’idee communiste au XX siecle (1995).
=(英語飯) The Passing of an Illusion -The Idea of Communism in the 20th Century (1999). 総計約600頁。
=(独語版) Das Ende der Illusion -Der Kommunismus im 20. Jahrhundert (1996). 総計約720頁。
=(邦語版) 幻想の過去 -20世紀の全体主義(楠瀬正浩訳,バジリコ,2007). 総計,約720頁。
なお、最後の邦訳書の表題は「過去」→「終わり(終焉)」、「全体主義」→「共産主義」と訂正されるべき旨は、何度か記した。
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二 François Furetには没後のつぎの書物もあり、主題について、上の大著と関係が深い。
邦訳書はない、と見られる。
以下、何回かに分けて、「試訳」する。全部は不可能だろうが、上の大著に関連する、著者以外による〈序文〉等も含める。
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フランソワ.フュレ、うそ・熱情・幻想—20世紀の民主主義的想像力。
François Furet, Lies, Passions & Illusions —The Democtratic Imagination in the 20th Century.
(The University of Chicago Press/Chicago & London、2014/原仏語書、2012)
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訳者はしがき/Deborah Furet。
あなたが読もうとしている書物は、たんにFrançois Furetが出版する最後の作品であるかもしれないというだけではない。
この書物は、出版事業での小さな冒険でもある。
この書物は、対話で生まれた。"Audiographie" シリーズは、Artieres とJean-François Bert がEdition de l'EHESSのために考案した。それは、文字となった話し言葉は著作者の考えだけではなく、思考の方法や過程にも光を当てることがありうる、という発想に基づいていた。この書物はそのシリーズの最初の一冊だ。
この書物は、Furetが長時間一人で机に向かって仕事をして用箋に執筆した彼の他の著作とは違って、二人の人物の誠心誠意からの会話からできあがった。二人ともに、生涯にわたる思考を具体的に表明していた。//
このシリーズの監修者のChristophe Prochasson は、この文章を綿密に吟味して編集しつつ、Furetの伝記を執筆した。そして優しくも、この冒険を少しばかり前進させるのを私に許してくれた。
彼の序文は、この書物の区分けや区分けする過程での追加・変更を記して、読者を誘導するだろう。
University of Chicago Press の編集者たちとともに私は、説明的な翻訳ではなくより適切で流暢な論考になるよう努めた。
こうして我々は、付着した虚飾、テープに録られた部分と訂正された部分の印刷上の違い、テープ録音への全ての注記を含む一定の脚注を除外した。
最初の出版は、もちろん、フランス語版で見ることができる。//
1987年以降にFuretとともに仕事をしたMargarett Mahan に、真摯かつ心のこもった感謝を捧げる。民主主義の情熱へのこの宝石のごとき考察をするに際しての彼女の役割に対して。//
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②「序文」へと続く。