秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

関嘉彦

2002/石原萠記・戦後日本知識人の発言軌跡(自由社、1999)②。

 A/石原萠記・戦後日本知識人の発言軌跡(自由社、1999)。
 B/石原萠記・続・戦後日本知識人の発言軌跡(自由社、2009)。
 石原萠記、1924-2017。前者は75歳の年、後者は85歳の年の出版。
 この項①で紹介した1972年4月に東京で開催された「国際セミナー/変貌する社会と社会主義」(後援者・日本文化フォーラム(会長・高柳賢三、事務局長・石原萌記))は最終日に①「会議ステートメント」と②「各分科会の総会報告(要旨のみ)」を発表して終了した。
 これらは、いずれ、そのままこの欄に書き写して別に記録しておきたい。両者で、本文2頁余-Aのp.1129-1131。
 既述のように、この東京での会合でRichard Lownthal (独)およびGilles Martinet (仏)と行った以下の題の報告と副報告(またはコメント)が、のちにL・コワコフスキら編の著書の一部となった。
 Richard Lowenthal <独>「先進民主主義諸国での将来の社会主義」。
 Gilles Martinet.<仏>「社会主義の理論とイデオロギー」。
 L・コワコフスキ=S. Hampshire 編・社会主義思想-再評価(New York、1974)。
 Leszek Kolakowski & Stuart Hampshire, ed, The Socialist Idea - A Reappraisal.(New York, 1974).
 この「東京国際セミナー」については、今回冒頭掲記のでも、つぎのように「記録」されている。B、p.285。タイトルはここでは<変貌する社会における社会主義>となっている。
 これによると、「このセミナーは、フジTVが毎夜放送したほか、NHK教育TV、各マスコミが大きく話題視した。各国メンバーは終了後、東京で歌舞伎などを観劇し、関西へ行き、大学・経済人と交流した。」
 正確な期日等は、1972年4月10日~14日、大手町・日経ホール。
 日本経済新聞社が「後援」している。
 外国からの参加者の中に、Aでは「アラン・ブロック(オクスフォード大副総長)」、Bでは「アロン・バロック(オクスフォード大総長)」と記載されている人がいる。
 この人物は、のちにつぎの書物を出版したのと同一人だろう。
 Allan Bullock〔アラン・ブロック〕=鈴木主悦訳・対比列伝/ヒトラーとスターリン(全三巻-草思社、2003/原書1993年)。
 ****
 石原萠記は、どういう人物だったのか。
 75歳の年の上のAには、第11章<生き甲斐を与えてくれた人びと-忘れ難き学者・文化人に学ぶ->と題して、外国人を含む20人以上の人との身近な交流と人物評(・感謝)をつづっている。たんに知っているとか、尊敬しているとかではない、人間的な<接触・交流>のあったことが分かる。p.1155~p.1216(以下の没年記載もこれによる)。
 対象人物は、以下のとおり。肩書き・所属等を簡単に記述することはできないし、原書でもそうしていないが、何もないと分かりづらいかもしれないので、あえて秋月が記した。
 (01)三輪寿壮(日本社会党)、~1956。
 (02)高柳賢三(英米法、成蹊大学総長、憲法調査会会長、日本文化フォーラム会長)、~1967。
 (03)平林たい子(作家)、~1972。
 (04)河上丈太郎(日本社会党右派)。
 (05)中村菊男(政治学、慶応大学、民主社会主義)。
 (06)張俊河<韓国>。
 (07)松前重義(東海大学総長、日本社会党)、~1991。
 (08)江田三郎(日本社会党右派、社会市民連合)、~1977。
 (09)竹山道雄(哲学者、「自由主義」)、~1984。
 (10)福沢一郎(画家)、~1992。
 (11)小島利雄(弁護士)。
 (12)安倍能成(哲学者、学習院総長)。小泉信三(哲学者、慶応大学)。
 (13)中谷宇吉郎(自然科学)。尾高朝雄(法学、日本文化フォーラム初回会合招聘文執筆者・同副会長予定)、~1956。
 (14)福田恆存(評論家)、~1994。村松剛(評論家)。
 (15)木川田一隆(東京電力、経済同友会)。平岩外四(経団連)。
 (16)関嘉彦(東京都立大、民社党国会議員)。
 (17)高橋正雄(日本社会党右派)、~1995。
 (18)金俊燁<韓国>。
 (19)モクタール・ルービス<インドネシア>。
 (20)ハーバート・パッシン<アメリカ、国際文化自由会議>
 (21)E・サイデンステッカー<アメリカ>
 (22)林健太郎(西洋史、東京大学総長)。
 (23)遠山景久(ラジオ日本)。
 (24)松井政吉(日本社会党右派)、~1993。
 以上。

1991/石原萌記・戦後日本知識人の発言軌跡(自由社、1999)①。

 石原萌記・戦後日本知識人の発言軌跡(自由社、1999)。
 計1260頁、別に人名索引計12頁。石原萌記、1924~2017。
 前回の№1990/L・コワコフスキら編著1975年編著③で、L・コワコフスキの序文の一部を紹介して、こう書いた。
 「1972年4月に東京で開催された『変化する社会における社会主義』と題する国際セミナーで報告された。
 これは、文化的自由のための国際協会〔International Association for Cultural Freedom〕および二つの日本の雑誌と連携した日本文化フォーラム〔Japan Cultural Forum〕によって、後援(財政支援)された。」
 この「国際セミナー」について、ネット上の簡便な情報よりも、この石原著の方がはるかに詳しく、正確だろう。
 会合の後援者というよりも実質的な主催者は日本文化フォーラム(英語名のJapan Cultural Forumも上掲書にある)で、1956年2月18日発足。会長・高柳賢三、副会長・尾高朝雄-急逝により木村健康、事務局長・石原萌記。以上、p.908。
 この団体の「国際的母胎」は1955年6月に西ベルリンで設立された国際文化自由会議だった。p.905。先に<文化的自由のための国際協会>と訳出したものと同じだろう。石原萌記はこの団体の「日本駐在員」だったらしい。
 厳密には日本文化フォーラムの機関誌ではなかったようだが、別組織で雑誌「自由」を発行し、4号目からは「自由社」出版になった。p.911。石原萌記は、初代社長。
 日本の少なくとも一つの「雑誌」は、この自由社発行<自由>だろう。
 これらの内容・性格等は次回以降回しとして、1972年4月の「国際セミナー」についても4頁余りの記述がある。
 このセミナーの主題は前回の訳とは少し異なり、<変貌する社会と社会主義>だった。p.1127。
 Richard Lownthal (独)およびGilles Martinet (仏)の報告があったことも記されている(但し後者はコメンテイターのようだ)。
 しかし、E・ライシャワー(米国駐日大使)等のほか中山伊知郎、高橋正雄、林健太郎、大来佐武郎が議長団を構成するなど、最初に想像したものよりもはるかに大がかりな会合だ。
 日本人報告者は、以下だったとされる。p.1128。
 イデオロギー/関嘉彦。
 政治/芳賀綏。
 経済/力石定一。
 文化/武藤光朗。
 発展途上国/喜多村浩。
 日本側の「討論参加者」は以下だったとされる。p.1128。
 石川忠雄、江田三郎、岡野加穂留、霧生和夫、公文俊平、香山健一、佐瀬昌盛、重枝琢己、清水慎三、志水速雄、曽弥益、宝樹文彦、富永健一、正村公宏、松本七郎、山本登、和田春生、他。
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 つづく。
ギャラリー
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