秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

関口宏

0913/中西輝政・ウェッジ2010年10月号を読む②。

 中西輝政・ウェッジ2010年10月号論稿は「危機が現実化し本当の破局に立ち至」ってようやく国民が気づいて「政治が大転換する」、という「破局シナリオ」を語る。

 中西によると「教育やモラル、社会の劣化」は国家の「全面崩壊」の状況を「はっきりと見せる」ものではなく、「安全保障問題の破局が先に来る」とする。そして、最も可能性があるのは、「中国に実質的な外交権を委ねて生きるしかないという、いわば『日本族自治区』のごとき状況を招くという破局」だ、という(p.31)。
 日本が、中華人民共和国日本省または中華人民共和国日本族自治区(あるいは日本の東西でそれらに二分)になる可能性(=危険性)が語られてきているが、中西輝政もまたそれを明示しているのが注目される(見出しにも使っている。p.31)。

 だが、中西も言うように、上の可能性(=危険性)はないとは「誰にも言えない」にもかかわらず、日本国民の多くは、そのように(危険性はないと)「信じている」。ここに本当の恐ろしさがあるだろう。マスメディアの主流によって、そのような可能性(=危険性)はあっても極小なものだとのデマ的空気が撒き散らされている。何も積極的には知ろうとはせず、情報ソースを一般新聞とテレビだけに頼っている多くの国民は、相変わらず、能天気のままで、(本当は)<朦朧としながら>生活している。

 中国の<覇権>はまずは台湾に及び、続いて尖閣諸島から始まって沖縄全体に及ぶと見るのが常識的だろうが、<日本は沖縄を「侵略」して併合した>などという歴史認識をもっている「何となく左翼」も沖縄県民も含めて少なくはないようなので、沖縄の日本からの自立・独立を中国はさしあたり狙うかもしれない。

 先日言及した関口宏司会の番組で、中国人船長(ではなくおそらく兵士又は工作員)釈放について何人かの日本人の街角コメントを紹介したあと、関口宏は「冷静な見方もあるようですが」と述べて、中国(と弱腰の日本政府側)に憤慨するのではなく<冷静な>対応が望ましいかのごとき反応を示した。

 中国・共産党独裁国家と闘わないと日本は生きていけない(日本列島は残っても「日本」は消滅する)ことは明らかだと思われるのだが、ナショナリズムを刺激しそれを発揚することを回避・抑制しようとするマスメディアの姿勢は、必ずや日本の「亡国」に導くように思われる。<左翼>人士・メディアは、<戦争をしたがっている保守・反動・右翼が騒いでいる>との合唱をし始めるだろうから、バカは死ななきゃ直らない、と言う他はないだろう。

 中西が上に書くような「破局」がいったん起これば、立ち戻ることはもうできないのではないか。「もはや中国の脅威に抗しえない」という状況(p.31)の発生自体を阻止する必要がある。今の民主党政権にそのような力は、意思自体すら、ないことは明らかなのだが。

0903/TBSよ、ナショナリズムは悪か-尖閣問題を扱った「サンデー・モーニング」。

 何度か「死んだ」はずのTBSはまだしつこく生きていて、<左翼>信条にそった番組作りをしている。
 最近の朝日新聞の尖閣諸島問題に関する二つの社説は「ナショナリズム」という語を使っていないようだ。これに対して、TBSの9/26の「サンデー・モーニング」は正面から「ナショナリズム」を問題にしてきた。
 コメンテイターの発言はそれぞれニュアンスは異なり、単色のイメージで番組を作ろうとしていたわけではない。
 だが、局(この番組担当者)自体が作成したと見られる「ナショナリズム」に関する説明・コメントは、明らかに<左>に傾いている。つまり、断定的ではないにせよ、「ナショナリズム」=悪、というイメージを撒いている。
 コメンテイター以外に登場させた佐高信は<愛郷心ならよいが、ナショナリズムは「国家」と結びつくと「必ず排他的」になる>と発言した。はたしてそうか。こんなに一般化して言えるのか? ともかくも反「国家」心情がここには示されているだろう。
 コメンテイターの一人・岸井某(毎日新聞政治部記者だったか?)は他にまともなコメントもしていたが、<歴史の教訓からして、ジャーナリズムの責任は、ナショナリズムを煽らないことだ>と発言した。朝日新聞・若宮啓文の、<ジャーナリズムはナショナリズムの道具じゃないんだ>との有名な文章を思い出す。ナショナリズムを刺激せず、沈静化するのがジャーナリズム、マスメディアの義務とでも考えているならば、とんでもない誤りであり、思い上がりだと言うべきだろう。そもそもが、ナショナリズムとの関係をさほどに強く意識していることこそが、戦後のジャーナリズム・マスメディアの奇妙なところだとは思わないのだろうか。
 短い時間の番組に期待しても無理なのだろうが、あるいは、だからこそ、「ナショナリズム」に関する単純な理解にもとづくイメージ作りをしてほしくはないものだ。
 具体的な担当者は、世界で残念ながら(?)現実化していないが<グローパリズム=善、ナショナリズム=悪>という意識・観念をもっていて、賢(さか)しらに(?)、意図をもって、番組自体のナショナリズムに関する説明等を準備したのではないのか。
 加えて、番組自体の説明・コメントとコメンテイター類の発言に共通していたのは、具体的な尖閣問題を具体的に論じることなく、一般的レベルの<ナショナリズム>に関するコメントにほとんど終始していたことだ。これも、上記番組の一種の(気のつきにくい)特徴であり、いやらしいところだった。
 日中関係問題一般に遡及することもまだ一般的抽象的すぎるところがあるが、さらに日中(・日韓)問題を念頭においたような<ナショナリズム>の問題に格上げ(?)することも、本質を覆い隠す役割を果たしている。
 尖閣諸島は日本の領土なのかどうか、その領海で中国人(たんなる船長ではない可能性がある)は何をしたのか、中国政府と日本側(政府・外務省、那覇地検)の主張の内容と対立点はどこにあるのか、等々の具体的なことをおさえずして、<ナショナリズム>の是非等をほとんど一般論レベルで語らせることは、反復するが、問題の本質を視聴者が把握することを困難にさせただろう。
 この番組は必ず観てはいないが、ときにたまたま見ていると、司会の関口宏を筆頭に<戦後教育の影響を強く受けた「何となく左翼」(これが現今の日本の多数派だ)臭>を感じて、辟易することがあった。今回も同様にうんざりするところがあったので、書いておいた。
 TBSや毎日新聞は、朝日新聞と同様に、基本的なところでは、日本(人)のナショナリズムを「刺激」したり「煽動」したりしないような「冷静な」、つまりは<中国をできるだけ批判しない>、結果的には<親中>・<媚中>の報道姿勢をとり続けるのだろう。

ギャラリー
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  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
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  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
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