2024年4月には結果をもらっていたから、もう二ヶ月近く経っている。
 電子メール形式で報告書が届いた。さすがに、「開く」前にやや緊張する気分があった。座り直す感覚があったが、それは、まさかと思いつつも、何らかの致死的疾患を発症する「健康リスク」がきわめて高い、と指摘されたら困るな、という思いがあったからだ。しかし、じつは<十分に生きた>という気分が秋月にはすでにあるので、それなら仕方がないという思いも同時にあった。
 やや気になる「健康リスク」がわずかにあったが、全体としては問題がなかった方かと思われる。
 遺伝子レベルでの「検査」による予測だから、現在抱えている若干の病気・疾患の大半は「生後」の「生活環境」・「生活習慣」が原因だと考えられる。
 注意を惹いたのは、10000年前に先祖がどこにいたか(東アフリカからどう移動してきたか)の「診断」だった。
 こんなことを考えたことはなかった(もっとも、<日本人はどこからきたか>という話題には興味があった)。古くからの家系図が残っているような「一族」ではないので、江戸時代半ば以前の祖先のことは全く知らず、戦国時代の乱世に、あるいはいつの時期であれ、中国大陸や朝鮮半島から来た「渡来人」が先祖の中にいると言われても、きっと「ふーん」と納得しただろう。
 だが、どの程度の信頼性があるのか知らないが、どうやら10000年前に「日本列島」にいたらしい。この頃だとすでに「日本列島」は大陸から分離して形成されていたはずだ。
 但し、この点に関する現在の日本人の最多グループは40パーセントほとを占めるらしいが、私の場合は、7パーセントほどの少数派に属するとされていた。
 だがしかし、10代前(200〜350年前?)には計算上すでに1024人の「祖先」がいたはずだ(実際はこうならないのは1人で複数を兼ねている者がいるからだ)。そして、よく読むと、上の「診断」は「母系」をたどってのものらしい。とすると、受けたのは「母系」の祖先の一部についての「診断」で、あとはよく分からないということになるだろう。1000年前も10000年前も、1億年前も、10億年前も、私の「先祖」は地球上のどこかで生きていたはずなのだが。それで全く十分なのではあるが。
 「母系」で診断するということは、女性も同じ「遺伝子検査」の対象であるところ、女性は「Y遺伝子」を持たず、男性も「X遺伝子」ほ持っているので、「X遺伝子」のタイプに注目したからだろうか。よく分からない。
 --------
 一定の量の唾液しか送っていない。それにしては、「遺伝子検査」というのは、「健康」・「病気」関係におおむね限っていても、多数の項目について「検査」し、「現状判断」または「将来予測」(あくまで確率)をできるものだと感心する。
 日本人全員が5000円の自己負担で「遺伝子検査」ができ(どの事業体=会社が行うかが問題だが、国・首相または「厚労省(大臣)」が「指定」することが考えられる)、かつ受診を義務づけると、その結果は、将来の治療または医療的判断に役立ち得るだろう。
 もっとも、「検査項目」によっては、かつまた「何を目的とする」かによっては、当然に<義務化>できる範囲は変わってくるし、「職務上知り得た秘密」に該当し得る「個人情報」の漏洩のおそれありとして<義務化>自体に反対運動が起きるかもしれない。
 「<遺伝子情報>または<DNA情報>を知られない自由」はありそうだ(憲法上保護されるべきだろう)。とすると、全て「同意」・「事前承認」がないと(死者については一定の親族の?)「遺伝子検査」ないし「ゲノム解析」はできないことになるのか。
 「同意」を表明できない重体、重病の患者については「家族」でよいのか? 「家族」がいなければどうなるのか?
 --------