秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

細胞分裂

2743/生命・細胞・遺伝—12。

 生命・細胞・遺伝—12。
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 「体細胞」の分裂による複製により、一つの「母細胞」から二つの「娘細胞」が生まれる。後者は前者と同じく、それぞれ一つの「核」内に、遺伝子群を一部とする「二重らせん」状のDNAを持つ。
 こうなるためには、まず、「二重らせん」状の、二本の「鎖」が巻き付いた状態のDNAの「二重」または「二本」の長い「鎖」・「糸」が<ほどけて>、「一本ずつ」に分かれなければならない。
 これを<縄ばしご>や「塩基対」等を使って表現すると、縄ばしごの足を乗せる部分を半分に割る、または足を乗せる部分=「塩基対」(の連続)を半分に切り裂いて二つに分けて元の「塩基」(の連続)部分だけにする、ということだ。
 不思議で神秘的だと思うのは、上に続く②だ。
 すなわち、上で分かれた2本の「DNA分体」または「DNAの片割れ」に、それまでは「見えなかった」、新しい別の「DNA分体」または「DNAの片割れ」が発生してきて「くっつき」=「相補的塩基」どうしで「塩基対」を形成し、それぞれが新しい二つのDNAを構成する。
 遺伝子群はDNAの一部であるので、それらもまた、「DNA分体」とともに行動する。それに「くっつく」新しい別の「DNA分体」の中にも新しい遺伝子群が含まれている。
 このような変化とともに「染色体」が出現してきていて、最初は1本で一つの(「二重」の鎖・糸の)DNAを「くるんで」いたが、一つのDNAが「ほどかれ」、新しく二つのDNAができていくのに合わせて、「染色体」の数もまた、二倍になる(結果として、一細胞内に、23対46本ではなく、その二倍の46対92本の「染色体」が発生していることになる)。
 このような「二倍化」は「体細胞」の分裂過程について言えることで、「生殖細胞」については、このような現象はない。さらに厳密さを期して付記しておけば、「体細胞」であっても、心筋細胞や神経細胞といった<非再生系>細胞では、いったん成熟したものであるかぎり、「分裂」による複製自体が行われない。iPS細胞で作られた始原細胞が心筋細胞や神経細胞に「成熟」することはあっても、それが完了すれば、もう「分裂」・「複製」はしない。
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 「減数分裂」で生まれた精子の23本の「染色体」と同じく卵子の23本の「染色体」が合同して46本のそれをもつ受精卵ができる(44本の「常染色体」と2本の「性染色体」)というのは、まだ理解しやすい。
 だが、それまでは「見えなかった」DNA分体が新たに出現してきて、元のDNA分体と結合して一つの(二本鎖の)DNAを構成するというのは、不思議なことだ。
 S·ムカジーによると、DNAの二本の鎖・糸を「ほどく」<酵素>が出てくるし、新しいDNAを作る(複製する)別の<酵素>も出てくる。不思議なことだ。
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 細胞全体の「分裂過程」の説明としては、以上はまだ準備段階についてのもので、かつ次の重要で目立つことに触れてもいない。
 これまで存在しなかったような「染色体」が出現し、認知され得るのは、それが相対的に大きく、かつ固く<凝縮>しているからだ。その頃には「核膜」はほとんど消滅している。
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 凝縮した、目立つ染色体の数が二倍なったあと、①一細胞を球体の地球に喩えると、染色体群は、半数ずつに分かれて「赤道」上に整列(?)する。
 ついで、②それぞれの(つまり46本ずつの)染色体は、「紡錘糸」に<捉まえられて>(あるいは<引っ掛けられて>)両極(「北極」と「南極」)へと<引き寄せ>られる。「有糸分裂」だ。
 その頃には細胞自体の「分裂」も始まっている。つまり、「赤道」あたりが<くびれて>細くなっていく。
 DNA(と遺伝子群)を包んだ「染色体」群が完全に両極に分かれてしまうと、再び「核膜」に包まれ、上の<くびれ>のところで一つの細胞自体が徐々に二つに「分裂」する。
 かくして、一つの細胞(母細胞)から、「核膜」をもつ「核」が一つずつある、二つの細胞(娘細胞)が生まれる。
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 時間的にほとんど連続した過程だから、各段階を区別するのは容易でないだろう。
 但し、「染色体」の二倍化(新しい二つのDNAの生成)までとそれ以降に大きくは区別されるようだ。前者を「S期」、後者を「M期」と呼ぶ。
 それぞれ、Synthesis(合成)Mitosis(「有糸分裂」)という語に由来する。
 また、後者はさらに、「前期」・「中期」・「後期」・「終期」に分けられるようだ。
 上の「M期」が本来の細胞「分裂」期だとして、それ以外を「G」(=gap、「間期」)と称することがある。
 完全にまたはほとんど休止している状態をG0とし、上の「S期」にあたると見られる時期を「準備」のためのG1と呼んで区別する場合もある。さらに、「準備」が完了したあとで、いわば「最後の決断」を下すための小休止の時期があるとした場合、この時期はG2とも呼ばれる。
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 参照文献を二つだけ挙げる。
 S·ムカジー=田中文訳・細胞/上(早川書房、2024)
 山科正平・新しい人体の教科書/上(講談社、2017)
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2732/生命・細胞・遺伝—07。

 生命・細胞・遺伝—07。
 「染色体」というものは、(秋月瑛二には)把握し難い。
 「染色体」は「遺伝子」や「DNA」を「内部に含む」、より「大きい」構造体だ、といちおう書いた(02)。
 そして、「染色体」は、細胞の中の「核」の中にある。
 これらは、完全に間違っている、というわけではない。
 こう理解して差し支えないだろう叙述は、すでに0206で引用または紹介した、S·ムカジー=田中文訳・遺伝子/上(2018)のつぎの中にもある。
 「①遺伝子は染色体上に存在している。
 ②染色体とは細胞の核の中にある長い線状の構造体で、そこには鎖状につながった何万もの遺伝子が含まれている。」
 また、同じ著者・訳者による、細胞/上(早川書房、2024)の序文にも、つぎの文章がある。
 「①…遺伝子は、デオキシリボ核酸(DNA)という、二重らせん構造を持つ分子内に物理的に存在している。
 ②DNAはさらに、糸の束のような構造をした染色体の中にパッケージされている。」
 後者によると、「遺伝子」は「DNA」という分子内に「物理的に存在」し、そのDNAは「染色体の中」に「パッケージされて」いる。
 どう読んでも、「遺伝子」<「DNA」<「染色体」という関係にある、と理解したくなる。
 また、前者の第二文は、「染色体」の中に「遺伝子が含まれている」と読むのが通常だろう。
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 だが、やや不思議なのは、上の前者の第一文が明らかに「遺伝子は染色体上に存在する」として、「の中に」ではなく「上に」としていることだ。これは原著で確認してもそうで、「in」ではなく「on」が使われている。
 遺伝子<染色体という関係にあるなら、なぜ「in」になっていないだろう、という気もする(in でもon でも、包含関係は変わらないかもしれないが)。
 さらに不思議であり、問題を孕んでいると感じるのは、上の前者の第二文と、上の後者の第二文の、日本語訳だ。原著の英文を見ていると、訳者の「医師」資格を問題視するのではないが、異なる日本語の文章に訳すことのできる可能性がある、と考えられる。なお、前者と後者の①と②は、原文ではいずれも、関係詞でつながった一続きの一文章だ。
 すなわち、つぎのように翻訳できる可能性があるだろう。
 前者の①・②。→「遺伝子は染色体上に存在している。—この染色体は細胞の中に含まれる(buried)長い線状の構造体で、細胞は、鎖状につながった何万もの遺伝子を含んで(contain)いる」。
 関係詞の主語を染色体ではなく細胞と理解できる可能性があり、その場合は、「遺伝子」<「染色体」ではない。たんに「遺伝子」<「細胞」を前提とした叙述であるにすぎない。
 後者の①・②。→「…遺伝子は、デオキシリボ核酸(DNA)と称される二重鎖のらせん状分子の中に(in)物理的に位置している。それ〔DNA〕はさらに、人間の諸細胞では、染色体と称される、群れた〔綛(かせ)のような〕(skein-like)構造体へと(into)パッケージ〔包装〕されている。
 この部分では(関係詞の主語ではなく)「packaged into」の意味の理解が問題になる。「〜へと包装」される、「〜に包み込まれる」とは、必ずしも大小ないし包含・被包含の関係を意味しないと理解できる可能性はあるだろう。また、「染色体」が「包装」するではなく、厳密には、「染色体」と呼ばれる「〜構造体」が「包装」する、と叙述されていることも気になる。〔原文追記—DNA which is further packaged in human cells into skein-like structures called chromosomes.〕
 要するに、「遺伝子」または「DNA」<「染色体」と単純に理解してはいけない、という気がする。
 そして、この理解の方がむしろ、別途に種々の文献を一瞥した後での秋月の理解に合致する。
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 一つの巨大な「細胞」に宇宙船のようなもので「細胞膜」を通過して入り、内部を探検して、「内部」の諸物体(ミトコンドリア、リボソーム等々)を紹介しているかのごとき叙述が、S·ムカジー=田中文訳・細胞/上(2024)にはある(すでに、02での叙述の基礎にした)。
 上で記したことに関係して興味深いのは、上の紹介では一番最後に「(細胞)核」が取り上げられながら、「染色体」は「核」の中で独立した位置づけを与えらていない、ということだ。そのかぎりでは、著者は「遺伝子」や「DNA」等と同様の扱いを、「染色体」についてしている。
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 何となく不可解のままでいたところ、なるほど、と理解できた気になったのは、つぎの文章による。
 「細胞分裂が始まると、DNAが巻きついているヒストンはそれまでよりもさらに密に折りたたまれて、『染色体』という棒状の構造にまとまっていきます。
 染色体は、細胞分裂のときにしか見られないDNAの姿です。
 雑誌Newton 2011年11月号/生命の設計図·DN A(ニュートンプレス、電子化2015年)。
 これによると、DNA=染色体だ、とも言える。
 そのことよりも重要なのは、「染色体」は「細胞分裂」のときに(正確には、その過程で)出現する構造体だ、ということだ。
 「細胞分裂」は次から次へと頻繁に発生しているだろうから、「染色体」も<ほとんど常時>「核」(<「細胞」)内に存在していると感じられて不思議ではないだろう。
 しかし、論理的には、または時間軸を厳密に見れば、「染色体」は<一時的に>存在するものにすぎない。
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 かつまた、今回はほとんど立ち入らないが、「染色体」は、その形状、(「核」内での)「位置」や、(「遺伝子」・「DNA」との)「関係」を、「細胞分裂」の過程で頻繁に(だがリズミカルに)変化させる
 <空間軸>のみならず<時間軸>を取り込んで、あらためて「細胞分裂」の過程に触れる必要がある。その過程での「染色体」の様相は、「常染色体」と「性染色体」とで同じではない
 おそらくは「生殖細胞」や「性染色体」について明確には顧慮されていないが、S·ムカジー=田中文訳・細胞/上(2024)の中には、つぎの叙述がある。
 ここでは、「染色体」の形状等の変化のほか、「(細胞)核」もまた一時的には消滅する旨も語られている。
 「細胞が分裂する際、すべての染色体は複製されて二倍になり、その後、二つに分かれる。
 ヒト細胞では、核膜が消え、分裂してできたばかりの娘細胞の中にフルセットの染色体が一組ずつ入ると、核膜がふたたび現れて染色体のセットを取り囲む。
 こうして、染色体がおさめられた新しい核を持つ娘細胞ができあがる。
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