秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

細胞

2734/八木秀次の<Y染色体論>②。

 「細胞」は大きく「再生系」と「非再生系」に分けられる。
 上の後者は神経細胞、心筋細胞だ。おそらく、「iPS細胞」を使った再生 もあり得ない。爪も肝臓という臓器等も「再生」できるけれども。
 多数の細胞は前者の「再生系」だ。その中に、生殖細胞および生殖関連細胞も含まれる。
 この区別は、「細胞」の「分裂」があるか否かに対応している、と見られる。元の神経細胞が「分裂」によって消失してしまえば(そして新しい神経細胞に取って代わられれば)、各個体に固有の<記憶>や<自我意識>等もまた消滅してしまうのではないか。全ての細胞が「分裂」・増殖するかのような叙述は、厳密なものではない。
 --------
 細胞の「分裂」の態様には、「有糸分裂」(有糸「核分裂」による細胞分裂)と「減数分裂」とがある。おおよそは「紡錘体」(糸)出現の有無によって区別されるとも言われるが、それはともかく、「減数分裂」で生み出されるのは、ヒトについて言うと、精子(男子)と卵子(女子)だ。
 これらを作り出す精巣や卵巣という細胞組織の個々の細胞も、「有糸分裂」(と「分化」)によって作り出される。
 上の区別に対応するのが、おそらく、「体細胞」と「生殖細胞」の区別だ。後者は正確には、精子(男子)と卵子(女子)のみを意味する。
 精子と卵子は「細胞」ではあるが、「体細胞」が23対・46本の「染色体」をもつのに対して、半分の23本の染色体しか持たない。「減数」分裂と称される理由だ。
 精子と卵子が一体となった「受精卵」は、両者から受け継いで、23対・46本の染色体をもつ。
 その受精卵は順調に分化・増殖すれば胎児になり、新生児となり、成長して再び精子(男子)または卵子(女子)を体内で(「減数分裂」によって)作り出す。
 元に戻ると、あるいは上から再出発すると、精子と卵子がもつ23本の「染色体」の中には、1本の「性染色体」がある。残りの22本の「常染色体」は少なくとも直接には生殖細胞の生成に関与しておらず、精巣・卵巣も含む、それ以外の圧倒的多数の諸「体細胞」の生成に関わっている。
 精子がもつ1本の「染色体」はいわゆる「X染色体」か「Y染色体」かのいずれかで、卵子がもつ1本の「染色体」は通常はつねに「X染色体」だ。
 「受精卵」・胎児・新生児・個々の人間がもつ23対・46本の「染色体」のうちの1対・2本の「性染色体」には、したがって、いわゆる「XY型」と「XX型」の違いがあることになる(生物上の「性」の区別)。
 --------
 「染色体」はしかし、それ自体が「体細胞」や「生殖細胞」の生成に関する<情報・設計図>をもってはいない。
 「染色体」は、「DNA」や「遺伝子」を「細胞分裂」の際に整序させて<(一時的に)包み込む>「包装物」のようなものだ。こう理解するようになった。
 子孫への狭い意味での「遺伝」、個体みずからの「存続」の両者に関する<情報・設計図>は、「染色体」にではなく、「DNA」または「遺伝子」が示している。
 さらに、上の後の二つは同義ではなく、より決定的なのは最後の「遺伝子(gene)」だと見られる。
 下の書物によるとだが、「全ゲノム」=「DNA」全体のうち98%は「非コードDNA領域」だ。つまり人間の身体の生成・維持にとって重要なタンパク質を指定する等の情報をもっていない。また、同じく80%は、「遺伝子を含まない領域」だ、とされる。
 この数字は、アメリカを中心にして行われた(日本も少しは関与した)「ヒトゲノム計画(プロジェクト)」が完了した2003年の報告書にもとづくもので、「多くの研究者の予想以上の」ものだったとされる。
 小林武彦・DNAの98%は謎(講談社ブルーバックス、2017)。
 「全ゲノム」とは(ヒト一人についての)「30億塩基対」だとされるが、「塩基」等のDNAの構成要素は、別に触れる。
 ——
 八木秀次・本当に女帝を認めてもいいのか(洋泉社新書、2005)。
 この書物で八木は、「Y染色体」としきりに書きつつ、「DNA」や「遺伝子」という言葉・概念を自らでは(たぶん)いっさい用いていない。これはなぜなのか。
 「ヒトゲノム計画」とその結果について知らなかったとしても容赦できる。しかし、2000年頃にはとっくに、「DNA」や「遺伝子」という言葉・概念があることくらいは知られていただろう。
 八木は、信じ難いことだが、「染色体」=「DNA」=「遺伝子」と単純に理解していたのだろうか。
 問題にされてよいのは、「染色体」ではなく、「遺伝子」だ。
 --------
 他にももちろん、八木の議論の問題点は、多数ある。
 ①継承されるものはもともと全て<複製(コピー)>なので、「まったく同じ」染色体も遺伝子もあり得ない。
 ②「遺伝子」レベルでの<複製(コピー)ミス>(=「変異」)がありうる。
 ③「男系」で継承されてきた、という「科学的」根拠がない(「継体」以降にかぎっても)。子どもの父親は本当は誰なのか、という問題は、現代でも起きる。最もよく知っているのは受胎し、出産した母親だけ、ということはあり得る。また、「神武」天皇は本当に「男性」だったのか(その前に、「実在」性自体の問題はむろんある)。「継体」は本当に「応神」天皇の「Y染色体」を継承しているのか? あくまで若干の例だが、これらを肯定できる、「科学的」・「実証的」根拠はどこにあるのか。
 ④「血」・「血統」・「血筋」といった語が、厳密な意味が不明なままで使われている。まさか、「Y染色体」=「血」、ではないだろう。等々。
 以上は、「女系」または「女性」天皇の歴史上の存在とは直接の関係がない。
 --------
 ついでながら、有性生殖生物である哺乳類の場合のオス(人の場合は男子)という「性」を決定する、正確にはたぶん「精巣」(→精子)を作り出すことのできる、そういう遺伝子は、近年の研究により、「SRY(Sex determining-region Y)遺伝子」と称されるものだと特定されている。そして、「XX型」染色体の中にも稀には、この「SRY遺伝子」をもつものがある、という。
 ——
 

2727/生命・細胞・遺伝—03。

 ①宇宙一②地球—③生物(生命体)—④細胞—⑤遺伝子・分子—⑥素粒子。
 --------
 「細胞」は種々に分類されるのだろうが、つぎの二分が、まずは関心を引く。
 第一に、「体細胞」と「生殖細胞」の区別。後者は精子、卵子、初期胚など。
 精子・卵子は圧倒的多数の「体細胞」と違って減数分裂により生まれ、23本の「染色体」しかもたない。そんなことよりも、つぎの重要な違いをゲノム編集に関係して、秋月は知った。
 すなわち、「体細胞」はゲノム編集の対象にすでになっている。換言すると、〈クリスパ・キャス9〉という「遺伝子」改変・「ゲノム」編集の方法がすでに適用されているのは、「体細胞」だ。一方、「生殖細胞」のゲノム編集については論議があり、大勢的な一致はない。但し、中国人研究者が(アメリカ留学で得た知識・技術を発展させて)中国で初期胚をゲノム編集し、それを女性に移植し、その女性は双子の女の子を出産した「事実」がある、とされる。
 前者のゲノム編集の影響・効果は一世代に限定される。致命的疾患を発現させているような「体細胞」内の遺伝子が改変されても、その改変(・ゲノム編集)は次世代に影響を与えない。一方、遺伝子が改変された「生殖細胞」はその子どもの「生殖細胞」(女性だと卵子)に継承される。
 --------
 第二に、「再生系細胞」と「非再生系細胞」の区別。
 前者・「再生系細胞」は、増殖したり、分化したりなどをする。新しい「細胞」に<再生>しうる。
 後者・「非再生系細胞」は、増殖・分化しない。ヒトの場合、初期胚・胎児は増殖と分化を繰り返して「成長」するが、母体から離れるとき(新生児となるとき)以降は、心臓を拍動させる「心筋」細胞と脳内の「神経」細胞(ニューロン)は、もはや増殖することがない、とされる。
 心筋梗塞や脳梗塞によって「壊死」した「心筋細胞」や「神経細胞」はもはや<再生>することがない。なお、例外は全くない、のではない、とされる。
 この区別に表向きは隠されているようでもある重要な意味は、ヒト、つまり人類、人間の「細胞」や個体の「死」ないし「死に方」と密接な関係があることだ。
 --------
 「再生系細胞」が増殖するとは一つの細胞から二つの、そして四つの、…10回で1024個の同一の細胞が生まれることだ(限界まで増殖はつづく)。かつまた、元の、増殖前の細胞が「死ぬ」ことも意味している。
 「分化」の場合も同じ。異なる細胞に「分化」する前の元の細胞は「死ぬ」。
 上で「増殖したり、分化したりなどをする」と「など」を挿入したのは「死ぬ」こともあるからだ。
 ここで「死」という言葉、概念を使うのは紛らわしいかもしれない。あくまでも「細胞の死」であって、通常は「死」の意味で用いられているだろう「個体の死」ではないからだ。その意味では、「消滅」の方がよいだろうか。だが、生命体の基本的単位である「細胞」についても「死」を語って奇妙ではないし、逆に、「個体の死」もまた、「個体の消滅」だ。
 「細胞の死」またはその仕組みのことを<アポトーシス>と言うことがある(下掲書によると1972年に初めて提唱された)。
 そして、この現象または仕組みはヒトを含む多細胞生物にもともと内在しているものとされる。「プログラム化された」死であり、「遺伝子によって支配された」死だ。
 人間の身体の「細胞」は数ヶ月ごとに、あるいは毎日もしくは何時間かごとに「入れ替わっている」、とか言われることがある。上記の「心筋」細胞、「神経」細胞以外の全ての細胞にこれは当てはまる。血管を構成する細胞の一つである「赤血球」についても、肝臓の「肝細胞」についても言える。きりがない。
 アポトーシスは、「細胞がさまざまな情報をみずから総合的に判断して、遺伝子の発現にもとづいて自死装置を発動する」ことで起きる(下掲書)。
 役割を果たし終えた細胞、異常になった細胞が「自死」し、生命体に不要または有害な細胞が除去される。これは生命体たる個体の維持にとって重要だ。
 なお、「細胞の死」がつねに個体にとって好ましいわけでは勿論ない。個体の維持に必要不可欠の細胞群が<外界からの襲撃>によって死んでしまえば、「個体の死」に直接につながる。また、「外界」からの影響を無視するとしても、個別の細胞が<分裂>して「細胞の死」が発生する回数には限界がある、とされている。その限界に達してくると、個体の<老化>が顕著になり、「個体の死」と密接に関係する「非再生系細胞」の機能の低下にもつながってくる。「再生系〜」と「非再生系〜」が無関係であるはずはないからだ。
 --------
 実際には「ふつうの」または正常な「細胞の死」だけが生じているのではない。同じことだが、細胞の全ての「増殖」等が正常に行われているわけではない。
 ついでに記しておくが、①細胞が「自死」しないで異常に増える場合—癌(悪性リンパ腫も)、ウイルス感染等、②細胞が異常に「自死」しすぎる場合—エイズ、神経変性疾患(アルツハイマー病等)、虚血性疾患(心筋梗塞、脳梗塞等)等。
 ここに見られるように、「心筋」細胞等は<再生>しない「非再生系細胞」だが、「自死」=アポトーシスはありうる。「脳梗塞」による細胞減少=一部または特定部位の「細胞の死」は、いわゆる<後遺症>を生じさせることもある。
 --------
 「生殖細胞」は「再生系細胞」に含まれる。そして、異常なそれは、早い段階で除去される(=「自死」を余儀なくされる)。受精卵、初期胚も「生殖細胞」の一種だ。
 --------
 「脳死」を別とすると、人間・個体の「死」の判断基準は、①心臓の拍動の停止、②肺の呼吸の停止、③瞳孔反射の不存在、の三つを充たすこととされてきた。
 この③が「神経細胞」の機能停止を少なくとも含んでいるとすると、①が「心筋細胞」、③が「神経細胞」の機能停止を意味している。そして、この二種の細胞はともに「非再生系細胞」であることはじつに興味深いことだ。
 これら(一部を含む)も、「再生系細胞」と同様の「死に方」をすることがある。しかし、興味深くかつ重要なのは、これらの「非再生系細胞」は個体自体の「死」と密接に関係している、とされることだ。
 --------
 <君たちはどう生きるか>と問うてもよいが、<私たちはなぜ死ぬのか>と問うてもよい。
 ヒトははるか昔から、自分たちは永遠には生きられない、必ず「死ぬ」と、理屈はわからないままで、<経験的に>知ってきたに違いない。
 ヒト・人間には、「寿命」がある。なぜか。
 これは、ヒトという生物「種」がそのようなものとして生まれてきた、またはそのようなものとして「進化」してきた、と理解するほかないだろう。
 「細胞の死」と同じく、「個体の死」もまた、 「プログラム化された」死であり、「遺伝子によって支配された」死だと考えられる。
 もちろん、「種」として把握した場合のことであって、個々の人間の「寿命」・いつ死ぬかが、あらかじめ当該の人の「遺伝子」によって決定されている、という意味ではない。個別の個体次元では、「遺伝子」のほかに、生涯全体で受けてきた「環境」要因を無視することができない(長生きしようという「意欲」または「努力」が全くの無駄でもあるまい)。
 しかし、150歳、140歳、130歳まで生きた、という例を、(少なくとも秋月は)全く聞いたことがない。これはいったいなぜなのだろうか。高齢化社会となり、平均寿命も平均余命も長くなっていけば、ヒト・人間は(戦争や自然災害等を無視するとしても)過半以上の者たちが150歳、200歳まで生きるようになる、とは思えない。そうなるためには、よほどの「突然変異」とその「自然選択」化が必要だろう。
 「種」として把握した場合のヒト・人間には、 「プログラム化された」死、「遺伝子によって支配された」死が、あらかじめセットされている。これは「思想」・「哲学」、「宗教」・「信仰」の問題ではない。これらは「種」としてのヒトの「死」を考察するに際して、ほとんど何の役にも立たない。
 主な参考文献。田沼靖一・遺伝子の夢—死の意味を問う生物学(NH Kブックス、1997)
 ——

2725/生命・細胞・遺伝—02。

 ①宇宙—②地球—③生命体(生物)—④細胞—⑤遺伝子・分子—⑥素粒子
 --------
 単細胞生物の細胞、植物の細胞、ヒト等の動物の細胞の構造図を見ていて、あらためて驚愕するのは、生物(生命体)の「細胞」は、よく似た、基本的には「同じ」構造・形態をもっている、ということだ。
 細胞膜が一重のものと二層のものとがある。植物の細胞には、「葉緑体」がある。これら等の差異はあっても、少なくとも、きわめてよく似ている。
 --------
 ヒトには約37兆(説によると約60兆)個の細胞があるが、個々の細胞の構造は基本的に同一だ。しかし、全てが同じ役割または一定の役割の中の同じ一部、を担っている、わけではない。
 多数の細胞が「器官」や「系」を形成して、多細胞体あるいは細胞集団である一つの生命体(個体)の「生」のために働いている。心臓・肝臓といった「器官」、神経系、循環系、生殖系といった「系」だ。
 一つの細胞の中の諸要素も、細胞の中で、種々の機能をもつ。
 ヒトの「細胞」についてを前提とする。つぎの書物は最新の知見を反映しているだろうから、以下の叙述で主に参考にする。
 シッダールタ·ムカジー=田中文訳・細胞—生命と医療の本質を探る/上(早川書房、2024)。
 --------
 「細胞」は以下のもので構成される。
 ①細胞膜。外界と分ける。ヒトの場合は二重(二層)で、脂質分子で成る。「孔」が空いていて、一定の分子が通過する。
 ②細胞質。以下以外。コロイド状から水に近い部分まで、全体として「ゼリー」状だ。
 ③細胞骨格。細胞の形態を維持する。
 ④RNA(リボ核酸)。「核」で作られるが、収まらずに外に出てくる。「塩基」で成り、「遺伝子」形成にとって不可欠。
 ⑤リボソーム。RNAの「情報」または「仕様書」を<解読>する。
 ⑥プロテアソーム。タンパク質を分解し、廃棄物として細胞質内に排出する。
 ⑦ミトコンドリア。エネルギーを生み出す。エネルギーは、第一に細胞質内で生まれ(嫌気性解糖)、最終産物は2分子のATP。第二にミトコンドリアが酸素を使って2分子ATPを燃やして高分子のATPを生み出す(好気性解糖)。第一と第二により、ブドウ糖1分子から32分子ATPができる。
 「私たちは一日のあいだに、身体の何十億個もの細胞で何十億個ものエネルギーの缶詰をつくっては、一〇億個もの小さなエンジンを燃やしている」(ムカジー=田中・上掲著)。
 ところで、ミトコンドリアは独自の遺伝子を持っていて「細胞的」だ。これは発生史的には原始細胞だったミトコンドリアを「細胞」が取り込んで<共生>し始めたかららしい。
 おまえが好きだよ、一緒になろうよ、という「意思」疎通があったのだ。
 この欄で触れたことがあるが、団まりな・細胞の意思(NHKブックス、2008)などは、細胞にも「意思」がある(あった)と表現している。
 ⑧小胞体。タンパク質の合成と輸送にかかわる。
 ⑨ゴルジ体。タンパク質が細胞外に出るときに最後に通過する部位。
 ⑩分泌顆粒。ゴルジ体から細胞膜までタンパク質を運ぶ。RNA→リボゾーム→小胞体→分泌顆粒という「流路」がある。
 ⑪。最も重要な細胞内「器官」。二層の、孔のある「膜」=核膜がある。
 核膜内にDNA(デオキシリボ核酸)を「格納」する。RNAはこれを「鋳型に」して、あるいはこれから「転写」されて生み出され、細胞質内に送られる。
 なお、細胞、さらには生命体の発生史的に見ると、原始的にはRNAが遺伝等を担っており(RNAワールド)、のちに核内に(核膜で保護された)DNAが生まれたらしい。
 「遺伝」情報が、DNA→(「転写」)RNA→(「翻訳」)タンパク質という経路をとって伝搬されることは、1953年にDNAの「二重らせん構造」を発見したフランシス・クリックによって、1958年に<セントラルドグマ>と称された。
 --------
 DNA、「遺伝子」、「染色体」、「ゲノム」等々の意味と差異については、別に扱わなければならない。「遺伝子」は子孫への継承(「進化」はこれに関係する)のみならず、当該細胞やその細胞を含む当該個体(生命体)の「生と死」に密接に関係していることも含めて。
 ——

2723/生命・細胞・遺伝—01。

 ①宇宙—②地球—③生命体(生物)—④細胞—⑤遺伝子・分子—⑥素粒子(電子、光子etc.)
 --------
 個々の人間は③だ。しかし、上の全てが個々の人間「自身」に関係している。
 宇宙が生まれ、ビッグバンによって地球が生まれ、やがて深海から「生命体」(有機体)が誕生し、長い長い時間ののちに「ホモ・サピエンス」(人類)が誕生した。今地球上で生きているヒトはみなその子孫たちだ(人類みな兄弟)。
 生命体(生物)は「外界」と明確に区別される界壁(膜、皮膚等)をもつ統一体で、外部からエネルギーを取り込み代謝し、かつ自己増植または生殖による自己と同「種」の個体を産出し保存する力をもつ。これによって、無生物・非生物と区別される。
 全ての生命体(生物)は、基礎的単位である「細胞」によって成り立つ。生物は単細胞生物と多細胞生物に分けられるが、最初の生命体である前者は、約35〜40億年前に生まれた、とされている。「ウイルス」は自らの細胞を持たないので、「生物」ではないと言われる。これに対して、「細菌」類は生物=生命体だ。
 ヒトはむろん多細胞生物だ。ヒトには37兆余個の細胞がある、とされる。ついでながら、ヒトの体内には、大腸菌等々の、多数の「生物」が生息(・寄生)している。これらは、「微生物」に含まれる。
 ニューロン=神経細胞〔neuron〕も、当然ながら、細胞の一種だ。
 細胞は、細胞膜、(細胞)核のほか、リボソーム、ミトコンドリア等によって構成される。「遺伝子」は「(細胞)核」の中に<格納>されている。全ての細胞核の中に、そして全ての細胞の中に「遺伝子」がある。「遺伝子」は「ゲノム」という言葉につながっていく。
 --------
 ニューロン(神経細胞)という細胞は、どうやら脳にのみ存在するようだ。光、音、振動等の外部からの刺激を受容する「感覚器官」にも神経細胞はあるのだろう、但し多数で重要なのは脳内のそれだ、と思っていたが、間違いだったようだ。
 なお、例えば視覚器官が何かを「見た」あとで脳内の視覚神経(感覚神経細胞の一つ)が「見る」までにはきわめて短いながらも厳密には時間の経過がある(大脳と眼球のあいだには物理的な距離がある)、それを感じないのは時間的近接性がきわめて高いからだ、と漠然と思っていた可能性がある。これも間違いだった。眼が「見る」のと脳が「見る」のは同時に行われるらしい。つまり、脳内の感覚神経が見ないと、「見た」ことにならない。
 ニューロンは独特の形状をしていて、情報の出力を担う一本の軸索〔axon〕、情報の受容(入力)を担う多数の樹状突起(dendrite)がある。他に「細胞体」があって、この中に「(細胞)核」がある。さらにその中に「遺伝子」(DNA等ーとりあえず省略)があることになる。
 ヒト(成人)のニューロンは1000億個ほどあるらしい。この多数の神経細胞どうしがつながりあって情報の交換がなされる。但し、「つながりあう」ためには一つのニューロンの軸索から別のニューロンの樹状突起へと「接続」しなければならない。また、直接に接触するのではなく、両者を隔てる(各々のニューロンを区別する)「シナプス」の中への化学物質(神経伝達物質、nuerotransmitter)の放出と受容が行われることによって「つながる」。
 約1000億個のニューロンが自ら以外のニューロンの全てとつながると仮りにすると、1000億✖️1000億の線が絡み合った「網」ができる。実際にはそうではなく、つながる場であるシナプス(シナプス空間、シナプス間隙)の数は、1000億ではなく、数千万であるらしい。
 だが、最も少なく見積もって1000万としても、1000億✖️1000万=100億✖️1億=100京(あるいは、1000億✖️1000万=1兆✖️100万=100兆✖️1万=100京)というとんでもなく厖大な数の「つながり方」があることになる。むろん、一つのつながり方が定型的な一つの情報交換をするわけでもないだろう。
 文筆家、評論家、あるいは「もの書き」にそれぞれ独特に生じるのだろう、文章執筆の際の<ひらめき>は、多数のニューロン間の「つながり方」またはその変化によって生じている。
 ——
ギャラリー
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2564/O.ファイジズ・NEP/新経済政策④。
  • 2546/A.アプルボーム著(2017)-ウクライナのHolodomor③。
  • 2488/R・パイプスの自伝(2003年)④。
  • 2422/F.フュレ、うそ・熱情・幻想(英訳2014)④。
  • 2400/L·コワコフスキ・Modernity—第一章④。
  • 2385/L・コワコフスキ「退屈について」(1999)②。
  • 2354/音・音楽・音響⑤—ロシアの歌「つる(Zhuravli)」。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
  • 2320/レフとスヴェトラーナ27—第7章③。
  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
  • 2277/「わたし」とは何か(10)。
  • 2230/L・コワコフスキ著第一巻第6章②・第2節①。
  • 2222/L・Engelstein, Russia in Flames(2018)第6部第2章第1節。
  • 2222/L・Engelstein, Russia in Flames(2018)第6部第2章第1節。
  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
  • 2179/R・パイプス・ロシア革命第12章第1節。
  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2136/京都の神社-所功・京都の三大祭(1996)。
  • 2136/京都の神社-所功・京都の三大祭(1996)。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2101/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史10。
  • 2101/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史10。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
アーカイブ
記事検索
カテゴリー