一部の太字化は、掲載者。
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神社本庁憲章/昭和55年5月21日 評議員会議決
第1条 神社本庁は、伝統を重んじ、祭祀の振興と道義の昂揚を図り、以て大御代の彌栄を祈念し、併せて四海万邦の平安に寄与する。
第2条 神社本庁は、神宮を本宗と仰ぎ、奉賛の誠を捧げる。
2 <略>
第3条 神社本庁は、敬神尊皇の教学を興し、その実践綱領を掲げて、神職の養成、研修、及び氏子・崇敬者の教化育成に当る。
第4条 神社本庁は、総裁を推戴する。
2 総裁は、神社本庁の名誉を象徴し、表彰を行ふ。
第5条 神社本庁に統理以下の役員、その他の機関を置く。
2 統理は、神社本庁を総理し、これを代表する。
3 <略>
第6条 祭祀は、報本反始の誠を捧げ、古来の伝統と、別に定める制規に従って厳修する。
第7条 神社本庁は、幣帛促進の伝統を重んじ、神社に本庁幣を献ずる。
第8条 神社は、神祇を奉斎し、祭祀を行ひ、祭神の神徳を広め、以て皇運の隆盛と氏子・崇敬者等の繁栄を祈念することを本義とする。
2 霊代の神聖は、厳に護持しなければならない。
3以下<略>
第11条 神職は、ひたすら神明に奉仕し、祭祀を厳修し、常に神威の発揚に努め、氏子・崇敬者の教化育成に当ることを使命とする。
2以下<略>
<以下、略>
出所-神社本庁総合研究所監修・戦後の神社・神道-歴史と課題-(神社新報社、2012年2月)。
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さしあたりの感想・コメント。
第一。「大御代の彌栄を祈念」(1条)、「敬神尊皇」(3条)。「皇運の隆盛」(8条1項)。つまり、<天皇・皇室>を崇敬・尊重する、ということが明記されている。やや失礼かもしれないが、神社本庁系神社=「神道」・「天皇」教なのだ。8条1項によると氏子・崇敬者よりも「皇運」は優先するごときだ。
第二。「神社本庁は、神宮を本宗と仰ぎ」。厳密な意味を問題にする余地はあろうが、「神宮」=<伊勢神宮>(そして内宮の祭神は<天照大御神>)が「本宗」と明記されている。
歴史的・由緒的にはアマテラスではなくスサノヲ・大国主命系の神を主祭神とする神社も多く、かつまた稲荷神社系、八幡系(応神天皇・神功皇后)、天神・天満系(菅原道真)もあり、日吉・日枝系(日吉大社、日枝神社等)もあるが、神社本庁を「包括法人」としているかぎりは、「本宗」は、伊勢神宮=アマテラス系だ、とされている。したがって、「天皇・皇室」との縁が遠いと思われる神社も、神社本庁系あるいは「神社神道」であるかぎりは、<世界で最古の王朝・日本の皇室>などというノボリを立てたり、看板を立てたり、冊子を頒布していることになる(神社本庁から配布されたのだろう)。