秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

石原信雄

1199/安倍首相は河野談話を見直す気がどれほどあるのか。

 慰安婦問題・河野談話については、この欄でも何度も触れたはずだ。
 今年ではなく昨年の8/19、産経の花形記者・阿比留瑠比は「やはり河野談話は破棄すべし」という大見出しを立てて、産経新聞紙上でつぎのようなことを書いていた。

 ・①「慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した」。②慰安婦の「募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた」。これらが河野談話の要点(番号は秋月)。

 ・「関与」、「甘言、強圧」の意味は曖昧で主語も不明確だが、この談話は<日本政府が慰安婦強制連行を公式に認めた>と独り歩きし、日本は<性奴隷の国>との印象を与えた。

 ・「日本軍・官憲が強制的に女性を集めたことを示す行政文書などの資料は、いっさいない」。談話作成に関与した石原信雄によるとこの談話は「事実判断ではなく、政治判断だった」。
 ・この談話によって慰安婦問題は解決するどころか、「事態を複雑化して世界に誤解をまき散らし、
問題をさらにこじらせ長引かせただけではないか」。
 以上はとくに目新しいことはないが、最後にこう付記しているのが目につく。安倍晋三は、「今年」、つまり今からいうと昨年2012年の5月のインタビューでこう述べた、という。

 「政権復帰したらそんなしがらみ〔歴代政府の政府答弁や法解釈など〕を捨てて再スタートできる。もう村山談話や河野談話に縛られることもない」。

 この発言がかつての事実だとすると、第二次安倍政権ができた今、「もう村山談話や河野談話に縛られることもない」はずだ。

 安倍晋三第二次内閣は「生活が第一」を含む経済政策・経済成長戦略や財政健全化政策の他に、いったい何をしようとしているのだろうか。初心を忘れれば、結局は靖国参拝もできず、村山談話・河野談話の見直し・否定もできず、支持率を気にしながら<安全運転>をしているうちに、第一次内閣の二の舞を踏むことになりはしないか。「黄金の三年」(読売新聞)は、簡単にすぎてしまうだろう。

 さらに、橋下徹が慰安婦問題について発言した今年5月、自民党議員、安倍内閣、そしてついでに産経新聞は、いったいいかなる反応をしたのだっただろうか。

0145/産経5/14には石川水穂「河野談話の検証が必要だ」もある。

 産経5/14には、石川水穂の「河野談話の検証が必要だ」が載っている。岡崎久彦は、この石川の考えを「無用」として否定するのか、それとも国内問題としてはこの石川の考えの正当性を肯定するのか、いずれかの紙面又は誌面で明瞭に答えていただきたいものだ。
 石川水穂は慰安婦問題米国下院決議案には「多くの事実誤認の内容が含まれる」とし、河野談話についても「極めて問題の多い政府見解である」と明言している。
 資料記録的意味で記しておくが、1997年3月に当時の官房副長官・石原信雄は、政府収集資料の中には「軍や警察による強制連行を示す証拠」はなかったこと、河野談話はその直前に「韓国政府の要請で行った…元慰安婦16人からの聞き取り調査のみに基づいて強制連行を認めた」ことを明らかにし、その後の国会質疑等で「聞き取り調査」の「裏付け」はなされていないことも判明した。
 ここで問題をかき混ぜた、あるいは戦線を拡大したのが、朝日新聞だった。
 朝日新聞は1997年3/31社説「歴史から目をそらすまい」で、「日本軍が直接に強制連行をしたか否か、という狭い視点で問題をとらえようとする傾向」を批判し、「資料や証言を見れば、慰安婦の募集や移送、管理などを通じて、全体として強制と呼ぶべき実態があったのは明らかである」とした。
 「日本軍が直接に強制連行をした」という自らのいう「狭い視点」からさんざん報道しておきながら、信憑性が極めて低いと判るや、「狭い視点で問題をとらえよう」としてはいけない、と言い出したのだから、その神経の傲慢さ・杜撰さは尋常ではない
 それに、「慰安婦の募集や移送、管理など」に日本軍が関与していたとしても、そのことをもって「全体として強制と呼ぶべき実態があった」
と表現するのは、日本語の用法として誤っている。どうしても「強制」という語を残したかったのだろう。再述するが、慰安婦の募集や移送、管理など」に日本軍が関与していたことのどこに「全体として強制」という概念があてはまる現象があるのか。朝日は自らの主張のためならば、通常の日本語の意味・論理すら無視しているのだ。
 石川は、韓国人元慰安婦からの聞き取り調査の中身は今も公表されていないとして、学問的検証の必要を説く。当然の主張だと思う。こういう作業もまた、岡崎久彦によれば「無用」で、「常識」に任せよ、ということなのだろうか?

-0056/「底のない泥沼」と秋山社長も嘆く「朝日新聞の惨状」。

 今日のタイトルは週刊新潮10/26号p.32~35の記事と同じだ。
 朝日新聞紙上の週刊新潮の広告にはそのまま掲載されただろうか。これまで何度も、かかる言葉を朝日の広告面にそのまま載せるか否かで両者は「揉め」てきたのだ。
 それはともかく、同記事によれば、朝日新聞社現社長が某会合で同社の広告収入額の急激な減少を嘆き、具体的に90年に1981億円だったが05年は1413億円と500億円以上減少し今年も前年を上回ることはなさそう、と語ったという。広告収入は景況にもよるのだろうが、読者数の変化等の新聞に対する評価にも影響を受けるだろう。少なくとも、この記事は朝日新聞への評価の高まり・読者数の増加を示してはいない。そしてそれは当然だろうと感じる。
 朝日新聞の「偉業」はだいたい知っているつもりだが、次の件は知らなかった。
 1995年3/29の同紙栃木版で都知事立候補の石原信雄への同県幹部の餞別渡しを批判的に報道したが、写真まで掲載した「御餞別栃木県一同」と表に書かれた祝儀袋は同紙宇都宮支局記者自身が用意したものだった、という(3/31に朝日はお詫び記事掲載)。
 さすがに、いろいろな場所、いろいろなレベルで、なかなかやりますねぇ。
 今日買った高山正之・歪曲報道(PHP研究所、2006.10)の帯には「あなたは、まだ彼らを信じられますか? 朝日新聞、NHK、TBS…。」とあり、見事に一番目に名指しされており、当然に本文中で多くの朝日の「偉業」が言及されている。
 読了は未だだが、すでに何かで読んでいたとはいえ、2005年08/13の朝日が「つくる会」教科書採択の杉並区役所に2つの「市民団体」が押しかけて抗議した旨を報道したが、同日付の産経によると朝日のいう「市民団体」とは「過激派の中核派が支援する」某団体と「共産党と友好関係にある」某団体だった(p.110~1)、というのは面白かった。
 かかる団体を朝日は「市民団体」と書き、靖国参拝団体や「つくる会」支援団体は「右翼団体」と書いて区別する、というのはよく知られたこと。
 上の二つの事例は、国際・外交等に直接は無関係だから、まだ「かわいい」。
 最近の北朝鮮核問題に関する朝日新聞の記事は週刊文春10/26号p.127の櫻井よしこによれば「それでも米が悪い」旨書いたりしつつ「迷走」している。
 10/12の天声人語の「人類益の立場」で対処をなんて、口先だけでの抽象的なことなら何とでも言える、の好例だ。今のままでは朝日の退潮傾向は止まらないだろう。
ギャラリー
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