①宇宙—②地球—③生命体(生物)—④細胞—⑤遺伝子・分子—⑥素粒子(電子、光子etc.)
 --------
 個々の人間は③だ。しかし、上の全てが個々の人間「自身」に関係している。
 宇宙が生まれ、ビッグバンによって地球が生まれ、やがて深海から「生命体」(有機体)が誕生し、長い長い時間ののちに「ホモ・サピエンス」(人類)が誕生した。今地球上で生きているヒトはみなその子孫たちだ(人類みな兄弟)。
 生命体(生物)は「外界」と明確に区別される界壁(膜、皮膚等)をもつ統一体で、外部からエネルギーを取り込み代謝し、かつ自己増植または生殖による自己と同「種」の個体を産出し保存する力をもつ。これによって、無生物・非生物と区別される。
 全ての生命体(生物)は、基礎的単位である「細胞」によって成り立つ。生物は単細胞生物と多細胞生物に分けられるが、最初の生命体である前者は、約35〜40億年前に生まれた、とされている。「ウイルス」は自らの細胞を持たないので、「生物」ではないと言われる。これに対して、「細菌」類は生物=生命体だ。
 ヒトはむろん多細胞生物だ。ヒトには37兆余個の細胞がある、とされる。ついでながら、ヒトの体内には、大腸菌等々の、多数の「生物」が生息(・寄生)している。これらは、「微生物」に含まれる。
 ニューロン=神経細胞〔neuron〕も、当然ながら、細胞の一種だ。
 細胞は、細胞膜、(細胞)核のほか、リボソーム、ミトコンドリア等によって構成される。「遺伝子」は「(細胞)核」の中に<格納>されている。全ての細胞核の中に、そして全ての細胞の中に「遺伝子」がある。「遺伝子」は「ゲノム」という言葉につながっていく。
 --------
 ニューロン(神経細胞)という細胞は、どうやら脳にのみ存在するようだ。光、音、振動等の外部からの刺激を受容する「感覚器官」にも神経細胞はあるのだろう、但し多数で重要なのは脳内のそれだ、と思っていたが、間違いだったようだ。
 なお、例えば視覚器官が何かを「見た」あとで脳内の視覚神経(感覚神経細胞の一つ)が「見る」までにはきわめて短いながらも厳密には時間の経過がある(大脳と眼球のあいだには物理的な距離がある)、それを感じないのは時間的近接性がきわめて高いからだ、と漠然と思っていた可能性がある。これも間違いだった。眼が「見る」のと脳が「見る」のは同時に行われるらしい。つまり、脳内の感覚神経が見ないと、「見た」ことにならない。
 ニューロンは独特の形状をしていて、情報の出力を担う一本の軸索〔axon〕、情報の受容(入力)を担う多数の樹状突起(dendrite)がある。他に「細胞体」があって、この中に「(細胞)核」がある。さらにその中に「遺伝子」(DNA等ーとりあえず省略)があることになる。
 ヒト(成人)のニューロンは1000億個ほどあるらしい。この多数の神経細胞どうしがつながりあって情報の交換がなされる。但し、「つながりあう」ためには一つのニューロンの軸索から別のニューロンの樹状突起へと「接続」しなければならない。また、直接に接触するのではなく、両者を隔てる(各々のニューロンを区別する)「シナプス」の中への化学物質(神経伝達物質、nuerotransmitter)の放出と受容が行われることによって「つながる」。
 約1000億個のニューロンが自ら以外のニューロンの全てとつながると仮りにすると、1000億✖️1000億の線が絡み合った「網」ができる。実際にはそうではなく、つながる場であるシナプス(シナプス空間、シナプス間隙)の数は、1000億ではなく、数千万であるらしい。
 だが、最も少なく見積もって1000万としても、1000億✖️1000万=100億✖️1億=100京(あるいは、1000億✖️1000万=1兆✖️100万=100兆✖️1万=100京)というとんでもなく厖大な数の「つながり方」があることになる。むろん、一つのつながり方が定型的な一つの情報交換をするわけでもないだろう。
 文筆家、評論家、あるいは「もの書き」にそれぞれ独特に生じるのだろう、文章執筆の際の<ひらめき>は、多数のニューロン間の「つながり方」またはその変化によって生じている。
 ——