一 「日本宗教者平和協議会」という団体があるらしい。
ウェブサイトによると、略称の「宗平協」は、「宗教者(信者・門信徒もふくめて)で、『宗教者の良心に基づき世界の平和と人類の幸福に寄与する』という目的に賛同する人であれば、誰でも参加することができ」るらしい。基本的には、個人加入の組織のようだ。
同じく、その<主な活動>は以下だとされている。
「①信教の自由と政教分離の確立
靖国神社の閣僚公式参拝や国家護持の動きなど、権力による宗教統制・利用に反対し信教の自由を守る。 宗教の側からの政治権力の利用に反対し、政教分離の原則を訴える。
②核兵器の使用禁止と廃絶
核兵器禁止の国際条約の締結を要求し、全ての核兵器の廃絶を求める。
③軍事基地の撤去と軍事条約の撤廃
憲法違反の自衛隊に反対し、沖縄をはじめとする日本国内の米軍基地の撤去と日米安保条約の緒廃棄を求める。
④日本国憲法の擁護
日本国憲法を擁護し、平和・民主主義の原則を守り発展させる。
⑤環境の保全と回復
「自然と共に生き、自然の中に生かされている」ことを自覚し、環境の破壊を許さず、保全と回復につとめる。
⑥宗教者の国際連帯の強化
平和五原則に基づく国際友好をすすめ、平和のための宗教者の国際連帯と相互支援を前進させる。」
これらのうち、とくに①~④は現在の日本共産党の主張と同じだ(または、それよりも率直だ)。③では、自衛隊を「憲法違反」と明記し、国内の「米軍基地の撤去」、「日米安保条約の廃棄」をはっはりと謳っている(「緒廃棄」は原文ママだが、「諸廃棄」でも意味は通じないので、「即時廃棄」の入力ミスだろうか)。
この団体は、次のアピールを出している。
「2000/08/31 防衛庁長官と東京都知事に「防災演習」についての抗議と要請
2000/06/10 森首相の「国体」発言を厳しく糾弾する
2000/05/16 森首相の「神の国」発言に断固抗議する。
1999/07/01 盗聴法案(組織的犯罪対策法案)廃案を求めます
1999/06/15 「日の丸」「君が代」を国旗・国歌とする法制化に強く反対します。
1999/05/25 新ガイドライン関連法案の強行採決に抗議する
1999/04/20 NATOのユーゴ空爆を即時停止し、紛争当事者による平和交渉の再開と、関係諸国に平和的解決を要請する
1999/01/06 中村法相の罷免と国会の解散を要求する」
最も上の2000/08のものは「防衛庁・自衛隊と東京都」が予定する「平成一二年度自衛隊統合防災演習」は「防衛庁・自衛隊の統合幕僚会議議長の指揮の下に大量の自衛隊員を首都へ移動させるなど、治安出動のための演習といわざるをえない」とし、「治安維持を自衛隊に期待する石原東京都知事の発言や、新ガイドライン成立によるあらたな自衛隊の『治安出動』のための法『改正』を狙う政府・自民党の策動からも裏付けられ」ると述べる。
その下の森首相発言への抗議も含めて、→
http://www5a.biglobe.ne.jp/~akio-y/heiwa/apnisyu2.htm#bousai
一番下の中村法相うんぬんは「去る四日、中村法相が法務省内での新年集会において、『日本人は、連合国からいただいた、国の交戦権は認めない、自衛もできない、軍隊ももてないような憲法を作られて、それが改正できないというなかでもがいている』と発言したことは、歴史の事実に反し、憲法に違反し人類の進歩に逆行し、憲法改悪、『有事』参戦への布石として重大な問題を孕んでおり、何よりも憲法遵守の義務を負う法務大臣の資質の欠落を露呈したものであり黙過することはできません」と始まる。そして、「わが国の憲法は連合国から試案を提示されましたが、戦争放棄はまさに幣原首相の独創であったことをマッカサー総司令官自身が認めています」と、面白い(?)ことも断定的に書いている。
これも含めて、下の4つの全文は、→
http://www5a.biglobe.ne.jp/~akio-y/heiwa/ap-nisyu.html#naka
機関紙「宗教と平和」というのを発行しているようで、そこに示された「日本宗教者平和協議会」の(事務所・事務局の)所在地は次のとおり。
「〒113-0003 東京都文京区湯島3-37-12 TS第7ビル502号」
二 「日本宗教者平和協議会への加盟および平和諸団体との提携協力」を規約上の「目的」の一つとする地域的団体の一つに「奈良宗教者平和協議会(略称・奈良宗平協)」というのがある。
ウェブサイトによると、この団体は、日本宗教者平和協議会とは別に、以下のアピールを発している。
「2003/12/09 憲法違反のイラクへの自衛隊派兵『基本計画』決定に抗議する
2003/03/17 イラクへの武力行使に反対する
1998/05/20 インドの核実験に抗議する
1996/07/27 史実に反する『従軍慰安婦発言』を繰り返す奥野誠亮衆議院に抗議し、議員辞職を要求する
1996/06/10 中国の核実験に抗議する
1995/11/14 フランス・中国の核実験中止と核実験全面禁止条約の締結を求める
1995/05 ~終戦・被爆五〇年にあたって~核廃絶を呼びかける奈良県宗教者のアピール
1994/07/24 核兵器廃絶の先頭に立ち、日本国憲法の平和的民主的原則を遵守せよ。-村山首相への抗議と要請
1993/10 小選挙区制の導入に反対するアピール」
・奈良市中心部より東北の般若寺(はんにゃじ)には「原爆の恐ろしさと平和の大切さを後世に伝えるため」の「平和の火」をともす「平和の塔」というのが建っている。
・奈良市中心部より東南の白毫寺(びゃくごうじ)の境内には、「奈良宗教者平和協議会」と書かれた木板が入口に掛かる建物がある。
宗教法人としての寺院そのものではなくとも、この二つの寺院の代表者または有力者が「奈良宗平協」に加入している(そして有力な構成員である)ことは間違いない。
実際にも、上掲のアピールの最上の<イラク派兵反対>は、「奈良宗教者平和協議会 代表理事 工藤良任(般若寺住職) 宮崎快堯(白毫寺住職)」という名義で出されている。→
http://www5a.biglobe.ne.jp/~akio-y/heiwa/appeal.htm
なお、上の二つの寺院はいずれも関西に25しかない、<関西花の寺二五カ所>の番所(札所)。
三 大阪にも「大阪宗教者平和協議会」というのがあるらしい。
「大阪宗平協ニュース」というのを発行していて、ウェブサイトによると、最新号は2009/11/24付。
そのニュースには12/08の「第19回定期総会」と同日の記念講演(会)の案内が掲載されている。
「民主党政権下での『反核平和』」とのテーマで講演する(した)のは中田進という人物で、同ニュースに記載の経歴によると、「1937年生まれ」の「関西勤労者教育教会講師」で、<学習の友社>や<新日本出版社>から本を出している。この二つの出版社は実質的には日本共産党とほとんど同一。
「大阪宗平協」の事務所(事務局)は、同ニュースの発行元の記載によると、次のようだ。
「大阪市東住吉区今川2-8-5 正念寺内」
四 以上のようなことに加えて、「奈良宗平協」のウェブサイトからリンクを張っている諸団体等のうち「反核平和運動・被爆者団体・個人のHP」のトップ2つは「原水爆禁止日本協議会」と「日本被爆者団体協議会」であること、いくつかの県の「~平和委員会」も含まれていること、その他の「団体」のうちトップは「自由法曹団」であること、等を加味しても、「宗教者平和協議会(宗平協)」という団体は明確に日本共産党系だ。
より正確にいえば、日本共産党員が宗教法人内に<フラクション>を形成して活動している、というのがむしろ実態に近いかもしれない。
代表者・有力者がこの「宗教者平和協議会(宗平協)」に加入しているような寺社への拝観料・入山料等々は、いったいどこに消えるのか、何のために使われるのか。警戒しておいても悪くはない。