秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

月刊ヴォイス

0495/総選挙→「政界再編」は必ずあるのか? それは<よい>方向なのか?

 〇保守新党論のある程度の具体化または萌芽はあるのだな、と知ったのは、遅れて読んだ、月刊ヴォイス1月号(PHP)の平沼赳夫櫻井よしこの座談会「政界大再編へ」(p.62~)によってだった。
 この中で、現在無所属で行動しやすいらしい平沼赳夫は新党名について、「保守」という言葉は外せない、「自由」という言葉とうまく組み合わせられないか、と考えている、という旨も発言している(p.73)。
 総選挙(衆議院議員選挙)を今年中にでも行い、結果によって(民主党が第一党になっても)<政界再編成>を、という期待あるいは予測を語る論考や記事をかなり頻繁に見るようになった。
 〇昨秋から<政界再編成>の必要を説いていた中西輝政の「第二段階に入った『日本の衰退』」(表紙上の予定?タイトルは「福田総理の自爆テロ解散」)(月刊WiLL6月号(ワック))。
 安倍前首相退陣以来、具体的な政局への関心を大きく喪失し、福田康夫や同内閣について殆ど何も書いてきていないのだが、この間に、中西によれば、日本は「衰退」への道の大きな第二段階に入った、という。政局の不安定・混迷等々を見ているとそうかもしれない、と思う。そして、解決方法がない問題については人間は「問題自体がない」かの如く目を瞑る、今や「日本が衰退していることは、口に出してはならない、というタブー感が横たわっている」(p.207)、と指摘されて、具体的な政局・政治情勢から目を離したい気分の自らが批判されたような気がした。
 だが、はたして、衆院解散・総選挙・誰かが首班の内閣成立・その後のいずれかの段階で、何か本当によいことは起こるのだろうか。ともかくもいったんガラガラポンして、新しい政治・政党の枠組みを作り直そうと言っても、その<新しい>ものが日本の国家・社会・国民にとって<よい>ものである保障はどこにあるのだろうか。八方塞がりというか、憂色だけは濃い、というか、心地よくない日々が続きそうな気がする(現下の政局・政治情勢の直接の又は最大の原因・背景は、昨年の参院選での、「政治謀略」新聞・朝日らが誘導し形成した<偽装の民意>にあるのだが)。
 たぶん、中西輝政と少なくとも気分だけは共通している点があると思う。但し、上の月刊WiLL6月号論考の最後の、「古い戦後体制そのものを清算する」しかなく、その「核心」は「やはり新憲法の制定にある」という主張は、今の時点では虚ろに響く。早くても2010年以降の話だし、参議院で改憲派(とくに憲法九条改正)が2/3以上を占めるのはいつなのか。それまで何とか、「政治謀略」新聞・朝日を快くさせるような出来事・変化ができるだけ生じないで、(別に「自民党」中心でなくてもよいのだが)新憲法制定(憲法改正)への途へと繋げることができるだろうか。市井の一人ながら心配だし、ひょっとして自分の生きている間は不可能かもしれない、という不安ももつ。ますます戦後(民主主義・個人主義・平和)教育だけを受けた者たちの割合が増えていく……。

0453/テレビ局(ワイドショー)関係者はなぜ朝日新聞を好むのか?

 高山正之週刊新潮に毎号1頁もののコラムを連載している。面白いが、出典や正確な月日の記載がないことが多く、資料としては使いにくいところがあるのが難点だ(と私は感じている)。
 以上は前振りで以下が本文。高山は昨年12月までは毎号、月刊Voice(PHP)にも連載記事を執筆していたようだ(「メディア閻魔帳」)。その後も巻頭の方で写真付きの短い文章を書いている。
 別の何かで誰かが同旨のことを書いていたような気がするが、高山正之は上掲誌昨年(2007年)12月号で、朝日新聞に関してこんなことを書いている(この号のタイトルは「基地と市民と『朝日新聞』」。以下は朝日新聞に関する高山の記述のすべての内容ではない)。
 <安倍晋三退場へと「追い込んだ」のは「紛れもなく」朝日新聞の「飽くことのない非常識な個人攻撃」だ。一新聞が「常識をかなぐり捨てると首相の首も飛ばせる」という事態は怖い。朝日新聞紙上で若宮啓文と筑紫哲也が「馬鹿な大衆」(オルテガ)を「どう踊らせるか」を「堂々と語り合っている」。>
 関心を惹いたのは、むしろ以下だった。
 <「いまのテレビのワイドショー」は種々の職業の者が「コメンテーターとして社会や政治を語る。当然無理があるから、最低限、これは読んでくださいと事前に渡すのが、『朝日新聞』の記事や社説なのだ」。私(高山)も一年コメンテーターをしたが「どこのテレビ局も『朝日新聞』を教則本に使っていることを知った」。テレビ界はまだ「牢固とした『戦後レジーム』のなかにある」。>
 国民または有権者に対する「テレビのワイドショー」の影響力の大きさはしばしば語られている。よく分からないのは、高山の上の指摘が誤っていないとして、そうした番組のの製作担当者は何故、<朝日新聞>を最も権威あるニュース(・見解)ソースと考えているのか、だ。
 憶測はできる。番組製作に実際に中心的に携わっている(25~45歳の)世代でのマスコミ(>テレビ放送局)入社者は平均的な日本人に比べて、かなり<変わっている>。世代には関係ないかもしれないが、テレビを含むマスコミは当然に反権威・反権力・反政府の立場を採るべきだとの感覚に浸っているのかもしれない。あるいはまた、マスコミ(テレビ放送局)入社者は自分を平均的日本人よりも<賢く>かつ<進歩的>だと思っている、つまりは<インテリ>だと無意識にでも自己規定しているので、最も<インテリ>好みの、最も<インテリ>臭漂う(と言われることのある)朝日新聞に自然に親近的になるのかもしれない。
 理由が何であれ、高山の上の指摘が事実だとすると恐ろしいことだ。テレビ視聴者・一般国民は、朝日新聞の読者でなくとも、自然に、何となく<朝日新聞的な>意見または感覚をもってしまう可能性が十分にある。
 かつて1993年に非自民の細川護煕連立政権が誕生した後、民間放送連盟の会合でテレビ朝日の報道局長・椿貞良が選挙前に自民党政権存続阻止、反自民連立政権成立>の助けになる報道姿勢をとることで局内を一致させた旨を述べたことが問題になり、国会による椿の証人喚問、郵政省によるテレビ朝日に対する<行政指導>にまで発展したことがあった。
 テレビ朝日(朝日放送)系だけならまだよい。他のキー局まで、何故「朝日新聞」なのか。不思議であり、空恐ろしくもある。
 <インテリ>(これの定義・意味および存否は厳密には問題になる)は朝日新聞を読む、などという迷信?は、とっくに無くなっていると思っていたが…。

0451/小沢一郎はかつて「保守の最も右に位置する立場」に(も?)同調。

 過日、先月の3/03に、高市早苗編・小沢民主党は信用できるか(PHP、2008.03)に収載されている中西輝政「小沢一郎の悲劇」(初出は月刊ヴォイス2007年10月号)に言及したが、何気なくもう一度読んでいると、先月にこの欄には書いていない興味深い指摘がある。他にもあるが、とりあえず、同じ小テーマの一連の文章の中で一気に書かれている、つぎの二点だ。
 第一は、小沢一郎の見解・主張が全く一貫していないことは周知のことだが、その一例で、自由党時代の彼は、月刊・文藝春秋の1999年9月号で、憲法改正国民投票手続法の早期制定を自由党は提案していることを誇らしく書いていた、という。しかるに、まだ記憶に新しいが、昨年(2007年)には小沢一郎代表の民主党は憲法改正国民投票手続法案に反対した。自民党と民主党の両党の議員が積み上げてきた「与野党協議のすべてをひっくり返し」、民主党・枝野幸男をして「責任は安倍首相と小沢代表にある」と言わしめたのだった(p.153。月刊ヴォイス2007年10月号p.54)。
 中西輝政は福田康夫首相への「退場勧告」を月刊正論5月号(産経新聞社)に書いているが、福田首相「退場」後の首相が小沢一郎では、福田よりもはるかに悪い、と思う。もっとも、中西は福田首相「退場」後の具体的展望または具体的予想には立ち入っていないように思える。彼の見込みが民主党に政権を委ねるということであれば、次回衆院選挙で民主党が勝利すればそういうことになるのだろうが、-既述のことだが-まだその期待?(どうせ短期間で倒壊する筈だから?)・予想は早すぎるように思うのだが。
 元に戻って、第二。中西輝政によると、小沢一郎は「保守の最も右に位置する立場の意見に呼応して、いったん日本国憲法の無効を宣言し、そのうえで新しい憲法をつくり直す選択肢もあるとすら述べていた」。(p.153。月刊ヴォイス2007年10月号同上)。
 ここにいう「保守の最も右に位置する立場」とは、日本国憲法無効論を主張する立場を意味していることは明らかで、この日本国憲法無効論については(最近は論及していないが)かつて何回か消極的評価を述べた。
 そして、この「立場」でもって昨年の参院選挙に候補者を立てた政党・政治団体は、維新政党・新風だと思われる。同党のHPでは日本国憲法無効・その旨の国会での宣言を明確には謳っていないが、それらしき(無効論に近い又は矛盾しない)表現をかつて(昨年参院選頃に)確認したことがある。
 要するに、中西は、小沢一郎はかつて「
保守の最も右に位置する立場」に共感するかの如き発言又は文章執筆をしていた旨を書いて、その<無節操ぶり>を指摘しているわけだ。
 ところで、中西輝政の二つの指摘の話題から離れていくが、このイザ!ブログサイトも含めて、昨年参院選の前には、日本国憲法無効論や維新政党・新風を支持するプログが現在よりも多くあり、積極的に書き込みをするブロガー(と言うのだったか?)も多かった印象がある(と同時に、日本共産党支持のブログ・ブロガーも多かった)。
 ブログサイト上では日本国憲法無効論や維新政党・新風の支持者はけっこう多いような印象で、維新政党・新風が参院選挙でどの程度の票を獲得するかは、じつは私の大きな関心の一つだった。
 結果はどうだったか。比例区での「新風」の総獲得票は、田中康夫有田芳生「新党日本」はもとより「女性党」にも天木直人らの「九条ネット」にも負けて、170、515(得票率0.29%。獲得議席0。最高の個人名票は瀬戸弘幸の14、676)。これは、黒川紀章・若尾文子らの「共生」が146、986(得票率0.25%。獲得議席0)だったのにかなり近い。
 ネットあるいはブログ世界上の印象とはケタ外れの少なさだったことが印象に残っている。17万とは全くの微小ではないにしても、投票者330人余のうち1人の支持がある程度の、議員数ゼロでは、現実の政治を動かせない。むろん、日本国憲法無効宣言(決議)を国会が行うこともできない。日本国憲法無効論は理論的には成立し得るかもしれないが、現実の国会議員の中に(おそらく)一人も同論を支持する者がいないとなれば、現実的・政治的には、この「理論」が現実化する可能性はほとんどゼロに近いのではないか(むろん<それでも地球が回っている>と主張することはできる)。
 ブログのアクセス数やランキングは必ずしも閲覧者の「関心」の程度を正確に反映しているわけではない、<政治活動家>による意図的・組織的な(アクセス数等の)操作もあったのではないか、と感じたことだった。
 アクセス数やランキングを気にすることは私はほとんど止めた(矛盾することを書けば、3/15以降の約20日間でアクセス数は2.5万以上増えた…)。
 日本国憲法無効論の「理論」的検討を止めてしまったわけではなく(その必要性の程度を低く感じているのは確かだが)、この論について書き切っていないところもあるので、またいずれ言及することにする。
ギャラリー
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