秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

日本人の起源

2756/読書メモ—2024年7月上旬。

 読書メモ、2024年2月以降の読書の一部。
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 1 高橋祥子・ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるか—生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来(ディスカヴァー21、2017)。
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 2 辻田真佐憲・ふしぎな君が代(幻冬社新書、2015)。
 記憶に頼る。この書によると、歌詞は別として、旋律は明治新政府のもとで作られた。陸軍音楽隊(外国々賓の国歌演奏担当)、文部省、外務省のいずれか(の誰か)が伝統的音階で作曲したものを、日本にいたドイツ人音楽家が「採譜」=楽譜化した(きっと〈十二平均律〉による)。「日本古謡」というのは厳密には正確でない。
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 3 仁藤敦史・女帝の世紀—皇位継承と政争(角川選書、2006)。
 「本書の目的の一つは、明治以来、女帝否認論の主要な根拠とされているこうした『男系主義は日本古来の伝統』あるいは『日本における女帝の即位は特殊』という通説的見解を、古代史の立場から再検討することにある」。
 この書のユニークさは、天智以降の皇位継承について、即位時の宣命の字句をふまえて、<男性天皇の妻=女性天皇の男子への皇位継承>という視点を提示していることだろう。前者には「見なし」又は「擬制」も含まれる。
 以下は秋月において修正を加えたもので、原著どおりではない。*は女性。女性を挟むという点では(現実化しなかったが)、光仁を「入り婿」としての、聖武—井上内親王—他戸皇子もこれに該当する。
 天武—持統*—草壁皇子—元明*—文武—「元正」*—聖武—「光明子」*—「淳仁」—称徳*。
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 つぎはまだ一部のみ。
 4 斎藤成也・日本人の源流—核DNA解析でたどる(河出書房新社、2018)。
 西尾幹二・国民の歴史(1999)の第三章「世界最古の縄文土器文明」の特徴は、単純に<現代日本人の祖先(原日本人)は縄文時代の日本列島人(縄文人)だ>という前提に立つことにある。
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2412/「日本人」の祖先。

 雑多な報道に反応していると、キリがない。しかし、2021年9月18日頃のつぎのニュースは興味深いものがあった。
 日本のいくつかの大学の研究チームが国内発見の人骨12体の「遺伝情報」を解析した結果によると、現代の日本人の祖先には①縄文祖先、②北東アジア(中国東北部)祖先、③東アジア祖先の三種があり、当時の①が「縄文人」だとすると、①と②で「弥生人」が、①・②・③で「古墳時代人」および現代人ができている、という。「縄文人」が渡来人と混血した「弥生人」が現代日本人の祖先だとする従来の有力説と異なる結論らしい。
 いくつかが興味深い。
 第一。従来の有力説によっても、「縄文人」は現代人の直接の祖ではない。「弥生人」が祖なのだとしても、この「弥生人」には、「縄文人」由来の者と北東アジア(中国東北部)由来の者とがいる。
 第二。「古墳時代」とは紀元後3世紀頃から続いた時代だが、その時代に、「弥生人」とは別の、東アジア由来の人々が流入してきて、合わせて「古墳時代人」となり、これが基本的に現在まで続く。
 第三。もともと従来の有力説によっても「縄文人」→現代日本人ではなく「弥生人」→現代日本人なのだが、上によると、「古墳時代人」→現代人(本州)だ。
 これが何を意味するかというと、現代の日本人(のほとんど)の祖先をさかのぼっていくと、「古墳時代人」の由来となっていた①日本列島上の「縄文人」、②「北東アジア」・③「東アジア」の各人々のいずれかにたどりつくのであり(もちろん種々の混血はある)、①「縄文人」だけではない、ということだ。
 第四。読売オンラインは、「縄文人」→「弥生人」→「古墳時代人」→現代日本人という(「直系」と称してよいかどうか)血統にあるのは約15%かそれ以下、という数字を明記している。残余は全て、すでに古墳時代までに「北東アジア」・「東アジア」の人々の血統につながっている。
 ついでに。西尾幹二・国民の歴史(1999年)は、われわれ日本人の祖先は「縄文人」だ、という素朴な理解に立っているように見える。外国?との混血のあった「弥生人」も、日本列島的?純粋性を維持していた、というイメージだろうか。なお、日本列島は1.2〜2万年前に大陸から切り離されてでき、長い「縄文」時代があったのだが、その「縄文人」自体もまた、切り離される前の大陸・半島人と共通の祖先を持っていただろうことは言うまでもない。
 古墳時代よりあと、西暦800年をまたいで生きた桓武天皇の生母は記録上明確に「百済人」、またはより広く「朝鮮半島人」だった、というようなことを書き出すのはやめる。
ギャラリー
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
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  • 2354/音・音楽・音響⑤—ロシアの歌「つる(Zhuravli)」。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
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  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
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  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
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  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
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  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
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  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
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  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
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  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
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  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
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