大和撫吉・日狂組の教室(晋遊舎、2007.06)は簡単に読了。
最後の八木秀次の論稿を読んで改めて感じたのは、教育行政にとっての村山富市社会党首班内閣誕生の犯罪的な役割だ(p.158あたり参照)。
最後の頁に、八木はこう書く。「大学の教育学部は左翼の巣窟でもある」(p.160)。
新潟大学教育人間科学部の世取山某は全くの例外ではないのだ。やれやれ。日本史学(+西洋史学)、政治学、社会学、法学の中のとくに憲法学、経済学の一部、の辺りが「左翼の巣窟」と思っていたが、「教育学」もそうだとは私には盲点?だった。
日教組問題全体についていえば、その運動方針・実際の活動内容等を批判していくことも大切だが、私は日教組(・全教)の教員活動家よりも、日本の教育にとって責任のより重い者たちがいる、と考えている。
それは、戦後、日教組を「理論武装」させ、指導し、唆した、多くは大学に在籍したと思われる、教育学、歴史学、法学、経済学等々の専門をもつ、マルクス主義者たち、又は社会主義者たちだ。
時代によって変わっている筈だが、大内兵衛などは戦後すぐに労働組合運動全体を「指導」したに違いない。
現在でも、日教組系と全教系に分かれているかもしれないが、多くの大学教員又は「知識人」と称される者が教員の「反社会的」あるいは「歪んだ教育」運動を指導し、嗾しているのではないか。
かつては教育問題に限らない講和問題・安保問題で、「平和問題談話会」に集った知識人・文化人たちが大きな役割を果たした。かつてのこの会等のメンバー名をきちんと特定して記録しておきたい、と思っている。
現在についても(再述すれば、日教組系と全教系に分かれているかもしれないが)、個々の組合員又は指導部よりも実質的責任は大きいとも言える「学者」たちの氏名リストを何とか作れないものかと考えている。
5/10発売の週刊新潮5/17号の高山正之のコラムのタイトルは「学者か」だ。慰安婦問題のデタラメ証言を「信じるのは学者だけだろう」で終わっているのだが、日本を悪くしてきているのは、かなりの部分、大学の「学者」様ではないか。肩書などに欺されてはいけない。
新潟大学
「 第8章 地方自治
第91条の2(地方自治の本旨)
① 地方自治は、住民の参画を基本とし、住民に身近な行政を自主的、自立的かつ総合的に実施することを旨として行う。
② 住民は、その属する地方自治体の役務の提供をひとしく受ける権利を有し、その負担を公正に分任する義務を負う。
第91条の3(地方自治体の種類等)
① 地方自治体は、基礎地方自治体及びこれを包括し、補完する広域地方自治体とする。
② 地方自治体の組織及び運営に関する基本的事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律で定める。
第92条(国及び地方自治体の相互の協力)
国及び地方自治体は、地方自治の本旨に基づき、適切な役割分担を踏まえて、相互に協力しなければならない。
第93条(地方自治体の機関及び直接選挙)
① 地方自治体には、法律の定めるところにより、条例その他重要事項を議決する機関として、議会を設置する。
② 地方自治体の長、議会の議員及び法律の定めるその他の公務員は、当該地方自治体の住民が、直接選挙する。
第94条(地方自治体の権能)
地方自治体は、その事務を処理する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。
第94条の2(地方自治体の財務及び国の財政措置)
① 地方自治体の経費は、その分担する役割及び責任に応じ、条例の定めるところにより課する地方税のほか、当該地方自治体が自主的に使途を定めることができる財産をもってその財源に充てることを基本とする。
② 国は、地方自治の本旨及び前項の趣旨に基づき、地方自治体の行うべき役務の提供が確保されるよう、法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講ずる。
③ 第83条第2項の規定は、地方自治について準用する。」
長く引用したが、これは自民党新憲法草案の<地方自治>に関する章(第八章は現行と同じ、95条は削除。枝番号付きの条項は新設)だ。これらに関するコメント・感想を述べたいのではない。
この案を見て、市販の本の中で次のように語っている大学教員がいるのだ。
「草案の『地方自治』に関する条文から読み取れるのは『教育の財政責任はすべて地方自治体にある』ということ。…地域による教育格差が広がることは否めません」。
上の草案条項のどこから、かかることが「読み取れる」のだろうか。「教育」経費につき第94条の2①(第一項)のみを見て、②(第二項)「国は、…法律の定めるところにより、必要な財政上の措置を講ずる」等の他の条項は全く見ていないことは明らかだ。
悪意を持って見れば、ふつうの?花も毒と棘を持っているように「歪んで」見えてしまう好例だ。日本語文の悪しき(全体を見ない)読み方の典型なので、学校の国語の時間や文章読解の時間に(あるいは大学・教育学部の「国語」に関する科目の時間に)「悪い実例」として利用すればいいのではないだろうか。
上のように「読み取れる」としたのは、前回言及の、新潟大学・世取山洋介。別冊宝島1421の日本国憲法特集p.106にちゃんと載っている。
ついでにこの本(ムック)のさらに若干のものを見てみたのだが、後藤武士「日本一人権を制限されている人」(p.100-)は、天皇陛下にはほとんどの人権が認められていないことを気の毒がっており、じつは天皇制度を無くしたらどうかと示唆していると「読める」<気味の悪い>一文。憲法学者のようである日笠完治による「Q&A入門・日本国憲法」は、10年前でもありそうな、護憲派による陳腐な憲法の説明だった。
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