週刊新潮の8/02号(7/26発売)の連載コラムで櫻井よしこは「参院選の争点は年金だけではない」、「憲法改正や教育改革の是非、中国やロシアの脅威にどう対処すべきか、日本の安全はどう担保すべきか」等の「もっと大事な争点を忘れてはならない」と、至極まっとうなことを(殆どいつもだが)書いていた。
週刊新潮8/09号では彼女は、なかなか興味深い選挙結果分析をしている。ほぼ以下のとおり。
自民党の得票は比例区で今回1650万だったが、前回(2004)の1680万とほとんど同じで25万減にとどまる(秋月が口を挟めば、この減少と投票率2%アップ分が民主党に流れたということになろう)。
1995年には(同じく比例区)1110万で2001年には2110万にほぼ倍増した。だが上記のように2004年には1680万に減った。この変化は、1995年には「社さ」と連立していたこと、2001年には小泉首相が8/15靖国参拝を公約していたこと、2004年はこの公約が果たされていなかったことと北朝鮮外交で強硬な姿勢をとらなかったこと、に原因がある。つまり、「自民党は左に傾いたとき、支持を失う」。
ただし、2005年総選挙で小泉自民党は大勝利した。これも含めて考えると、自民党の「選挙での勝利は、保守層の支持をしっかりと受けたか、またはとてつもない”風”を起こしたか」(又は起こされたか)の2つの要因によって左右されている。
以上だが、今回の参院選は「風」で負けたものの、今後の趨勢を予兆するものでは全くないし、上を読むと-自民党支持者の1/4~1/5が民主党等に流れたとの報道もあるが-本来の自民党支持層の中核部分はきちんとまだ残っている(前回より25万減にすぎない)こと、1人区での6対23という大敗等によって議席数だけからいうと大きく凋落はしたが、得票数からすると決して激減しているわけではないこと、が分かるように感じる。
従って、安倍首相は大きく落胆する必要はない。逆風が民主党に対して吹くこともありうる。
櫻井よしこは上の8/09号で言う。-「続投を宣言した安倍首相は、自身の政治生命を賭けて、今度こそ安倍氏本来の政策を打ち出していくのがよい。安倍路線は真っ当であり、間違っていない」。
彼女が言及している政界再編の問題にはここではもう触れないが、上の言葉は全くそのとおりだ。
安倍晋三首相、難局であるのにまことに<ご苦労さま>。頑張ってほしい。
教育改革
小沢一郎という人は、1.十数年前の考え方を今はすっかり変えてしまったか、2.変えてはおらず現在はウソをついているか、のいずれかだろう。
小沢一郎・日本改造計画(講談社、1993)とは、大きな古書店には4、5冊も並んでいる、小沢が自民党を脱党した頃に出した本だ。この本には、大嶽秀夫の本を紹介する中でも言及し、大嶽のおおよその理解も紹介した(7/17)。
この本のp.252にはこんな文がある。
「民主主義の前提が日本人に欠けたまま…実際には民主主義が根づかないまま現在に至っている。…/民主主義の土壌をつくるはずの戦後教育も、その使命とは裏腹な方向に進んできたのではないだろうか。自己の確立どころか、非行・犯罪の増加、学校と家庭での暴力、麻薬やエイズの拡大など、青少年の自己の崩壊さえうかがわせる問題が深刻化しているのが現状である。教育がこうした荒廃状況と無関係であるとは、誰も断言できまい。/…教育改革を断行しなければならない」。
第一に、こう書いたこの人が現在率いる政党は、なぜ自民党の教育基本法改正案に反対投票したのか。なぜ教育再生関係三(四)法案に反対したのか。
考え方が変わっていないとすれば、自民党に同調だけはしないという<党利党略>のために反対したのだ。理念と行動が一致しないこの人物を私は全く信用していない。
ついでに第二に、上では日本の「民主主義」の未成熟さを嘆いているが、カネにかかわる、<大衆(衆愚)>に解りやすい問題を選挙の争点化し、<生活が第一>などという<大衆(衆愚)>の心に一番響きそうなキャッチフレーズを採用したのはいったい誰なのか。
この小沢という人物は、日本人の<弱点>あるいは<大衆民主主義>=<衆愚政治>の問題点を熟知しつつ、あえて、その弱点を衝いた問題を争点とし、最も<大衆(衆愚)>受けしそうなスローガンを掲げているのだ。
彼の少なくともかつての考え方が<生活が第一>などと要約できるものでないことは、別の機会に書くだろう。
小沢という人物は、本気・本意を胸の裡に隠した<策士>だ。さすがに<選挙上手>と言われるだけのことはある。
すでに読んだ大嶽の本に依れば、小沢一郎とは、かつては、地域・地元利益(自民党)、職業(=公務員・組織労働者)利益(社会党)という<集票構造>を壊そうとした人物ではなかったか。
それが今はどうだ。街頭にあまり立たず、労働組合の本部や農業団体の事務所をこまめに回って地域・地元利益も職業(=公務員・組織労働者)利益も代表しようとしている。
この人物を私は全く信用しない。この人の言葉と本音はおそらく全く違う。<政略家>に騙されてはならないだろう。こんな<政略家>が率いる政党を支持し勝利させることは、日本に歴史的な禍根を遺すだろう。
小沢一郎・日本改造計画(講談社、1993)とは、大きな古書店には4、5冊も並んでいる、小沢が自民党を脱党した頃に出した本だ。この本には、大嶽秀夫の本を紹介する中でも言及し、大嶽のおおよその理解も紹介した(7/17)。
この本のp.252にはこんな文がある。
「民主主義の前提が日本人に欠けたまま…実際には民主主義が根づかないまま現在に至っている。…/民主主義の土壌をつくるはずの戦後教育も、その使命とは裏腹な方向に進んできたのではないだろうか。自己の確立どころか、非行・犯罪の増加、学校と家庭での暴力、麻薬やエイズの拡大など、青少年の自己の崩壊さえうかがわせる問題が深刻化しているのが現状である。教育がこうした荒廃状況と無関係であるとは、誰も断言できまい。/…教育改革を断行しなければならない」。
第一に、こう書いたこの人が現在率いる政党は、なぜ自民党の教育基本法改正案に反対投票したのか。なぜ教育再生関係三(四)法案に反対したのか。
考え方が変わっていないとすれば、自民党に同調だけはしないという<党利党略>のために反対したのだ。理念と行動が一致しないこの人物を私は全く信用していない。
ついでに第二に、上では日本の「民主主義」の未成熟さを嘆いているが、カネにかかわる、<大衆(衆愚)>に解りやすい問題を選挙の争点化し、<生活が第一>などという<大衆(衆愚)>の心に一番響きそうなキャッチフレーズを採用したのはいったい誰なのか。
この小沢という人物は、日本人の<弱点>あるいは<大衆民主主義>=<衆愚政治>の問題点を熟知しつつ、あえて、その弱点を衝いた問題を争点とし、最も<大衆(衆愚)>受けしそうなスローガンを掲げているのだ。
彼の少なくともかつての考え方が<生活が第一>などと要約できるものでないことは、別の機会に書くだろう。
小沢という人物は、本気・本意を胸の裡に隠した<策士>だ。さすがに<選挙上手>と言われるだけのことはある。
すでに読んだ大嶽の本に依れば、小沢一郎とは、かつては、地域・地元利益(自民党)、職業(=公務員・組織労働者)利益(社会党)という<集票構造>を壊そうとした人物ではなかったか。
それが今はどうだ。街頭にあまり立たず、労働組合の本部や農業団体の事務所をこまめに回って地域・地元利益も職業(=公務員・組織労働者)利益も代表しようとしている。
この人物を私は全く信用しない。この人の言葉と本音はおそらく全く違う。<政略家>に騙されてはならないだろう。こんな<政略家>が率いる政党を支持し勝利させることは、日本に歴史的な禍根を遺すだろう。
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