(つづき)
五 思想の(専門的)研究者と「思想家」は同義ではない。
外国「思想」をあれこれと紹介し、論じている諸著者に、<あなた自身の「思想」はどうなのか、披瀝してほしい>と感じるときもあるのだが、ともあれ、思想研究者と思想家は異なる。
上のオビで西尾幹二が「真の保守思想家」とされていることを思い出したが、西尾幹二自身が、一定の「思想」の専門家ではなく、自分自身が「思想家」だと明言したことがある。
大笑いだ。西尾幹二の「思想」とは何なのか。西尾幹二を現在日本にいる「思想家」の一人だと思っている日本人は何人いるだろうか(外国にはきっといないだろう)。
<文春オンライン>2019年1月26日付のインタビュー記事で、西尾はこう語っている。発言内容と言葉は正確なものであるとする。
2006-7年の「つくる会」<分裂騒動>に話題が移って、西尾はこう発言した。
「日本会議の事務総長をしていた椛島(有三)さんとは何度か会ったこともあり、理解者でもあった。だから、この紛争が起きてすぐに私が椛島さんのところへ行って握手をして、『つくる会』事務局長更迭を撤回していれば、問題は回避できたかもしれない。それをしなかったのはもちろん私の失敗ですよ。」
「しかしですね、私は『つくる会』に対して”日本人に誇りを”や“自虐史観に打ち勝つ”だけが目的の組織ではないという思い、もっと大きな課題、『日本から見た世界史の中におかれた日本史』の記述を目指し、明治以来の日本史の革新を目ざす思想家としての思いがある。だから、ずるく立ち回って妥協することができなかった。」
すでにこの欄で言及したことがあるので、驚かされる部分を含む内容には立ち入らない。
ここで重要なのは、「明治以来の日本史の革新を目ざす思想家としての思い」があるから、某と妥協できなかった、と明言していることだ。
「明治以来の日本史の革新を目ざす」とは、質問者が「つくる会」会長だったことを主たる理由としてインタヴューを申し込んだらしいことによるだろう。
重要なのは、西尾幹二は(少なくとも上の当時の2019年)、自分を「思想家」だとと自認した、ということだ。
もう一度書く。大笑いだ。西尾幹二「思想」とは何なのか。西尾幹二を現在日本にいる「思想家」の一人だと思っている日本人は何人いるだろうか。
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六 関心は、さらには、つぎの二つに絞られる。
第一。西尾幹二という人物の「人格」、「神経」。
第二。西尾幹二に執筆依頼等をし、まとめた著書を出版までする、日本の一部の出版・雑誌「産業」の頽廃。
あるいは二つをまとめて、こういう人物、出版「業界」を生み出した、<戦後日本>というものの「影」の姿。
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五 思想の(専門的)研究者と「思想家」は同義ではない。
外国「思想」をあれこれと紹介し、論じている諸著者に、<あなた自身の「思想」はどうなのか、披瀝してほしい>と感じるときもあるのだが、ともあれ、思想研究者と思想家は異なる。
上のオビで西尾幹二が「真の保守思想家」とされていることを思い出したが、西尾幹二自身が、一定の「思想」の専門家ではなく、自分自身が「思想家」だと明言したことがある。
大笑いだ。西尾幹二の「思想」とは何なのか。西尾幹二を現在日本にいる「思想家」の一人だと思っている日本人は何人いるだろうか(外国にはきっといないだろう)。
<文春オンライン>2019年1月26日付のインタビュー記事で、西尾はこう語っている。発言内容と言葉は正確なものであるとする。
2006-7年の「つくる会」<分裂騒動>に話題が移って、西尾はこう発言した。
「日本会議の事務総長をしていた椛島(有三)さんとは何度か会ったこともあり、理解者でもあった。だから、この紛争が起きてすぐに私が椛島さんのところへ行って握手をして、『つくる会』事務局長更迭を撤回していれば、問題は回避できたかもしれない。それをしなかったのはもちろん私の失敗ですよ。」
「しかしですね、私は『つくる会』に対して”日本人に誇りを”や“自虐史観に打ち勝つ”だけが目的の組織ではないという思い、もっと大きな課題、『日本から見た世界史の中におかれた日本史』の記述を目指し、明治以来の日本史の革新を目ざす思想家としての思いがある。だから、ずるく立ち回って妥協することができなかった。」
すでにこの欄で言及したことがあるので、驚かされる部分を含む内容には立ち入らない。
ここで重要なのは、「明治以来の日本史の革新を目ざす思想家としての思い」があるから、某と妥協できなかった、と明言していることだ。
「明治以来の日本史の革新を目ざす」とは、質問者が「つくる会」会長だったことを主たる理由としてインタヴューを申し込んだらしいことによるだろう。
重要なのは、西尾幹二は(少なくとも上の当時の2019年)、自分を「思想家」だとと自認した、ということだ。
もう一度書く。大笑いだ。西尾幹二「思想」とは何なのか。西尾幹二を現在日本にいる「思想家」の一人だと思っている日本人は何人いるだろうか。
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六 関心は、さらには、つぎの二つに絞られる。
第一。西尾幹二という人物の「人格」、「神経」。
第二。西尾幹二に執筆依頼等をし、まとめた著書を出版までする、日本の一部の出版・雑誌「産業」の頽廃。
あるいは二つをまとめて、こういう人物、出版「業界」を生み出した、<戦後日本>というものの「影」の姿。
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