秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

心筋梗塞

2028/鈴木光司・リング/らせん(角川,1991・1995年)。

 精神と物質、意識と「現実」あるいは<こころ>と肉体・身体の区別や差違について、考える。
 我々の<こころ>以外の<身体>全体を<精神>だとはふつうは考えないだろうが、しかし、身体全体が<神経>だ、と答える人はいるかもしれない。では、<神経>は精神と同じ意味で、物質ではないのか?
 道徳、倫理、規範は(ほとんど精神と同一の意味で用いると)、全て「意識」だ。
 法規範もまた「意識」であって、物質ではない。
 人文社会科学、さらには自然科学の所産としての著書・論文等々も、「現実」とのかかわり方の程度・態様が異なるが、「精神」・「意識」の世界に入る。「知」的営為だ。「学問」とも言われるようだ。もとより、「知」的営為はアカデミズム界(学界)が独占するものではなく、私もまた「知」的営為を行う。
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 精神というと精神異常とか、精神障害という語を連想する。
 しかし、「おばけ」、「化け物(ばけもの)」の話をしても精神異常を通常は、又はただちには、疑われないだろう。
 「心霊」現象とか「超常」現象とか言われるものもある。
 <耳なし芳一>や<牡丹灯籠>の話には仏教が不可欠だし、京都・貴船神社には<亥の刻参り>とやらの話が残っているらしい。
 だが、つぎの小説・物語は、<宗教>とは関係がないようだ。但し、「神」なるものには言及があったかもしれない。
 鈴木光司・リング(角川書店・1991年/角川ホラー文庫・1993年)。
 鈴木光司・らせん(角川書店・1995年/角川ホラー文庫・1997年)。
 むかしにたぶん読んで、日米の映画も視たような気がする(ナオミ・ワッツは容貌とその名からして半分は日本人だと勘違いした)。あらためてきちんと読むと、ストーリーや「理屈」がよく分かる。
 これらは、映像上の<サダコ>に注意を奪われなければ、「ホラー」小説よりも「オカルト」小説だ。いや「オカルト」小説でもなく、むしろ<科学小説>または<反科学小説>だ。また、SFはサイエンス・フィクションのことだから十分に「科学小説」=「SF小説」と言えるかもしれない。
 小説・物語としては成り立っているが、また専門的知識と筆力で成り立たせてはいるが、「現実」には、または「科学」上は成立し得ないだろうと「文科」系人間でも感じる、物語上の骨格点は、つぎにあるだろう(第三著の<ループ>には立ち入らない)。
 第一に、特定の人間(山村貞子)は死の瞬間または直前に抱いた現世または人間に対する強い「怨み」を、死亡場所(井戸)の真上または直近にあるビデオテープ(VHS)に直接に<念写>することができる。
 こういうことが可能であるならにば、死の瞬間または直前の「視覚」の記憶は、死後もその脳細胞(視覚神経を通じた記憶細胞)の中に(ある程度の期間は)生きて残せるのではないか。
 そうすると、例えば自分を殺そうとして前に立っている人間の映像記録も「網膜」を通じて脳内に残り、死後に脳細胞を「視る」ことで、容易に殺人者が判明し、容易に逮捕されるのではないか?
 そうしたたんなる感覚的「記憶」ではなく<怨念>がビデオテープの情報を変えてしまえる、というのだから上の小説は非現実的だ。しかし、種々の叙述を織り交ぜて、そういうこともあるのかな、くらいには作者は誘導することに成功しているかもしれない。
 何しろ、「お化け」なるものはいないと分かっていても、人間の中には(日本人の中には?)<お化け屋敷>に入って(かつ実際に驚きかつ恐くなって)しまう人々がいるのだから。
 第二に、強い<怨念>によって<念写>された映像を見てしまった者の身体には、<リング・ウィルス>が潜在的に発生する。
 死者は「天然痘」に感染していたので、「天然痘ウィルス」の一種または類似物だとされる。
 正確にはこうも書かれる。映像を視て「ある心の状態が出来上がり、その影響によって、既に存在する体内のDNAが変貌を遂げ、天然痘ウィルスに酷似した未知のウイルスが発生する」。
 人間の身体には、ある病気をもつ特定の人が映像化した物をみてしまうと、それが第一点にいう「念写」ではなくとも、その病原菌(ウィルス)が宿るのか?
 そうだとすると、病気による、または病気をもって死んだ者が少なくとも死の直前に執筆した、またはビデオに撮った文章・紙やビデオ・テープはすぐさま廃棄しなければならない。
 万が一 「怨念」をもつ死者の「念写」が可能であったとしても、「現実」には、または科学的には、そういうことはあり得ないだろう。
 しかし、不思議なこと、奇妙なこと、類書に書かれていないことは、人間の関心・興味を惹き付けることがある。
 その時点で、そういうこともあるのかもしれないかな、くらいには、作者は誘導することに成功しているかもしれない。
 読者または映画鑑賞者は「真実」を求めているのではなく、「刺激」あるいは「娯楽」を求めているのだ。
 第三に、一定のことをしないかぎり、<リング・ウィルス>に感染した者は発症して、(もともとは一週間後に)死ぬ。より正確には、上に引用部分の続きはこうだ。
 発生した「擬似天然痘とも呼べるウィルスは、人間の心臓を取り巻く冠動脈の内部を癌化させ、肉腫を作り上げる」。この肉腫は「ちょうど一週間で」「最大になり、血液の流れを遮断された心臓は動きを止めることになる」。
 (登場人物・高野舞の場合は少し異なるが、省略する。)
 よく知らないが、最終的には(ほとんど)みな結局は「心不全」で死ぬので、「変死」とか「事件」性のない自然死の場合は、「心不全」の原因になったのは冠動脈か(心筋梗塞等か)それとも脳内動脈か(脳梗塞等か)等々を<解剖>して突き止める、ということはしない、と聞いたことがある。
 冠動脈の一部に出来た「腫瘍」による急性心筋梗塞だったか否かは、そもそもは分からないのだ。きっと。それは、おそらく、死んでしまい、血流も滞ってしまった時点では、心臓付近や脳内を「解剖」しても、直接の原因を見出すことはできないことによるのだと思われる。
 このことは、「犯罪」に使える、とかねてより思ってきた(実行するつもりはない推理小説作成次元の「お話」だ。また、間違っている可能性もある)。つまり、「神経」等々に過大なストレスを与え続けて、いつか対象者を心筋梗塞または脳梗塞等で「殺す」ことは、成就の時期を確定することはできないが、将来的な漠とした「見込み」としては可能なのではないか。そして、かねてより血圧等々に問題があったということであれば、かつ年齢もある程度上であれば、脳梗塞または心筋梗塞による「心不全」による死も、(突然ではあっても)自然死と理解されて、「殺人」が疑われることはない。
 こんな関連することも思い浮かべるが、ともあれ、「リングウイルス」なるものが冠動脈癌化→死をもたらす、というのは、もちろん、科学・「医学」の裏付けが全くない(と思われる)捏造話だ。
 それでもしかし、そのようにストーリーの「論理」を解き明かされて?、そんなこともあるのかな?と感じてしまうのが、人間の身体、心臓、冠動脈等に詳しくない読者の多くだったかもしれない。
 第四は、上に「一定のことをしないかぎり」と書いたことだ。つまり、「リング・ウイルス」は(ウィルスは生物に取り憑いてしか存続できないらしいのだが)<(自己)増殖>を求める。従って、たんにビデオテープをダビングするだけではなくて、それが第三者多数に「視られる」ことをその本性上要求している。
 よって、ビデオテープをダビングして第三者に見せた者や、登場人物・浅川のように映像をそのまま「文章」化して多数の読者に読ませた者は、潜在的なウィルス保有者であっても、発症・死亡はしない。
 これまた、一般論としての<ウイルスの増殖>という点を除けば、第一~第三を前提にしたことなので、現実性があるわけではない。
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 この小説・物語に関心をもつのは、「怨念」という「意識」が「現実」を変える、ということから出発していることだ。
 この小説・物語のように強い「怨念」が一定の映像(・記憶)をテープに「念写」するというのではなくしても、しかし、怨念(「恨」?)あるいは「ルサンティマン(ressentiment)」が、広くは「強い狂熱的感情」が一定の社会階層・集団に蓄積されると、(以下が重要なポイントだが)その発生に「正当な」事由があるか否かとは関係なく、「現実」に影響を与えてしまう、ということはあり得るし、現にあった。
 その例を記し出すとキリがない。また、それは、「意識」(怨念も入る)と「現実」、「脳細胞」と「こころ」といった問題の関心からすると、生々しく、具体的すぎるようだ。

0840/有権者と朝日新聞が中川昭一を「殺し」、石川知裕を…。

 中川昭一の死の報に接して書きたいことがあったが、気が重く、書き込めなかった。
 中川は1983~2009年の間、国会(衆議院)議員だった。25年以上も議員として務めてきて、内閣や党内での要職を占めたこともあったのだから、2009年8月衆議院選挙での落選はショックであったに違いない。
 そして、落選していなければ、つまり当選(比例復活であっても)していれば、まだ存命だったのではないか。
 中川は自分は有権者(選挙区民)に必要とされなった(否定された)、との感慨・コメント
を述べたと伝えられる。その結果としての落選の衝撃と失意は、9月に入って議員でない生活を続けている間に、じわじわと精神的にも肉体的にも彼を苦しめただろう。そしてまた、昨年冬の所謂<もうろう会見>が自民党の敗北の原因の一端にはなっただろうと意識もしただろうから、<責任>を感じてもいたに違いない。
 精神・神経の疲労(大雑把にいってストレス)が心筋梗塞等々につながって肉体的な死の原因の一つになることはよく知られていることだ。
 中川昭一は落選したからこそ死んでしまった、と考えている。
 なぜ落選したのか。北海道11区の有権者が対立候補よりも彼に相対的多数票を与えなかったことにある。そしてまた、そのような有権者の投票行動の大きな背景が<反自民・政権交代>ムードを徹底的に盛り上げた朝日新聞や朝日新聞的なテレビ等のマスメディアにあることも間違いない。
 北海道11区・十勝の有権者が、ひいてはマスメディアが、中川昭一を死に至らしめたのだ。むろん刑法上の罪は問えないが、有権者と朝日新聞等が彼を<殺した>のだ。そう思っている。
 朝日系かTBS系か忘れたが(日テレ・フジ系ではなかったと思う)、中川昭一の死を報道するに際して、再びあの<もうろう会見>の映像を流し(泥酔が原因ではなかったともされる)、<死者にムチ打つようですが、あれはやっぱりみっともなかったですね>と(たしか女性の)キャスターに言わせたテレビ局があった。
 このようなマスディアの(特定の政治家に対する)意図的・政治的な冷酷さこそが、中川を苦しめ、死に至らしめたのだ(他にも自殺等々の原因がマスメディアにあると考えられる場合があるが、こでは触れない)。
 加えて、鈴木宗男の名も挙げておく必要があるだろう。鈴木はかつての師の子息である中川昭一の属する党・自民党ではなく民主党と共闘し、北海道でも中川の対立候補を応援した。比例復活ならずの原因も含めて、中川の落選(そして死)の原因の一つは鈴木宗男の判断・行動にもある。
 北海道11区・十勝の有権者は思い知るべきだ。むろんまだ有罪と確定したわけではないが、1月15日に逮捕されたのは、北海道11区で中川昭一に勝って当選した民主党の石川知裕(小沢一郎の元秘書)だ。
 なぜ中川を当選させなかったのか。ぎりぎりでも当選していて国会議員であり続けていけば、おそらく彼はまだ生きている(それだけ落選の精神的衝撃は深刻だったと言うべきだ)。
 悔やんでも仕方がないことではある。マスメディアを批判してもここでの一文は何の意味もないだろう。だが、せめて、北海道11区・十勝の有権者には、(マスコミの造りだしたムードに乗っかって)中川を落選させてよかったのか、石川知裕を当選させてよかったのか、と少しは疑問をもってほしいものだ。
 相当に遅れた記述になる。痛憤の思いは書き尽くせない。よりにもよって中川昭一を殺さなくてもよいではないか…、<神・運命>が存在するとすれば、いったい何のつもりか…。
 

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