広島市長・秋葉忠利による田母神俊雄らに対する講演(会)の日程変更「要請」は、重大な憲法問題を孕む。
私人の表現(・集会)の自由に対する、<権力>による事前関与であり、朝日新聞も高嶋伸欣も断乎として批判すべきものだ。かつて櫻井よしこを講師とすることを民間団体が「左翼」の圧力に屈して取り止めたのとは次元が異なる、由々しき事態だ。
表現(・集会)の自由が、その予定日が何かによって制限されることはありえず、<原爆死没者慰霊のため>などという目的のために引っ込まなければならないはずはない。
もともと田母神俊雄の講演が戦没者慰霊の趣旨に反するとは思えない、という大問題があるが、かりにそれを別に措くとしても。
田母神俊雄の講演会が広島市立の施設(市民会館等)で行われる予定で、会場の使用許可権者が広島市長だったとしても、使用許可権者・広島市長が講演会(・集会)の目的・演題等を勘案して使用を許可しないことは、憲法や地方自治法に違反し、違憲・違法になる。不許可という公式の権力行使ではなく、「要請」という柔らかいかたちであっても、権力主体である広島市長の行為に他ならず、憲法・地方自治法の趣旨による制限を受ける。
建国記念日(2/11)の<「反」建国記念日>の集会につき、内閣総理大臣は<自粛>・<日程変更>を、祝日設定の趣旨を根拠に<要請>できるのか? そんなことをすれば、建国記念日に反対の「左翼」は大騒ぎするだろう。
新天皇による大嘗祭挙行の日に行われる国又は自治体の施設を使っての「大嘗祭反対」の集会につき、内閣総理大臣(・関係大臣)又は自治体の長は、大嘗祭挙行の日であることを根拠として使用を不許可にできるのか、あるいは<自粛>・<日程変更>を<要請>できるのか? そんなことをすれば、天皇制度反対の「左翼」は大騒ぎするだろう。
同じことが広島市で起きている。
何となく感じられている以上に、重大な問題を含む。広島市長・秋葉忠利の行為は徹底的に糾弾されるべきだ。秋葉忠利は要請を取消し又は撤回し、田母神俊雄らに公式に謝罪すべきだ。
広島市
一 ネット上の朝日新聞系ニュース(6/29午後10時37分)によると、田母神俊雄の講演会が8/06に予定されていることに対し、元社民党国会議員の広島市長・秋葉忠利は、日程を変更するよう田母神俊雄と主催者・「日本会議広島」に申し入れたという。
秋葉の文書は、「8月6日は原爆死没者の霊を慰め、世界の恒久平和を祈念するかけがえのない日。多くの広島市民の心情にご配慮を」と求めた、という。
何を狂っているのか。田母神俊雄の講演がなぜ、「原爆死没者の霊を慰め」たり、「世界の恒久平和を祈念」することに反することになるのか。寝言は寝てから言ってほしい。
それに朝日新聞系ニュースのつぎの言葉もひどい。
「田母神氏は、政府見解に反し、日本の侵略行為や植民地支配を肯定する論文を発表したとして昨年10月末に航空幕僚長を更迭された」。
更迭された事実の指摘はよいとしても、田母神は「日本の侵略行為や植民地支配を肯定する」論文を発表したのか? ここに朝日新聞系らしいデマゴギーがある。
上の文章に近づければ、正しくは、日本は「侵略」をしなかった、悪しき「植民地支配」をしなかった、という旨の短い論文だっただろう。
上の旨と、「日本の侵略行為や植民地支配を肯定する」とでは大違いだ。批判又は否定しやすいように対象を歪曲しておいて、批判・否定が当然のごとき印象を与える。これは、朝日新聞ら「左翼」や日本共産党員らマルクス主義者がいろんな問題・論点で行っていることだ。
二 追記-産経新聞系ニュースを見てみると、田母神の演題は「ヒロシマの平和を疑う~田母神俊雄氏が語る、広島発真の平和メッセージ」で、主催者は「日本が唯一の被爆国でなく、共産圏の核に日本の反核団体が寛容であることへの疑問を踏まえ、いかに核の惨禍を回避するか」という問題意識から企画した、という。
秋葉市長の文書の中には、田母神俊雄の講演は「被爆者や遺族の悲しみを増す結果となりかねない」との旨がある、という。
広島市長に、講演(会)が「被爆者や遺族の悲しみを増す結果となりかねない」とか、<原爆の日>の「趣旨に反する」とかと事前に判断する、いかなる権限もない。
むろんあくまで<要望>なので、法的拘束力はない。しかし、法的拘束力がなければ何を<要望>してもよい、ということにはならない。事前にかかる<要望>(警告?)を受けたことについて、田母神俊雄らには精神的苦痛について損害賠償を請求することができ、そのような形で市長の事前<関与>を法的に問題にすることもできる。
自分(たち)の<思想>に都合の悪そうな<表現の自由>の行使を、このように事前に(相手方の了解という形をとって)封殺しようとする。さすがに「左翼」・社民党の元活動家のやりそうなことだ。
「左翼」あるいは日本共産党は全体主義に親近的だ。彼らは<表現>や<集会>の目的・内容いかんによって、擁護か抑圧かを決める。その結果はむろん、<全体>=ときどきの主流体制(「思想」・「思潮」界を含む)にとって都合のよい(少なくとも矛盾しない)<表現>や<集会>しか行われなくなる、ということだ。だからこそ、<全体主義>と称しうる。
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