染色体の数が(23対)46本というのは、人体全体にある染色体数ではなく、一つの細胞内の数だとは、何となく分かっているような気がする。
 だが、遺伝子の数や塩基対の数(2本の「柱」に付く「塩基」の数の半分)となると、こうした分野についての素人には、いったいどの範囲の中の数かが怪しくなることがある。
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 ヒトがもつ遺伝子の数について、確定的で厳密な数値を示している書物等はない。
 だが、20,000と30,000の間の数値であることに一致はある、と思われる。
 若干の例を示す。
 本庶佑・ゲノムが語る生命像(2013)—約2万〜3万。
 島田祥輔・遺伝子「超」入門(2015)—約22,000。
 小林武彦・DNAの98%は謎(2017)—約22,000。
 太田邦史・エピゲノムと生命(2014)—約21,000。
 黒田裕樹・休み時間の分子生物学(2020)—約21,000。
 S.ムカジー・遺伝子(2021)—約21,000〜23,000。
 NHK取材班・シリーズ人体·遺伝子(2019)—約20,000。
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 細かな数値に拘泥する意味は全くない。
 細胞分裂が始まると遺伝子群が46本の染色体の中に分かれて「くるまれ」る、きれいに46(または23)等分化されるのではない、という知識からすると、これらの遺伝子数は、一つの細胞中にある遺伝子の数だ、ということを確認するしておくことが重要だ(秋月にとっては)。
 したがって、一人の人体全体の中には、<上の遺伝子数×細胞数>の遺伝子があることになる。
 但し、全ての(特定のアミノ酸生成を指示する)遺伝子が「発現」したり、「利用」されたりするのでは全くない。
 もう一つ、確認しておくべきなのは、つぎだ。
 遺伝子数は、ヒト・人間の全てで同じではなく、個体によって異なる。「約」22,000、「約」21,000 等だ。
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 遺伝子数のほかに、「塩基対」数も記述ないし紹介されていることがある。
 いちいちの文献を挙げないが、ほとんどがつぎの数字だ。
 30億、または32億
 「億」という数字になると一瞬は迷うが、これまた、一人の人体全体ではなく、一つの「細胞」内の塩基対の数だろう。
 〈ヒトゲノム)内にあるとされる諸数値もまた、一つの「細胞」についてのものだろう。
 したがって、「ヒトゲノム」は30億-32億の「塩基対」で構成され、その中に2万-3万(2万-2万2000)の「遺伝子」がある、ということになる。
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