秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

国歌

1007/朝日新聞6/08付社説のいいかげんさ。

 朝日新聞6/08付社説は、大阪府の日の丸・君が代起立斉唱条例の成立に関連させて、次のように締めくくる。
 「橋下知事は、自ら設立した政党で議会の過半数を押さえ、首長と第1党が一体となって物事を決めていこうとしている。/だが多数派の首長政党が少数意見に耳を貸さなければ、議会は形骸化する。/多数決主義は民主主義の基本である。一方で、多数を握る側が少数派の声をくみあげ、多くの人が納得できる結論に収斂させていく作業を怠れば、議会制民主主義は成り立たない」。
 「議会制民主主義」のはずの国政については、朝日新聞はこう主張すべきであることになろう。
 <菅直人首相は、自ら設立した政党で議会(衆議院)の過半数を押さえ、首相と第1党が一体となって物事を決めていこうとしている。/だが多数派の民主党が少数意見に耳を貸さなければ、議会は形骸化する。/多数決主義は民主主義の基本である。一方で、多数を握る側が少数派の声をくみあげ、多くの人が納得できる結論に収斂させていく作業を怠れば、議会制民主主義は成り立たない。>
 このような主張を、朝日新聞は国政について行なってきたか?
 相変わらず嗤わせる。
 なお、朝日の上の社説は「地方自治は、予算案の提出や執行権をもつ首長と、チェック機能や議決権をもつ議会がそれぞれの立場で責任を果たす二元代表制をとっている」と書いている。
 「二元代表制」と「議会制民主主義」は矛盾しないかの書きぶりだが、この二つはそうではあるまい。はしなくも、この点でも、朝日新聞社説執筆者の見識の甘さ・いいかげんさを露呈しているようだ。

0788/資料・史料-2006.12.25朝日新聞・若宮啓文<風考計>コラム。

 資料・史料-2006.12.25朝日新聞・若宮啓文<風考計>コラム
 平成18年12月25日

 
//言論の覚悟 ナショナリズムの道具ではない
 教育基本法に「愛国心」が盛り込まれ、防衛庁が「省」になることも決まった日の夜だった。
 「キミには愛国心がないね」学校の先生にそうしかられて、落第する夢を見た。
 いわく、首相の靖国神社参拝に反対し、中国や韓国に味方したな。
 卒業式で国旗掲揚や国歌斉唱に従わなかった教職員の処分を「やりすぎ」だと言って、かばったではないか。
 政府が応援するイラク戦争に反対し続け、自衛隊派遣にも異を唱えて隊員の動揺を誘うとは何事か。
 自衛隊官舎に反戦ビラを配った者が75日間も勾留(こうりゅう)されたのだから、よからぬ記事を全国に配った罪はもっと大きいぞ、とも言われた。「そんなばかな」と声を上げて目が覚めた。
 月に一度のこのコラムを書いて3年半。41回目の今日でひとまず店じまいとしたいのだが、思えばこの間、社説ともども、小泉前首相や安倍首相らに失礼を書き連ねた。夢でよかったが、世が世なら落第どころか逮捕もされていただろう。
    ◇
 「戦争絶滅受合(うけあい)法案」というのを聞いたことがあるだろうか。
 条文を要約すれば、戦争の開始から10時間以内に、国家の元首(君主か大統領かを問わない)、その親族、首相や閣僚、国会議員らを「最下級の兵卒として召集し、出来るだけ早くこれを最前線に送り、敵の砲火の下に実戦に従わしむべし」というものだ。
 いまならまずブッシュ大統領に読んでもらいたいが、長谷川如是閑(にょぜかん)がこの法案を雑誌『我等(われら)』で書いたのは1929年のこと。第1次世界大戦からしばらくたち、再び世界がキナ臭くなり始めたころである。
 デンマークの陸軍大将が起草して各国に配ったという触れ込みだったが、それはカムフラージュの作り話。「元首」と「君主」は伏せ字にしてきわどく検閲をパスした。
 それより11年前、日本のシベリア出兵や米騒動をめぐって寺内正毅内閣と激しく対決した大阪朝日新聞は、しばしば「発売禁止」の処分を受けた。さらに政府糾弾の集会を報じたところ、記事にあった「白虹(はっこう)日を貫けり」の表現が皇室の尊厳を冒すとして筆者らが起訴され、新聞は廃刊の瀬戸際に立たされた。ついに大阪朝日は村山龍平社長らが辞職して謝罪し、政府に屈することになる。
 これが「白虹事件」である。かつて「天声人語」の筆者でもあった如是閑は、このとき大阪朝日の社会部長だった。言論の敗北に無念を抱きつつ退社して『我等』を創刊したのだ。
    ◇
 こんな古い話を持ち出したのも、いま「言論の自由」のありがたみをつくづく思うからにほかならない。現代の世界でも「発禁」や「ジャーナリスト殺害」のニュースが珍しくない。
 しかし、では日本の言論はいま本当に自由なのか。そこには怪しい現実も横たわる。
 靖国参拝に反対した経済人や天皇発言を報じた新聞社が、火炎ビンで脅かされる。加藤紘一氏に至っては実家が放火されてしまった。言論の封圧をねらう卑劣な脅しである。
 気に入らない言論に、一方的な非難や罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせる風潮もある。それにいたたまれず、つい発言を控える人々は少なくない。この国にも言論の「不自由」は漂っている。
 私はといえば、ある「夢想」が標的になった。竹島をめぐって日韓の争いが再燃していた折、このコラムで「いっそのこと島を韓国に譲ってしまったら、と夢想する」と書いた(05年3月27日)。島を「友情島」と呼ぶこととし、日韓新時代のシンボルにできないか、と夢見てのことである。
 だが、領土を譲るなどとは夢にも口にすべきでない。一部の雑誌やインターネット、街宣車のスピーカーなどでそう言われ、「国賊」「売国」「腹を切れ」などの言葉を浴びた。
 もとより波紋は覚悟の夢想だから批判はあって当然だが、「砂の一粒まで絶対に譲れないのが領土主権というもの」などと言われると疑問がわく。では100年ほど前、力ずくで日本に併合された韓国の主権はどうなのか。小さな無人島と違い、一つの国がのみ込まれた主権の問題はどうなのか。
    ◇
 実は、私の夢想には陰の意図もあった。日本とはこんな言論も許される多様性の社会だと、韓国の人々に示したかったのだ。実際、記事には国内から多くの共感や激励も寄せられ、決して非難一色ではなかった。
 韓国ではこうはいかない。論争好きなこの国も、こと独島(竹島)となると一つになって燃えるからだ。
 そう思っていたら、最近、発想の軟らかな若手学者が出てきた。東大助教授の玄大松(ヒョン・デソン)氏は『領土ナショナリズムの誕生』(ミネルヴァ書房)で竹島をめぐる韓国の過剰なナショナリズムを戒め、世宗大教授の朴裕河(パク・ユハ)氏は『和解のために』(平凡社)で竹島の「共同統治」を唱えた。
 どちらも日韓双方の主張を公平に紹介・分析しているが、これが韓国でいかに勇気のいることか。新たな言論の登場に一つの希望を見たい。
 日本でも、外国の主張に耳を傾けるだけで「どこの国の新聞か」と言われることがある。冗談ではない。いくら日本の幸せを祈ろうと、新聞が身びいきばかりになり、狭い視野で国益を考えたらどうなるか。それは、かつて競うように軍国日本への愛国心をあおった新聞の、重い教訓ではないか。
 満州へ中国へと領土的野心を広げていく日本を戒め、「一切を棄つるの覚悟」を求め続けた石橋湛山の主張(東洋経済新報の社説)は、あの時代、「どこの国の新聞か」といわれた。だが、どちらが正しかったか。
 最近では、イラク戦争の旗を振った米国のメディアが次々に反省を迫られた。笑って見てはいられない。
 だからこそ、自国のことも外国のことも、できるだけ自由な立場で論じたい。ジャーナリズムはナショナリズムの道具ではないのだ。//

 *ひとことコメント-いわゆる村山談話は「独善的なナショナリズム」を排すべきと述べるが、この若宮コラムでは「ナショナリズム」にそのような限定すらない。

0265/2/27君が代伴奏命令拒否懲戒処分取消訴訟最高裁判決。

 やや旧聞だが今年2/27、君が代伴奏命令拒否懲戒処分取消訴訟で東京都側の勝訴が確定した。最高裁判決を支持したい。この判決に関しても、関心を惹くことはある。
 1.原告音楽教諭は「君が代は、過去の日本のアジア侵略と密接に結びついて」いると考えているらしい。簡単に「過去の日本のアジア侵略」と理解してよいのか、いつから「侵略」になったのか既に満州事変からかさらに日清・日露戦争もそうだったのか、原告はきちんと理解しているのだろうか。始まりの時点に誤りがあれば、またそもそも全体として「アジア侵略」と称し得ないものであれば、原告が前提とする理解・歴史認識自体が誤りであることになる。
 2.かりに1.の前提が正しいと仮定して、そのことと君が代とがどういう関係があるのか。君が代が「アジア侵略」と「密接に結びついている」という感覚は、前者が後者の象徴として用いられたということなのだろうが、理解し難い。読売の要旨によると藤田宙靖裁判官は「君が代に対する評価に関し、国民の中に大きな分かれが存在する」と書いたらしいが、かかる認識は妥当だろうか。かりにそうだとしても、国民代表議会制定の法律によって国歌を君が代と明定していることとの関係はどうなるのか。擬制でも、国民の多数は君が代を国歌と見なしていると理解すべきではないのか。過去の歴史を持ち出せばとても現在の国歌たりえないものは外国にもいくらでもありそうだ。
 ともあれ、原告は戦後の悪しき歴史教育の、あるいは「一部の教師集団が政治運動として反「国旗・国歌」思想を教員現場に持ち込んできたこと」(読売社説)の犠牲者・被害者だともいえる。その意味では実名は出ていないが気の毒な気もする(尤も、仲間に反「国旗・国歌」思想を吹き込む積極的な活動家だったかもしれないが)。
 3.判決は学習指導要領を根拠にしており、従って私立学校についても今回の判決はあてはまりそうだが、公務員であることを理由とする部分は私立学校教員にはそうではない。懲戒処分取消訴訟という行政訴訟の形もとらないはずで、私立の場合はどうなるのかは気になる。但し、学校長の命令が特定の歴史観・世界観を否定したり強要するものではないとする部分は私立学校の場合でも同じはずで、命令拒否を理由とする何らかの懲戒は私学でも許されることになるように思われる。尤も、これも採用又は雇用時点での契約にどう書かれるのかによるのかもしれない。
 60年以上前のことで多大のエネルギーを司法界も使っている。南京事件も「慰安婦」問題も一体何年前の出来事なのか。今だに引き摺っているとは情けないし、痛憤の思いもする。

ギャラリー
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