秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

国家公安委員会

0925/岡崎トミ子は「警察庁」と「警視庁」の区別ができているか?

 岡崎トミ子は国家公安委員会委員長というブラックジョークのような地位についているが、11/02に、警視庁の内部資料のネット掲載問題につき、閣議後の記者会見で<情報管理の重要性は「きちんと警察に指示している」と述べた>らしい。そのあと、<「警察で管理しなければならないものがネット上に出ていると、こういうことですよね?」と逆質問>という珍?問答もしたらしい。

 上の後半はさて措くとして、国家公安委員会委員長に、「警察に指示」する法的権限はあるのか?? とりわけ今回の文書管理者は警視庁という、法的または形式的には東京都に属する組織だ。

 国家公安委員会は内閣府設置法により、その外局として置かれる(同64条)。

 具体的な権能・権限等は警察法が定めていて、国家公安委員会は五人の委員により構成される(同4条2項)。この委員会の委員長には「国務大臣」があてられるが(同6条1項)、委員長が独自に権限を行使するのではない。いわゆる合議制の行政委員会であり、委員長は「会務を総理し、国家公安委員会を代表する」にすぎない(同6条2項)。

 以上からでもすでに、岡崎が、<警察に指示した>などと簡単に発言していることに疑問符がつく。いつ、そのための委員会の会議は行われたのか?

 国家公安委員会規則である国家公安委員会運営規則によると、「委員会は、会議の議決により、その権限を行う」(同2条1項)。 いつ、<警察への指示>のための国家公安委員会の会議・議事は行われたのか? とり巻いている新聞記者たちは、そういう疑問をまったく持たなかったのだろうか。

 委員会は警察法が定める委員会の任務・所掌事務の「運営の準則その他当該事務を処理するに当たり準拠すべき基本的な方向又は方法」を示す「運営の大綱方針」を定めることができ、「この大綱方針に適合していないと認めるとき」には「警察庁長官」に対して「必要な指示をするものとする」とされているが(2条4項)、第一に、これは委員会の権限で委員長かぎりでの権限ではないし、第二に、指示の相手方は国の機関の一つである「警察庁長官」であり、今回の件の「警視庁(総監)」とは直接の関係がない。
 また、警察法12条の2は「国家公安委員会は、第五条第二項第二十四号の監察について必要があると認めるときは、警察庁に対する同項の規定に基づく指示を具体的又は個別的な事項にわたるものとすることができる 」ととくに定めているが、ここでもまた、この権限の行使主体は委員長ではなく委員会であり、かつ、相手方は「警察庁」であって「警視庁」ではない。さらに、もともとこの条項は、対象事項を「第五条第二項第二十四号の監察」にとくに限定している。

 岡崎が述べたという<きちんと警察に指示している>とはいったい何だったのか。いかなる法的根拠にもとづいて、岡崎は、そんな大それたことを行うことができたのか。この人物をとり巻いている新聞記者たち等は、疑問に思わなかったのだろうか。寒心に堪えない。 

 ついでに書いておくが、第一に、国家公安委員会(委員長ではない)の基本的な任務は、「警察庁」を「管理」することだ。上のようの特段の定めがないかぎり、「警察庁(・長官等々)」の権限行使・事務処理に関して、個別具体的な指揮監督権を持っているわけではない。ましてや、委員長となると、委員会を代表するが、その構成分肢にすぎない。

 第二に、警視庁を「管理」するのは東京都公安委員会だ。国家公安委員会ではない。

 岡崎が「警察」と言ったとき、国の「警察庁」と東京都の「警視庁」の区別はついていたのだろうか。そもそも、「警視庁」とはいかなる行政組織なのかを理解していたのだろうか。

 委員会と委員長の区別も含めて、こんなことすら知らないで、「警視庁の内部資料」についてうんぬと述べているのだとすれば、当然に資質・資格が問われる。この人物をとり巻いている新聞記者等々は、何の疑問も持たなかったのだろうか。寒心に堪えない。

 新聞記者はともあれ、岡崎が上のとおりならば、即刻、辞任した方がよい。菅直人は罷免してもよい。ここに書いたことだけでも、十分な理由になる。

 なお、警察法5条4項に、「国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない」、とある。前者は後者に(直接に)<指示>する権限をもっているわけではない。念のため。

0918/佐伯啓思・日本という「価値」(2010)は民主党の「日本を外国に売り渡す」政策も語る。

 一 民主党政権になった一年余前、<左翼(=容共)・売国>政権だとこの欄で位置づけた。朝日新聞が嫌いなはずの、鳩山・小沢・輿石三人の「談合」の結果としての菅直人への(総選挙を経ない)政権「たらい回し」ののちには、この欄で<本格的「左翼」政権>誕生、と書いた。

 菅・民主党政権の具体的なことに言及するのは精神衛生に悪いので、極力書かないようにはしている。

 仙石由人官房長官はかつて日韓基本条約(1965年)締結に対する反対運動をしていた社会党系活動家で、のちに社会党から国会議員になった筈だから、社会党の党是、すなわち「社会主義への道」を少なくともかつては信奉していたはずだ。現に(おぞましき)「社会主義」の道を共産党・労働党指導のもとで歩んでいるらしい中華人民共和国や北朝鮮に、仙石が<甘く・優しく>ならないわけがない。

 拘禁後の中国人(船長?)釈放は、菅→仙石(または仙石→菅→仙石)→某法相→最高検総長→那覇地検という<事実上の>上意下達の結果であることはほぼ明らかだ。地検の<自主的な>判断という大嘘は当然に<卑怯だ>(検察一体の原則からして、もともと最高検が諒解していたかその指示によるかのどちらかであることは法制度上少なくとも明確で、那覇地検かぎりでの判断などはありえない)。

 田嶋陽子(かつて国会議員)らと「従軍慰安婦」個人補償法案を提案し、ソウルで韓国人運動家たちとともに日本大使館に向かって拳を突き上げた岡崎トミ子が国家公安委員会委員長(国務大臣)なのだから、呆れて大笑いしたくなるほどの、ブラック・ジョークのような現菅直人内閣だ。

 かかる「左翼・反日」政権とそのもとでの生活への<嫌悪に耐えて>、生きていかねばならないとは…。

 二 佐伯啓思・日本という「価値」(2010、NTT出版)は、民主党政権の<売国(・反日)>性をこの人にしては明瞭に語っている(以下の初出は2010年1月)。

 佐伯いわく-民主党の基本政策は「対米依存からの脱却」、「市場原理主義的な経済自由主義の見直し」、「土建型公共事業による経済成長」から「福祉に軸足を置いた生活中心社会への転換」で、これらに「特に異論はない」。だが一方でこの政権は①「二酸化炭素」25%削減を国際公約にし、②「外国人参政権」を認めようとし、③「夫婦別姓」も打ち出している。/「こうなるとよくわからなくなる」。「対米依存からの脱却」・「新自由主義路線の修正」は「国家の自立性を高める」という意図をもつ筈だが、他方で、「外国人参政権」を唱え、「聞こえのよい国際公約」を行って、「小々大げさにいえば」、「日本を外国に売り渡す」類の政策を促進する。「一体これらがどのような関係にあるのか」、マスメディアを含めて誰も問題にしていない(p.146-7)。

 佐伯は続ける-この「支離滅裂」は「国家や国民の捉え方の曖昧さ」が生んでいる。叙上のような基本政策は結構だが、その種のことを唱えるには、①「日本という国家の防衛をいかに行うのか」、②「経済成長に代わる価値観をどうするのか」、③「日本社会の将来像をどのように描くのか」、という「国家像がなければならない」。しかも、「相当な国民的な結束」が不可欠だ。「国家像」を描き、それを実現するためには「国民の道徳的な力」が必要なのだ。なぜ、「そのことを言わないのか」。言わないがために「政策に厚みがなく、他方で、『日本を外国に売り渡す』類の政策が平然と」行われる。民主党の政策は「ご都合主義的でファッショナブルなものへの追従かその羅列に過ぎない」ように見える。政策の背景にあるのは「幾分のサヨク・リベラル路線」をとっての「世論の流れと時代状況への追従」の「終始」ではないか(p.147-8)。

 佐伯啓思は私よりも民主党の具体的政策をよく知っていそうだから、あえて異は唱えない。おそらくは昨年末に書かれた文章にしては、民主党の<脆うさ>を、適確に指摘していると思われる。

 但し、民主党全体を評価するにしても、「サヨク・リベラル」と性格づけるのは(p.118も)、「リベラル」の意味が問題にはなるが、やや甘いかもしれない。

 にもかかわらず、「新自由主義路線」が<対米依存>でその「見直し」は「国家の自立性を高める」ことを意味するはずだということも含意しての、佐伯啓思による明確な、民主党政権の<売国性>の指摘は重要だろう。佐伯は8月の<菅談話>も一例として挙げるだろうか。

 なお、菅直人内閣についても、櫻井よしこ等の保守論者は「国家観なき…」とか「国家観のない」と(お題目のように?)言って批判することが多いが、彼ら民主党の要人たちにも何らかの「国家観」はあるのであり、ないのは、佐伯が上に指摘するような、具体的な「国家像」だ、と考えられる。

 仙石や菅らは(そして、その他の仲間たち諸々は)、<国家なんて本当はなくてよいのだ>、<国家意識を過分にもつことは危険だ>、等々の「国家観」を持っているように思われる。対立は、<国家観>の有無・存否ではなく、<どのような国家観をもつか(そしてどのように日本の将来像を描くか)、というその内容にある、のではないか。

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