秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

司馬遼太郎記念財団

0752/司馬遼太郎は嘆いていないか-司馬遼太郎賞。

 「司馬遼太郎賞」の授与は司馬遼太郎館(財団法人)の事業の一つ。
 上のこと自体に問題はない。しかし、司馬遼太郎館(財団法人)の事業に司馬遼太郎自身の意向が反映されていないことは言うまでもなく、その運営には、財団の専務理事である上村洋行(記念館長、妻・福田みどりの実弟)の意思・意向の影響が大きすぎるのではないか、との疑いを持っている。
 司馬遼太郎は「国民作家」と言われるが、明確に<反イデオロギー>、そして<反共産主義>・<反マルクス主義>の人だった。
 連載小説の多くは「龍馬がゆく」・「坂の上の雲」等を含めて産経新聞紙上等で、朝日新聞には一つも連載しなかった筈だ。朝日新聞と生前の司馬遼太郎の縁は、週刊朝日誌上の<街道をゆく>シリーズにすぎない。朝日新聞本体は、司馬遼太郎を「産経」ゆかりの作家として意識的に避けていたと推測される。週刊朝日だからこそ、まだ自由があり、冒険?もできたのだ。
 にもかかわらず、現在は朝日新聞社が週刊司馬遼太郎なる季刊雑誌?を堂々と出版しているのは何故なのだろう。遺族あるいは上記の財団や記念館の(形式的ではなく実質的な)関係者の意向によるところが大きいと推測せざるをえない。
 既に書いたことがあるが、「菜の花忌」の講演会に井上ひさしが堂々と司馬遼太郎の後継者の一人のような顔をしてときどき登場しているのにはきわめて違和感をもつ。
 不破哲三との対談本を出して日本共産党をヨイショした「左翼」(隠れ党員かもしれない)の井上ひさしは、司馬遼太郎賞の選考委員の一人でもある。5人のうちのあとの4人は、陳舜臣、ドナルド・キーン、柳田邦男、養老孟司らしい。
 選考経過の詳細は知らないし明らかにされてもいないだろうが、「左翼」(隠れ党員かもしれない)の井上ひさしの発言力が大きい可能性もある。
 第一回(1998)の受賞者が立花隆だったことにもやや首を傾げるが、近年の2回の選考結果はかなりヒドいのではないか。すなわち-。
 第11回(2008)-山室信一・憲法9条の思想水脈(朝日新聞社)
 第12回(2009)-原武史・昭和天皇(岩波新書)

 上の二人は、所謂「左翼」だ。山室信一はNHKの「JAPANデビュー」のプレ番組に現在の学者・研究者の中では唯一人だけ登場して、「左翼的」言辞を吐いた。原武史の少なくとも現在の皇室論が奇矯であることは私も感じたことがある。小林よしのりらの批判の対象になっている人物だ。
 はて、山室信一と原武史の「作品」に続けて受賞させる賞というのは、いったいどのように性格の賞なのだろう(なお、最近は当初のような人物ではなく、「作品」単位の選考らしい)。
 山室信一の上の本を一瞥してみたが、とても何らかの「賞」に値するものとは思えなかった。
 井上ひさしの推薦があったとすれば、それは当然かもしれない。井上は「九条の会」の有力メンバーだからだ。この井上以外の陳舜臣、ドナルド・キーン、柳田邦男、養老孟司はきちんと読んで、審査・評価したのだろうか。
 財団の事業の一つなので、候補の絞り込みに専務理事・上村洋行の意向が関係している可能性は大きい。

 どんな団体が誰に授賞しようと勝手だが、<司馬遼太郎>という名が冠されているとなると無関心ではおれない。
 司馬遼太郎と山室信一や原武史では<肌合い>が異なる。かつ、あとの二人は司馬遼太郎がむしろ嫌ったタイプの人間のように思われる。なぜなら、二人とも、何がしかの<イダオロギー>を、巧妙に隠そうとはしていても、持っている。
 全く余計な第三者の感想に過ぎないのだが、瞑目している司馬遼太郎は、かりに意識・「霊」があるとすれば、草葉の陰で嘆いているのではあるまいか。
 司馬遼太郎記念財団を維持・継続させるための<経営>的感覚のようなものは、司馬遼太郎が忌避したかったものに違いない。その<経営>的感覚の事業によって司馬遼太郎の本来の意思・意向・精神が継承されていればまだよいのだが、そうでは全くなくなっているとすれば、著名人の名を騙る詐欺のような<事業>になってしまうのではないか。「司馬遼太郎賞」がそうでなければよいのだが。

0428/井上ひさし-デマゴーグの一人が司馬遼太郎記念行事に関与とは呆れる。

 岩波ブックレット憲法九条、未来をひらく(2005.11)の中の井上ひさしの文章の一部に以下がある。
 <藤原彰・飢死にした英霊たち(青木書店、2001)の中に、第二次大戦での「軍人・軍属の死者二三〇万のうち、約六割の一四〇万人が餓死」だったとの記述がある。「日本の兵隊さんも実は六割までが、闘わずして、食べ物がなくて死んでいった」のだと。/「こういう時代を正しいという人がいます。こういう時代に戻そうという人がいるのです。こういう時代が素晴らしい、これこそが日本なのだという方がいる。」>(p.54)
 藤原彰とは元一橋大学教授で高名なマルクス主義日本史学者だが(故人)、藤原の記述の正否を問題にしたいのではない。怒りすら覚え、またアホらしくも思うのは/(改行)以下の井上ひさしの言葉だ。
 井上ひさしは、2004-5年にしたらしいこの文章を含む講演で、<デマ宣伝>をしている井上ひさしは正真正銘の<(左翼)デマゴーグ>だ
 井上は、今年の故司馬遼太郎の「菜の花忌」シンポでも何かしゃべったらしい。再度書くが、井上のような(左翼)デマゴーグが自分を評価して(又はそのフリをして)何かしていると知れば、司馬遼太郎は嘆くだろう。
 「菜の花忌」シンポには当然に司馬遼太郎記念財団も関係している筈だが(ずばり主催者だったかも)、その財団の事務局長格は福田みどり(司馬=福田定一の妻、理事長)の実弟の上村洋行が務めている。上村洋行は司馬遼太郎記念館の館長でもある。
 大江健三郎はむろんだが、井上ひさしなどを協力者・支援者として故司馬遼太郎関係行事を催していけば、司馬遼太郎の名を結果として汚すことになるだろうことを上記財団関係者は知ってほしい。

ギャラリー
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
  • 2564/O.ファイジズ・NEP/新経済政策④。
  • 2546/A.アプルボーム著(2017)-ウクライナのHolodomor③。
  • 2488/R・パイプスの自伝(2003年)④。
  • 2422/F.フュレ、うそ・熱情・幻想(英訳2014)④。
  • 2400/L·コワコフスキ・Modernity—第一章④。
  • 2385/L・コワコフスキ「退屈について」(1999)②。
  • 2354/音・音楽・音響⑤—ロシアの歌「つる(Zhuravli)」。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
  • 2320/レフとスヴェトラーナ27—第7章③。
  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
  • 2277/「わたし」とは何か(10)。
  • 2230/L・コワコフスキ著第一巻第6章②・第2節①。
  • 2222/L・Engelstein, Russia in Flames(2018)第6部第2章第1節。
  • 2222/L・Engelstein, Russia in Flames(2018)第6部第2章第1節。
  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
  • 2179/R・パイプス・ロシア革命第12章第1節。
  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
  • 2136/京都の神社-所功・京都の三大祭(1996)。
  • 2136/京都の神社-所功・京都の三大祭(1996)。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
  • 2101/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史10。
  • 2101/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史10。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
アーカイブ
記事検索
カテゴリー