〇記していなかったが、二月中に全読了したもの。ひょっとして他にもあるかも。
・竹田恒泰・怨霊になった天皇(小学館、2009.02)。2~3日で読み終えた。
仔細はもう忘れかけているが、長い歴史の中では、天皇も皇族もいろいろ、といった感想。
井沢元彦によると、明治天皇は、明治改元か即位礼の前日にわざわざ四国・香川県の崇徳天皇陵に参拝されたはずだ。12世紀前半に就位の天皇が、祟らないで国家・新天皇の御代の平穏をとの思いを19世紀にまで持たせ続けていたことになる。一度、崇徳天皇陵には行かねばならない。
・西尾幹二・真贋の洞察(文藝春秋、2008.10)。すでに一部触れたことはある。触れたのは、福田恆存にかかわる長い論考(講演録)の一部(p.123-190、計68頁!)。
金融・経済への関心に感心するとともに、最後にとっておいた「安倍晋三は真正保守の政治家に非ず―二大政党制という妄想―」も頗る面白かった。
月刊WiLL2007.10号初出で原題は「二大政党制という妄想」。この題のとおり、執筆当時は首相在任中ぎりぎりだったと思われる安倍晋三批判は大して重要なテーマではない。今日の政治状況を鋭く予感していた、との評価もできる。
「自民党も三分の二くらいは左翼のようなものです」(p.32。加藤紘一、後藤田正純、河野太郎の名を挙げる)。きっとそうなのだろう。
「私は共産党、社民党、公明党は…政党として認めていない…。…党首討論に…大きな顔をして出演させるべきではない」(p.34)。同感。とくに後者は、従前からそう感じていた。
二大政党制をよしとしないのは自民党・民主党ともに「寄り合い所帯」で「理念が不透明」だから。なぜ日本政治がこうなったかには「小沢一郎が深く関与している」(p.35)。
細かく引用しない。その後の、1955年体制の総括的言及・小沢一郎批判にも納得するところがほとんどだ。
「小沢一郎は日本の政治をねじ曲げた万死に値する男です」(p.40)。
こうした論評からすると、小沢一郎びいきの「保守」派らしき男、勝谷誠彦とは異様な人物だ。よいことも書き、喋ってもいるのに、小沢一郎(・従って現在の民主党)にはボロボロに甘い。
これまであえて取り上げてこなかったのだが、勝谷誠彦・偽装国家Ⅱ(扶桑社新書、2007.12)では、安倍晋三を「偽装保守」と称し、「美しい国」と言うのを聞いて「私は椅子から転げ落ちました」とまで侮言しながら(「美しい国」との言葉の悪意をもった解釈もしながら)、また、多数の「偽装」の例を挙げながら、朝日新聞等による大々的で集中的な反安倍・反自民キャンペーンによる2007.07の参院選の結果については、ひとことも<偽装>とは称していない。あの選挙での自民党の後退しすぎは、マスメディアによる国民の意思の<偽装>だ、と思っている(2005の小泉「郵政」総選挙の結果もその面が強い)。私の感覚は、勝谷誠彦とは大きく異なっているようだ。まだ西尾幹二の方に近い。
〇社民党・福島瑞穂は昨年(2008年)12月に桝添要一厚労相に対して「非正規労働者支援の緊急申し入れ」を行い、その中で「多くの非正規労働者が雇用保険の加入漏れの恐れがあることがわかった。非正規労働者が、資格がありながら雇用保険に加入していない実態を掌握する措置を講ずること」等を求めた。
一方、福島瑞穂が代表の「福島みずほ事務所」は、「平成18年度までの数年間、雇用する私設秘書2人について労働保険に加入していなかった」。
以上。産経新聞3/04による。
これは実態把握については「灯台元暮らし」、措置要求については<天に唾する>、とでも言うのだろう。なかなか面白い記事だった。