秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

加藤千洋

0183/中西輝政・諸君!2007年6月号の共産主義の「謀略」論。

 月刊諸君!6月号(文藝春秋)の中西輝政「日本の最高機密を狙う「軍事大国・中国」の黒い影」は情報・インテリジェンスに関する連載ものの一つだ(5月号の内容も既に紹介した)。
 中西が「共産主義の置き土産」としての「歴史的通底」を感じる、というのは、次のような諸事件を指す。
 ・上海日本領事館員がハニートラップにかかっての自殺、・海上自衛隊「イージス艦」の最高機密漏洩の乗員の中国人妻問題による発覚、・「デンソー」の中国社員による高度秘密技術の持ち出し、・「ヤマハ発動機」の中国軍関係企業への違法輸出、・北朝鮮工作員の日本人妻の殺害と二人の子供の北朝鮮への拉致(渡辺秀子さん事件)、・東京都内の貿易会社が30年以上北朝鮮の対日工作拠点だったことの発覚、・反プーチン活動中の元スパイのロンドンでの暗殺(リトビネンコ事件)。(p.214-5)
 これらにつき、日本政府(・自民党等)は、外務省は、そして日本の民主党等の野党は、いったいどのような発言又は質疑を、国会においてしてきたのか。松岡前農水相の「なんとか還元水」問題と中国への軍事又は技術情報の漏洩や北朝鮮の工作(・拉致)による被害の問題と、いったいどちらが日本にとって重大な関心事なのか
 外交・防衛では「票」にならないと思っているのか、野党も<大衆受け>しそうな話題のみを取り上げ、国益・公益を忘れて政争の材料にしている、というのは言い過ぎだろうか。中川八洋の言を俟つまでもなく、日本の国会はとっくに衆愚政治の場と化し、ワイドショー的関心を惹くテーマを多くとり挙げているのではないか。
 中西の論稿に戻って、氏によれば、共産主義(国)による情報活動には次の三範疇がある。1.単純なスバイ(情報の窃取)、2.諜報・秘密工作目的の「提携」・「交流」等の名目での(表向き合法の)経済活動、3.世論操作・政策歪曲・社会運動(「市民」運動)を「裏から秘密裏に推進」する活動(p.216-7)。
 一方また共産主義者(国)において、「民主主義国において、…表向き共産党との関係を否定して様々な活動に従事することの大切さは早くから認識されていた」。そして、正式に「党員」になるのではなく(又は「党員」を籠絡するのではなく)、「秘密の要員を、政府や社会の要所に送り込んでゆく手法」は広く採用された。
 また、フランスの情報史家によると、資本主義国の共産党の内部には、通例「三つの異なる組織」がある、という。1.公然と「共産党」を名乗る組織、2.財政・経済面で「党」を支える目に見えない秘密組織、3.50年代まで活発だった「非合法機関」。同史家は、1980年代でも上の3.に属する「秘密党員」の大きな勢力がフランス国軍の内部に依然として存在していた。
 中西も言うように、日本共産党の場合はどうだったのか、という問題がある。日本共産党は戦前の早い時期に公然活動ができないほどに殲滅された筈だが、それは上の1.のことで、実質的に共産主義に寄与する2.や3.の実態については、すなわち日本共産党の「地下組織」や「秘密党員」の問題については、殆ど解明されていないままだという。
 私が勝手に推測するに、有能な国家官僚や大学教員の中に「もぐら」(秘密党員)が逮捕もされずに存在していて、戦後になって、意識・考えが変わったなどとして「進歩的」・「革新的」活動を公然とし始めたかつての「秘密(日本共産党)党員」もある程度いたのではなかろうか。
 以下の紹介は省略するが、日本と日本人は「情報戦争」というものについての感覚を殆ど持っていないようであることを痛感する。防諜法(スパイ防止法)すら存在しないことは、中西によれば日本が<最も安全ではない国>の証左だという。
 中西は最後にこう書く。「戦前日本の、あの厳しい防諜法制の完備していた時代でさえ、内閣や軍部中枢や外務省、「朝日新聞」などの代表的メディア、果ては宮中の内部にさえ、ソ連・コミンテルン・中共の諜報網が手を伸ばしていた…。それほど、共産主義の秘密工作というものはすさまじいものがあった」。今の日本に必要なのは「国家中枢やメディア界の実態に対する国民的関心であり、…諸外国並みの監視システムとのう・ハウ」で、「堅実な知識」にもとづく「インテリジェンス・リテラシー」の向上だ。(p.224)
 民主党の角田義一議員に対して朝鮮総連系団体から違法な献金がなされていたことが先々月あたりに明らかになったが(政治資金規正法違反だ。朝日新聞等は松岡勝利前農水相の事務所経費へと少なくとも同等以上の関心を向けたのか、極めて疑わしい)、その某議員は献金の事実を認めただけで、それ以上の釈明も情報提供(説明)もしなかった。実質的に北朝鮮から何らかの便宜・利益供与を受けて<知らず知らず>にでも親北朝鮮意識をもつに至っている者は民主党に限らず存在するだろうと思われる。
 (なお、読売5/29社説は松岡農水相自殺を受けてこう書く。-「今国会は、事務所費ばかりが問題になっているが、民主党の角田義一前参院副議長が北朝鮮と密接な関係のある団体から献金を受けていた事実は、はるかに重大だ。こうした問題の究明が、きちんとなされていないのは解せない」。)
 政界だけに限らず、北朝鮮や中国の<働きかけ>はメディア界にも及んでいると見るのが妥当だろう。
 5/6のブログで安倍晋三首相の2005年時点の発言を紹介しているが、その中に、「国際女性戦犯法廷」で検事役を務めたのは「黄虎男」という北朝鮮の工作員だと2005年01/13のテレビ朝日・報道ステーションで指摘すると、コメンテイターの朝日新聞編集委員・加藤千洋は不審そうに、彼は金正日の「首席通訳」なのに「工作員なんですか?」と質問し、かつ自分は彼と「面識がありますとも言った、という部分がある。
 朝日新聞の加藤千洋は北朝鮮工作員某と「ふつうの人物」として「面識」を持っていたのだ。このことは、北朝鮮工作員たちが多額の金品でもって朝日新聞の編集委員等を「誘惑」して北朝鮮寄りの記事を書かせることを直接には意図しておらず、ごくふつうの常識的な人物として「知り合い」になることから<接触>を始めることを示しているだろう。
 むろん現実に日本国内で種々の<工作>をしているのは北朝鮮だけではなく、当然に中国もだ。
 明確な根拠資料は私には勿論ないし、政府やメディアにおいても恐らくそうだろうが、朝日新聞等の<中国寄りの>・<中国に都合の悪いことは書かない>・<中国政府・中国共産党の意向に合わせた>報道姿勢は、完全に自主的にそういう選択をしているのだろうか。間接・間々接あるいは「やわらかい」接触も含む、<働きかけ>とも言えないような(表向きは「ふつう」で「社会通念の範囲内」の)<付き合い>が(中国共産党員と公言していない者も含む)中国人と朝日新聞等との間にはあるのではなかろうか。
 以上はむろん推測にすぎないが、朝日新聞の<媚中・反日>報道姿勢は、そのような推測もしたくなるほどのものだ。
 「人の心をめぐる争奪戦(心理戦)こそ、諜報活動の最も高次元のもの」だ(p.215)。種々のブログを見ていて、かかる「諜報活動」(<情報戦争)の一環として組織的に運営されているのではないかとも思えるサイトもある。そして、奇妙に、又は気味が悪く、思うことがある。

0120/中西輝政・日本の覚悟(2005)でも安倍晋三は朝日を批判。

 中西輝政・日本の「覚悟」(文藝春秋、2005.10)の第14章は「「朝日」の欺瞞を国民は見抜いている」で、その初出は、諸君!2005年3月号の「慰安婦も靖國も「朝日問題」だ」と題する安倍晋三との対談だ。現首相の当時の発言を要約し又は一部引用して記録にとどめる。
 1.「A級戦犯分祀」論批判-「A級戦犯」で有罪判決を受けた人は25名で、死刑でなく禁固刑でのちに釈放された重光葵元外相も含む。「中国側の言い分に従って、東京裁判の正当性を認め、A級戦犯の責任を改めて鮮明にするのであれば、重光さんからも勲一等を剥奪しなければ筋が通りません」。
 (なお、重光の他にのちに法相となった賀屋興宣もいる。この旨を安倍は2005年9月にも民主党・岡田克也に答えて述べたが、岡田は有効な反論をできなかった。この対談でのかなり詳しい安倍発言の内容を岡田はおそらく知らないままだったのだろう。)
 2.対NHK「政治圧力」問題a-2001年にNHKが報道した「元朝日新聞記者・松井やよりなる人物が企画した…イベント」である「女性国際戦犯法廷」は昭和天皇を「性犯罪と性奴隷強制」の責任で「有罪」とした異常な「疑似法廷」で、「検事席に座っていたのは、なんと北朝鮮の代表二人。いずれも対世論工作活動を行っているとされ」、日本再入国を試みたときは政府はビザ発給を拒否したような人物たちで、うち一人は「黄虎男」という。2005年01/13のテレビ朝日・報道ステーションでこの旨指摘すると、朝日新聞編集委員・加藤千洋は不審そうに彼は金正日の「首席通訳」なのに「工作員なんですか?」と質問し、かつ自分は彼と「面識があります」とも言った。加藤は「工作」の意味が分からず、かつ「工作」の対象になっていたのでないか。
 (朝日・加藤千洋の「お人好し」ぶりを安倍は皮肉っている。)
 3.対NHK「政治圧力」問題b-「松井氏らの茶番法廷」につき「主催者の意向通りの番組が放送されるらしいというのは、当時、永田町でも話題」だったが「この件について私がNHKを呼びつけたという事実はまったくありません」、幹部が「予算・事業計画の説明に来訪した折、向こうから自発的に内容説明を始めた」のだが、「良からぬ噂は私の耳にも届いて」いたので「私は「公平、公正」にやってくださいね」という程度の発言」はしたが「与党議員、官房副長官として、圧力と受け取られるような発言をしてはならないという点は強く自覚して対処」した。しかし、「朝日は、私の反論、回答要求に、何ら新たな根拠や資料を示すこと」がなかった。
 (周知のとおり、にもかかわらず朝日は謝罪も訂正もしなかった。外部者から成る委員会が「真実と信じた相当の理由はある」などと言ってくれたのを受けて、取材不足だが真実でないとはいえない、と結論づけて自ら勝手に幕を閉じた。外部者の委員会(「「NHK報道」委員会」)の4委員名は、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、原寿雄・元共同通信編集主幹、本林徹・前日弁連会長、長谷部恭男・東京大学(法)教授、だ。)
 4.「女性戦犯法廷」と朝日の安倍攻撃の背景-2001年頃には拉致問題が注目され始めたので、北朝鮮は被害者ぶることで「日本の世論における形勢を立て直そうとしていた」。そこで、「日本の過去の行状をことさらに暴き立てる民衆法廷のプランが浮上したのでしょう」。2005年の1/12に朝日は中川経産相とともに「事前検閲したかのような記事を載せた」が、「4年も前の話を、なぜいまこの時期に?」。 かの「法廷」に「北朝鮮の独裁政権が絡んでいたことを考えると、私がいま経済制裁発動を強く主張していることと無関係とは思われません」。
 (この指摘は重要だ。安倍は、2005年01月の朝日の(本田雅和らによる)記事と安倍が「いま経済制裁発動を強く主張していることと無関係とは思われません」と明言している。正しいとすると朝日の本田雅和らは北朝鮮と何らかの密接な関係があることになる。もともとの「女性戦犯法廷」が北朝鮮と関連があったことはほぼ明白だが。)
 5.朝日への姿勢-中西の「従来から朝日の安倍さんへの個人攻撃はどう見ても常軌を逸しているとしか思えません」との発言をうけて、「こうした報道姿勢がいかに薄っぺらな、欺瞞に満ちたものであるか」を「国民は見抜いている」、「いままで朝日新聞が攻撃した人物の多くは政治的に抹殺されてきた経緯があり、みな朝日に対しては遠慮せざるを得なかった。しかし、私は…朝日に対しても毅然とした態度をとります。自分は、国家、国民のために行動しているんだという確信があれば決してたじろぐことはない
」。
 以上

-0066/安倍晋三内閣2006年誕生の意義。

 一 「安倍晋三首相の誕生は『歴史の必然』であった」と帯にある辻貴之・「保守」の復権(扶桑社、2006.10/二版)は日本人の国民性・政治・教育・社会の4章に分けての「保守」派の考え方又は「保守」というものの見方を教科書風に書いたような読み易そうな本で、既読の4章の最後の節(見出し)は「朝日新聞の悪」だ。
 その中で言及・引用されている中西輝政の予想(p.222~3)に微かな怯えを感じた。この欄の10/22に「もっぱら戦後教育のみを受けた者たちが指導的中心層となってどの程度適切・的確に国家・社会を運営していけるか、心配なくもない」と書いたのだが、中西は日本は冷戦後も安心できず「左翼」は日本社会の枢要部分に目立つことなく入り込んでいるので、「昭和10年代後半から団塊世代も含めて、35、6年以前生まれまでの世代が頂点に来たときこそ、この国が一番厄介な形で左傾化し、日本は深刻な崩れの時代に入ってゆくだろう」と書いていたようだ(初出は2002年9月)。
 <昭和10年代後半から…35年以前生まれまで>とは1945年~1960年生れで「もっぱら戦後教育のみを受けた者たち」であり、「頂点に来たとき」を55~65歳とすれば2000年~2025年だ。まさに現在、「一番厄介な形で左傾化し、…深刻な崩れの時代」にすでに入っていることになる。
 アジアでは冷戦は終わっていないと書いたことがあるが、日本国内にもまだコミュニズム及び「容共」勢力は存在している。基本的・根本的「対立」は終焉していないのであり、抽象的な言葉だが、中西の言うような(共産党・社民党といった目立つ存在以外の)巧妙な・隠れた「左翼」に注意する必要がある。「何となくの」反体制も朝日新聞の読者を中心にかなりいるだろう。
 上のように中西は書く一方で、2000年の時点で憲法改正を強く望み期待する発言もしていた。
 同・いま本当の危機が始まった(文春文庫、2004)によれば、「戦後の真只中で教育を受け、…すでに十代の半ばから、憲法の改正なくしては、どうもこの国は「まともな国」になり得ないのでは、と感じるようになっていた、…青年期に、この憲法九条という「大いなるウソ」に気づいた瞬間、私の人生は大きな意味で方向づけられた…。根本に大きな「ウソ」がある国が、いかなる理想やきれいごとを並べようとも、…結局「最後の破綻」を大きくしているだけではないのか」(p.196~7)。
 私とまるで違った、ほぼ同世代の中西の感受性に感心し、自らの知的怠惰を恥じるばかりだ。
 二 私の感慨は別として、中西は「ベルリンの壁が崩壊した瞬間、はっきり『九条改正は今や不可避になった』と感じた」と書き、当時は「2010年」頃までの「達成すべき目標とも考えていた」が、その後の中国の情勢・動向を見ると急ぐべき旨を強調している。それこそが「日本のサバイバルに不可欠な戦略の営みであり、国としての『生きようとする意志』の発露なのである」、と(p.230-2)。
 こうした中西からすると改憲を政策目標として明確に掲げる安倍内閣の発足は大々歓迎だったに違いない(反面では、この人が安倍のブレインの一人とされることがあるのも分かる)。
 と、こういう具合なので、中西は2000年以降を悲観的にのみ見てはいないと考えられる。但し、厳しい「左翼」との「闘い」が不可避なことは当然に予想しているだろう。
 私もまた、安倍内閣が何年続くか、憲法改正に少なくとも道筋をつけられるかどうかが将来の日本の姿を大きく変えるに違いない、と「感じて」いる一人だ。
 憲法改正を政策課題と明言する首相は安倍の祖父・岸信介以来だ。前回冒頭に触れた辻貴之の本は二人の間の空白を「失われた半世紀」と表現し、その間の「損失は、あまりにも大きい」と述べる(p.4)。
 1951年生れの辻ともほぼ同世代の私は、小学生時代から現在まで、この「失われた半世紀」を生きてきたことになる。この半世紀の間、経済成長と物質的生活の豊かさ以外に日本はいったい何を獲得したのか、と想起すると、この指摘は少なくとも全面的には誤っていないだろう。
 なぜ憲法改正が現実的問題にならなかったかについて簡単に書けはしないが、一つに旧社会党等の反対政党が国会議席の1/3以上を占め続けたこと、二つに自民党自身が結党の精神を忘れたかのごとく地元利益代表や派閥争い、ひどくは「金権政治」という経済主義の政治版を演じて、(党の大勢は)国家・国益を放念していたこと、を少なくとも挙げてよいだろう。
 前者に、あるいはひょっとして後者にも影響を与えたのは、コミュニズム・容共勢力(朝日新聞を含む)の似非又は戦術としての「平和」主義だった。筑紫哲也・本田雅和・加藤千洋といった人名を特定しつつ朝日新聞等を明示的に「毅然と」批判する安倍内閣の登場によって、時代は少しは転回しつつあるようでもある。
 この日記09/26で安倍は「小泉純一郎と同じではない」旨を記したが、歴史認識・時代認識の精度・深さでは、小泉
は安倍にとても敵わないように思う。安倍のもとで時代・社会はどう変わるか。

-0065/安倍晋三現首相は2005年01月14日にこう語った。

 中西輝政の日本の「敵」(03.10)、日本の「死」(05.02)につづく「日本の選択を問う第三作」の日本の「覚悟」(05.10、文藝春秋)を入手し、第11章と第14章を読んだ。現在に近いだけに臨場感がある。
 14章は「『朝日』の欺瞞を国民は見抜いている」との題での05.01.14に行われた安倍晋三との対談で諸君!05年3月号が初出のもの(原題は「慰安婦も靖國も『朝日問題』だ」)。
 現首相の当時の発言を要約して又は一部引用して記録にとどめておく。
 1.「A級戦犯分祀」論批判-「A級戦犯」で有罪判決を受けた人は25名、死刑でなく禁固刑でのちに釈放された重光葵元外相も含む。「中国側の言い分に従って、東京裁判の正当性を認め、A級戦犯の責任を改めて鮮明にするのであれば、重光さんからも勲一等を剥奪しなければ筋が通りません」。重光の他にのちに法相となった賀屋興宣もいるが、こうした旨を安倍は今年9月にも民主党・岡田克也に答えて述べていた。岡田は有効な反論をできなかったが、この対談でのかなり詳しい安倍発言の内容をおそらく知らないままだったのだろう。
 2.対NHK「政治圧力」問題a-2001年にNHKが報道した「元朝日新聞記者・松井やよりなる人物が企画した…イベント」である「女性国際戦犯法廷」は昭和天皇を「性犯罪と性奴隷強制」の責任で「有罪」とした異常な「疑似法廷」で、「検事席に座っていたのは、なんと北朝鮮の代表二人。いずれも対世論工作活動を行っているとされ」、日本再入国を試みたときは政府はビザ発給を拒否したような人物たちで、うち一人は「黄虎男」という。01/13のテレビ朝日・報道ステでこの旨指摘すると、朝日編集委員・加藤千洋氏は不審そうに彼は金正日の「首席通訳」なのに「工作員なんですか?」と質問し、かつ自分は彼と「面識があります」とも言った。加藤氏は「工作」の意味が分からず、かつ「工作」の対象になっていたのでないか。昨日この日記に登場させたばかりの朝日・加藤千洋の「お人好し」ぶりを安倍は皮肉っている。
 3.対NHK「政治圧力」問題b-「松井氏らの茶番法廷」につき「主催者の意向通りの番組が放送されるらしいというのは、当時、永田町でも話題」だったが「この件について私がNHKを呼びつけたという事実はまったくありません」、幹部が「予算・事業計画の説明に来訪した折、向こうから自発的に内容説明を始めた」のだが、「良からぬ噂は私の耳にも届いて」いたので「私は「公平、公正」にやってくださいね」という程度の発言」はしたが「与党議員、官房副長官として、圧力と受け取られるような発言をしてはならないという点は強く自覚して対処」した。
 しかし、「朝日は、私の反論、回答要求に、何ら新たな根拠や資料を示すこと」がなかった。秋月が口を挟めば、にもかかわらず朝日は謝罪も訂正もしなかった。外部者から成る委員会が「真実と信じた相当の理由はある」などと言ってくれたのを受けて、取材不足だが真実でないとはいえない、と結論づけて自ら勝手に幕を閉じた。外部者の委員会(「「NHK報道」委員会」)の4委員名、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、原寿雄・元共同通信編集主幹、本林徹・前日弁連会長、長谷部恭男・東京大(法)教授、も永く記憶されてよい(肩書だけはみんな立派そうだ)。
 4.「法廷」と朝日の安倍攻撃の背景-2001年頃には拉致問題が注目され始めたので、北朝鮮は被害者ぶることで「日本の世論における形勢を立て直そうとしていた」。そこで、「日本の過去の行状をことさらに暴き立てる民衆法廷のプランが浮上したのでしょう」。
 2005年の1/12に朝日は中川経産相とともに「事前検閲したかのような記事を載せた」が、「4年も前の話を、なぜいまこの時期に?」、 かの「法廷」に「北朝鮮の独裁政権が絡んでいたことを考えると、私がいま経済制裁発動を強く主張していることと無関係とは思われません」。秋月には、日本国内の朝日系人脈やフェミニストの「右派」・「国粋的」安倍攻撃で、北朝鮮は資金援助等の協力者というイメージだったが、安倍自身は北朝鮮こそが最奥にいる「策謀者」と想定しているようだ。とすると、朝日は意識的にか結果的にか北朝鮮に協力したことになる-成功はしなかったが。
 5.朝日への姿勢-中西の「従来から朝日の安倍さんへの個人攻撃はどう見ても常軌を逸しているとしか思えません」との発言をうけて、「こうした報道姿勢がいかに薄っぺらな、欺瞞に満ちたものであるか」を「国民は見抜いている」、「いままで朝日新聞が攻撃した人物の多くは政治的に抹殺されてきた経緯があり、みな朝日に対しては遠慮せざるを得なかった。しかし、私は…朝日に対しても毅然とした態度をとります。自分は、国家、国民のために行動しているんだという確信があれば決してたじろぐことはない」。
 以上、長くなったが。対談の最後に中西氏が「朝日新聞は戦後日本を支えた大宰相に対してのみ、常に厳しい態度で臨んできた」として、吉田茂、鳩山一郎、岸信介と中曽根康弘を例示している(「宮澤喜一さんにはまったく違う態度だった」という)。とすると、安倍晋三にも「大宰相」になる資格が十分にある。

-0064/高山正之・歪曲報道(2006)-マスコミの広告主は? 

 高山正之・歪曲報道(PHP、2006)を一昨日読了。
 朝日等々の「偉業」のいくつかを新たに知ったし、「義憤」めいたものも改めて湧いた。
 逐一紹介するとキリがないが、2005/05/18のテレビ朝日・報道ステーションではかつての北朝鮮帰還事業を「壮大な拉致」とする「当時の関係者」発言に対し、古館伊知郎は日本での「迫害」と「差別」で「たまらず北に帰る気になったのでしょうか」と言い、朝日新聞社派遣?の加藤千洋はしたり顔で「そうです」とだけ答えた、という(p.94-95)。
 馬鹿言っちゃいけない。朝日も<北は地上の楽園>と喧伝したマスコミ煽動者の一つでないか、と書きたくなる。
 それにテレビでは「スルー」とか言うらしいが、例えば中国に都合の悪いことは書かないという、「ボツ」化・「ネグり」という消極的な虚報も朝日はしばしばしているようだ。
 TBSへの怒りも甦る。知らなかったが(又は忘れたのか)、「成田闘争」の頃、中核派のために「警察の検問を受けない報道車両」で武器を運び込もうとした、という(p.47)。
 TBSはオウムの殺人や過激派の暴力の「協力者」だ。発言内容の一部カットとかの「偉業」もよく知られているが、ニュース23の放送元?であることも含めて、今も放送局でいられるのが信じ難い。
 というような感想も抱かせる本だが、各件の内容は詳細ではないし、少なからず各件の(社説等の)年月日が記載されておらず、資料として用いるには難がある。<朝日新聞「偉業」大全>といった詳細な記録集をどこか・誰かが発行しないだろうか(朝日に限らなくてもいいが)。
 衆院補選の翌日23日に菅直人・亀井静香・辻元清美の3人が同じ選挙カーの上に並んで立っている映像を見た。
 のちに思い出してしまったのは、そのグロテスクさのゆえにだろう。元警察官僚で当初は自民党福田(三塚)派だった亀井が、いくら小泉憎しといえども社民党と「共闘」することはないのではないか。
 詳細な知識はないが、政治「思想」は安倍晋三とも似ているかもしれない、弁も立つ有能な政治家(のように見える人)がこのまま「働き場」をなくすのは勿体ない。余計かもしれないが、国民新党代表代行とかに縛られて民主党候補を支持しているようでは将来は暗い。
 今日の読売新聞社説は、教育基本法改正案の審議に関して他の野党(共産党・社民党!)と同一行動をとる民主党を「かつての社会党と何も変わらない」と厳しく批判する。「日本を愛する心」を盛り込んだ改正案をもつ政党がいったい何をしているのか。

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