秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

2006/11

-0070/山崎正和―平和を守るために何をできるかを考えよ。

 本の他に新聞・雑誌、さらにテレビ番組についても感想等を書いていくと、とても約1000字では足りず、時機を失してしまう。かといって本格的な「ブログ」サイトを維持していく時間的余裕はなく、たぶん能力もない。
 10月29日(日)午前のサンプロの録画の後半を観たが、朝日が「安心」するような安倍首相の「君子豹変」につき櫻井よしこや岡崎久彦に不信又は戸惑いを番組制作者(テレビ朝日だ)は語らせかったのかもしれないが、見事に失敗していたのが面白かった。中川昭一の核武装検討発言も、それと矛盾するかのごとき安倍の発言をフリップでいったん示していながら、塩川、山本も含めて全く当然のことという雰囲気になった。あとで制作者と田原総一朗は少しは後悔したのでないか。スタンスは全く同じではないが、櫻井と岡崎の発言の趣旨はよく分かった。いずれも了解の範囲内だ。
 それにしても、北朝鮮の核実験に関する諸々の問題、周辺事態法適用問題、教育基本法改正問題等もあるのに、「村山談話」と安倍の「歴史認識」の変化?といったテーマを設定する(そしてひょっとして安倍に厭味を言おうとする)とは、テレビ朝日も田原も、いま何が大切な問題かを忘れているのでないか。
 読売1~2面の山崎正和の論稿は予想外に非常によい。この人のは昔、柔らかい個人主義とかを少し囓った程度だが、ここまでハッキリと書ける人とは思ってなかった。
 「ほんとうの危機はこれからである」、法的問題も含めて議論すべき課題が多々ある、憲法のいう「『平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼』しようにも、それのできない国が目前にある」、「『国の交戦権』を否定したくとも、相手がかってに宣戦布告をしたと認定してくる状況がある」、「『水と平和はただ』という通念を改め、平和を守るために一人ひとりが何をできるかを考えなければならない」、「治安のために市民的自由をどこまで犠牲にできるか、論議を深める必要がある」等々。その通りだ。
 今までとは質的に異なる安全保障環境の時代に入っていることを多くの人々が認識すべきでないか。リアルな把握ができず、観念と言葉を弄び、自分たちの面子がとりあえず立てばよいと考えている(朝日のような)人々を除いて。産経社説は<従軍慰安婦強制連行>肯定の93年「河野談話」の見直しを主張する。この中の「一部マスコミ」は朝日新聞で、これまた内容的に異論はない。

-0069/田原総一朗は放送法33条1項自体を批判すべきだ。

 コミュニズム・マルクス主義の衣鉢が伝わる中国がまともな国でないことは、09/30にルーマニア某民放局が撮影し10/14に放映して話題になったチベットでの当局による「殺人」でも明らかだ。
 週刊新潮11/02号p.158以下によれば、インドに向かっていた僧侶のうち先頭で射殺されたのは25歳の女性僧侶(尼僧)、最後尾で撃たれたのは15歳の少年僧侶。毎年4000人の亡命者のうち2000人が中国兵の追っ手によって射殺されるという。
 胡錦涛現主席がかつてチベット「弾圧」の責任者だったこともよく知られたこと。この国をどうやらふつうの国と勘違いしているのが大江健三郎、本多勝一、立花隆等々だ。むろん安倍首相は外交上表向きは近隣の一国家として政府要人等と接する必要があるが。
 29日・日曜。朝食前+2.9。テレビ朝日のサンプロ(録画したが1/3しか観ていない)では噂どおり田原総一朗が総務大臣がNHKに「命令」を発するのは怪しからんと決めつけて発言していた。
 だが、放送法33条1項が「命令」権限を認めていることは明らかで、同項の「必要な事項」の「指定」の具体性の程度は、具体性・個別性が高いほど「命令」内容が特定・限定されており、望ましいとすら言える。
 田原は文句があるなら、国民代表議会が制定した法律の条項そのものを批判すべきだ。また、今回「命令」の対象としようとしているのは「拉致問題」という被害者国民にとどまらない国家的課題だ。国直轄の、国の下級行政機関としての放送機構がない以上、別法人であれいずれかの放送機関に放送「命令」を発せられなくて国家を維持できるとは思われない。例えば、外国からミサイルが日本に向かった場合、日本国内で外国人工作員によるテロ等の事件が生じた場合、政府の状況認識・見解等々を正確に国民が知ることができなければ、不安・混乱は増すばかりだ。民放を含む「自発的」な放送のみで十分なのか、賢明な田原は考えてほしい。抽象的な国家権力と報道機関の関係の問題ではない。
 立花隆とはどう評価されている人かを知りたくて5冊ほど立花論評本を最近買った。
 十分に読んではいないが、現実の日本社会全般とその近未来を適切に論じる知識も能力もなさそうな人物と見てどうやらよさそうだ。

-0068/美智子皇后と日本の文化勲章を拒否した大江健三郎。

 先月の10/20に美智子皇后は72歳になられた。その日は偶然三紙を読めたが、美智子皇后に関する記事の大きさ(広さ)は目分量で、産経を5とすると読売は4、朝日は1だった。皇室への態度の違いが反映されていると見るべきだろう。
 皇室といえば、大江健三郎が明確に語っていないとしても、かつての自衛隊や防衛大学校生に関する発言から見て、彼が反天皇・皇族心情のもち主であることは疑いえない。ノーベル文学賞を受けた1994年に文化勲章受賞・文化功労者表彰を拒んだ際に「戦後民主主義」者にはふさわしくない、「国がらみ」の賞は受けたくないとか述べたようだが、彼は要するに、天皇の正面に向かい合って立ち、天皇から受け取る勇気がなかったか、彼なりにそれを潔しとはしなかったからではないか。明確に語らずとも、怨念とも言うべき反天皇・皇室心情をもって小説・随筆類を書いてきたからだ。
 だが、「戦後民主主義」者を理由とするのは馬鹿げている。大江にとって天皇条項がある「民主主義」憲法はきっと我慢ならない「曖昧さ」を残したもので、観念上は天皇条項を無視したいのだろうが、「戦後民主主義」にもかかわらず天皇と皇室の存在は憲法上予定されている。
 敗戦時に10歳(憲法施行時に12歳)で占領下の純粋な?「民主主義」教育を受けた感受性の強く賢い彼にとって天皇条項の残存は不思議だったのかもしれないが、憲法というのは(法律もそうだが)矛盾・衝突しそうな条項をもつもので、単純な原理的理解はできないのだ。
 「国がらみ」うんぬんも奇妙だ。彼が愛媛県内子町(現在)に生れ、町立小中学校、県立高校で教育を受け、国立東京大学で学んだということは、彼は「国」の教育制度のおかげでこそ、(間接的な)「国」の金銭的な支援によってこそ成長できたのだ。「国がらみ」を否定するとは自らを否定するに等しい。そんなに日本「国」がイヤなら、中国にでもキューバにでも移住し帰化したらどうか。
 大江は一方ではスウェーデン王立アカデコーが選定し同国王が授与する賞、かつ殺人の有力手段となったダイナマイト発明者の基金による賞は受けた(スウェーデン王室は17世紀以降の歴史しかない)。さらに、2002年には皇帝ナポレオン1世が創設したフランスの某勲章を受けた、という。
 天皇が選定の判断に加わっているはずもない日本の文化勲章のみをなぜ拒否するのか。その心情は、まことに異常で「反日」的というしかない。その彼は月刊WiLL12月号によると9月に「中国土下座の旅」をし、中国当局が望むとおりの「謝罪」の言葉を述べ回った、という。「九条を考える会」の代表格の一人がこうなのだから、この会の性格・歴史観もよくわかるというものだ。


ギャラリー
  • 2679/神仏混淆の残存—岡山県真庭市・木山寺。
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  • 2354/音・音楽・音響⑤—ロシアの歌「つる(Zhuravli)」。
  • 2333/Orlando Figes·人民の悲劇(1996)・第16章第1節③。
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  • 2320/レフとスヴェトラーナ27—第7章③。
  • 2317/J. Brahms, Hungarian Dances,No.4。
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  • 2309/Itzhak Perlman plays ‘A Jewish Mother’.
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  • 2305/レフとスヴェトラーナ24—第6章④。
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  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
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  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
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  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
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  • 2277/「わたし」とは何か(10)。
  • 2230/L・コワコフスキ著第一巻第6章②・第2節①。
  • 2222/L・Engelstein, Russia in Flames(2018)第6部第2章第1節。
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  • 2203/レフとスヴェトラーナ12-第3章④。
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  • 2179/R・パイプス・ロシア革命第12章第1節。
  • 2152/新谷尚紀・神様に秘められた日本史の謎(2015)と櫻井よしこ。
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  • 2151/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史15①。
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  • 2136/京都の神社-所功・京都の三大祭(1996)。
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  • 2118/宝篋印塔・浅井氏三代の墓。
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  • 2102/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史11①。
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  • 2101/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史10。
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  • 2098/日本会議・「右翼」と日本・天皇の歴史08。
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