橋下徹が大阪市長選で勝利。大阪府知事選でも大阪維新の会の松井一郎が当選。
 感想や書きたいことは多い。
 (日本)共産党は大阪市内で最低でも10万票くらいあると言われていたが、独自候補を降ろして民主党等と「統一戦線」を組んでも、共産党のいう「独裁」者・橋下に勝てなかった。府知事選でも、独自候補・梅田某と民主党・自民党推薦の倉田某の票を合わせても、松井の得る票数を下回るようだ。独自の府知事候補を立てていなければ、という可能性も否定されたことになる。府・市いずれも慶賀すべきことだ。
 なぜ、日本共産党はすでに自民党(大阪府)も推薦している候補を勝手連的に支持してまで橋下徹の「野望を打ち砕く」(敗戦後の梅田某の言葉)ことを企図したのか。
 なぜ、はるばると札幌(北海道)から、山口二郎中島岳志(いずれも北海道大学教授)という「左翼」教授が飛んできて、民主党等の候補・平松某と並んで立って反橋下演説をぶったのか(中島岳志は西部邁グループでもあるので注記が必要だが、省略)。
 なぜ、佐高信香山リカ等の「左翼」知名人は大阪まで行って橋下徹攻撃をしたのか。元社民党・現在民主党の辻元清美が反橋下で演説したのは大阪出身なので当然として、あえて念頭には置かない。
 それは、橋下徹に、明瞭な<反左翼>心情(>「反共」意識)があることに気づいていたからではないか、と思われる。
 そうでないと、日本共産党を含む、執拗とも思える<反橋下>の動きを理解できない。
 橋下徹の人間・言説を十分には知らないが、かつての日弁連執行部(日弁連に「巣くう活動家」)批判らしきものを仄聞していると、おそらく橋下はやはり明確な<反左翼>主義者だろう。
 そして、民間テレビ局出身の典型的な<戦後民主主義者>と見える平松某とは異なり、既存の<戦後体制>らしきものを壊そうと藻掻いているのが橋下徹であるように見える。
 その点を私は肯定的に評価しているのだが、従来の<平和と民主主義>体制の維持(・強化)を意図する「左翼」勢力にとっては、(「自由と民主主義はもうやめよう」と説く佐伯啓思と同じように?)橋下はきわめて<危険な>人物だと判断されたのではないか。
 将来はまだ未知数のところはあるが、現状を大きく逸脱・変化させるだけの意図も力もないことが明らかだと見える平松某に比べるのは平松某に気の毒なほどに、橋下はかなりの可能性を秘めた人物だ。
 石原慎太郎(東京都知事)は最終日に大阪市へ行ったらしいが、「出自に関する暴露的な報道」に「義憤」を感じて、だとも伝えられている(読売新聞11/26ほか。マスコミ・週刊誌の問題は別の機会に書く)。
 と同時に、石原慎太郎は橋下徹について「見所がある」と評価していたとも伝えられている。
 石原慎太郎は、橋下徹のうちに自らが持つのと同じような心性・心情のあることを感じとっていたのではないか。
 自民党幹事長・石原伸晃は愚かにも父親が大阪へ行くのを(少なくとも最終日までは)止めた、という情報もある。
 自民党(とくに大阪)についても別に書く。
 ともあれ、日本共産党が集中攻撃していた「反左翼」橋下徹らの勝利は目出度いことだ。逆の結果であるよりは、はるかに精神衛生によい。
 なお、橋下徹らが表向き「反左翼」であることは、もともとは自民党・公明党の支持を受けて民主党の候補を破って大阪府知事になったのであること、松井一郎はもともとは自民党選出の大阪府会議員だったことでも明らかなことだ。
 だが、長期的な将来や日本全体のことを考えている「左翼」陣営は(佐高信はもちろん、山口二郎や中島岳志を含む)、表向き以上の(思想にまで及ぶ?)<危険性>を橋下徹のうちに見ていたに違いない、と思っている。それで、とりあえず、このような一文になった。