サピオ4/23号(小学館)。小林よしのりが、沖縄集団自決「命令」損害賠償等請求にかかる大阪地裁2008.03.28判決につき、「裁判官の『無知』、そして大江健三郎氏と朝日新聞の『詭弁』」というサブ・タイトルで「緊急発言」を書いている(p.96-97)。
 この訴訟は「右派がイデオロギーや運動のためにやっているのではないか」、原告の一人・梅澤裕元座間味戦隊長は被告をむしろ沖縄タイムス社とすべき、という最初の方については賛否を留保したいが、あとは、小林の主張・指摘を全面的に支持する。
 小林は深見敏正裁判長は「朝日新聞の愛読者」と見て「差し支えない」と断言する。上記判決は集団自決の場所にはすべて日本軍が駐屯していた、非駐屯地では集団自決は発生しなかった旨書いたようだが、小林によると、この旨は朝日新聞が「必ず引き合いに出すフレーズ」だ、という。
 その他は、私がすでに指摘したのとほとんど同旨。<「朝日は論理のすり替えを行った」。「軍の命令」と「軍の関与」は「まったく違う」>。
 また、1年ほど前にも私は大江の<創作力>=<捏造力>に言及したのだったが、小林は、大江健三郎は「延々6ページにもわたって赤松隊長の誹謗中傷を続けている」とし、大江の『沖縄ノート』からかなり直接引用して例示し、「自分勝手に赤松隊長の心情をつくり上げている」と書く。そして言う、「これが名誉毀損でなくて一体何というのだ」、「極限の中傷であり、これで名誉毀損でなければ、もはや何でも書ける」。
 小林よしのりはなかなか鋭い。大阪地裁という第一審の判決が出たにすぎないのに朝日新聞3/28夕刊が「軍の関与・司法も明言」との見出しを付けたことを皮肉っている。そのとおりで、「司法」の確定的判断はまだ出ていないのだ。<「司法」の一部の大阪地裁という下級機関>、が正しい。
 それにしても、p.96の写真によると、朝日新聞3/28夕刊は一面右上トップで「大江さん側」が勝訴等の見出しとともにこの判決を大きく取り上げ、記者会見する大江の顔の大写し的写真も掲載している。喜んで、<はしゃいでいる>。
 翌日の社説の内容しか知らなかったが、朝日新聞とは異様な新聞だとますます確信する。