「音階あそび」を続ける。
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一 これまでに導き出した1オクターブ内7音(最後を含めて8音)音階は、つぎの五種だった。便宜的に、M、N、P、Q、Rと称する。すでに見たように、XX-02とZZ-01は同じ結果になる。
M/XX-01。①1、②(9/8)、③(81/64)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(243/128)、⑧2。
N/XX-02=ZZ-01。①1、②(9/8)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(16/9)、⑧2。
P/ZZ-02。①1、②(256/243)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(128/81)、⑦(16/9)、⑧2。
XX-03とZZ-03はβ=(32/27)の2乗根=√(32/27)という数値を使い、分数表記ができないので、同列に扱い難い。いちおうは「7音(8音)音階」に含めつつ、叙述の対象としては後回しにする。
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二 さて、新しい音を発見する手がかり・方法にしてきたのは、第一に、各音の間差(周波数比の差異)が最も大きい箇所を見出すこと、第二に、その間差をすでに得ている数値を用いて二分割することだった。2音を二つに分割すれば、新しい1音が得られる。
最大の間差は、3→5の第一段階では、(4/3)だった。
最大の間差は、5→7の第二段階では、(32/27)だった。
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そこで、上の五種の7(8)音音階について、隣り合う各音の間差を求めてみる。最後の音を含めて8音があるので、間差は7箇所で見られることになる。まず、上のM、N、Pについて確認する。
M/XX-01について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(9/8)、②-③(9/8)、③-④(256/243)=(4/3)÷(81/64)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)、⑥-⑦(9/8)、⑦-⑧(256/243)=2÷(243/128)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の③-④と⑦-⑧はいずれも(256/243)だ。
M①1—<9/8>—②9/8—<9/8>—③81/64—<256/243>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<9/8>—⑦243/128—<256/243>—②2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WWhWWWh。
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N/XX-02=ZZ-01について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(9/8)、②-③(256/243)=(32/27)÷(9/8)、③-④(9/8)=(4/3)÷(32/27)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)=(27/16)÷(3/2)、⑥-⑦(256/243)=(16/9)÷(27/16)、⑦-⑧(9/8)=2÷(16/9)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の②-③と⑥-⑦はいずれも(256/243)だ。
N①1—<9/8>—②9/8—<256/243>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<256/243>—⑦16/9—<9/8>—⑧2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WhWWWhW。
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P/ZZ-02について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(256/243)、②-③(32/27)÷(256/243)=(9/8)、③-④(4/3)÷(32/27)=(9/8)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(128/81)÷(3/2)=(256/243)、⑥-⑦(16/9)÷(128/81)=(9/8)、⑦-⑧2÷(16/9)=(9/8)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の①-②と⑤-⑥はいずれも(256/243)だ。
P①1—<256/243>—②256/243—<9/8>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<256/243>—⑥128/81—<9/8>—⑦16/9—<9/8>—②2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、hWWWhWW。
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三 間差についての結論はいずれも、<最大の間差は5箇所ある9/8、残りの2箇所はいずれも(256/243)>だ。
これまでの新しい音発見の方法は最大の間差を二分割することだったが、ここでは、最大の間差である同じ9/8の箇所が5つもある。
この9/8を二分割することは、つぎのとおり、不可能ではない。
これまでに用いてきた数値で9/8よりも小さいのは(256/243)だ。よって、(9/8)=(256/243)×γまたは(9/8)=γ×(256/243)となる「γ」の数値を求めれば、新しい音が得られる(ちなみに、γ=(2187/2048)=約1.0679だ)。
しかし、五つある(9/8)のうちどの箇所を二分割するか、という重大な問題に直面せざるを得ない。
そしてまた、ある(9/8)の箇所は二分割し、残りの(9/8)の箇所は二分割しないとすれば、常識的にはきわめて不均衡または無秩序な、一貫性・合理性のない音階になってしまうだろう。
とすると、五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割するしかない、と考えられる。
——
四 五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割すれば、その結果はどうなるか?
7音(8音)音階に新たに5音が加わって、「12音(13音)」音階が形成されるだろう。
「ドレミ…」7音音階というのは「主要」7音(8音)と「副次」5音との計12(13)音で1オクターブを構成するものだった。
これに対して、上では、「主要」12音(13音)自体が1オクターブ内の「音階」を構成することになる。
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五箇所ある(9/8)のうち1箇所、2箇所、または3箇所だけ選んで新しい音を一つ、二つまたは三つ加えて8音(9音)音階、9音(10音)音階または10音(11音)音階を作るようなことは不可能だと考えられる。
「7音(8音)音階」はこれを生み出した方法を継続して新しい音を発見しようとすると、結局は「12音(13音)音階」になるしかない。「8音(9音)音階」や「9音(10音)音階」はできない。
以上のことは、<「ドレミ…」はなぜ7音か>の一つの答えになっている、と考える。
——
追 なお、実際に、計算作業を行なっておこう。なお、乗じる数値に(256/243) とγの二種があり得る場合、つねに(256/243)を先に置くこととする。< >内は間差。
(1) M①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④96/81—<γ>—⑤81/64—<256/243>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<γ>—⑫243/128—<256/243>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
(2) N①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
(3) P①1—<256/243>—②256/243—<256/243>—③65536/59049—<γ>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<256/243>—⑩32768/19683—<γ>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
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これらの数値は、ピタゴラス音律や純正律のいずれかの1オクターブ12音の各数値と全てが同じではない。〈十二平均律〉とは、1、2以外は全て異なる。
(256/243)=約1.0535、γ=(2187/2048)=約1.0679。ちなみに、〈十二平均律〉での「半音」=12√2=2の12乗根=約1.059463。
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つづく。
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一 これまでに導き出した1オクターブ内7音(最後を含めて8音)音階は、つぎの五種だった。便宜的に、M、N、P、Q、Rと称する。すでに見たように、XX-02とZZ-01は同じ結果になる。
M/XX-01。①1、②(9/8)、③(81/64)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(243/128)、⑧2。
N/XX-02=ZZ-01。①1、②(9/8)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(16/9)、⑧2。
P/ZZ-02。①1、②(256/243)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(128/81)、⑦(16/9)、⑧2。
XX-03とZZ-03はβ=(32/27)の2乗根=√(32/27)という数値を使い、分数表記ができないので、同列に扱い難い。いちおうは「7音(8音)音階」に含めつつ、叙述の対象としては後回しにする。
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二 さて、新しい音を発見する手がかり・方法にしてきたのは、第一に、各音の間差(周波数比の差異)が最も大きい箇所を見出すこと、第二に、その間差をすでに得ている数値を用いて二分割することだった。2音を二つに分割すれば、新しい1音が得られる。
最大の間差は、3→5の第一段階では、(4/3)だった。
最大の間差は、5→7の第二段階では、(32/27)だった。
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そこで、上の五種の7(8)音音階について、隣り合う各音の間差を求めてみる。最後の音を含めて8音があるので、間差は7箇所で見られることになる。まず、上のM、N、Pについて確認する。
M/XX-01について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(9/8)、②-③(9/8)、③-④(256/243)=(4/3)÷(81/64)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)、⑥-⑦(9/8)、⑦-⑧(256/243)=2÷(243/128)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の③-④と⑦-⑧はいずれも(256/243)だ。
M①1—<9/8>—②9/8—<9/8>—③81/64—<256/243>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<9/8>—⑦243/128—<256/243>—②2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WWhWWWh。
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N/XX-02=ZZ-01について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(9/8)、②-③(256/243)=(32/27)÷(9/8)、③-④(9/8)=(4/3)÷(32/27)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)=(27/16)÷(3/2)、⑥-⑦(256/243)=(16/9)÷(27/16)、⑦-⑧(9/8)=2÷(16/9)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の②-③と⑥-⑦はいずれも(256/243)だ。
N①1—<9/8>—②9/8—<256/243>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<256/243>—⑦16/9—<9/8>—⑧2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WhWWWhW。
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P/ZZ-02について。各音を①〜⑧と表現する。
間差。①-②(256/243)、②-③(32/27)÷(256/243)=(9/8)、③-④(4/3)÷(32/27)=(9/8)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(128/81)÷(3/2)=(256/243)、⑥-⑦(16/9)÷(128/81)=(9/8)、⑦-⑧2÷(16/9)=(9/8)。
最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の①-②と⑤-⑥はいずれも(256/243)だ。
P①1—<256/243>—②256/243—<9/8>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<256/243>—⑥128/81—<9/8>—⑦16/9—<9/8>—②2。
なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、hWWWhWW。
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三 間差についての結論はいずれも、<最大の間差は5箇所ある9/8、残りの2箇所はいずれも(256/243)>だ。
これまでの新しい音発見の方法は最大の間差を二分割することだったが、ここでは、最大の間差である同じ9/8の箇所が5つもある。
この9/8を二分割することは、つぎのとおり、不可能ではない。
これまでに用いてきた数値で9/8よりも小さいのは(256/243)だ。よって、(9/8)=(256/243)×γまたは(9/8)=γ×(256/243)となる「γ」の数値を求めれば、新しい音が得られる(ちなみに、γ=(2187/2048)=約1.0679だ)。
しかし、五つある(9/8)のうちどの箇所を二分割するか、という重大な問題に直面せざるを得ない。
そしてまた、ある(9/8)の箇所は二分割し、残りの(9/8)の箇所は二分割しないとすれば、常識的にはきわめて不均衡または無秩序な、一貫性・合理性のない音階になってしまうだろう。
とすると、五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割するしかない、と考えられる。
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四 五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割すれば、その結果はどうなるか?
7音(8音)音階に新たに5音が加わって、「12音(13音)」音階が形成されるだろう。
「ドレミ…」7音音階というのは「主要」7音(8音)と「副次」5音との計12(13)音で1オクターブを構成するものだった。
これに対して、上では、「主要」12音(13音)自体が1オクターブ内の「音階」を構成することになる。
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五箇所ある(9/8)のうち1箇所、2箇所、または3箇所だけ選んで新しい音を一つ、二つまたは三つ加えて8音(9音)音階、9音(10音)音階または10音(11音)音階を作るようなことは不可能だと考えられる。
「7音(8音)音階」はこれを生み出した方法を継続して新しい音を発見しようとすると、結局は「12音(13音)音階」になるしかない。「8音(9音)音階」や「9音(10音)音階」はできない。
以上のことは、<「ドレミ…」はなぜ7音か>の一つの答えになっている、と考える。
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追 なお、実際に、計算作業を行なっておこう。なお、乗じる数値に(256/243) とγの二種があり得る場合、つねに(256/243)を先に置くこととする。< >内は間差。
(1) M①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④96/81—<γ>—⑤81/64—<256/243>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<γ>—⑫243/128—<256/243>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
(2) N①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
(3) P①1—<256/243>—②256/243—<256/243>—③65536/59049—<γ>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<256/243>—⑩32768/19683—<γ>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
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これらの数値は、ピタゴラス音律や純正律のいずれかの1オクターブ12音の各数値と全てが同じではない。〈十二平均律〉とは、1、2以外は全て異なる。
(256/243)=約1.0535、γ=(2187/2048)=約1.0679。ちなみに、〈十二平均律〉での「半音」=12√2=2の12乗根=約1.059463。
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つづく。