Leszek Kolakowski & Stuart Hampshire, ed, The Socialist Idea - A Reappraisal.(Basic Books, Inc. Publishers, New York, printed in Great Britain, 1974).
 この項の前回に意識的に割愛した、この書物のL・コワコフスキによる「序文」の一部は、英訳を試みると、つぎの一文だ。訳出上、二文に分ける。
 会合・シンポジウムの報告には種々の不備があったので、「会合では存在しなかった三論文を追加した」、に続けてこうある。
 「それらのうち二つは、Richard Lownthal およびGilles Martinet のもので、1972年4月に東京で開催された『変化する社会における社会主義』と題する国際セミナーで報告された。
 これは、文化的自由のための国際協会〔International Association for Cultural Freedom〕および二つの日本の雑誌と連携した日本文化フォーラム〔Japan Cultural Forum〕によって、後援(財政支援)された。」
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 L・コワコフスキ編の1974年著のL・コワコフスキ執筆の文章の中に、その当時の日本の団体または組織が出てくる。
 これはいったいどの団体のことだろうか。現在でもあるのだろうか。
 上の書物全体を読んだわけでは全くないが、「反共産主義・反社会主義」ないし「自由主義」志向の団体・組織だろう。
 厳密には暫定的な結論だが、少なくとも現在ある、1997年設立の日本会議(事務総長・椛島有三)とは全く関係がない、と考えられる。L・コワコフスキと少なくとも間接的には関係または接触があった日本の<保守>=<反共・自由主義>の諸団体の性格または基本姿勢・基本思潮を、この日本会議は継承していない、と考えられる。
 日本会議は「保守」ではない。むしろ、強いていえば「右翼」だ。
 そして、この欄ですでに書いたことだが、日本共産党と日本会議は決して真反対の位置にいるのではなく、その方向は45度も開いてはいない。
 あるいは、これも記したように、櫻井よしこら日本会議派は「過去と伝統」に理想を、不破哲三ら日本共産党は「未来」に理想を求める。そして、その観念的思考ぶりには、十分に共通性がある。