秋月瑛二の「憂国」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

1989年

0952/「左翼・容共」政権とブレジンスキー・大いなる失敗(1989)。

 一 1989年、昭和から平成に代わったこの年の11月、ベルリンの壁の崩壊。だが、この時点ではまだ、ドイツ民主共和国(東ドイツ)もソビエト連邦も残存していた。なお、6月に中国・北京で天安門事件発生。ハンガリーとチェコスロバキアの「自由」化だけは、10月~11月に進んでいる(後者がいわゆる「ビロード革命」)。

 この頃、10月に、ブレジンスキー(伊藤憲一訳)・大いなる失敗―20世紀における共産主義の誕生と終焉(飛鳥新社)は刊行されている。

 6月に書かれた日本語版への序文の中でブレジンスキーは、近い将来の「共産主義の死滅」を前提としつつ、<死滅の仕方>を問題にして、東欧と中国では異なるだろう等と述べる。そして、こう結んでいる-「共産主義が…どのような衰退の道をたどるとしても、われわれの時代の基本的な性格は『人類の政治史上における脱共産主義の段階への入り口にさしかかった時代』と定義することができるだろう」(p.5-7)。

 伊藤憲一の「訳者あとがき」はこの本を読まずして「二〇世紀の回顧や二一世紀の予測」はできないとしつつ、ブレジンスキーの叙述の「結論」をこうまとめている。

 「二〇世紀を語ることは、同時に共産主義を語ることでもある」。「二〇世紀は、共産主義の誕生と死滅を目撃した世紀だから」。「二〇世紀はロシア革命に始まる共産主義の挑戦を受けて始まり」「一時はとくに知識人の間で」資本主義に対する優位も語られた。しかし、「後半に入るとともに次第に共産主義の衰退があらわとなり、いまや世紀末を迎え人類はその最終的死滅を目撃しつつある」(p.360)。

 伊藤によれば、ブレジンスキーは共産主義が「たんなる政治理論」ではなく「偉大な宗教にも匹敵する人間にとっての万能薬」で、「人間の感情と理性の双方に働きかける怪物」だったことを「説き明かし」た、という(p.361)。

 別の機会にそのあとの中間の叙述は紹介するとして、伊藤は最後を、次のようにまとめている。

 ブレジンスキーは「二〇世紀、人類は共産主義と遭遇し、大きな被害を受け」、「非常に重要な教訓」を学んだとしたが、「日本人」はこの教訓を「わがものに…できるのだろうか」。1989年参議院選挙で自民党大敗と社会党躍進があったが「体制選択というマクロな争点」から目を逸らしてはいけない。このことは「とくに社会党のなかに…マルクス・レーニン主義の信奉者が強力な勢力を温存している」ので、「とくに重要」だ。「体制選択をめぐって、不勉強かつ不毛な議論―世界の常識からかけ離れた時代遅れの議論―を繰り返さないためにも」、最低限度ブレジンスキーのこの本の指摘程度のことは「国民共有の知識としておきたい」。この本の内容は、「いまや人類共有の…体制比較の常識論」だからだ(p.365-6)。

 二 さて、「社会党」の中に20年前にいた「マルクス・レーニン主義の信奉者」またはその継承者のかなりの部分は、現在は民主党の主流派(内閣内の重要部分)を形成している。

 このことは、上の伊藤の言葉によれば<体制選択>にかかわる重要な事実だ。

 菅直人個人や谷垣禎一個人の「思想」あるいは考え方に焦点をあてて、民主党政権と自民党は「同根同類」だなどとする櫻井よしこら一部保守派の議論は、基本的・本質的な問題・争点の把握ができていない。現在の民主党政権は基本的には<左翼・容共>政権だ。米国クリントン国務長官が日本の現首相・内閣よりも、韓国の(保守派)李明博政権に親近感をもって(?)、日本よりも先に韓国の名前を挙げたらしいのは、もっともだと思える。

 民主党が昨年の総選挙で大勝した大きな理由は、その<左翼・容共>性「隠し」に成功したことにあるだろう。なるほど現在の民主党全体をかつての日本社会党と同一視することはできない。しかし、明らかな<左翼・容共>主義者を重要閣僚として取り込んでいるのが民主党内閣であり、そのことは<安保・防衛>にかかわる具体的問題が発生するや、ほとんど白日の下に曝されてしまった。

 菅直人政権と谷垣自民党はその「リベラル」性で「同根同類」? 馬鹿なことを言ってはいけない。歴史的に見ても、「リベラル」(日本的・アメリカ的にいう「リベラリズム」)の中に巧妙に隠れてきたマルクス主義あるいはコミュニズムの怖さをあらためて思い起こす必要がある。

 伊藤憲一によれば、「単純な人々も教養ある人々」も共産主義「思想」を受け入れて、「歴史的な方向感覚と道徳的な正当性を与えられ、自己の正しさを疑うことなく、このドクトリンの指示に貢献した」。したがって、マルクス主義の「理論的誤謬を科学的に批判しても…共産主義者に動揺を与えることはできなかった」、「特定の宗教の教理の誤りや矛盾をいかに指摘してみたところでその信者がまったく動揺しないように」(上掲書p.362)。

 いくら具体的事項・問題について詳細に批判したところで、かつその批判は正当なものだったとしても、本来のマルクス主義者(社会主義者あるいは強固な「社会主義幻想」保持者)は、基本的なところでは決して<改心>などはしない、ということは肝に銘じておく必要がある。

 民主党内の何人かの氏名と顔が浮かぶ。それにまた、「共産主義」を綱領に今なお掲げる政党(日本共産党)が堂々と存在している日本とは、「人類共有」であるべき「体制比較の常識論」からしてもまったくの異常・異様な国家であることもあらためて強く感じる。この異様さへの嫌悪に耐えて、あと少しは生きてはいくだろう、自分は日本人だから。

0740/読書メモ-小林よしのり・天皇論、西村幸祐責任編集・世界を愛した日本(オークラ出版)+辻村みよ子。

 〇今月6/05(金)~6/07(日)に、小林よしのり・天皇論(小学館、2009)を全読了。為備忘。
 〇辻村みよ子・フランス革命の憲法原理―近代憲法とジャコバン主義日本評論社、1989.07)はずっと以前に入手しているが、読むに至っていない。副題に見られるように「ジャコバン主義」=「モンターニュ派」・ロベスピエールの「主義」を中心とする研究書のはずで、(未施行の)フランス1793年憲法=「ジャコバン」憲法を主対象とする。
 出版年月の1989.07というのは微妙な年月だ。翌年のドイツ再統一(「社会主義」東独の消滅)、翌々年の「社会主義」ソ連解体のあとであれば、こんな副題をもつ研究書を<恥ずかしげもなく>刊行できたかどうか。いわゆる<フランス革命>の過程中の「ジャコバン主義」時代こそ、「人民主権」=「人民民主主義」=「プロレタリア独裁」の実験時で、<早すぎた>がゆえに失敗した、という説明もある(マルクス主義に立つ河野健二ほか)からだ。
 巻末の「主要参考文献一覧」を見て気づくことはルソーやロベスピエールの著作の原典を直接には読んでいないようであることだ。そもそもロベスピエールには知られた著書はないのかもしれないが、ルソーについても、桑原武夫他訳の岩波文庫「社会契約論」が挙げられているだけで、ルソー「人間不平等起源論」は邦訳書であっても上の「一覧」にはない。素人ながら、「ジャコバン主義」の理解に当たって、マルクスの<原始共産制>の叙述を想起させるような(「自然」=「未開」状態の叙述・理解がルソーとマルクスとで全く同様だとの趣旨ではない)「人間不平等起源論」の内容の理解は重要だと思われるのだが。
 また、「反共」主義であっても、ハイエクの著作が挙げられていないことは仕方がないとしても、ハンナ・アレントの著作が何ら挙げられていないことは気になる。
 ハンナ・アレントは「革命について」、「全体主義の起源」といった著作をすでに刊行していて、邦訳書もあった。前者に限れば、1968年(合同出版)、1975年(中央公論社)に邦訳書が出ている。
 そして、上の後者を基礎にしたアレント・革命について(ちくま学芸文庫、1995。志水速雄訳)の「解説」者・川崎修によると、この本は「アメリカ独立革命とフランス革命との比較史的研究」であり、アレントはマルクス主義によるフランス革命解釈(「逆算」)から「解放」したのではなく、マルクス主義によるフランス革命解釈=後からの「逆算」的解釈を「転倒」させただけの、「かなりの程度マルクス主義的に理解されたフランス革命への批判」をした、とある程度は批判的なコメントもある。
 アレントのフランス革命論又は川崎修のその「解釈」の当否はともあれ、フランス革命理解にとって、ハンナ・アレントの著作は1980年以前においてすでに看過できないものになっていたのではないのだろうか。
 「修正主義」への言及も冒頭にはあり、F・フュレの原著も参考文献に挙げられてはいるが、辻村みよ子の上の著は、所詮は<主流派>=マルクス主義的解釈によるフランス革命・「ジャコバン主義」論を土台にし、かつそれを支持したうえでのもののような気がしてならない。
 〇西村幸祐責任編集・世界を愛した日本(オークラ出版・撃論ムック、2009)も、「中学歴史教科書2009年度版徹底比較」(全読了)を含めてすでにある程度は読了。
 表紙に「『諸君!』さらばと言おう。」と大きくあるが、中身には、雑誌「諸君!」に関する記事・論考が一つもないのはどういうわけか。あまり遊んでもらっても困る。

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