昨日入手した新書本二つ。従来もこんな記録を残したことはないし、今後の慣例にするつもりもないが。
 ①奥武則・論壇の戦後史(平凡社新書、2007)。補章・あとがき・序章・第一章の順で、これらだけ読了。専門書の重厚さを期待はできず、「切り取り方」(p.252)も単純もしくは表面的又は大勢順応的なような気がしないでもないが、戦後思想史を概観するうえで、参考にはなりそうだ。
 ②飯尾潤・日本の統治構造(中公新書)。何とか賞受賞というだけで購入してみた。「はじめに」を読んだだけ。1962年生という著者の若さに驚いた。<政治とマスコミ>、<選挙とマスコミ>、<大衆民主主義下の政治・選挙・官僚とマスコミ>といったテーマのきちんとした文献を読みたいし、探しているのだが、この本でもこうした論点にはたぶんほとんど言及がないだろう。
 以上、いずれも推薦?図書として記したわけではない。まだ読了していない。
 上杉隆・政権崩壊-安倍政権迷走の一年(新潮社、2007)はひと月以上前に入手して読了しているが、安倍政権に対するマスコミ、とくに朝日新聞の姿勢に関する言及が全くないという点が私には印象に残った点の一つだった。
 上杉隆は文筆業者、政治ノンフィクションライターとして、マスコミを含む出版業界で生きていくために、広い意味では同業者といえる朝日新聞等への批判的言及・批判的言辞を、いや批判的であろうとなかろうと、朝日新聞等の動向に関する多少とも詳細で具体的な叙述を、意識的に避けたのではなかろうか。文筆業者、文章販売業者として生きていくための処世術かもしれないが、せっかくの「内幕」の叙述も、上の点でかなり減点になると、私は、奇妙な読み方かもしれないが、感じた。書いていないことも重要なのだ。