一 憲法記念日、5/3の朝日新聞。一面左上に、「憲法について朝日新聞社が実施した全国世論調査」の結果の要点が載っている。
 付されている見出しで最大のものは「9条改正67%反対」、続いて「『平和に役立つ』7割」。
 この見出しの付け方は、世論調査の結果のうち朝日新聞にとって好ましい部分を特記している。これらの見出しの内容自体が調査結果から逸脱しているのではなさそうだ。だが、これらを選ぶこと自体が、朝日新聞の<体質>を表している。一面記事の署名は、「石原宗幸」。「左翼」心情者あるいは九条護憲教の信者なのだろう。
 二 3面に正確な諸データが載っている。
 1.一面に最小の活字で書いてはいるが、<憲法全体についての改正の要否>の問いについては、改正の「必要がある」47%、「必要はない」39%。朝日新聞はこの数字は軽視したいようだ。
 改正必要・改正不要の理由の問いもあり、改憲派の「15%」が「9条に問題があるから」、10%が「自分たちで新しい憲法を作りたいから」。一方、護憲派の「33%」が「9条が変えられるおそれがあるから」。
 これによると、9条護持を理由としての改正不要(護憲)派は、39%×33%で約13%。一方、9条を問題視しての改正必要(改憲)派は47%×15%で約7%になる。これに「自分たちで新しい憲法を作りたいから」も加えると、47%×25%で約12%だ。
 朝日新聞が報道したい見出しからする印象よりも、9条にかかわる憲法改正問題の世論調査において、改正必要(改憲)派はかなり頑張っている(なお多く存在している)と評すべきではなかろうか。
 9条護持のための護憲派13%に対して、9条を問題視する改憲派は7%、「自主」憲法作りを理由とする改憲派をも含めると12%になる。ほぼ拮抗している、とも言える。
 2.「9条改正67%反対」という見出しの根拠になっている数字が出ている問いの文章は、「憲法は9条で『戦争を放棄し、戦力は持たない』と定めています。憲法9条を変える方がよいと思いますか。変えない方がよいと思いますか」。回答は前者24%、後者が(見出しになっている)67%。
 この数字もなお24%というほぼ1/4が9条改正賛成であることを示しており、かなり明確な9条改憲「潮流」はあることを示している、とも読めるだろう。
 上のことよりも気になるのは、朝日新聞の質問が、「憲法は9条で『戦争を放棄し、戦力は持たない』と定めています」という文のようであることだ。戦争についての侵略戦争と防衛(自衛)戦争の区別はなく、9条1項と2項の意味の違いも何ら説明もしていない。
 細かいことを言っても読者(素人)は分からないとバカにしているのかもしれないが、こんな質問文が通用しているがゆえにこそ、9条の1項と2項の意味の違いを知らずに、たんに9条全体が「『戦争を放棄し、戦力は持たない』と定めて」いる、というだけの理解が大多数国民に蔓延しているのだと思われる。
 3.つぎの質問に対する回答結果はかなり興味深い。質問は「いまの憲法9条は、これからの日本の平和や東アジアの安定に、どの程度役立つと思いますか」。回答は、「大いに」16%、「ある程度」54%、「あまり役立たない」19%、「まったく役立たない」3%。
 9条の<平和>貢献度につき、計22%が「あまり」または「まったく」役立たないとしていることも興味深い。ほぼ5人か4人に一人が<クール>に見ている。
 より興味深いのは、一面見出しには「『平和に役立つ』7割」と謳っているにもかかわらず、そのうち「大いに」は16%にすぎないことだ(「ある程度」も含めて「7割」になる)。
 ギリギリ捏造見出しにはならないだろうが、それはともかく、「これからの」ではあれ「日本の平和や東アジアの安定」に9条が「大いに役立つ」とするのは16%にすぎない
 社民党は全体として、共産党や同党員の少なくとも一部は、<9条があったからこそ、日本の平和は守られてきた>と理解し、主張してきたはずだ。この主張・見解をそのままに支持している者は16%程度しか存在しない、ということを意味しているように思われる。国民はけっこうリアルに判断し、感じているのではないか。むろん、こんなことを、朝日新聞は指摘したり、強調したりはしていない。さすがに、「左翼」朝日新聞。
 朝日新聞5/3の記事についてはまだ書きたいことがあるが、別の機会にする。