秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

東アジア

0905/月刊正論11月号・中西輝政論文等-冷戦。

 一 月刊正論11月号(産経、2010)の巻頭、中西輝政「中国の無法を阻止する戦略はあるか」
 巻頭言にしては長い。p.33-44の二段組み、計12頁。
 「東アジア全体が、…『冷戦』に突入しているのである。今回の新たな冷戦では、東西冷戦とは異なり、日本が否応なくその最前線に立たされる。…」(p.41)

 欧州ではともかくとしても、日本ではソ連崩壊後も<冷戦は継続している>ということは、近時の主張しておきたいところだった。
 同上誌のp.316で水島総は「既に世界は変わり、ポスト冷戦から、ポストポスト冷戦に様変わりした」、と書く。
 ニュアンス、厳密な意味は同一ではなさそうだが、現在の日本が「冷戦」の真っ只中にあるという認識では共通しているだろう。
 水島が言っているだろうように、ソ連崩壊によって「資本主義」あるいは「保守(・自由主義)」が勝利した、と単純に考えている「戦後保守」がいるとすれば、とんでもない間違いだ(但し、この人のこの号の叙述には感覚的に合わないところもある)。
 いずれにせよ、「保守」の側はともかくとしても、中国・北朝鮮(論じ方によっては韓国も)という近隣諸国に断固として立ち向かう必要がある、と漠然としてであれ考えている国民が多数派ではないようであることが、現在の日本の怖ろしいところだ。

 新憲法によって日本は平和で自由なよい国になった、それは基本的には今日までずっと継続している、と何となく考えている(私に言わせれば勉強不足の、あるいは主流派的マスコミに騙されたままの)国民はまだけっこう多いのではないか。

 そのような人々は、中国等の脅威(・異様さ)を正当に指摘し、例えば日本の「ナショナルなもの」の保持の必要性を語るような議論を、<偏っている>とか<右翼・民族派>とか言って無視するか軽蔑しがちだ。
 説明する必要もないほどだが、そのような人々とはもはや「口をきく気にもなれなくなっている」。

0445/朝日新聞3/31付社説を読んで。

 朝日新聞3/31付社説を読んでの感想。
 1.連載ものの如き社説なので継続して読んでいないからかもしれないが、「希望社会」とか「わいわい共同体」とか、訳の分からない造語を用いた、言葉遊び・観念遊戯の文章だ。
 2.「日本を希望社会に変えるには、地域へ主権を移すしかない」、あるいは「地域に主権を移して各地の文化を発信すれば日本像も大きく変わるだろう」という。
 多少とも概念の厳格さにこだわる人間ならば、「主権」概念をこんなに安易に使いはしない。また、<地方分権>がよい方向であるかの如き認識が前提になっているようだが、なおも、行政分野ごとの、現行の国・自治体関係の実態をふまえた検討が必要と思われ、ムードでのみ<地方分権>を前提にしてもらっては困る
 3.「韓国や中国には、かつての侵略国、日本への反感が根強い。」
 なるほど、朝日新聞はこういうふうに、日本はかつて中国と韓国を(同じように?)「侵略」した、という動かそうとしない<歴史>観に立っているのだ。
 4.最大の感想は以下だ。
 この社説は全体として、「デジカメやビデオで撮った映像をインターネットで送」り、「住民ディレクター」が「インターネットやケーブルテレビで流す」ような、地域による、地域ごとの<多様な>情報発信への期待を述べている。「3年後には地上波テレビもすべてデジタルへ移る。その特徴を生かして地域文化の発信を競い合う。そんな時代にしたい」、「デジタル時代を…元気な地域連帯型の日本に変えていく。そして、東アジア地域の連帯社会化もめざす。/この方向に徹すれば、おのずと希望社会に突入することができるだろう」、というわけだ。
 「東アジア地域の連帯社会化」との言葉も朝日新聞らしいし(アサヒい?)、「おのずと希望社会に突入する…」とは何とも能天気なことだ。これらよりも何より、それほど地域ごとの多様な情報発信を主張したいなら、デジタルあるいは放送・通信に限らず、紙媒体の新聞事業もまた、地域ごとに<多様化>すること、つまり、朝日新聞のような全国紙はすべて廃止し、地域・街ごとのミニコミ紙・タウン紙を活性化することも説くべきではないか
 <地方分権>(地域主権?)が大切というなら、朝日新聞が率先して、その紙面自体を<地方分権>(地域主権?)にふさわしく地域・地方ごとに多様化したらどうか。あるいはさらに、全国紙としての朝日新聞自体を廃止し各地域・各地方ごとの「主権」をもった多数の朝日新聞に分解したらいかがか。
 「地域文化を発信して『連帯型社会』をつくる」(3/31社説見出し)などと偉そうな(?)ことを主張したいのならば、朝日新聞(社)自身がその方向に動いて、「地域文化を発信」する体勢に大きく改革したらどうか。そのような気もないくせに、放送・通信だけを取り上げて、偉そうな口を叩くな、と言いたい。

0386/朝日新聞今年1/5夕刊は「初詣で」にシニカル。

 <反朝日新聞>と謳いつつ、定期購読はしておらず、外出先で偶々読むか、社説をネット上でときに見るにとどまる。べったりとこの新聞と付き合うのは、精神衛生に悪い。
 外出先で偶々読んだとき、たいてい、「朝日らしさ」をどこかに発見する。
 販売店で古物を売って貰おうかなどとぼんやり考えているうちに月日が経ったが、朝日新聞今年1/05夕刊にも「朝日らしい」記事があった。
 記憶に頼らざるをえないのだが、①正月の「初詣で」を冷笑し、②「神道」は<純粋に日本的ではない>とするものだった。
 ①は直接にそう書いているわけではない。正月の「初詣で」者数の全国的な多さに驚いて、そのような<慣例>にイチャモンをつけておきたい気分がうかがえた、ということだ。
 ②はその旨を明示して、神道からは<むしろ(東)アジアに普遍的な>ものが見えてくる、というようなことを書いていた。
 <純粋に日本的なもの>を神道に求めるという風潮?を批判したい気分の明らかな記事だった。だが、歴史をいにしえへと遡れば、「日本」という概念すら曖昧になる。古代のずっと先から原型があったとすれば、「神道」は<純粋に日本的なものではない>というのは至極当たり前のことではないか。
 執筆した若い?記者は、正月の「初詣で」という、神道という宗教との関連性の多い筈の<慣例的行事>に多数の国民が参加していることに怖れをなし、そのような現象に水をかけておきたいと思ったのではなかろうか。さすがに明示はしていないが、そのような「朝日的」気分の表れた記事だった。
 ところで、日本共産党員、社会民主党員およびこれら両党の熱烈なシンパは社寺への「初詣で」(その他「食い初め」とか「七五三詣り」とか)はしないのではなかろうか。社寺のもつ「宗教」を馬鹿にし、そのようなものに関与している<大衆>をもバカにする、まじめな党員であるほど、そのような心情をもっているのではないか、と思われる(そして朝日新聞の記者もそうかもしれない)。

ギャラリー
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  • 2293/レフとスヴェトラーナ18—第5章①。
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  • 2286/辻井伸行・EXILE ATSUSHI 「それでも、生きてゆく」。
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  • 2283/レフとスヴェトラーナ・序言(Orlando Figes 著)。
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