秋月瑛二の「憂国」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

日高六郎

0417/丸山真男全集の一部を読む-欧州「啓蒙主義」追随者・「進歩」主義者の<自認>。

 「保守主義」と「進歩主義」の差違・対比について佐伯啓思が述べている部分を先日に要約した。
 これとの関係で、丸山真男が次のように明確に述べているのは興味深い。丸山真男集・第12巻(1996.08)所収の「『現代政治の思想と行動』英語版への著者序文」にある文章で、これは基本的には1962年に英文で丸山が書いたものを1982年に一部手直しをしつつ日本語化したもののようだ。
 すなわち、「私は自分が十八世紀啓蒙主義の追随者であって、人間の進歩という『陳腐な』観念を依然として固守するものであることをよろこんで自認する」(全集12巻p.48)。
 何ともあっけらかんとしたものだ。これで済ますことができた時代の学者・知識人は<楽>だったに違いない。
 全集のこの巻(1982~1987)には丸山真男とマルクス主義との関連、丸山の思想的背景等を示す文章が収録されていて、資料的価値は高いだろう。
 なお、樋口陽一は、全集第10巻(1996.06)の月報に登場して、丸山真男を「先生」と呼び、丸山のある文章の慧眼ぶりを敬意をもって記す文章を載せている。さすがに<進歩的知識人>の衣鉢を継いだ者というべきだろう。
 ついでに、全集第8巻(1996.02)の月報の執筆者は、日高六郎、三木睦子、筑紫哲也の三名だ。全部を見たわけではないが、岩波が依頼したはずの月報執筆者は、全員がいわゆる「左翼」のオン・パレードではないか。

0367/朝日新聞の諸「悪行」の一つ。

 江藤淳・国家とはなにか(文藝春秋、1997.10)に収載されている「日本人の『正義』と『戦後民主主義』」(初出、1997.06)によると、第一に、同・閉ざされた言語空間(1989)を彼は13新聞社等に私信添付のうえ送付したが、すみやかに紙上で反応があったのは産経、東京、毎日の三紙で、読売は1997年の3月の社説でようやく占領期のGHQによる検閲の存在を認め、その検閲時代の存在が現今までの言論状況を歪めていることを指摘した、という(p.9~p.11)。
 興味を惹いたのは、上に書かなかったこと(江藤著に書かれていないこと)、すなわち、朝日新聞江藤閉ざされた言語空間に、(少なくとも1997.08までは)一切何の反応も示さなかった、ということだ。
 第二に、次のことも知らなかった。知っていたのは、あるいは読んだ記憶があるのは、日高六郎が理事長の神奈川県人権センターが三浦商工会議所に申し入れたことによって、後者の団体が当初予定していた櫻井よしこの講演会を、当該団体が取り止めた、という<事件>だった(1989年のできごとらしい)。<左翼>団体による、櫻井よしこに対する言論妨害、いやがらせ、だ。
 江藤は、この事件のとき、日本文藝家協会なる団体の理事長だったらしい。そして、柳美里のサイン会への暴力行使予告によるその中止<事件>と二つを対象にして、「深刻な憂慮を表明する」声明を同協会は発したらしい(3月6日付)。
 興味深いのは、この声明を「一社を除くすべての報道機関」が報道したが、例外の一社とは朝日新聞(社)だった、ということだ。これは知らなかった。
 朝日新聞は、柳美里に対する<右翼>からの攻撃については詳しく扱い、厳しく批判したようだ。
 当事者だったのだから、江藤が虚偽を書いている筈もない。朝日新聞は<右翼>からの言論(人)への攻撃にはすばやく反応する一方で、<左翼>からの言論(人)への攻撃は無視するか又は緩慢な反応しかしなかったようだ(完全無視だったのだろうか? 日高六郎を批判することにならないようにとの配慮を優先させれば、その可能性もある。江藤著はそこまで立ち入ってはいない)。
 かかる行動・思考様式の基礎にあるものを<二重基準>(ダブル・スタンダード)という。
 朝日新聞にとって、言論の自由(出版・表現の自由)は自分と自分の仲間たちだけに保障されておればよく、<右翼>・<保守派>の言論(人)はその(保護されるべき)価値がないのだろう。怖ろしい発想だ。全体主義に連なる怖ろしい考え方だ。
 自分を敵として批判する者・勢力に対してはいかなる手段を弄しても、マスコミ倫理を逸脱しても、人としての常識を逸脱しても、(言論の自由の名のもとに)徹底的に批判・糾弾する……、安倍内閣に対するそれは典型的だった。<日本の癌>だ、とあらためて思う。
 私の知らなかった上のことへの言及は、時期が古すぎるのだろう、山際澄夫・これでも朝日新聞を読みますか?にはないと思われる。
 いつかも書いたことがあるが、どなたか、又はいずれかの出版社か、朝日新聞の<戦後>の諸<業績>のすべてを、いや諸<悪行>のすべてを体系的に網羅した、詳細な資料集を編纂・出版してほしいものだ。
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