宮本憲一・山口定・加茂利男・浦部法穂・菊本義治・成瀬龍夫・杉本昭七の7名を表紙明記の「執筆・編修」者とする実教出版・高校/政治・経済〔新訂版〕(2009.01。2007.03検定済み)の一部の内容紹介のつづき。
 4.引用はほとんど省略するが、日本国憲法の称揚。とくに-「日本国憲法は、これらのいずれよりも徹底した軍備廃止を宣言している点で、まさに世界史的意義をもつ画期的なものである」(p.26)。
 5.p.33-他にも類似の文章はあるが、ここでは以下の次の如し-「日本国憲法の平和主義の理念は、まさしく人類共通の指針とされるべき…。…平和主義の理念を全世界の国民の共通財産としてひろめていくことこそが、国際社会における日本の重要な役割のはずである」。
 恥ずかしくなるような空虚な言葉の羅列。美しい「理念」が雑多な諸国に簡単に「ひろめ」られるとよいのだが。
 6.住民基本台帳ネットワークにつき、「個人情報が一元管理することで、プライバシー侵害の危険を指摘する声も強く、住基ネットに加わらない自治体もある」(p.48)。
 これでは、「住基ネットに加わらない自治体」(なお、この態度は法律違反。法律が違憲でないかぎり従うべき)を応援しているようなものだ。「…の危険を指摘」しない「声」は小さかったのか?
 7.引用はほとんど省略するが、①「直接的な住民参加」・②「活発な住民運動」・③「住民投票」制度の称揚。③につき「地域からの民主主義の新しい動きとして注目される」(p.66)。
 これらはイデオロギーとまでは言わなくとも、ありうる「見解・主張」の一つの表明。<直接>民主主義がお好きであるのは、ルソー、ロベスピエールの「人民主権」論、紙の上だけのフランス1793年憲法の影響だろうか。いつか述べたように、<代表>民主主義よりも<直接>民主主義の方が国民・住民にとって<より正しい>・<より合理的な>・<より利益となる>決定を導く保障は全くない。
 他にもまだまだ「左翼」教条的叙述はある。別の回に。
 宮本憲一・山口定・加茂利男・浦部法穂・菊本義治・成瀬龍夫・杉本昭七よ。君たちは、あなたたちは、こんな教科書を作成して成長過程の高校生に特定の「思想」あるいは少なくとも特定の「見解」を注入しようとしていることにつき、<良心の呵責>は感じないのか。広く多様な見解に言及することなく、あるいは触れてもいずれかの見解を支持して誘導することを「教科書」で行ってよいのか。マルクス主義者は「厚顔」なので、心には届かないかもしれないが。