秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

下村博文

1618/東京都議選-産経新聞と「日本会議」派の敗北。

 自民23、都民ファ49、共産19、民進5-東京都議会選挙。
 タイトルの意味は、正確には、自民党の大敗北。
 一 産経新聞や「日本会議」が東京都議選に関して正式にどういう政治的立場を公表していたかは知らない。
 但し、実質的にみて、小池百合子に批判的だった、少なくとも自民党に対するよりは小池に批判的で、冷淡だった。
 櫻井よしこ・週刊ダイヤモンド2017年6月3日号
 「小池氏の唱えるスローガン『都民ファースト』は、実は『自分ファースト』ではないかと私は感じている。/氏の行動を見詰めれば見詰める程、氏の言動への拒否感は強くなる」。
 なお、この週刊ダイヤモンド上の文章は、櫻井よしこらしく、ほとんどは飯島勲と屋山太郎からの聴き取り又は彼らの文章内容に拠っている。
 櫻井よしこを理事長とする「研究」所に編集長自身が「評議員」として勤務?しているつぎの二つの月刊雑誌の表紙から。。
 月刊Hanada8月号。<総力大特集/小池百合子とは何者か?>
 ・櫻井よしこ=有本香「『小池劇場』は終わらない」。
 ・小川榮太郞「小池百合子と日本共産党」。等。
 月刊WiLL8月号。河添恵子=赤尾由美=池内ひろ美「都民ファーストに五輪成功の力なし」。
 そして、<一冊まるごと櫻井よしこさん>の月刊正論8月号。
 <小池劇場の三流喜劇>。屋山太郎、小川榮太郞ほか。
 こうして見ると、櫻井よしこ・「日本会議」的<保守>の立場がどうだったかは明白だ。
 二 <特定保守>三雑誌は、自民党・安倍晋三内閣支持、という基本線をずっと維持してきた。2015年戦後70年談話、同年末日韓最終決着合意についても。
 月刊正論の親元の産経新聞社説は、安倍晋三九条二項存置の改憲案への支持を明確にした。元は伊藤哲夫案だったとされる。
 改憲問題はともあれ、このような<自民党・安倍晋三内閣>への断固とした支持の姿勢は、地方議会選挙だが、東京都民の多くに共有されているわけではない、ということが示された。
 なぜかを、冷静に考えてみるべきだろう。
 地方選挙だから外交・防衛は関係はないし、直接に党中央が指揮を執ったわけでもない。
 しかし、国政がらみで語られてきたのは確かだし、都連会長の下村博文には安倍晋三の<仲間・友人>の印象も強い(二次内閣当初に長く文科大臣)。
 野党や「左翼」メディアが安倍内閣揺さぶりの方向に向いているのも明らかだ。
 とりわけ日本共産党は、<安倍内閣・自民党政治>が混乱しさえすればよい。安倍・自民党の意向どおりに進ませたくない、との強い執念で動いている。どのように政治・社会が動こうと関係がない。ともかくも混乱させ、支持を得る可能性がある案件・主題を設定して、「党勢」や「党員数」の拡大をひたすら目ざしている。
 それはそうなのだが、また小池百合子にもいろいろな問題はあるだろうが、では安倍晋三・自民党に全く問題はないのか?
 小池百合子を批判している「特定保守」派の人々は、現在の安倍晋三・自民党に、全く問題はないと考えているのか?
 かつまた、従来の東京都の自民党(東京都連)の議員団等々に、全く問題はなかったのか?
 小池百合子だけを批判してはいけないのではないか?
 「特定保守」派の人々の小池百合子批判は、根本的には、自民党ではないから、というだけに等しいようにすら思える。
 三 もともと、自民党には、昨年の都知事選挙での敗戦以降、小池百合子の与党または少なくとも是々非々の半分与党的な立場をとるという選択もあった。
 小池百合子は「保守」派であり、ずっと自民党籍を残してきた。
 しかし、都の自民党は、最初の都議会で、新知事を歓迎するどころか冷笑して揶揄する、<いやがらせ>のような行動に出た。ここに昨日の結果につながる大きなミスがあった。小池百合子は、したたかな「政治家」だ。
 小池百合子はおそらく、公明党のほかに自民党による是々非々程度の協力は期待していたのではないかと思われる。安倍晋三との「縁」も切らずにおいたままだった。
 拙劣だったのは、自民党の東京都連だろう。小池百合子を自党のために<利用>しようという戦略も狡猾さもあるいは度量も寛容さもなかった。
 詳細は知らないが、正面対決をして勝てると思っていたとすれば、傲慢・不遜、身の程知らずだっただろう。
 結局は小池百合子は別の党派を結成し、自民党を離党した(離党届けを出した)。
 小池百合子一人くらいあしらえる、と思ったところに自民党の大きなミスがあった。
 自民党の政権基盤は決して盤石なものでないことを、知るべきだろう。
 全国の内閣・政党の支持率がそのまま東京都議会にも反映されるだろうと思っていたとすれば、すでに数字が出たように、全くの間違いだった。
 そしてまた、<自民党に絶対反対しない>、<自民党を絶対批判しない>の櫻井よしこら「特定保守」や基本線では同じの産経新聞もまた、自民党の戦略ミスをそのまま引き継いだ。この人たちは自民党から「自由」ではないからだ。
 四 この欄の5/19・№1550で、昨年の都知事選挙に関連して、こう書いた。
 「好ましい<選択肢>が自民党等(の候補)以外にもう一つあれば有権者のかなりの部分が、『自民党』の名前とか機関決定に関係なく、もう一つの『選択肢』に投票する可能性がある。/自民党と安倍晋三内閣は、国政レベルでは『もう一つの選択肢』の欠如のゆえにこそ、支持率をまだ高く維持しているようであることを知らなければならないだろう。」
 有権者は民進党を選択してはいない。何と今回に、日本共産党は自民党の当選議員数に近づいたが、複数又は多数定数区での当選だろうから、第一党になる力があるわけではない(もちろん、少しずつでも<増やして>いくのが彼らの執拗な戦略だ)。
 もう一つの、有力な「選択肢」があれば、有権者は、あっという間に自民党から離れる。
 自民党への投票者は、産経新聞の読者ばかりではないし、櫻井よしこら「特定保守」派を支持しているわけでもなく、月刊正論の基本論調の熱心な支持者でも何でもない。
 自分たちが、日本の<反左翼>・<保守>的気分の中心・中核にいるなどと勘違いしてはいけない。
 安倍晋三・自民党、そして一部の特殊な<保守派>らしき者たちが、頭を冷やす機会になるとよい。


1160/安倍新内閣発足翌朝の朝日新聞12/27社説の親中・「左翼」ぶり。

 安倍新内閣発足翌朝の朝日新聞12/27社説「安倍内閣発足―再登板への期待と不安」は、朝日らしく、意味不鮮明で、かつ自己陶酔に満ちている。
 後半になってとくに、何とかいちゃもんをつけておきたい気分が出てきている。しかも中国とまったく同じ立場から。
 朝日社説によると、歴史教科書に関する「近隣諸国条項」を引き継がないとなれば「中韓との関係はさらに悪化する」、らしい。
 それで?、とさらに突っ込みたいところだが、「中韓との関係」の悪化(と朝日が判断するもの)はこの新聞社にとっては、つねに、一般的に「悪」らしい。
 そのあと、「孤立招く歴史見直し」との見出しを掲げて、安倍首相や下村文相、稲田行革担当相の固有名詞を挙げ、歴史認識にかかる「戦後レジームからの脱却」を批判している。
 この点が最も言いたいところであり、朝日新聞は今後も絶えず、ぐちゃぐちゃと問題にし続けるのだろう。「戦後レジーム」の体現者であり、利得者でもあるのは、朝日新聞そのものに他ならないのだから、自己自身の存立基礎を脅かす論点であることを、当然によく理解している。
 そして、最後の一文は、「世界の中で孤立しては、日本の経済も外交も立ちゆかない」、になっている。
 果たして何が言いたいのか。「来夏の参院選までは憲法改正をはじめ『安倍カラー』は封印し、経済政策などに集中する」のが「現実的な選択である」と述べたあとで、「そのうえで、新政権に改めて指摘しておきたい」として、上の一文で締めくくっている。
 もともと改行の多い、「社説」という論説にはとてもなっていない文章なのだが、最後の一文の趣旨とその前段との関係もよく分からない。
 おそらくは、「安倍カラー」を出そうとすると「世界の中で孤立」するぞ、という脅かしであり、「安倍カラー」の中には憲法改正、河野談話・村山談話の見直し、「近隣諸国条項」の見直し等の、中国政府や韓国(の世論の大勢)のいう「右傾化」諸項目が含まれているのだろう。
 だが、その方向で動くことが、なぜ「世界の中で孤立」することになるのか。
 フィリピン政府は(正確には確認しないが)日本の軍事力強化を、東アジアの平和と安定のためにも支持した、らしい。
 朝日社説のいう「世界」とは、中国と韓国、そして北朝鮮だけなのではないか。
 むろん米国の中にも日本の正規の軍隊保持に反対するメディアや論者も存在するのだろうが、古森義久・憲法で日本は亡びる(海龍社、2012)が冒頭に書いているように、かつてほどの影響力はなくなっているようだ。
 朝日社説のいう「世界」とは、中国と韓国、北朝鮮、そしてその他の諸外国の一部「左傾」分子だけなのではないか。
 それを大げさにも「世界」と断じることのできる向こう見ずさとアホさ加減には、あらためて感心せざるをえない。中国共産党のエイジェント新聞ぶりを、見事に示している朝日新聞社説だ。-と朝日新聞について「改めて指摘しておきたい」。

0791/資料・史料-2007.05.20朝日新聞社説「安倍内閣批判」。

 資料・史料-2007.05.20「安倍内閣批判」朝日新聞社説
 平成19年5月20日

 //朝日新聞社説
 価値観議連―「安倍応援団」の危うさ
 安倍首相を支持する自民党の中堅・若手議員ら43人が「価値観外交を推進する議員の会」を発足させた。
 会長には拉致議連などの活動を通じて首相と親しい古屋圭司氏、顧問には先輩格の中川昭一党政調会長が就いた。
 メンバーには、いわゆる従軍慰安婦問題への旧日本軍の関与について、強制連行はなかったと主張する「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」の顔ぶれがずらりと並ぶ。
 97年にこの会が発足した当時は、中川氏が会長、古屋氏は副幹事長、首相は事務局長だった。新たに設立された価値観議連は、そうした首相の仲間たちが結集した「安倍応援団」である。
 議員の有志が集って政策を練り、行動すること自体に異論はないが、この議連と首相との関係には首をかしげざるを得ない。
 「価値観外交」とは耳慣れないが、趣意書によると、自由・民主・人権・法の支配という普遍的価値を高く掲げ、これを共有する国々や人々と連携していくのが目的だという。そもそもこれは首相の持論であり、それを後押ししようということだろう。
 では、価値観を共有しない国はどこか。古屋氏は初会合でこう述べた。「首相の日中首脳会談には大きな成果があった。しかし一方では、軍事費増大など覇権拡張の疑念は払拭(ふっ・しょく)できない。中国は共通の価値観を持つ国ではない」
 同じ会合で講演した中川政調会長もこう述べた。「中国は我々に一番近くて脅威の国だ。我々が中国の一つの省になることは絶対に避けないといけない」。
 日中外交がようやく軌道に乗り始めているときに、何とも刺激的な中国警戒論ではないか。
 古屋氏は「人権擁護法案、皇室典範、靖国参拝、国民投票法、民法772条(嫡出の推定)の問題はいずれも思想信条に直結する。同じ方向をめざす同志を糾合し、速やかに行動できるグループとして機能を果たしたい」とも述べた。
 言い換えると、列挙したのは女系女帝の反対論など、とりわけ右派の熱心なテーマばかりだ。これがめざす「真の保守主義」なのだというが、「自由・民主・人権」というより、復古的な価値観に近いのではないか。
 政権についた安倍氏が、靖国参拝や慰安婦問題での主張の修正を迫られたことに、右派は不満を募らせている。ならば「建前」しか語れない安倍氏に代わって、議連が「本音」を語り、右派の理念のエンジン役になろうということか。
 議連には、首相の側近である下村博文官房副長官、山谷えり子首相補佐官が名を連ねた。彼らがわざわざ創設に加わったところに、首相と議連との距離の近さが表れている。
 ことは外交である。あたかも首相に二つの口があるかのような印象を与えていては、世界の信用は得られまい。//

 *ふたことコメント-2007年7月参院選前の朝日新聞による安倍内閣への集中批判・攻撃・皮肉の一つ。①中川昭一の「我々が中国の一つの省になることは絶対に避けないといけない」との発言にこの朝日新聞社説は「何とも刺激的な中国警戒論ではないか」と反応している。②人権擁護法案反対、皇室典範改正(女系女帝容認)反対、靖国参拝、改憲国民投票法、民法772条改正(嫡出の推定)反対を「右派の熱心なテーマ」と断じ、「復古的な価値観に近いのではないか」として、自らの「左派」性とその「価値観」の一端を暴露している。

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