秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

三宅久之

1190/中西輝政の主張・見解は熟読されてよい。

 一 中西輝政の、自民党と日本維新の会の連携の必要を説いた文献(雑誌)は何だったかと探しているうちに、中西輝政の主張はたんなる両党の連携等というよりも、遠藤浩一の今年最初の<保守合同>論でもない、両党による<二大保守政党>成立への展望だったように思い出してきた。その場合、維新の会を自民党よりも<右>または<より保守的>と位置づけていたような気がする。
 また、同じ論文においてだったかは定かではないが、中西は、<憲法改正(とくに9条2項)を最優先し、そのためには「歴史認識」問題を犠牲にしてもよい>、というきわめて重要な(そして私は賛同する)主張・提言を行っていたことも思い出した。細部の内容に自信はないが、執筆者を間違えている筈はないと思っている。
 二 ところで、故三宅久之らが安倍晋三に対して自民党総裁選への立候補を勧めるために、そして激励するために安倍に文書を手渡しているシ-ンをテレビで何度か見たが、数少ないものの、三宅久之の隣に座っていたのは中西輝政であることが明確に分かる(視野のやや広い)撮り方をしたビデオを流していたテレビ番組もあった。
 京都大学を退職していたことと関係があるのかは知らないが、もっぱら「語る」または「書く」だけの、まだ京都大学教授である佐伯啓思と比べて(同じ研究科所属だったのに)、現実の政治へのかかわり方はずいぶんと違うものだ。
 そして、佐伯啓思よりもあるいは櫻井よしこ等よりも、政治的感覚が鋭いのは、あるいは大局的見地から適切な現実政治にかかわる戦略的思考をしているのは(そしてそれを文章化しているのは)、逐一この欄に書いてはいないが、中西輝政だろう、と判断している。
 このことを例証するためにも一で触れた内容の中西輝政論考を見つけ出さなければならず、その時点であらためて詳しく紹介しよう。以下は、探索過程でいくつかあらためて見た(すべて一度は読んだ)中西輝政の最近の論考だ。読書録のつもりで、列挙しておこう。
 A 月刊WiLL(ワック)
 ①「私が安倍総理に望むこと/『国家観の再生』を」(2013年1月号)

 ②「中国の奥の手は『敵国条項』」(2月号)

 B 歴史通(ワック)

 ③「中国という狂気」(2013年3月号)

 ④(阿比留瑠比との対談)「米中韓『歴史リンケ-ジ』の何故?」(7月号)

 C 月刊ボイス(PHP)

 ⑤「次期政権は大義の御旗を掲げよ」(2013年1月号)

 ⑥「憲法改正で歴史問題を終結させよ」(7月号)

 ⑦「中国は『革命と戦争』の世紀に入る」(8月号)

 D 月刊正論(産経新聞社)

 ⑧「現代『歴史戦争』のための安全保障」(2013年2月号)

 以上。

 産経新聞お気に入りの?櫻井よしこよりも、月刊正論で「大物扱い」の?遠藤浩一よりも(ついでに新潮45お気に入りの佐伯啓思よりも)、中西輝政諸論考の方が視野が広く、複眼的・総合的だ(かつ現実的だ)。そして上のように列挙してみると、中西は産経以外の媒体にむしろ多く執筆しているようだ。質量ともに中西に匹敵する仕事を依然として行っているのは、こちらは最近の月刊正論によく登場している(アメリカという国家の本質を探っている)西尾幹二くらいではあるまいか。

0385/わしズム25号の八木秀次・テレビ界「思想」大マトリックス。

 <マスメディアと政治・民主主義>に関心をもつ者として、「デマと冷笑の『テレビ』」を特集テーマとするわしズム25号(2008冬号、小林よしのり責任編集)はいずれの記事・論稿も興味深い(少なくともその予感がする)。
 八木秀次「テレビキャスター&コメンテーター『思想チェック』大マトリックス」も面白く読んだ(p.56-p.61)。
 三、四点のことを感想文的に書いておく。
 第一に、政治的に公平、意見対立問題はできるだけ多くの角度から、等ゝと規定している放送法の定めは、日本のテレビ局には「ほぼ有名無実」で、テレビ朝日は…を除き「放送法違反」、「TBSに至っては放送法を無視している」と、あっけらかんと断言している。八木を批判しているのではない。そのような<違法>(法律違反)状態をほとんど誰も<法的には>問題にしない、または問題にできない状態が奇妙だ。
 第二に、新聞よりもテレビ(とくに地上波テレビ)の一般世論への影響力の方が大きいという指摘も、そのとおりだろう。かつ、テレビ局のワイドショー作成者にとって最も権威がある(あるいは番組作りのために依拠している)新聞は、各テレビ局の系列新聞ではなく朝日新聞だという記事又は文章をどこかで先日読んだことがある。想像するに、こうした番組作成に関与しているのは25歳~45歳くらいの(多くは)男性でないか。現在45歳以下の、マスコミ(テレビ局)に入社するような心性・性格の者たちがどのような<世界認識>・<歴史認識>・<日本認識>を身に付けているか(身に付けてきたか)は従って、世論または社会のムード形成にとってきわめて重要な要因になっているはずだ。調査・分析できるといいのだが。
 第三に、八木が指摘するように、新聞と異なり文書として残らないテレビ放送は、体系的・総合的な批判的分析がし難いものだろう。TBSのニュース23にはきちんとしたウォッチャーがいてこの番組に関する文春新書も出ているが、また朝日新聞やNHKに限っての批判的観察の連載記事をもつ雑誌もあるが、多くのニュース番組・ワイドショーはきちんとした国民的「監視」体制の対象から抜け落ちているのではないか。だとすると由々しい事態だろう。(それにしても、TBSのサンデー・モーニングの関口宏はいつまで続けるつもりなのだろう。じつはこの半年間ほど観ておらず録画もしていないが-イヤになったので-まだこの人が司会をしているようだ。)
 第四に、キャスター・コメンテイターの、四つの象限に分けての紹介・分析が八木論稿の「ウリ」で、参考になる。
 四つの象限とは、ヨコ軸をリベラル←→保守、たて軸を自立←→国際協調に置いてできる4つのゾーンだが、八木によると、リベラル・国際協調(第三)が筑紫哲也を筆頭に最も多く、三宅久之・辛坊次郎らの保守・国際協調(第四)がそれに次ぐ(第二のリベラル・自立は太田光のみ、第一の自立・保守は勝谷誠彦・橋下徹・桜井よしこの3人)。
 参考にはなるのだが、しかし、表を見ていてスッキリしないところが残るのは、「国際協調」の意味の曖昧さのゆえだろう。すなわち、第一と第四の「保守」における「自立」と「国際協調」の区別は、明瞭に「反米・自主防衛」と「親米・日米同盟堅持」の意味だとされているが、第二と第三の「リベラル」における「自立」と「国際協調」の八木による区別は、「反米」か「親米」かではないように見える。東アジア諸国との外交優先という立場も「国際協調」の中に含まれていると理解できるからだ。「国際協調」派であっても、アメリカ最優先とアジア優先(そしてむしろ反米の場合もある)では全く異なるだろう。この点が、せっかくの「大マトリックス」の価値を減じている。
 ところで、ここでの対象は(テレビに登場する)キャスター・コメンテイターだが、文化人・論壇人まで含めるとどうなるのだろうか。
 八木秀次自身がどこに位置するのかも興味深いのだが(本人は書いていない)、たぶん「現実的保守」と表現している第三の「保守」・「国際協調」=「親米・日米同盟堅持」なのだろう(なお、八木は桜井よしこにつき「闘う保守言論人」の「第一人者」だが「近年は自立を志向する感もある」とコメントしている)。ここに岡崎久彦も入りそうだ。
 一方、第一の「保守」・「自立」=「反米・自主防衛」には西尾幹二、西部邁、小林よしのりが含まれそうな気がする(後の二人には西部=小林・アホ・腰抜け・ビョーキの親米保守(飛鳥新社、2003)という本もある)。
 佐伯啓思は「反米」か「親米」か。どちらかというと前者のように私には彼の論述が読めるが、しかし、上の二つは程度問題で、かつ佐伯に限らず、対米問題は具体的問題に応じて議論する必要があるだろう。例えば、「自立」論者も(私もある意味ではこの考え方を支持する)、日米安保条約の即時廃棄を主張しているわけではあるまい。

0294/安倍首相を退陣させるな。朝日新聞を喜ばせるな。

 7/22日曜日午前中の二つの番組の一部を録画で観た。とくに午前10時30分(?)から始まる田原総一朗の番組で、大きくは二つのことが印象に残った。
 第一に、野党各党首へのインタビューの後の政治記者等(+議員・学者)の座談会で、安倍首相退陣の可能性が話題になっていた。午前8時台のもう一つの番組の座談会では櫻井よしこ、三宅久之両氏が(自民党の数字による可能性を全否定はしていないようだったが)安倍にはどんな数字であっても辞任(退陣)する意向はない、とおそらくは安倍の主観的気持ちの忖度としては正確と思われることを述べていた。
 一方、田原司会の番組では、安倍首相の意向については同様のことが語られつつも、(以下、正確に観ながらではなく記憶によるが)参加者の一人・朝日新聞の星浩だけは、これこれの数字以下では他の自民党議員が黙っていないだろうとか、数字の責任はやはり<大将>の責任なのだからなどと、<安倍退陣>に未練を残した発言をしていた。これがまず、印象的だった。
 朝日新聞はやはり、安倍退陣(総理辞任)を本気で狙っているのだ。自民党の獲得議席数にもよるが、44程度だと、橋本龍太郎首相は参院選44で責任をとった、36程度だと宇野首相は36で責任をとった、と大きく報道するに違いない。そして、どの数字にせよ、民主党を下回った場合には、加藤紘一山崎拓古賀某らの安倍首相に批判的な(退陣が望ましいと示唆するような)コメントを載せて大きく扱うに違いない。自民党内の動きの報道というかたちを表面的にとりながら、じつは<政治的な>倒閣運動をこの新聞社はきっと行うだろう
 心ある自民党員、自民党議員は、安倍内閣のもとでのせっかくの前進を<逆行>させてはならない。朝日新聞の報道ぶりなど、<デマ新聞>・<政治ビラ>の一つと思って無視しなければならない。
 第二に、志位和夫日本共産党(幹部会)委員長の発言に興味深いものがあった。一つは、田原総一朗が「共産」という名をやめたらどうかと質問したのに対して、<いつまでもずっと資本主義社会が続くとお考えですか?>旨を述べ、明瞭に社会主義(・共産主義)社会を展望していることを述べていた。これではむろん「共産」の名称の変更はできない。そして、さすがに、日本共産教の信徒総代だと思った。社会主義(・共産主義)社会の<到来>をやはりこの人は本当に<信仰>しているのだ。合理的・理知的?(という程でもないか)な顔をして、<宗教>に嵌り込んでいるのだ(東京大学出身ながら、じつは莫迦なのだろう。そもそもこんな問題に学歴は無関係なのだが)。
 二つは、志位としては当然だろうが、マルクスを棄てていない、と明言した。マルクス主義は19世紀前半の社会系諸科学を統一した・凝縮し発展させたとかも言われるが、「共産党宣言」出版は1948年だ。今から150年以上前の(当然に外国産の)「理論」が今の日本共産党の基礎にはまだあるのだ。古色蒼然。古ければいい、というものではない。
 三つは、北朝鮮に対する立場はよく知らなかったが、現在の北朝鮮を中国・ベトナム・キューバのような「社会主義」国とは見ていないことを明言した。
 それはそれでよいが、しかし、例えば1961年の綱領制定時点では、北朝鮮もまた(ソ連と同様に)「社会主義」国、少なくとも「社会主義へと進んでいる国」だと認識していた筈で、いずれかの時点(正日への権力世襲時?)以降になってようやく「社会主義」国のリストから除外した筈なのだ。もっと突っ込んだ質問が北朝鮮についてあれば、ソ連はレーニンとスターリンのいずれの時期から誤ったのか?との質問とともに、面白い場面が見られただろう。
 日本共産党とその追随者に未来はない。憲法九条護持を明確にしている日本共産党(と社会民主党)の、今後6年も任期のある参議院議員を、一人でも増やしてはいけない。一人でも、二人でも、憲法改正発議の障碍になることは明瞭だからだ。
 (なお、上の番組での民主党・小沢の発言内容はきちんと聞いていない。)

 
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