佐伯啓思・自由とは何か「自己責任論」から「理由なき殺人」まで(講談社現代新書、2004.11)を偶々見つけて中を見ると、第1章・ディレンマに陥る「自由」と第2章・「なぜ人を殺してはならないのか」という問い(~p.100)は既に読んだ形跡があった。一部だけを読んでまた別の本に向かってしまうという傾向がたしかにある(それだけ読みたい本が多いからでもある)。
 区切りをつけておこうと、佐伯啓思・上掲書を第4章・援助交際と現代リベラリズム、第5章・リベラリズムの語られない前提、第3章・ケンブリッジ・サークルと現代の「自由」の順で昨夜一気に読んだ(p.101~p.222)。あと、第6章のみが残っている。
 面白い。<戦後民主主義の虚妄>を佐伯は衝いたようだが、たしかに<戦後民主主義>が前提とする個人的「自由」の脆うさ・生気のなさの不可避性が理解できる気がする。現代日本について感じる「骨格」のなさや「規範意識」の欠如についても。
 引用しながらの紹介は避ける。<戦後民主主義>を<右から>の攻撃から「保守」しようという<情緒>で凝り固まっている人々は、佐伯の「自由」(・リベラリズム)論に関心はもてず、あるいはそもそも理解できないのではないかと思われる。