秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

スメドレー

0069/産経4/13-ゾルゲの指示で、尾崎秀実の助けも借りて情報収集したコミンテルン参加中国人。

 4/11の22時台に中西輝政の叙述に依拠してコミンテルンの宣伝工作に言及したが、産経4/13に、次のような、上海・前田徹特派員の記事がある。産経購読者には不要だろうが、紹介しておく。
 中国の著名経済学者・中国国際文化書院々長の某の大半が散逸していた自伝が見つかり、次のことが明らかになった。この人(陳幹笙)は1926年にコミンテルン(国際共産主義運動)に加わり、上海で「工作員として活動を始め、表向き…国民政府所属社会科学院で学者として従事する一方、対国民政府対策と同時にゾルゲと共に対日工作に関与」した。上海にいたアグネス・スメドレーの紹介でゾルゲと知り合った。「ゾルゲはスメドレーを通じて陳氏に日本で活動するよう指示」したので、彼は妻と共に来日し、日本で情報収集にあたったが、「その際、当時、朝日新聞記者だった尾崎秀実の支援を受けていた」。1935年04月にモスクワからの某と日本で密会する予定だったが、その某が上海でスバイ容疑で逮捕されたことを知って離日し、スメドラーらに匿われた後モスクワへ脱出し、さらに米国で、表向き「太平洋問題調査会(IPR)」の仕事をしつつ「海外中国人向け雑誌の抗日宣伝活動に傾注した」。
 この種の情報収集や宣伝工作は今日でも行われているに違いない。海上自衛隊員の中国人配偶者の中に、その類の任務をもつ者がいても不思議ではない。

0061/コミンテルン直結のミュンツェンベルク・マシーンによる「大いなる嘘」の宣伝工作。

 諸君!5月号(文藝春秋)の中西輝政論文のタイトルは「「大いなる嘘」で生き延びるレーニン主義」だ(元来は連載ものの第19回。p.217-227)。全文引用したい程だが、以下に要約又は抜粋してみる。
 ソ連型共産主義という共産主義の特殊バージョンは崩壊したが、今日の東アジアにつき、共産主義の本質を見失ってはならぬ。その共産主義の本質とは「対外的には、極度にシニカルで同時に意図と接線を隠した系統的な「敵対的宣伝」と、秘密警察的な国内支配」だ。民主主義諸国でも対外宣伝工作を行っている。だが、今日の米国での対日慰安婦決議問題の根源でもあるが、共産党による対外国世論工作は「全く次元を異にした深さと規模」をもつ。マルクス主義は死んでも死なない。  レーニン主義の本質とは、1.西側諸国の自由の徹底的利用による宣伝、2.西側経済人を「利潤という餌」で取り込んで西側での世論工作の先兵とすること、3.共産主義のためには「大いなる嘘」がつねに必要だとする、道徳を排しシニシズムに徹した宣伝・煽動・洗脳、だ。
 ウィリー・ミュンツェンベルク(1889-1940)は共産主義のもつ「倒錯とシニシズムの世界」の王者だったが、彼の下で働いたアーサー・ケストラーはその「世界」から帰還し、「人間性と普遍的価値に目覚め共産主義宣伝の危険を初めて告発した」。
 1920年代からの「太平洋問題評議会」(IPR)による米国での反日宣伝活動はミュンツェンべルクが仕掛けた。この宣伝工作により、米国の世論は1938年には方向を決していた。
 ミュンツェンべルクは1921年にレーニンからコミンテルンによる「秘密宣伝」のほぼ全権を委ねられ、日本共産党・モスクワ経由の指令系統とは別に、1323年の関東大震災直後には救援を名目にコミンテルンの地下ネット構築に着手した。蝋山政道、有沢広巳らが始めた研究会に高野岩三郎、土屋喬雄、蜷川虎三千田是也らが参加し、周辺には平野義太郎、勝本清一郎、小林陽之助、野村平爾らがいたが、彼らは欧州とくにベルリンに留学していた日本の若い国費留学生で、すでに大正時代末から「ミュンツェンべルク・ネットワーク」と意識的・無意識的に関係を持ったと見られ、在独日本軍人・外交官・ビジネスマン等々にも「取り込み」の魔手が延びていたと見られる。ソ連は1920年代から一貫して日本を敵視していた。ミュンツェンべルクの工作は英国や米国にも及び、とくに今日にもその影響が残る映画界・演劇界にも多大の資金が投入された。こうした工作は1930年代の容共的人民戦線運動の源流でもあった。
 トーマス・マンアンドレ・ジッドは「クレムリンの糸」に気づいて訣別したが、無意識にコミンテルンの戦略に利用された著名人も多かった。戦後日本の「進歩的文化人」についても将来は同様の跡付けが可能となろう
 カール・ラデックはミュンツェンべルクの兄貴分で、「「嘘の芸術」を極限まで高めた「革命的シニシズム」が、宣伝とメディア操作の核心である」ことを植えつけた。ラデックはKGB創設者ジェルジンスキーの「文字通りの同志」だった。
 ミュンツェンべルクはベルリンでゾルゲを取り込み、訓練していたアグネス・スメドレーと結びつけたと考えられ、ゾルゲが日本に来るとき、スメドレーが上海に赴いたとき、二人はいずれもドイツの高級新聞の特派員証を手にしていた。
 彼のマシーンの中にはオットー・カッツもいて、カッツはドイツ国会議事堂放火はナチス自らが共産党を弾圧するために行ったとのベストセラー本を書いた。カッツはロンドンで出版人・ゴランツと逢うが、ゴランツはのちに、ハロルド・ティンパーリの「南京大虐殺」の種本(戦争とは何か)を出版した。ティンパーリは中国国民党のエージェントであったのみならず、コミンテルン又は「ミュンツェンべルク・マシーン」とも「深い繋がり」があったと見られる。
 マシーンの一員だった英国のマリーはアンソニー・ブラントをリクルートし、ブラントがケンブリッジでハーバート・ノーマンをスカウトした。ノーマンは帰国後IPRに拠って反日宣伝に従事し、GHQの占領政策の「左傾化」の中心人物になった。
 孫文の未亡人・宋慶齢は「ミュンツェンべルクのエージェント」だとの証言もある。だとしたら、国民党・共産党間の中国政治史上の多くの疑問は氷塊し、中華人民共和国そのものが「対外宣伝のための「大いなる嘘」」であることが明瞭になる。
 中西輝政氏はVoice5月号(PHP)でも伊藤貫氏との対談で(p.96以下)、「とくに怖いのは中国の仕掛ける対日心理戦で、日本人の世論操作」だ、「日本のメディアはアジア大陸からの操作にとても弱い」、日本の「エリート層のなかにも工作が急速に浸透しています。この十年で、ひたひたと進んでいる空気を感じる」等々と、中国の米国への働きかけも含めた<情報戦>に正面から言及している。
 かつての歴史もまさに今日の諸状況も、共産主義者又は共産党の公然・非公然のプロパガンダ=「大量宣伝工作」によって作られたし、かつ作られている可能性が極めて高い。  北朝鮮による日本国民の拉致や核実験実施が明白になっても、なお無邪気さ・お人好しさ・脳天気さを失わない日本人がいる。平然と人の生命を奪い、平然と微笑とともに「大嘘」を吐く者たち=共産主義者(およびその強い影響を受けた者たち)が現実には存在することを、強く、強く、胆に銘じておくべきだ。
 ちなみに、ゾルゲ(1895-1944)とは所謂「ゾルゲ事件」で検挙され、1944年に尾崎秀実とともに断罪されたスパイ・リヒャルト・ゾルゲ。スメドレーは、中国寄り(=反日)の報道を世界に流し続け、中国贔屓(=反日)の本も書いた米国人。1947年にスパイ容疑が浮かんだが、英国に逃亡した、という(1892-1950)。
 ついでに、余計ながら、また多少は上品でない気もするが、渡部昇一=中川八洋・皇室消滅(ビジネス社、2006)のp.26-27に、中川のこんな、本質を衝く言葉がある。
 「共産党には、その教理から、正直であることは戒律的に許されていません。他人を騙すことをやめることは共産主義者として信仰義務の放棄です。共産主義者として、嘘、嘘、嘘は、毎日、実践しなくてはなりません
」。

ギャラリー
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