秋月瑛二の「自由」つぶやき日記

政治・社会・思想-反日本共産党・反共産主義

音・音楽・音響

2722/私の音楽ライブラリー039。

 F. Mendelssohn, Symphony No.3 in A-minor op.56. 1830〜42.

 002 (既)→No.2639—Karajan, Berlin Pho. 〔Berlin PhilharmonicOrchestre-Topic〕

 002-02 →Claudio Abbado, London SO. 〔The Just Sound〕

 002-03 →Paavo Järvi, Tonhalle O Zürich. 〔Tonhalle-Orchester Zürich〕

 002-04 →Kurt Masur, Leibzig GewandthausO. 〔EuroArtChannel〕
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2719/私の音楽ライブラリー038。

 A. Mozart は〈純正律〉をさらに修正した〈中全音律〉で自らの曲を弾いていた、と書いている文献もある。
 以下のBach の曲はMozart より前で、1708年に作曲されたとされる。
 この時期には〈十二平均律〉はまだ支配的でなかった(支配的になるのは19世紀以降)。楽譜は残っていても「録音」は残っていない。
 興味をそそられるのは、どのような音律、音階だったか、だ。
 以下は全て〈十二平均律〉によっているだろう(それでも、ピアノと弦楽器では少しだけ違って感じるのは気のせいだろうか)。J. S. Bach 自身の旋律では、より透明で、和音も〈より美しい〉ものだった、という可能性はないのだろうか。
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 J. S. Bach, Adagio from Conzert in D-minor, BWV924-II.
 038 〈再〉→Khatia Buniatshvili.〔Marcia M.〕
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 038-02 →Glenn Gould. 〔Irina Bazhovka〕
 038-03 →Irina Lankova. 〔Official Channel〕
 038-04 →Mstislav Rostropovich. 〔Topic〕
 038-05 →Mischa & Lily Maisky. 〔Mischa Maisky〕
 038-06 →Stringspace String Quartet. 〔StringspaceLive〕
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2717/私の音楽ライブラリー37。

 私の音楽ライブラリー37。
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 097<再>→五輪真弓, 雨宿り, 1983. 〔hgwctu〕

 113 →五輪真弓, 運命, 1981.〔キッキ --〕
 114 →五輪真弓, 時計, 1983.〔Janet Lee〕
 115 →五輪真弓, 密会, 1985.〔Kurume Kuru〕
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2716/M·ウェーバー叙述へのコメントの詳述。

 以下、No.2715に再掲したかつてのコメントを詳しくしたもの。
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  前々回のNo.2714に再掲したM·ウェーバーの叙述を、秋月瑛二はたぶんほぼ正確に理解することができた。M·ウェーバー<音楽社会学>に接する前に、ピタゴラス音律、純正律、十二等分平均律について、すでにかなり知っていたからだ。
 だが、日本の音楽大学出身者も含めて、いかほど容易にM·ウェーバーの、1911年〜12年に執筆されたとされる文章(のまさに冒頭)〔前々回に再掲〕の意味を理解することができるか、かなり怪しいと思っている。
 上のコメントをさらに詳しくしておこう。
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   n/(n+1)では(前者が分母だと理解しないかぎりは)「過分数」にならないから(この点、M·ウェーバーは「逆数」で語っているとの説明もある)、(n+1)/nのことだと理解しておこう。
 M·ウェーバーはこう叙述する。「いま或る開始音から出発して、まず最初はオクターヴで、次に5度、4度、あるいは過分数によって規定された他の何らかの関係で「圏」状に上行または下行すると、この手続をたとえどこまで続けても、これらの分数の累乗が同一の音に出くわすことはけっしてありえない」。
 「最初はオクターブで」とは、「ある開始音」の音波数(周波数)を2倍、4倍、〜、1/2倍、1/4倍、〜、としてみることだろう。これらの場合、音の(絶対的)「高さ」は変わっても、「オクターブ」の位置が変わるだけで、ヒトの通常の聴感覚では、きわめてよく「調和」・「協和」する<同じ>音に聴こえる。これは、ホモ・サピエンス(人類)の生来の<聴覚>からして、自然のことだろう。
 だが、「同じ」音ではなく、「異なる」音を一オクターブの中に設定しようとする場合に、種々の問題が出てくる。
 M·ウェーバーが「次に5度、4度、あるいは過分数によって規定された他の何らかの関係で」という場合の「5度」とは<3/2>を、「4度」とは<4/3>を、意味していると解される。
 脱線するが、興味深いことに今日の〈十二平均律〉の場合でも、日本の音楽大学出身者ならよく知っているだろうが、「完全5度」、「完全4度」という概念・言葉が用いられている(「完全2度」や「完全3度」等々はない)。しかし、その数値は「完全1度」(=従前と同じ音)の音波数の<3/2>や<4/3>ではない。もっとも、このような用語法が残っているということ自体、〈ピタゴラス音律〉が果たした歴史的意味の大きさを示しているだろう、と考えられる。
 M·ウェーバーがつづけて「過分数によって規定された他の何らかの関係で」というのは、上の(n+1)/nのn が2、3の場合が<3/2>、<4/3>だから、nを増やしていって、<5/4>、<6/5>等々を意味しているのだろう。但し、主要な場合として<3/2>、<4/3>を、とくに<3/2>を、想定していると見られる。
 さて、M·ウェーバーによると、これらの新しい数値を選んで、①<「圏」状に上行または下行すると>、②「この手続をたとえどこまで続けても、これらの分数の累乗が同一の音に出くわすことはけっしてありえない」。
 この①の明記が、日本でよく見られる〈ピタゴラス音律〉に関する説明には欠けている観点だ。
 だからこそ、「何らかの関係で『圏』状に上行または下行すると…」との部分は「今日の日本でのピタゴラス音律の説明について秋月瑛二が不満を感じてきたところを衝いていると思える」、とNo.2641で記した。
 その趣旨を詳しく記述しなかったのだが、以下のようなことだ。
 わが国で通常に見られる〈ピタゴラス音律〉に関する説明は、ほぼもっぱら「上行」の場合のみで説明をし、「下行」の場合をほとんど記述していない。
 上の②にあるように、「この手続をたとえどこまで続けても、これらの分数の累乗が同一の音に出くわすことはけっしてありえない」のだが、「『圏』状」での「上行」の場合は「ピタゴラス・コンマ」は必ずプラスの数値になる。「圏」という語を使うと、「圏」または「円環」上の位置が進みすぎて、元の音よりも(例えばちょうど1オクターブ上の音よりも)少し「高く」なる。
 したがって、日本でのほとんどの説明では、「ピタゴラス・コンマ」はつねにプラスの数値になる。
 しかし、「『圏』状」での「下行」の場合は「ピタゴラス・コンマ」は必ずマイナスの数値になる。すなわち、「圏」または「円環」上の位置が元の音よりも(例えばちょうど1オクターブ上の音よりも)少し「低く」なる。「圏」または「円環」上の位置が進み「すぎる」のではなく、進み方が少し「足らない」のだ。
 なお、今回は立ち入らないが(すでに本欄で言及してはいるのだが)、「上行」と「下行」の区別が明確でないと、「ある開始音」をC=1とした場合のFの音の数値を明確に語ることができない。「下行」を用いてこそFは4/3になるのであり、「上行」では4/3という簡素な数値には絶対にならない。
 **「下行」の場合の計算過程と「マイナスのピタゴラス・コンマ」について、→No.2656/2023-08-04
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  M·ウェーバーはこう叙述した。「例えば、(2/3)12乗にあたる第十二番目の純正5度は、(1/2)7乗にあたる第七番目の8度よりもピュタゴラス・コンマの差だけ大きいのである」。
 上の「(2/3)12乗」は<3/2>の12乗のこと、「(1/2)7乗」は<2/1=2>の7乗のこと、だと考えられる。また「第七番目の8度」とは<7オクターブ上の同じ音>だと解される。たんに「8度」上の音とは1オクターブだけ上の「同じ」音を意味するからだ(こういう「8度」の用語法は、〈十二平均律〉が支配する今日でも見られる)。
 こう理解して、実際に上の計算を行ってみよう。本当に「…よりもピュタゴラス・コンマの差だけ大きい」のか。
 ここで先に、秋月がすでに行っている、(プラスの)ピタゴラス・コンマの計算結果を示しておく。
 昨2023年年の8月に、この欄に示したものだ。そのまま引用はせず(×(3/2)ではなく×3÷2という表記の仕方をしていることにもよる)、表記の仕方をやや変更する(計算結果はむろん同じ)。参照、→No.2655/2023-08-03
 M·ウェーバーの叙述の仕方と異なり、わが国で通常のように、(3/2)を乗じつつ、<1と2の間の数値になるように>、必要な場合にはx(1/2)の計算を追加する。但し、⑫は2を少しだけ超えるが、ほとんど2だとして、そのままにする。
 ********
 ⓪ 1。
 ① 1x(3/2)=3/2。
 ② 3/2x(3/2)x(1/2)=9/8。
 ③ 9/8x(3/2)=27/16。
 ④ 27/16x(3/2)x(1/2)=81/64。
 ⑤ 81/64x(3/2) =243/128。
 ⑥ 243/128x(3/2)x(1/2)=729/512。
 ⑦ 729/512x(3/2)x(1/2)=2187/2048。
 ⑧ 2187/2048x(3/2)=6561/4096。
 ⑨ 6581/4096x(3/2)x(1/2)=19683/16384。
 ⑩ 19683/16384x(3/2)=59049/32768。
 ⑪ 59049/32768x(3/2)x(1/2)=177147/131072。
 ⑫ 177147/131073x(3/2)=531441/262144。
 ********
 この⑫が、「(3/2)の12乗にあたる『第十二番目の純正5度』」の数値に該当する。
 ところで、迂回してしまうが、上のような計算の過程で、ほぼ1オクターブ(1とほぼ2)のあいだに、異なる高さの12個の音が発見されていることになる。⓪〜⑪の12個、または①〜⑫の12個だ。このことこそが、1オクターブは12の異なる音から成る、という、今日でも変わっていないことの、出発点だった。
 その異なる12個の音は任意の符号・言語で表現できる。⓪=1を今日によく用いられるC〜G,A,BのCとし、さらに(説明としては飛躍するが)C〜G,A,Bの7「幹音」以外の5音を♯を付けて表現すると、つぎのようになる。以下のアルファベット符号(+♯)が示す音の高さ(音波数)は、今日で支配的な〈十二平均律〉による場合と(C=1を除いて)一致していない。また、以下は〈上行〉系または〈♯〉系の12音階だ。
 ⓪=C、⑦=C♯、②=D、⑨=D♯、④=E、⑪=F〔注:♯系だと4/3ではない〕、⑥=F♯、①=G、⑧=G♯、③=A、⑩=A♯、⑤=B、⑫=C'
 *********
 迂回してしまったが、あらためて、⓪と⑫の比、同じことだが上に記したCとC'の比、を求めてみよう。
 分数形の数字はすでに出ている。つまり、531441/262144
 これを電卓で計算すると、小数点以下10桁までで、こうなる。2.0272865295
 2にほぼ近く、2と「見なして」よいかもしれない。しかし、正確には少し大きい。
 ちょうど2との比は、小数点以下10桁までで(以下切り捨て)、2.0272865295/2=1.0136432647.
 これの端数、つまり 0.0136432647 が、プラスのピタゴラス・コンマだ。
 M·ウェーバーにおける①「(3/2)の12乗にあたる『第十二番目の純正5度』」と②「第七番目の8度」という表現の仕方に忠実に従うと、つぎのようになる。 
 小数点以下9桁までで区切る。
 ①「(3/2)12乗」=3の12乗/2の12乗=531441/4096=129.746337891.
 ②「第七番目の8度」=「2/1(=2)の7乗」=128.
 これら①と②は、相当に近似しているが同一ではない。
 差異または比は、つぎのとおり。小数点以下10桁まで(以下切り捨て)。
 129.746337891/128=1.0136432647.
 端数は、0.0136432647. これは、上での計算の結果と合致している。
 ——
  以上のとおりで、「5度」=(3/2)の乗数音は2(1オクターブ)の乗数音とは、「手続をたとえどこまで続けても、…同一の音に出くわすことはけっしてありえない」。
 そして、「〔3/2の〕12乗にあたる第十二番目の純正5度は、〔2の〕7乗にあたる第七番目の8度よりもピュタゴラス・コンマの差だけ大きいのである」(M·ウェーバー)。
 だがしかし、(3/2)の12乗数が2の7乗数に相当に近づくことも確かだ。
 言い換えると、1と2の範囲内に、またはほぼ2になるように、(3/2)の乗数に1/2を掛ける、ということを続けると、12乗めで、2に相当に近づく。
 このことが、繰り返しになるが、1オクターブは異なる12音で構成される、ということの、「12」という数字の魔力・魅力に助けられての、出発点になった。10音でも、15音でもない
 ——
  以上では、引用した(再掲した)M·ウェーバーの叙述の三分の一ほどを扱ったにすぎない。
 彼はつづけてこう叙述する。
  「西欧の和音和声的音楽が音素材を合理化する方法は、オクターヴを5度と4度に、次に4度はいちおうどけておいて、5度を長3度と短3度に((4/5)×(5/6)=2/3)、長3度を大全音と小全音に((8/9)×(9/10)=4/5)、短3度を大全音と大半音に((8/9)×(15/16)=5/6)、小全音を大半音と小全音に((15/16)×(24/25)=9/10)、算術的ないし和声的に分割することである。
 以上の音程は、いずれも、2、3、5という数を基にした分数によって構成されている。」
 さて、「4度はいちおうどけておいて、5度を長3度と短3度に((4/5)×(5/6)=2/3)、長3度を大全音と小全音に((8/9)×(9/10)=4/5)、短3度を大全音と大半音に((8/9)×(15/16)=5/6)、小全音を大半音と小全音に((15/16)×(24/25)=9/10)、算術的ないし和声的に分割する」とは、いったいどういうことか。
 No.2641のコメントでは、こう触れた。「純正律は『2と3』の世界であるピタゴラス音律に対して『5』という数字を新たに持ち込むものだ。そして、今日にいう<C-E-G>等の和音については、ピタゴラス音律よりも(<十二平均律>よりも)、協和性・調和性の高い音階または『和音』を形成することができる」。
 つまり、上のM·ウェーバーの叙述は、(1を除けば)2と3という数字のみを用いていた〈ピタゴラス音律〉に対して「『5』という数字を新たに持ち込む」ことでさらなる「合理化」を図る方法が発展した、と言っている。
 この「西欧の和音和声的音楽が音素材を合理化する方法」とは、M·ウェーバーはこの用語を用いていないが、〈純正律〉という音律のことだ。
 M·ウェーバーは詳しく、こう説明している。
 「5度を長3度と短3度に((4/5)×(5/6)=2/3)、長3度を大全音と小全音に((8/9)×(9/10)=4/5)、短3度を大全音と大半音に((8/9)×(15/16)=5/6)、小全音を大半音と小全音に((15/16)×(24/25)=9/10)、算術的ないし和声的に分割する」。
 さらに、つぎのようにも補足している。
 「まず『主音』と呼ばれる或る音から出発し、次に、主音自身の上と、その上方5度音および下方5度音の上に、それぞれ二種類の3度で算術的に分割された5度を、すなわち標準的な『三和音』を構成する。
 そして次に、三和音を構成する諸音(ないしそれらの8度音)を一オクターヴ内に配列すれば、当該の主音を出発点とする『自然的』全音階の全素材を、残らず手に入れることになる。」
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  以上の叙述の意味を詳細に説明することは必ずしも容易ではない。
 ここでは、つぎのようにコメントしておこう。
 「4度はいちおうどけておいて」とは、とりあえず(4/3)には拘泥しないで、という意味だ。
 そして、この〈純正律〉では、あくまで今日によく用いれれている符号を利用するだけだが、C-E-G(ド-ミ-ソ)の和音を重視する。
 なぜそうしたかの理由は、秋月の推測になるが、〈ピタゴラス音律〉でのC-E-G(ド-ミ-ソ)の和音に満足できなかった人々も多かった、ということだろう。
 〈ピタゴラス音律〉でC-E-G(ド-ミ-ソ)の和音の三音は、上に示した表から導けば、つぎのような音波数(高さ)の並びになる。①C(ド)=1、②E(ミ)=81/64、③G(ソ)=3/2
 とくに②E(ミ)について、これ以上に簡潔に表現される数値にすることができない。
 これに対して、〈純正律〉は、これら三音を、つぎのように構成する。
 ①C(ド)=1、②E(ミ)=80/64=10/8=5/4、③G(ソ)=3/2
 ①と③は変わらないが、②を、81/64ではなく、80/64=10/8=5/4へと、1/64だけ小さくする。
 そうすると、①C(ド)、②E(ミ)、③G(ソ)の三音は、①1、②5/4、③3/2、という並びになる。
 各音の比に着目すると、②5/4=①1×(5/4)、③3/2=②5/4×(6/5)、だ。三音はそれぞれ、1、1×(5/4)、(5/4)×(6/5)。
 つまり、①C(ド)、②E(ミ)、③G(ソ)の三音は、4-5-6という前者比関係に立つことになる。
 これが、秋月のかつてのコメントで、「純正律は『2と3』の世界であるピタゴラス音律に対して「5」という数字を新たに持ち込むものだ」と記したことの意味だ。
 この4-5-6という三音関係は、〈純正律〉では、α①C(ド)、②E(ミ)、③G(ソ)のみならず、β①F(ファ)、②A(ラ)、③C(上のド)、θ①G(ソ)、②B(シ)、③D(上のレ)へも適用される。
 余談ながら、秋月が学んだかつての音楽教科書には、ドミソ・ドファラ・シレソが<長調の三大和音>だとされていた。
 だが、上に記したように、この「三大和音」は実質的には同じ三音関係だ。すなわち、4-5-6の三音関係の順番を少し変更しただけのことだ(ファラド→ドファラ、ソシレ→シレソ)。
 M·ウェーバーは、「5度音」を「二種類の3度で算術的に分割された5度」という叙述の仕方をし、「二種類の3度」を「長3度」と「短3度」と称している。
 ここで、「長3度」=5/4「短3度」=6/5、であることが明らかだ。
 もう一度、M·ウェーバーの叙述を引用しておこう。
 「和音和声法は、まず『主音』と呼ばれる或る音から出発し、次に、主音自身の上と、その上方5度音および下方5度音の上に、それぞれ二種類の3度で算術的に分割された5度を、すなわち標準的な『三和音』を構成する」。
 これは、「下方5度音」を前提にする場合の「短調」の場合に関する叙述を含んでいる。
 「長調」の場合は、要するに、4、4×(5/4)=5、4×(5/4)×(6/5)=6の三音が「和音」となる。
 この三音から成る「和音」は〈ピタゴラス音律〉の場合と同じではない。
 既述のように、〈ピタゴラス音律〉では、C-E-G(ド-ミ-ソ)三音は、1、81/64、3/2。
 これに対して〈純正律〉では、1、5/4、3/2。
 どちらが「美しい」かは主観的な感性の問題だが、どちらが「調和的」・「協和的」かと問えば、答えは通常は〈純正律〉になるだろう。音波(周波数)比がより簡潔だからだ(なお、同じことはますます、〈十二平均律〉と比べても、言える)。
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 このような長所、優れた点を〈純正律〉はもつが、欠点も大きい。
 この欠点を、かつての秋月のコメントはこう書いた。
 「純正律では、全音には大全音と小全音の二種ができ、それらを二分割してその片方を(純正律での)『半音』で埋めるとしても、大全音での残余、小全音での残余、元来の(純正律での)「半音」という少なくとも三種の半音が生まれる。このような音階は(かりに『幹音』に限るとしても)、<十二平均律>はもちろん、ピタゴラス音律よりも簡潔ではなく、複雑きわまりない。」
 上の趣旨をM·ウェーバーがかつて淡々と述べていたと見られるのが、引用(・再掲)したつぎの文章だ。
 「オクターヴ内の二つの全音階的半音音程の中間には、一方に二個の、他方には三個の全音が存在し、いずれの場合にも、二番目の全音が小全音で、それ以外はすべて大全音である」。
 「オクターヴの内部に次々に新しい音を獲得してゆくと、全音階的音程の中間に二個ずつの『半音階的』音程が生ずる」。
 「全音には二種類あるので、二つの半音階音のあいだには、大きさの異なる二種類の剰余音程が生ずる。
 しかも、全音階的半音と小半音の差は、さらに別の音程になるのであるから、ディエシスは、いずれも2、3、5という数から構成されているとはいえ、三通りのきわめて複雑な数値になる」。
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 現在のわれわれのほとんどは、「半音」、つまり〈十二平均律〉では全12音の隣り合う音のあいだの間隔は一種類の「半音」だ、ということを当たり前のことと考えている。「全音」は半音二つで成るのであって、これも一種類しかない、ということも同様だろう。
 したがって、「全音」には二種がある、「半音」には①「大全音での残余」、②「小全音での残余」、③「元来の〔純正律での〕半音」という三種類がある、という音階・音律を想像すらできないかもしれない。
 しかし、これが、「5」という数字を導入し、かつC-E-G(・F-A-C・G-B-D)という三音関係の「調和」性・「協和」性を重視した(ある意味では「執着した」)結果でもある。
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 二種の「全音」、三種の「半音」の発生の〈仕組み〉、計算過程を説明することは不可能ではないが、立ち入らないことにしよう。
 また、〈純正律〉はまったく使いものにならない、というのでもない。
 移調や転調をする必要がない場合、ということはおそらく間違いなく、ピアノやバイオリンによる一曲だけの独奏の場合、発声による独唱の場合は、むろん事前の調律・調整が必要だが、使うことができる。また、訓練次第で、そのような独奏や独唱の集合としての合奏や合唱もまた可能だと思われる。
 現に、〈純正律〉(や〈十二平均律〉以外)による楽曲はCDになって販売されているし、YouTube でも流れている。
 ——
 以上。

2715/M·ウェーバー・音楽社会学(No.2641)—部分的再掲②。


 No.2641での秋月の「若干のコメント」の再掲。
 —— 
 若干のコメント
  〔No.2715において省略〕
  「音楽理論」との関係に限定すれば、つぎのことが興味深く、かつ驚かされる。すなわち、この人は、ピタゴラス音律および純正律または「2,3,5」という数字を基礎とする音律の詳細を相当に知っている。
 そして、上掲論文(未完)の冒頭で指摘しているのは、ピタゴラス音律および「2,3,5」という数字を基礎とする音律が決して「合理的でない」ことだ。
  ピタゴラス音律に関連して、3/2または2/3をいくら自乗・自除し続けても「永遠に」ちょうど2にならないことは、この欄で触れたことがある。
 M・ウェーバーの言葉では、「この手続をたとえどこまで続けても、これらの分数の累乗が同一の音に出くわすことはけっしてありえない」、「12乗にあたる第十二番目」の音は1オクターブ上の音よりも「ピュタゴラス・コンマの差だけ大きい」。
 さらに、以下の語句は、今日の日本でのピタゴラス音律の説明について秋月瑛二が不満を感じてきたところを衝いていると思える
 「何らかの関係で『圏』状に上行または下行すると…」。
 この「上行・下行」は、ここでは立ち入らないが、「五度圏(表)」における「時計(右)まわり」と「反時計(左)まわり」に対応し、「♯系」の12音と「♭系」の12音の区別に対応していると考えられる。
 さらに、螺旋上に巻いたコイルを真上(・真下)から見た場合の「上旋回」上の12音と「下旋回」上の12音に対応しているだろう。
 そして、M・ウェーバーが言うように「二つの音程は必ず大きさの違うものになる」であり、以下は秋月の言葉だが、「#系」の6番めの音(便宜的にF♯)と「♭」系の6番めの音(便宜的にG♭)は同じ音ではない(異名異音)。このことに、今日のピタゴラス音律に関する説明文はほとんど触れたがらない。
  <純正律>、<中全音律>等に、この欄で多少とも詳しく触れたことはない。
 だが、上記引用部分での後半は、これらへの批判になっている。
 純正律は「2と3」の世界であるピタゴラス音律に対して「5」という数字を新たに持ち込むものだ。そして、今日にいう<C-E-G>等の和音については、ピタゴラス音律よりも(<十二平均律>よりも)、協和性・調和性の高い音階または「和音」を形成することができる。
 しかし、M・ウェーバーが指摘するように、純正律では、全音には大全音と小全音の二種ができ、それらを二分割してその片方を(純正律での)「半音」で埋めるとしても、大全音での残余、小全音での残余、元来の(純正律での)「半音」という少なくとも三種の半音が生まれる。このような音階は(かりに「幹音」に限るとしても)、<十二平均律>はもちろん、ピタゴラス音律よりも簡潔ではなく、複雑きわまりない。
 なお、「オクターヴ内の二つの全音階的半音音程の中間には、一方に二個の、他方には三個の全音が存在」する、という叙述は、つぎのことも意味していることになるだろう。すなわち、鍵盤楽器において、CとEの間には二個の全音が(そしてピアノではそれらの中間の二個の黒鍵)があり、Fと上ののCの間には三個の全音(そしてピアノではそれらの中間の三個の黒鍵)がある、反面ではE-F、B-Cの間は「半音」関係にある(ピアノでは中間に黒鍵がない)、ということだ。
 彼は別にいわく、「次々に新しい音を獲得してゆくと、全音階的音程の中間に二個ずつの『半音階的』音程が生ずる」。二個というのは、純正律でもピタゴラス音律でも同じ。
 また、長調と短調の区別の生成根拠・背景に関心があるが、この人によると、「長3度が上に置かれるか下に置かれるかによって、それぞれ『長』音列か『短』音列のいずれかが得られる」。これは一つの説明かもしれない。
 ——
 以上。

2714/M·ウェーバー・音楽社会学(No.2641)—部分的再掲①。

 マックス·ウェーバー・音楽社会学=安藤英治·池宮英才·門倉一朗解題(創文社、1967)
 この邦訳書での、M·ウェーバー自身による叙述の冒頭すぐからの文章を、先に紹介した。→No.2641/2023/07/01。その一部の再掲。
 ——
 一〔=第一章冒頭—秋月〕
 和声的に合理化された音楽は、すべてオクターヴ(振動数比1:2)を出発点ととしながら、このオクターヴを5度(2:3)と4度(3:4)という二つの音程に分割する。
 つまり、n/(n+1)という式で表される二つの分数—いわゆる過分数—によって分割するわけで、この過分数はまた、5度より小さい西欧のすべての音程の基礎でもある。
 ところが、いま或る開始音から出発して、まず最初はオクターヴで、次に5度、4度、あるいは過分数によって規定された他の何らかの関係で「圏」状に上行または下行すると、この手続をたとえどこまで続けても、これらの分数の累乗が同一の音に出くわすことはけっしてありえない。
 例えば、(2/3)12乗にあたる第十二番目の純正5度は、(1/2)7乗にあたる第七番目の8度よりもピュタゴラス・コンマの差だけ大きいのである。
 このいかんとも成し難い事態と、さらには、オクターヴを過分数によって分ければそこに生じる二つの音程は必ず大きさの違うものになるという事情が、あらゆる音楽合理化の根本を成す事実である。
 この基本的事実から見るとき近代の音楽がいかなる姿を呈しているか、われわれはまず最初にそれを思い起こしてみよう。
 ****〔一行あけ—秋月〕
 西欧の和音和声的音楽が音素材を合理化する方法は、オクターヴを5度と4度に、次に4度はいちおうどけておいて、5度を長3度と短3度に((4/5)×(5/6)=2/3)、長3度を大全音と小全音に((8/9)×(9/10)=4/5)、短3度を大全音と大半音に((8/9)×(15/16)=5/6)、小全音を大半音と小全音に((15/16)×(24/25)=9/10)、算術的ないし和声的に分割することである。
 以上の音程は、いずれも、2、3、5という数を基にした分数によって構成されている。
 和音和声法は、まず「主音」と呼ばれる或る音から出発し、次に、主音自身の上と、その上方5度音および下方5度音の上に、それぞれ二種類の3度で算術的に分割された5度を、すなわち標準的な「三和音」を構成する。
 そして次に、三和音を構成する諸音(ないしそれらの8度音)を一オクターヴ内に配列すれば、当該の主音を出発点とする「自然的」全音階の全素材を、残らず手に入れることになる。
 しかも、長3度が上に置かれるか下に置かれるかによって、それぞれ「長」音列か「短」音列のいずれが得られる。
 オクターヴ内の二つの全音階的半音音程の中間には、一方に二個の、他方には三個の全音が存在し、いずれの場合にも、二番目の全音が小全音で、それ以外はすべて大全音である。
 ----〔改行—秋月〕
 音階の各音を出発点としてその上下に3度と5度を形成し、それによってオクターヴの内部に次々に新しい音を獲得してゆくと、全音階的音程の中間に二個ずつの「半音階的」音程が生ずる。
 それらは、上下の全音階音からそれぞれ小半音だけ隔たり、二つの半音階音相互のあいだは、それぞれ「エンハーモニー的」剰余音程(「ディエシス」)によって分け隔てられている。
 全音には二種類あるので、二つの半音階音のあいだには、大きさの異なる二種類の剰余音程が生ずる。
 しかも、全音階的半音と小半音の差は、さらに別の音程になるのであるから、ディエシスは、いずれも2、3、5という数から構成されているとはいえ、三通りのきわめて複雑な数値になる。
 2、3、5という数から成る過分数によって和声的に分割する可能性が、一方では、7の助けを借りてはじめて過分数に分割できる4度において、また他方では大全音と二種類の半音において、その限界に達するわけである。
 ----〔改行、この段落終わり—秋月〕。
 (以下、省略)
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2713/私の音楽ライブラリー36。

 私の音楽ライブラリー36。
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 110-01 →Kvitka Cisyk, We will go to the hills. 〔macleon1978〕
 110-02 →Oksana Mukha, We will go to the hills.〔sergmt777〕

 111a →Kvitka Cisyk, Youth doesn’t return. 〔- トピック〕
 111b →Kvitka Cisyk, Youth doesn’t return.〔Tatiana〕

 112-1a →Kvitka Cisyk, You light up my life. 〔oksana **〕
 112-1b →Kvitka Cisyk, You light up my life. 〔Yulia Radova〕
 112-2 →Debby Boone, You light up my life.〔SONIDOS RETRO〕
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2711/私の音楽ライブラリー35。

 私の音楽ライブラリー35。
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 106 →永井龍雲, 小さな愛, 1979.〔風の風来坊〕
   作詞=作曲/永井龍雲。
 107 →永井龍雲, つまさき坂, 1979. 〔ジェームズ政則〕
   作詞=作曲/永井龍雲。
 108 →永井龍雲, 暮色, 1980. 〔アニマルライフな—〕
   作詞=作曲/永井龍雲
 109 →永井龍雲, めぐりあわせ, 2017. 〔風の風来坊〕
   作詞=作曲/永井龍雲。
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2710/私の音楽ライブラリー㉞。

 Where Are You Now ?

 105-01a →Kvitka Cisyk, Where are you now ? 〔- トピック〕
 105-01b →Kvitka Cisyk, Where are you now ? 〔Nastia Kusimo〕


 105-02 →Katarzyna Klosowska, Where are you now ? 〔Katarzyna Klosowska -〕

 105-03 →Oksana Mukha, Where are you now ? 〔OksanaMukhaMusic〕

 105-04 →Marta Shpak, Where are you now ? 〔Marta Shpak〕
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2707/私の音楽ライブラリー㉝。

 私の音楽ライブラリー㉝。
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 101 →柴田淳, ハーブティー, 2011. 〔NoticesdByYou〕
   柴田淳/作詞・作曲。

 102 →柴田淳, 紅蓮の月, 2006. 〔aki0619〕
   柴田淳/作者・作曲。

 103 →柴田淳(cover),東京. 〔昌〕
   森田貢/作詞・作曲。

 104 →柴田淳(cover),卒業写真.〔yuki kari〕
   松任谷由実/作詞・作曲。
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2702/私の音楽ライブラリー㉜。

 私の音楽ライブラリー㉜。
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 100-xx →カルメン·マキ, マキの子守唄(スペイン民謡) 1969.〔音楽の奇跡〕
  寺山修司/作詞で、「スペイン民謡」とされている。しかし、原曲は明らかに、下の、Yiddish Song である’Havenu shalem’だ。日本でかつて「ロシア民謡」とされてきたものの中にも、厳密にはウクライナやユダヤの人の「民謡」があるものと思われる。

 100-01 →Helmut Lotti, Havenu Shalom Aleichem. 〔Terezia Kormos〕

 100-02 →Havenu Shalom Aleichem. 〔Trad./Arr. Nachum Heiman -トピック〕

 100-03 →Havenu Shalom Aleichem. 〔Kerplankistaan Radio〕

 100-04 →Havenu Shalom Aleichem. 〔Jerusalem Academy〕
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2700/私の音楽ライブラリー㉛。

 私の音楽ライブラリー㉛。
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 094 →来生たかお·井上陽水·小椋佳, 少しは私に愛をください、1974年.〔hikari mayu〕
  小椋佳/作詞・作曲。

 095 →井上忠夫, 水中花, 1976.〔GSiloveyou〕
  阿久悠/作詞、井上忠夫/作曲。

 096 →久保田早紀, 憧憬、1980. 〔Sayuri Kume -Topic〕
  久保田早紀=山川啓介/作詞、久保田早紀/作曲。

 097 →五輪真弓, 雨宿り、1983. 〔Itchelielie〕
   五輪真弓/作詞・作曲。

 098 →石川優子, 風のセレナーデ. 1984.〔石川優子-トピック〕
  石川優子/作詞、樋口康博/作曲。

 099 →藤田恵美, 七月の感傷、1995. 〔Le Couple -Topic〕
  Le Couple/作詞・作曲。
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2699/私の音楽ライブラリー㉚—Katie Melua-02。

 私の音楽ライブラリー㉚。
 Katie Melua (1984年9月, ジョージア生まれ)②。
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 087 →Spider Webb, 2006. 〔DramaticoMusic〕

 088 →It's only Pain, 2006. 〔Katie Melua〕

 089 →If You were a Saiboat, 2007. 〔Katie Melua〕

 090 →What I miss about you, 2007. 〔Katie Melua〕

 091 →The One I love is Gone, 2010. 〔Alya Escapist〕

 092 →The Wall of the World, 2012. 〔Katie Melua〕

 093 →I will be there, 2013. 〔Katie Melua〕
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2698/私の音楽ライブラリー㉙—Cheremsyna。

 私の音楽ライブラリー㉙—チェレムシーナ、Cheremsyna
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 何度も聴いていると最初の印象が薄れてしまうが、とくに、以下の3段めの旋律は、日本の音楽やクラシックで聴いたことがないような気がする。
 ララララドドミソ/ソファ/ソソソソソファミレ/ファミ/
 ファファファファシラファレ/ファミ/レレレレソファミレ/ミラ/
 ドドドラソ♯ラシラ/ファレ/シシシソ♯ファミシド/レド/
 ララファレララ/レファミレファミ/レドシミ/ラ
 Kvitka Cisyk(Tsicyk)、1953.04〜1998.03。ウクライナからの移民だった両親のもとでアメリカ・ニューヨークに生まれ、主としてアメリカで活動。下の曲を含むウクライナ語での諸アルバムは本人の強い希望で作られたともされる。満44歳で癌のため死去。下の02は、この人への追悼のための音楽会の動画の一部だと思われる。
 Cheremsyna(チェレムシーナ、サクラの花の一種)。ウクライナの民謡・フォークソングではなく、1965年に、Music/Vasil Mikhailyuk、Lyriks/Mykola Yuriychuk で発表。最初の歌い手はKvitka ではなかった。Kvitka Cisyk, Two Coulors, 1989, の2曲めに、Spring’s Song のタイトルで収載されている。
 086-03 のElena Yelevan は、アルメニア人のようだ。
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 086-01a →Kvitka Cisyk, 〔Vasil Nikolaevich〕
 086-01b →Kvitka Cisyk, 〔Hrygorya Shzabarovshbky〕
 086-01c →Kvitka Cisyk. 〔Yuliya Radona〕

 086-02 →Nina Matbyanko.〔OksanaMukhaMusic〕

 086-03a →Elena Yerevan-a. 〔Ashot Sargsyan〕
 086-03b →Elena Yerevan-b. 〔Ashot Sargsyan〕

 086-04a →Stella Djanni. 〔ClipOnem -〕
 086-04b →Stella Djanni. 〔Karina N.〕

 086-05 →B&B Project. 〔Serhij〕

 086-06 →ロイヤル·ナイツ.〔Somewhat Obscure Songs〕
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2697/私の音楽ライブラリー㉘—Djelem Djelem。

 Djelem Djelem/A Yiddish Song.
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 085-01 →Barcelona Gipsy Klezmer Orchestra. 〔BGKO〕
 085-02 →Gitana. 〔Übermensch Magician〕

 085-03 →Tamara Jokic.〔Akustikhane〕
 085-04 →Jihan.〔Jihan〕

 085-05 →Esma Redzepova.〔Vid Mak〕
 085-06 →Himno Gitano.〔faga cv〕
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2696/私の音楽ライブラリー㉗—Flatbush Waltz。

 私の音楽ライブラリー㉗。
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 Flatbush Waltz—A Yiddish Music.
 084-01 →Andy Statman(楽譜).〔Eugen Baer〕
 
 084-02 →〔Lutz Elias-Cassel &Massel Klezmorim〕

 084-03 →I. Perlman. 〔itzhakperlman〕

 084-04 →Baraban. 〔Mirati Umaner〕

 084-05  →Oktopus. 〔Oktopus〕

 084-06 →Yaeko M. Elmaleh &M. McLaughlin.〔Yaeko Miranda Elmaleh〕
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 Lovely Moonlit Night (⑩のつづき).
 046-05 →〔Valeriy Dnipro〕

 046-06 →Elena Yerevan. 〔Ashot Satgsyan〕
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2695/私の音楽ライブラリー㉖—日本の唱歌。

 私の音楽ライブラリー㉖—日本の唱歌。
 日本の「唱歌」類は、日本古来の伝統的音楽ではない。明治維新以降に「西洋音楽」を(当時の文部省を先頭にして)積極的に学び吸収して学校教育の場に提供した楽曲類だと思われる。日本的風味を導入したり、(七五調などの)日本語文に適応したりするなどの努力がなされている。しかし、明治改元以降の30年〜50余年のあいだに(下の081まで)、「西洋音楽」を吸収した作曲家たちが育っていたことに、むしろ感心すべきだろう。基礎となる「音律」はすでに、全て〈十二平均律〉だったと見られる。
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 076 →荒城の月、1901、小林一男ら. 〔hinanohi〕
     土井晩翠/作詞、滝廉太郎/作曲。
 076-02 →Andre Rieu, Kojo No Tsuki. 〔adam4jp〕

 077  →青葉の笛、1906、小鳩くるみ. 〔sumomonga9〕
     大和田建樹/作詞、田村虎蔵/作曲。

 078 →冬景色、1914、NHK東京放送児童合唱団. 〔eisin555〕

 079  →ふるさと(故郷)、1915、八千代少年少女合唱団. 〔KAZEKOZOU6〕
     高野辰之/作詞、岡野貞一/作曲。

 080  →赤い靴、1922、ひまわり. 〔ひまわり〕
     野口雨情/作詞、本居長世/作曲。

 081 →赤とんぼ、1927、合唱団TOKIO. 〔長井道延〕
     三木露風/作詞、山田耕筰/作曲。

 082  →牧場の朝、1932、NHK東京放送児童合唱団. 〔童謡・唱歌〕
     杉村楚人冠/作詞、船橋栄吉/作曲。

 083  →この土、1959、三浦洸一.〔rocky8 懐メロチャンネル〕
     丸野セキ/歌詞、團伊玖磨/作曲。
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2694/私の音楽ライブラリー㉕—Tumbalalaika。

 私の音楽ライブラリー㉕。
 Tumbalalaika /A Yiddish Song.
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 075-01 →Beklava Klezmer Soul. 〔-〕

 075-02 →Faye Nepon.〔Tati Cañas …〕

 075-03 →Larisa Mondrus. 〔Topic〕

 075-04 →Maxwell Street Klezmer Band.〔-〕

 075-05 →The Barry Sisters. 〔Alif Luna〕

 075-06 →Passage Klezmer. 〔-〕

 075-07 →Einat Betzalel.〔Meinrad Koch〕

 075-08 →Andrea Guerra.〔olaboga 58〕
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2693/私の音楽ライブラリー㉔—Katie Melua-01。

 私の音楽ライブラリー㉔。
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 Katie Melua、Singer-songwriter、1984年9月, ジョージア生まれ、ロンドン在住。
 この人の歌は、なぜか、<安心して、聴ける>。
 なお、Pianist のKhatia Buniatishvili もジョージア出身(パリ在住)。

 070 →The Closest Thing to Crazy, 2003. 〔Katie Melua〕

 071-01 →Nine Million Bycicles, 2005. 〔Katie Melua〕
 071-02 →Nine Million Bycicles, 2005. 〔Gala〕
 071-03 →Nine Million Bycicles, In Berlin, 2005. 〔Katie Melua〕

 072 →I Cried For You, 2005. 〔Katie Melua〕

 073 →Just Lilke Heaven, 2005. 〔Julienleery66〕

 074-01 →What a Wonderful World, 2007. 〔Katie Melua〕
 074-02 →What a Wonderful World, 2007. 〔Wolfganf Duchkowitsch〕
 

2692/私の音楽ライブラリー㉓—Avinu Malkeinu。

 私の音楽ライブラリー㉓。
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 Avinu Malkeinu—A Yiddish Music.
 Avinu Malkeinuは「我が父よ、我が王よ」の意味だとされる。

 069-01a B. Streisand, Avinu Malkeinu. 〔Barbra S-.〕
 069-01b →B. Streisand, Avinu Malkeinu. 〔Abner Zarabi〕
 069-01c →B. Streisand, Avenu Malkeinu. 〔Paulo Dias〕
 069-01d →B. Streisand, Avinu Malkeinu. Live in Israel.〔Themichael1972〕

 069-02 →Lior, Sydney SO, Avinu Malkeinu. 〔liormusic〕

 069-03 →Chutney, Avinu Malkeinu. 〔CHUTNEY band〕

 069-04 →Motty Shteinmetz, Avinu Malkeinu. 〔Motty Steinmetz official〕
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2691/私の音楽ライブラリー㉒—Bublitschki。

 私の音楽ライブラリー㉒。
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 Bublitschki—A Yiddish Music.
  (ミラシドシラ/レドレドシラ/ラドミラソ♯ラ/ドシラミ…)

 068-01a →P. Mauriat, Bublitschki. 〔kemal demirkol〕
 068-01b →P. Mauriat, Bublitschki. 〔montvertjp1〕

 068-02 →Sharon Brauner, Bublitschki. 〔sharonbrauner〕

 068-03 →Ivan Rubroff, Bublitschki. 〔Slawnikowic〕

 068-04 →The Alibi Sisters, Bublichki. 〔The Alibi Sisters〕

 068-05 →Ziggy Elamans Orch., Bublitschki. 1938.〔240252〕

 068-06 Vagabondoj, Bublitschki. 〔Klezmer Frankfurt Balkan -〕

 068-07 →Moritz Weiss Klezmer Trio, Bublitschki. 〔 - 〕

 068-08 →Ron Goodwin, Bublitschki. 〔R. Goodwin &His Orchestra〕

 068-補 →Bublitschki (楽譜). 〔Music Man〕
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2690/私の音楽ライブラリー㉑。

 私のライブラリー㉑。
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 063 →八神純子, 思い出は美しすぎて, 1978. 〔曲〕
      八神純子/作詞・作曲。

 064 →大橋純子, シルエット·ロマンス, 1981.〔cross over〕
      来生えつこ/歌詞、来生たかお/作曲。

 065-01 →Barbra Streisand, Memory, 1981. 〔 - 〕
 065-02 →新妻聖子, Memory, 2008. 〔Seiko Niizuma -Topic〕

 066 →竹内まりや, 駅, 1987. 〔竹内まりや-トピック〕
      竹内まりや/作詞・作曲。

 067 →今井美樹, Pride, 1996. 〔Imai Miki〕
      布袋寅泰/作詞・作曲。
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2689/私の音楽ライブラリー⑳。

 私の音楽ライブラリー⑳。
 つぎの三つも、<(むかしの)日本の歌謡曲>の旋律に、ある程度は似ていないか。
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 060-01 →I. Perlman, Sholom Aleykhem. 〔itzhakperlman〕
 060-02 →Maayan Band, Shalom Aleichem. 〔Maayan Band〕
 060-03 →Barry &Batya Segal, Shalom Aleichem. 〔-〕
 060-04 →G. y Oxana, Shalom Aleijem. 〔Gaston y Oxana en Israel〕
 060-05 →Danielle, Shalom Alechem. 〔Dani Elle〕

 061-01 →Adam Aston, Graj skrzypku graj, 1935. 〔240252〕
 061-02 →Graj skrzypku graj (Old Polish tango). 〔Olga Mieleszczuk〕
 061-03 →Marian Demar, Graj skrzypku graj, 1936. 〔Jurek46pink〕
 061-04 →M. Fogg, Graj skrzypku graj. 〔TWGrzegorz〕
 061-05 →M. Politowsky, Graj skrzypku graj.〔Alicia Malkowska 〕

 062 →Olga Avigail, Rebeka Yiddish Tango. 〔Olga Mieleszczuk〕
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2688/私の音楽ライブラリー⑲。

 私の音楽ライブラリー⑲。
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 056-01 →Papirosen. 〔myzeidi〕 <Yiddish>
 056-02 →Zully Goldfarb, Papirosen. 〔Jurek46pink〕
 056-03 →Boris Savchuk, Papirosen. 〔The Sound of Jewish Music〕
 056-04 →Iruna Stefanyuk, Papirosn. 2012 in Poland. 〔Michel van der Burg〕

 057  →The Alibi Sisters, Yanchiku-Podolyanchiku. 〔Alibi Sisters〕 <Ukranian Klezmer>

 058 →Olga Mieleszczuk, Goodbye Odessa. 〔Olga Mieleszczuk〕 <Yiddish>

 059 →Chava Alberstein, Songs of the Vilna Ghetto, etc, 1969. 〔Dan M〕
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2687/私の音楽ライブラリー⑱。

 私の音楽ライブラリー⑱。
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 053 →Carpenters, Superstar, 1971. 〔Carpenters〕

 054 →Olivia Newton-John, Have you never been mellow, 1975. 〔Olivia Newton-John〕
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 055-01 →Raimonds Pauls, Aija Kukule, Davaja Marina, 1981.〔アニマルライフな—〕
 055-02 →Dominique Moisan. Million de Roses. 〔yendoful TITO〕
 055-03 →久保田早紀, 百万本のバラの花, 1988. 〔jayline357j〕
       訳詞・松山善三。 
 055-04 →菅原奈月, 百万本のバラ, 2019.〔Deai〕
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2686/私の音楽ライブラリー⑰。

 私の音楽ライブラリー⑰。
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 Where is the little Street ? (A Yiddish Song)
 Wikipedia によると、051-08のチェロ奏者のKristina Reiko Cooper はアメリカ・イスラエル文化財団の理事で、作曲家・池内友次郎の孫、俳人・高浜虚子の曾孫(2023年9月末の時点)。
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 051-01 →The Barry Sisters, Vi iz Dus geseleh ?. 〔albertdiner〕

 051-02 →Shmully Blesofsky, Vi iz Dus Geseleh. 〔-〕

 051-03 →Jay Black, Vi iz dus geseleh?. 〔albertdiner〕

 051-04 →Jan Peerce, Vi Iz Dus Gesele. 〔- Topic〕

 051-05 →Jan Peerce, Vi Iz dos Gesele. 〔Eduard Frenkel〕

 051-06 →Mark Berman, Vi Iz Dos Gesele. 〔Cantor Classics〕

 051-07 →Gefilte Drive, Vu Iz Dos Gesele.〔Alexander Kotler &G. Drive〕

 051-08 →K. R. Cooper, Vu is dos Gesele.〔Kristina Reiko Cooper〕
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 以下の052-01は、上の051 にきわめてよく似ている。各音が全て一致しているのでないが、三拍子、旋律の上昇・下降、そして「調子」は同じではないか。但し、より直接の「原曲」があるようだ。下の052-02, 052--03 を参照。これらと、上の051とどちらが「古い」のかは、私には分からない。
 052-01 →スリー·グレイセス, 山のロザリア, 1961.
  「ロシア民謡」とされる。作詞/丘灯至夫。
 052-02 →Alexandrovsky. 〔Michael Wuchnik〕
 052-03 →Alexandrovsky. 〔cdbpdx〕 
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2685/私の音楽ライブラリー⑯。

 私の音楽ライブラリー⑯。
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 047-01 →Paul Anka, You are my Destiny, 1957.〔PaulAnkaTV〕
 047-02 →アン·ルイス, 君はわが運命, 1976. 〔Ann Lewis -Topic〕

 048-01 →Janis Ian, I love you best, 1976. 〔Janis Ian〕
 048-02 →南沙織, 哀しい妖精, 1976. 〔南沙織 Topic〕
        作詞・松本隆。

 049-01 →Janis Ian, You are love, 映画「復活の日」ST, 1980. 〔8823 macaron〕
 049-02 →前野曜子, 「復活の日」テーマ, 1980. 〔Flendyshelty5〕
        作詞・なかにし礼。

 050-01 →Bette Midler, The Rose, 1980.〔Leona2288〕
 050-02 →手嶌葵, The Rose, 2008.〔Tony Pineapple〕
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2683/私の音楽ライブラリー⑮。

 私の音楽ライブラリー⑮。
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 Turkey Folk Song、Uskurada.
   「ラ—ミミミ/ファミファソミミ/レレレドレ/ミ…」
 045-01 →The Youth Chamber O. 〔Assem Kalman〕

 045-02 →Katharina Nohl. 〔Katharina Nohl〕

 045-03 →〔Arany Zoltan〕.

 045-04 →〔Kaan Ozorman〕.
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 Ukraine Folk Song、Lovely Moonlit Night.
   「ミレドドシラ/シシシシソ♯ミ/ミソ♯シレドシ/ラ…」
 046-01 →Gymnazija Kranj SyO(Slovenia). 〔zevnikov〕

 046-02 →Anna Reker, A. Rieu. 2022.〔Magmar〕

 046-03 →〔Ludmila Konstantinova〕.

 046-04 →Tempei Nakamura. 2019.〔Tempei Nakamura〕
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2680/私の音楽ライブラリー⑭・M. Skoryk。

 私の音楽ライブラリー⑭。
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 Myaslav Skoryk(1938〜2020)、Lviv(Lwow, Lemberg)生れ。Lvivは今はUkraine、かつてはPoland。

 042-01 M. Skoryk, Norwegian Chamber O, Melody.
 042-02 M. Skoryk, Lviv National O, Melody.
 042-03 M. Skoryk, G. Capuçon, Melody. 〔francois paris〕
 042-04 M. Skoryk, C. Thomas, Sofia PhO, Melody.

 043 M. Skoryk, Carpathian Rhapsody. 〔Artem Lohninov〕

 044 M. Skoryk, Spanish Dance. 〔Cadenza European Art〕
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2678/私の音楽ライブラリー⑬。

 私の音楽ライブラリー⑬。
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 039-01 M. Legrand, Parapluies de Cherbourg. 〔Sound Track, 8823 macaron〕 <シェルブールの雨傘>

 039-02 M. Legrand, M. Oppert, Parapluies de Cherbourg. 〔Warner Classics〕 <シェルブールの雨傘>
 
 040 Maurice Jarre, Lala's Theme from Dr. Zhivago. 〔Muchahit Icek〕 <ドクトル·ジバゴ—「ララ」のテーマ>
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 041 B. Smetana, Prague City PhO, Ma Vlast Moldau, 〔EMHClassicalMusic〕 <スメタナ・モルダウ>
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2677/私の音楽ライブラリー⑫・Yiddishe Mame 02.

 私の音楽ライブラリー⑫。
 ⑩のつづき。A Yiddishe Mame. My Jewish Mother.
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 034-07 →Connie Francis, Yiddishe Mame. 〔- Topic〕

 034-08 →P. Leschennko, Yiddishe Mame.〔Jurek46pink〕

 034-09 →Svetlana Portnyansky, Yiddishe Mame. 〔berlinberlin131〕

 034-10 →R. Zylberberg, Yiddish Mame. 〔albertdiner〕

 034-11 →C. Aznavour, Yiddishe Mame. 1997.〔Charles Aznavour〕

 034-12 →D. Fischer & S. Avramson, Yiddishe Mame. 〔Jewish Remembrance〕
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2675/私の音楽ライブラリー⑪。

 私の音楽ライブラリー⑪・J. S. Bach
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 035 J. S. Bach, Mass in G-minor, BWV235. 〔Netherlands Bach Society〕

 036 J. S. Bach, Toccata &Fugue, BWV538. 〔Luciano Zecca〕

 037 J. S. Bach, Toccata &Fugue, BWV565. 〔LieneAndreta Kalnciema〕
 
 038 J. S. Bach, K. Buniatisvill, Concerto in D-minor, BWV974 -II. 〔Marcia M〕
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2673/私の音楽ライブラリー⑩・Yiddish Mame。

 私の音楽ライブラリー⑩。
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 A Yiddishe Mame. My Jewish Mother.
 この曲を初めて聴いたとき(下の-01と同じもの)、日本の「赤い靴」という童謡か唱歌と似ていると思った。全体ではなく、「赤い靴はいてた」(「ラシドレミ/ミファレミ」)とほとんど同じ旋律が冒頭にあり、やや離れて、「異人さんに連れられて行っちゃった」(「ララファファミミレファ/ミファミラ」)に似た旋律も出てくるからだ。
 ドイツ・イタリア・フランスといった「西洋音楽」の(たぶん)中心地域ではなく、東欧、トルコ、イランあたりの民衆音楽の方が日本のものに似ていると小泉文夫が書いているのを最近に読んだ。イスラエル、または「ユダヤ人」の音楽も元々、日本の音楽、または日本人の「音楽感性」と類似性がより多くあるのではないか。
 下の0203に歌詞の英語が、両者で全く同じではないが、字幕で出ている。02に従うと、大まかには日本語では以下のように歌っていることになるだろう。なお、下の各曲の原題は正確には同一でないが、Yiddishe Mame に統一した。日本語では「私のユダヤの母さん」がいいかもしれない。 
 「あなたがたに、私は尋ねたい。
  答えられる者は、私に伝えてくれ。
  何と貴重な宝物を、神は我々みんなに授けているのか?
  このために、金銭を払いはしない。ただで頂くことができる。
  しかし、失ったとき、どれほど多くの涙が流されるのか。
  代わりになる者は、誰にもいない。どれほど嘆き悲しもうとも。
  ああ、失った者は誰でも、私の言いたいことが分かるだろう。
  ユダヤの母さん。世界にこれほど素晴らしいものはない。
  ユダヤの母さん。ああ、母さんがいなくなったときほど、辛いときはない。
  母さんがいる家は、なんと美しく、輝いているのか。
  神がつぎの世界に母さんを連れて行くときは、なんと暗くて陰鬱なことか。
  母さんは、子どものために、水と炎の中を通り抜けるのだろう。
  最大の罪悪はきっと、母さんを愛おしく抱擁しないことだ。
  神が下さるあんな美しい贈り物を持つ者は、なんと幸せで豊かなことか。
  愛おしい、老いたユダヤの母さん! 母さん、母さん、母さん。…。」
  ——
 034-01 →I. Perlman, Yiddishe Mame. 〔IonutCucuViolin〕

 034-02 →Cantor Helfgot, I. Perlman, Yiddishe Mame 〔JewishLife〕

 034-03 →Cantor Azi Schwartz, Yiddishe Mame. 〔Azi Schwartz〕

 034-04 →Neil Sedaka , Yiddishe Mame. 〔Chabad Telethon〕

 034-05 →Sirba Octet, Yiddishe Mame. 〔Sirba Octet〕

 034-06 →Marion Rung, Yiddishe Mame. 〔Juha Lindfors〕
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2672/私の音楽ライブラリー⑨。

 私の音楽ライブラリー⑨。
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 26 →Marie Laforêt, La tendresse, 1964. 〔Marie Laforêt〕

 27 →舟木一夫, 夜霧のラブレター, 1965. 〔舟木一夫公式YouTubeChannel〕
    安部幸子・歌詞、山路進一・作曲。

 28 →Gigliola Cinquetti, La Rosa Nera, 1967. 〔Jose Almeida〕

 29 →布施明, 愛の終わりに, 1971.
    島津ゆう子・歌詞、クニ河内・作曲。ミ→上のミ、次いでレ→上のレという運びは単純で、ありそうだが、この曲のようにまで大胆に用いるのは「勇気」があるだろう。ミ→ラ→ドに次いでミ→ソ♯→シと上昇の仕方を変化させる曲もある。

 30 →小椋佳, 冬木立, 1978. 〔eisin555〕

 31 →Barbra Streisand, Woman in Love, 1980. 〔just73〕

 32 →Sylvie Vartan, Nicolas, 1979. 〔Officiel〕

    →天地真理. 初恋のニコラ, 1980。 〔3366 Mari〕
        訳詞/麻木かおる。 

 33 →井上陽水, ジェラシー, 1981. 〔kantarokanna〕
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2671/1892年の日本音階研究—上原六四郎③。

  前々回(→①・No.2663)に、上原の「結論的叙述」は西洋音楽の五線譜ではなく「12段の枡形のような図」で示されていると書いたが、より正確な描写はつぎのとおり。
 長方形(枡形)が12個積み上げられている。接する箇所を一つの線とすると、下に何もない線(一番下の1個めの長方形の下部の線)から上に何もない線(一番上の12個めの長方形の上部の線)まで、13の横線がある。長方形の中にではなく、それらの線上の6箇所に「1」(一番下の第1線上)、「2」、「3」、「4」、「下5」、「上5」の表記があり、一番上の第13線の上には再び「1」の表記がある。
 一番下の「1」を「ド」とした「5音」音階の並びを、<陰旋>と<陽旋>について、前々回にすでに記載した。
 <陰旋>。
 上行—①ド、②ド♯、③ファ、④ソ、⑤ラ♯、⑥ド。
 下行—⑥ド、⑤ソ♯、④ソ、③ファ、②ド♯、①ド。
 <陽旋>。
 上行—①ド、②レ、③ファ、④ソ、⑤ラ#、⑥ド。
 下行—⑥ド、⑤ラ、④ソ、③ファ、②レ、①ド。
 これらでの各音の表示は〈十二平均律〉等によるものではないので、誤解も生じ得るだろう。
 ——
 各音の(1に対する)周波数比と各音間の周波数比の比率(間差)が明記されているので、これを紹介する。「下行」の場合も、小さい順に並べる。「⑥2」は秋月が追加した。
 <陰旋>。(p.97-p.98)
 上行—①1、②16/15、③4/3、④3/2、⑤7/4※、⑥2。
 下行—①1、②16/15、③4/3、④3/2、⑤8/5、⑥2。
 (上行⑤※についてはなお後述参照—秋月。)
 「間差」(p.106-7)。「各音間の音程」と称されている(同左)。上行と下行を一括する。
  ①-②16/15、②-③5/4、③-④9/8、④-下⑤16/15、④-上⑤7/6、下⑤-⑥5/4、上⑤-⑥8/7。
 原著p.107は、①を「第一音」と称し、ここでの⑥を「第一音甲」と称している。
 なお、上行⑤7/4※については、以下の旨の叙述がある。p.98。
 「上行第五音」に数種がある主因は流派にある。12/7と7/4は「西京地歌」に9/5は「関東の長歌」に用いられ、「山田流」は三種を「混用」する。但し、「音の一定不変なる楽器」では「上高中の中間」で代えるのが「適度」だ。
 要するに、諸音があって一定していないが、「中間」の7/4を選ぶのが適切だ、ということだと思われる。
 いずれを選ぶかによって、上行⑤の④や⑥との「間差」も変わってくる。p.106-7。
 上行⑤12/7の場合。④-⑤=8/7、⑤-⑥=7/6。
 上行⑤9/5の場合。④-⑤=6/5、⑤-⑥=10/9。
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 <陽旋> (p.101-2)
 上行—①1、②10/9、③4/3、④3/2、⑤9/5、⑥2。
 下行—①1、②10/9、③4/3、④3/2、⑤5/3、⑥2。
 「間差」=「各音間の音程」(p.107)。上と同じく、①を「第一音」と、ここでの⑥は「第一音甲」と称されている。上行と下行を一括する。
 ①-②10/9、②-③6/5、③-④9/8、④-下⑤10/9、④-上⑤6/5、下⑤-⑥6/5、上⑤-⑥10/9。
 ——
  いろいろな数字が出てきた。上原の著での〈西洋音楽〉観や中国・日本での各音の呼称には立ち入らず、表面的な比較考察の結果だけを、とりあえず、示しておく。
 ——
 既述のように、〈十二平均律〉での呼称に似た言葉を使うと、<陰旋>、<陽旋>の並びは、以下のように表現することができた。上行と下行を一括する。
 <陰旋>。
 ①ド、②ド♯、③ファ、④ソ、⑤ラ♯(下行はラ♭)、⑥ド。
 →①ドを「ミ」に替えての上行。①ミ、②ファ、③ラ、④シ、⑤レ、⑥ミ。
 <陽旋>。
 ①ド、②レ、③ファ、④ソ、⑤ラ#(下行はラ)、⑥ド。
 →①ドを「レ」に替えての上行。①レ、②ミ、③ソ、④ラ、⑤ド、⑥レ。
 ——
 以上の「レ」、「ミ」等々はそもそも〈十二平均律〉での呼称に近いものとして選んでいるので、かりに〈十二平均律〉での呼称に従うと、元に戻って同じことになる。
 しかし、〈十二平均律〉では13音の12の「間差」は全て同じ数値であるのに対して、上に見たように上原の言う<陰旋>、<陽旋>での「間差」は大いに異なる。
 ——
 周波数比はつぎのとおりだった、上行・下行を一括する。
 <陰旋>。
 ①1、②16/15、③4/3、④3/2、⑤7/4(下行は8/5)、⑥2。
 <陽旋>
 ①1、②10/9、③4/3、④3/2、⑤9/5(下行は5/3)、⑥2。
 〈ピタゴラス音律〉での「ド」に対する「レ」、「ミ」等々はつぎのとおりだ。この音律での全12音、「7音」音階での周波数比はじつは確言できない(私は説明の仕方に疑問をもっている)のだが、「定説」的なものに従って、上の6音の対1の周波数比を示すと、つぎのようになる。A=上の<陰旋>での①ド〜⑥ドの6音、B=上の<陽旋>での①ド〜⑥ドの6音について、ピタゴラス音律での各音の周波数比を示したもの。
 A/①1、②2187/2048(または256/243)、③4/3、④3/2、⑤128/81(ラ♭)、⑥2。
 B/①1、②9/8、③4/3、④3/2、⑤27/16(ラ)、⑥2。
 ——
 〈純正律〉での「5音」音階については省略する。
 私が頭と計算だけで作り出した「私的」音階の、M、N、Pの三種の「7音」音階+〈12音階〉の元はXとZだったが、そこでの「5音」音階の並びは、つぎのようだった。
 1、(4/3)、(3/2)、2という「3(4)音」のうちの最大の「間差」である4/3を小さい方から(9/8)で分割してXを、大きい方から(9/8)で分割してZを、作ることができた。
 X—①1、②9/8、③4/3、④3/2、⑤27/16、⑥2。
 Z—①1、②32/27、③4/3、④3/2、⑤16/9、⑥2。
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  このように、既存のものとして知られているものの若干(+「私的」音階での途中)と「5音」が一致しているものは一つもない。日本の伝統的音階とされる四種との異同は、「日本の伝統的音階」は別の主題としたいので、ここでは取り上げない。
 しかし、〈十二平均律〉は別として、<陰旋>・<陽旋>、ピタゴラス音律、「私的」なX・Zにおいて、明らかに一致していることがある。
 それは、③と④の数値がそれぞれ全く同じ、ということだ。
 すなわち、第3音=4/3、第4音=3/2
 これらは、第1音を「ド」とすると、それぞれの「ファ」と「ソ」に当たる。
 また、〈十二平均律〉的に言うと「ファ」と「ソ」の二音が(4/3)と(3/2)になるということに限っては、これまでに言及したことがたぶんないが、〈純正律〉でも全く同じだ。
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 この、(3/2)と(4/3)がつねに使われているということは、きわめて感慨深い。
 1とその1オクターブ上の2のあいだに新しい音を設定しようとした古代からの人々がまず思い浮かべたのは、1に対する(2/3)と(3/2)の周波数比の音だろう、と想像してきたからだ((2/3)は容易に「同」音の(4/3)に転化する)。(3/2)と(4/3)の二音を、(1と2に次ぐ)「原初的」な音ともこの欄で称した。
 (3/2)と(4/3)は〈ピタゴラス音律〉での音の設定でも発生するが、この二音は〈純正律〉でも同じく使われる。
 周波数比が2対3または3対4ということは、1または2ときわめて「調和」または「協和」しやすいことを意味する(2との関係では3対4または2対3)。
 古くからヒト・人間はそう感じてきた。日本の人々もまた、おそらく明治期以前からとっくにそうだったのだ。
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2670/1892年の日本音階研究—上原六四郎②。

  上原六四郎・俗楽旋律考(岩波文庫、1927。第8刷/1992)
 上原がこの著で示した二種の音階は、この人が考案したものではなく、明治前半期に彼が当時の日本で実際に「聴いた」諸音楽を検討して「発見」した結果の音階だ。
 このことは、「一 緒言」に語られている。
 原文の文語体・旧仮名遣いではない「現代文」化を「一 緒言」について秋月瑛二が勝手に試みると、つぎのとおり。p.29-p.30。一文ずつ改行する。
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 「そもそも世に言う俗楽とは、社会の上流なると下流なるとを問わず、あまねく世間に行なわれる、俚歌、童謡をはじめ、浄瑠璃、端歌、琴歌、謡曲、尺八本曲の類を総称するものである。
 現今にその流派はきわめて多いけれども、その一二を除く他はおおむね同一であり、その発達とともにようやく分岐してきたけれども、曲節はまた相類している。
 しかしとりわけ、都府で行なわれているものと田舎間で行なわれているものとは、大いにその趣味を異にし、あるいは来源が同じではないようにみえる。
 よって、ここでは前者の類を都節と称し、後者の類を田舎節と名づける。
 〈改行〉
 雅楽には呂律等の旋法、西洋音楽(「西楽」)には長短の二音階があって、それぞれその曲節を律している。
 俗楽でもまた、そのような旋法がないはずはない。
 しかしながら、古来これを論ずる者なく、わずかに近時、伊藤脩二、瓜生寅等の両三氏がこれを論じているだけである。
 自分はもともと音楽に精しくはないけれども、明治8年以来少しだけこれの攻究を試みた。
 しかして、自分がもっぱら攻究したのは都節中の俗箏、長歌および京阪地方のいわゆる地歌ならびに尺八の本曲であって、田舎節、謡曲等はわずかにしかこれを玩味していない。
 加えて、すでに講究に年月を費やしたが、なお疑惑の箇所が少なくないので、これを書物に論載するようなことは他日に譲ろうと考えていた。
 しかるに、今回東京音楽学校長村岡範爲馳氏の命があったので、あえていささかこの論説を今日に試みるだけである。
 その足らない所は、怠らず討究して、他日に補うこととする。」
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  もう一つ、「十八 都節と田舎節との関係の事」を「現代文」化してみよう。「陰旋」、「陽旋」という言葉の由来の一端が書かれている。p.86-p.88。
 内容には難しい部分があるが、①「一」とは最も単純には今日に言う「一半音」に当たる(または、近い)と思われる。②「」とは、最初の一定の音、つまり「基音」のことだ(「絶対音」の呼称ではない)。この二点以外は、そのままにしておく。
 「十日戎のように田舎節を都節に変唄し、また沖の大船のように田舎節と都節を混用するものについて、田舎節音階と都節音階との関係を求めると、左図<前回に言及したのと同じ—秋月>のごとくであって、主として両音階の性質を変えるものは、その第二音と下行第五音との位置にある。
 すなわち、田舎節のこれら二音を一律低くすればただちに都節となり、都節のこれらの二音を一律高くすればただちに田舎節になることを知ることができる。
 〈改行〉
 田舎節と都節とにはこのような親密な関係があるがゆえに、これを譜表に示そうとする場合には、かりに田舎節を記入するに*dを宮とするときは都節もまたこれを宮としなければならず、あるいは都節を記入するに*eを宮とするならば田舎節もまたこれを宮とする必要がある。<一文、省略>
 〈改行〉
 田舎節の曲節は都節に比べるとおおむね爽快で、きわめて力がある。
 このことが、ややもすると、その曲節が野鄙に聞こえる理由であって、普通〔平凡〕である弊に陥りやすい。
 これに対して、都節はきわめて柔和な性質をもっている。
 このことが淫猥に傾きやすい原因であって、また普通である弊がこれに伴ないやすい。
 しかして、西洋音楽に長短の二音階があるように俗楽にもまた二旋法があり、両者は全く性質を異にするのだから、自分は、都節の音階に陰旋の名を与え、田舎節の音階に陽旋との呼称を与えて、この区別を試みる。」
 以上。
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2669/私の音楽ライブラリー⑧。

 私の音楽ライブラリー⑧。
 一つを除き、「Yoshiki」名義でuploadされているものの中から選んだ。
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 22 →X Japan, Art of Life 〔Yoshiki〕.

 23 →Yoshiki, Tears 〔Yoshiki〕.

 24 →Yoshiki, Requiem 〔Yoshiki〕.

 25-01 →Yoshiki, Angel 〔Yoshiki〕.
  Yoshiki が歌唱している。

 25-02 →X Japan, Angel 〔X Japan official〕
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2666/「ドレミ…」はなぜ「7音」なのか⑦。

 結果としてはほとんど意味をもたせないのだが、行きがかり上、掲載する。
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  XX-01/M、XX-02=ZZ-01/N、ZZ-02/Pとして行なった作業を、XX-03/Q、ZZ-03/Rについても、行なってみよう。
 Q/XX-03について。各音を①〜⑧と表現する。「β」は「(32/27)の2乗根」のことだ。
 Q。①1、②9/8、③(9/8)×β、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦(27/16)×β、⑧2。
 間差は、つぎのとおり。
 Q。①-②9/8、②-③β、③-④β=(4/3)÷(9/8)β=(32/27)/β、④-⑤9/8、⑤-⑥9/8=(27/16)÷(3/2)、⑥-⑦β=(27/16)β÷(27/16)、⑦-⑧β=2÷((27/16)×β)=(32/27)/β=βの2乗/β。
 最大は①-②、④-⑤、⑤-⑥の3箇所にある9/8(=1.125)で、残り4箇所はβ だ。。 
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 R/ZZ-03について。各音を①〜⑧と表記する。「β」は「(32/27)の2乗根」のこと。
 R。①1、②β、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥(3/2)β、⑦16/9、⑧2。
 間差は、つぎのとおり。
 ①-②β、②-③β=(32/27)÷β、③-④9/8=(4/3)÷(32/27)、④-⑤9/8、⑤-⑥β=(3/2)β÷β、⑦-⑧9/8=2÷(16/9)。
 最大の間差は9/8(=1.125)で、3箇所ある。残りの4箇所はβ(=約1.0887)だ。
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  最大の間差は3箇所にある9/8なので、これを二分割しよう。
 そうすると、新しく3音が得られ、10音(11音)音階が形成されるだろう。3箇所全てについて二分割すること以外(いずれかを選択して分割すること)は、考え難い。
 さて、9/8より小さい数値で、これらの方式でこれまでに出てきているのは、β だ。
 そこで、9/8=β×θ、またはθ×βとなるθを求める。(9/8)÷βの計算で求められる。
 これは、1.125/βだが、βはもともと(32/27)の2乘根なので、1.125/約1.0887という計算式になる。答えは、θ=約1.0333になる。
 これを利用することにし、β とθ ではβ を先に置いて計算した結果を示し、かつ小さい順に並べると、こうなる。<>は間差。
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 Q/XX-03。①1—<β>—②β—<θ>—③9/8(②)—<β>—④(9/8)×β(③)— <β>—⑤(9/8)×(32/27)=4/3(④)— <β>—⑥(4/3)×β—<θ>—⑦(3/2(⑤)=(4/3)(9/8)—<β>—⑧(3/2)β—<θ>—⑨27/16(⑥)—<β>—⑩(27/16)β(⑦)—<β>—⑪(27/16)×(32/27)=2(⑧)。
 間差は、β が7箇所、θ が3箇所(=かつて9/8があった3箇所内)。
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 R/ZZ-03。①1—<β>—②β—<β>—③(32/27)—<β>—④(32/27)β—<θ>—⑤4/3=(32/27)×(9/8)—<β>—⑥(4/3)β—<θ>—⑦(3/2)=(4/3)×(9/8)—<β>—⑧(3/2)β(⑥)—<β>—⑨16/9=(3/2)×(32/27)(⑦)—<β>—⑩(16/9)β—<θ>—⑪(16/9)×(9/8)=2。
 間差は、β が7箇所、θ が3箇所(=かつて9/8があった3箇所内)。
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  若干のコメントを付す。
 第一に、Q、Rで10音(11音)音階を作ることができるが、最大の三つの間差箇所を全て二分割するかぎり、8音(9音)音階や9音(10音)音階はできない
 このかぎりでは、M、N、Pの場合と同じだ。
 第二に、M、N、Pで最後に得られる12音は「ドレミ…」という「7音」音階よりもむしろ、十二平均律、純正律、ピタゴラス音律に共通する<計12音>構造に対比できるもので、これらでの12音との差異を考察するのは意味がないわけではないと思われる。しかし、QやRは「10音」(11音)音階であるので、こいうした対照ができない。
 第三に、Q、Rは「β」=「(32/27)の2乗根」という数値を用いるもので、「θ」もこの2乗根を要素としている(θ=(9/8)÷((32/27)の2乗根))。
 この点で、全ての音を通常の整数による分数で表記することのできる純正律、ピタゴラス音律とは性格がかなり異なる。限定的だが、〈平均律〉と似ている側面がある。
 このことから、Q、Rは 「7音」および「10音」音階であることを否定できないが、以下では視野に入れないことにする。
 —- 
  M、N、P、それぞれの「7音」音階—いわば「私的」7音音階—および「12音」については、なお言及しておきたいことがある。
 各音の1に対する周波数比と、あえて1=「ド」とした「ドレミ…」を使った場合のこれらの音階を表記すると、既述のことだが、こうなる。再記する。
 M—①1、②9/8、③81/64、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦243/128、⑧2。
   =ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド。
 N—①1、②9/8、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦16/9、⑧2。
   =ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ、シ♭、ド。
 P—①1、②256/243、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥128/81、⑦16/9、⑧2。
   =ド、レ♭、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭、ド。
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2664/私の音楽ライブラリー⑦。

 私の音楽ライブラリー⑦。
 ChaconneJ. S. Bach, Partita f. Solo Violin No.2, -V (BWV1004).
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 21-01 Sayaka Shoji, Bach, Chaconne〔lovesayakaori6hiro〕.

 21-02 Itzhak Perlman, Bach, Chaconne.

 21-03 Isabelle Faust, Bach, Chaconne 〔topic〕.

 21-04 Seiji Ozawa: Saito Kinen, Bach, Chaconne〔Bar MUSICA〕
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2663/1892年の日本音階研究—上原六四郎①。

  1892年(明治25年)に執筆が完了した原稿は1895年(明治28年)8月付で「金港堂」から出版された。
 岩波文庫に加えられたのは1927年(昭和2年)で、兼常清佐という校訂者の緒言は、その際に加えられたように推察される。
 上原六四郎・俗楽旋律考(岩波文庫、第8刷/1992)。
 この書物は貴重だ。最近にこの欄で日本独自の音階論はなかったようだと書いたり、三味線・尺八・和琴、長唄・浄瑠璃・義太夫、神道での「祝詞」等々を思い浮かべることなく、寺院での「声明」での音階は仏教界以外に広まらなかったようだと書いたりして、日本の「伝統的」音階や音階論の存在を知らなかったのは、素人とは言え、相当に恥ずかしい。
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  上原六四郎(1848〜1913)という人物の経歴、生涯については今回は省く。
 注目すべきは、この人は、130余年前の1892年の段階で、「日本の音楽」を関心と研究の対象とし、「陽旋」と「陰旋」(「陰陽二旋法」)—長音階と短音階に相当すると見られる—の存在を発見し、それらの音階(「5音」音階)の各音の位置を明らかにし、さらに各音の、一定の音(いわば「基音」)との関係での周波数比まで示していることだ。
 すでにこの欄に書いたが、私の中学生時代の音楽の教科書には、「日本音階」または「和音階」での長調(長音階)と短調(短音階)が、音階の五線譜での楽譜付きで紹介されていた。
 「律音階」、「民謡音階」、「都節音階」、「琉球音階」が日本の「伝統的」音階の四種として挙げられることがある。しかし、私がこれを知ったのは比較的最近のことだ。
 そして、日本音階での四種ではなく長音階・短音階という二種の取り上げ方は、少なくとも結果としては、上原六四郎の研究・考察の結果と符号している。
 現在の(とくに義務教育課程での)音楽教科書の内容を全く知らないが、私の中学生時代の文部省告示「教育指導要領」には、「音楽」教科の内容として、上の四種ではなく、「長音階」と「短音階」の二種だけが明記されていたのだろうと推察される。
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  上原の上の著は三味線の三線での位置から音階や音程の考察を始めていて、私にはほとんどか全く理解できない。
 結論的叙述が、西洋音楽の五線譜ではなく、12段の枡形のような図で示されている。第一音が一番下、最後の1オクターブ上の(第六)音が一番上にくる。数字番号しか書かれていない。
 強引に一番下の第一音を(Cでもよいが)「ド」として、現在に支配的な音・音階の表示方法に倣って各音の位置を表記すると、つぎのようになる(岩波文庫、p.105の図表による)。
 第五音だけが、上行と下行で異なる。
 「陽旋」
 ①ド、②レ、③ファ、④ソ、⑤ラ#、⑥ド。
 下行—⑥ド、⑤ラ、④ソ、③ファ、②レ、①ド。
 上原著自体が、「律」音階—「所謂雅楽の律旋」(p.113)—と、この「陽旋」は「全く同物」だと明記している(同上等)。
 この点は、私自身が音階の形成を試みる中で出現した、ド—レ—ファ—ソ—ラ—ドという「5音」音階について記したことがある(各音は上の下行の場合と同じ)。
 これをさらに強引に、第一音を「レ」に替えて表現し直すと、つぎのようになる。
 ①レ、②ミ、③ソ、④ラ、⑤ド、⑥レ。
 下行—⑥レ、⑤シ、④ラ、③ソ、②ミ、①レ。
 これは、上行・下行ともに、かつての教科書上の「長音階」と全く同じだ。
 既述のように、<君が代>は、下行も含めて、この音階による。
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 「陰旋」
 ①ド、②ド♯、③ファ、④ソ、⑤ラ♯、⑥ド。
 下行—⑥ド、⑤ソ♯、④ソ、③ファ、②ド♯、①ド。
 これをさらに強引に、第一音を「ミ」に替えて表現し直すと、つぎのようになる。
 ①ミ、②ファ、③ラ、④シ、⑤レ、⑥ミ。
 下行—⑥ミ、⑤ド、④シ、③ラ、②ファ、①ミ。
 これは、上行・下行ともに、かつての教科書上の「短音階」と全く同じだ。
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  上に見た図表において、各段の段差(周波数比)は同一だと考えられているのだろうか。同じ数値で等分されているのが前提ならば、<平均律>になってしまう。
 だが、同一ではない。上原著でますます注目されるのは、各音の周波数比(これは弦の長さの比率でも表示され得る)を明記していることだ。
 次回に、続ける。
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2662/「ドレミ…」はなぜ7音なのか⑥。

 「音階あそび」を続ける。
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  これまでに導き出した1オクターブ内7音(最後を含めて8音)音階は、つぎの五種だった。便宜的に、M、N、P、Q、Rと称する。すでに見たように、XX-02とZZ-01は同じ結果になる。
 M/XX-01。①1、②(9/8)、③(81/64)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(243/128)、⑧2。
 N/XX-02=ZZ-01。①1、②(9/8)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(27/16)、⑦(16/9)、⑧2。 
 P/ZZ-02。①1、②(256/243)、③(32/27)、④(4/3)、⑤(3/2)、⑥(128/81)、⑦(16/9)、⑧2。
 XX-03とZZ-03はβ=(32/27)の2乗根=√(32/27)という数値を使い、分数表記ができないので、同列に扱い難い。いちおうは「7音(8音)音階」に含めつつ、叙述の対象としては後回しにする。
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  さて、新しい音を発見する手がかり・方法にしてきたのは、第一に、各音の間差(周波数比の差異)が最も大きい箇所を見出すこと、第二に、その間差をすでに得ている数値を用いて二分割することだった。2音を二つに分割すれば、新しい1音が得られる。
 最大の間差は、3→5の第一段階では、(4/3)だった。
 最大の間差は、5→7の第二段階では、(32/27)だった。
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 そこで、上の五種の7(8)音音階について、隣り合う各音の間差を求めてみる。最後の音を含めて8音があるので、間差は7箇所で見られることになる。まず、上のM、N、Pについて確認する。
 M/XX-01について。各音を①〜⑧と表現する。
 間差。①-②(9/8)、②-③(9/8)、③-④(256/243)=(4/3)÷(81/64)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)、⑥-⑦(9/8)、⑦-⑧(256/243)=2÷(243/128)。
 最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の③-④と⑦-⑧はいずれも(256/243)だ。
 M①1—<9/8>—②9/8—<9/8>—③81/64—<256/243>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<9/8>—⑦243/128—<256/243>—②2。
 なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WWhWWWh。
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 N/XX-02=ZZ-01について。各音を①〜⑧と表現する。
 間差。①-②(9/8)、②-③(256/243)=(32/27)÷(9/8)、③-④(9/8)=(4/3)÷(32/27)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(9/8)=(27/16)÷(3/2)、⑥-⑦(256/243)=(16/9)÷(27/16)、⑦-⑧(9/8)=2÷(16/9)。
 最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の②-③と⑥-⑦はいずれも(256/243)だ。
 N①1—<9/8>—②9/8—<256/243>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<9/8>—⑥27/16—<256/243>—⑦16/9—<9/8>—⑧2。
 なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、WhWWWhW。
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 P/ZZ-02について。各音を①〜⑧と表現する。
 間差。①-②(256/243)、②-③(32/27)÷(256/243)=(9/8)、③-④(4/3)÷(32/27)=(9/8)、④-⑤(9/8)、⑤-⑥(128/81)÷(3/2)=(256/243)、⑥-⑦(16/9)÷(128/81)=(9/8)、⑦-⑧2÷(16/9)=(9/8)。
 最大の間差は9/8で、5箇所ある。残りの2箇所の①-②と⑤-⑥はいずれも(256/243)だ。
 P①1—<256/243>—②256/243—<9/8>—③32/27—<9/8>—④4/3—<9/8>—⑤3/2—<256/243>—⑥128/81—<9/8>—⑦16/9—<9/8>—②2。
 なお、9/8=W、256/243=h、と略記すると、間差の並びは、hWWWhWW。
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  間差についての結論はいずれも、<最大の間差は5箇所ある9/8、残りの2箇所はいずれも(256/243)>だ。
 これまでの新しい音発見の方法は最大の間差を二分割することだったが、ここでは、最大の間差である同じ9/8の箇所が5つもある。
 この9/8を二分割することは、つぎのとおり、不可能ではない。
 これまでに用いてきた数値で9/8よりも小さいのは(256/243)だ。よって、(9/8)=(256/243)×γまたは(9/8)=γ×(256/243)となる「γ」の数値を求めれば、新しい音が得られる(ちなみに、γ=(2187/2048)=約1.0679だ)。
 しかし、五つある(9/8)のうちどの箇所を二分割するか、という重大な問題に直面せざるを得ない。
 そしてまた、ある(9/8)の箇所は二分割し、残りの(9/8)の箇所は二分割しないとすれば、常識的にはきわめて不均衡または無秩序な、一貫性・合理性のない音階になってしまうだろう。
 とすると、五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割するしかない、と考えられる。
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  五箇所ある(9/8)の間差を全て二分割すれば、その結果はどうなるか?
 7音(8音)音階に新たに5音が加わって、「12音(13音)」音階が形成されるだろう
 「ドレミ…」7音音階というのは「主要」7音(8音)と「副次」5音との計12(13)音で1オクターブを構成するものだった。
 これに対して、上では、「主要」12音(13音)自体が1オクターブ内の「音階」を構成することになる。
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 五箇所ある(9/8)のうち1箇所、2箇所、または3箇所だけ選んで新しい音を一つ、二つまたは三つ加えて8音(9音)音階、9音(10音)音階または10音(11音)音階を作るようなことは不可能だと考えられる。
 「7音(8音)音階」はこれを生み出した方法を継続して新しい音を発見しようとすると、結局は「12音(13音)音階」になるしかない。「8音(9音)音階」や「9音(10音)音階」はできない。
 以上のことは、<「ドレミ…」はなぜ7音か>の一つの答えになっている、と考える。
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  なお、実際に、計算作業を行なっておこう。なお、乗じる数値に(256/243) とγの二種があり得る場合、つねに(256/243)を先に置くこととする。< >内は間差。

 (1) M①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④96/81—<γ>—⑤81/64—<256/243>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<γ>—⑫243/128—<256/243>—⑬2。
 間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
 (2) ①1—<256/243>—②256/243—<γ>—③9/8—<256/243>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<γ>—⑩27/16—<256/243>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
 間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
 (3) ①1—<256/243>—②256/243—<256/243>—③65536/59049—<γ>—④32/27—<256/243>—⑤8192/6561—<γ>—⑥4/3—<256/243>—⑦1024/729—<γ>—⑧3/2—<256/243>—⑨128/81—<256/243>—⑩32768/19683—<γ>—⑪16/9—<256/243>—⑫4096/2187—<γ>—⑬2。
 間差12箇所のうち、(256/243)が7箇所、γが5箇所。
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 これらの数値は、ピタゴラス音律や純正律のいずれかの1オクターブ12音の各数値と全てが同じではない。〈十二平均律〉とは、1、2以外は全て異なる。
 (256/243)=約1.0535、γ=(2187/2048)=約1.0679。ちなみに、〈十二平均律〉での「半音」=12√2=2の12乗根=約1.059463
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 つづく。

2660/私の音楽ライブラリー⑥。

 私の音楽ライブラリー⑥。
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 18-01 Schubert, Camille Thomas, Schwannengesang -IV. Ständchen.

 18-02 Schubert, Anne Gastinel, Schwannengesang -IV. Ständchen. 〔Harmonico101〕

 19-01 Brahms, Abbado-WienPO, Hungarian Dance No.4.

 19-02 Brahms, Barenboim-BerlinPO, Hungarian Dance No.4. 〔Irie 1948〕

 20-01 Dvorak, Masur-Leipzig GhO, Slavonic Dance op.20-2.〔EuroArtsChannel〕

 20-02 Dvorak, Ririko Takagi, Slavonic Dance op.20-2.〔高木凛々子ViolinChannel〕
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2659/「ドレミ…」はなぜ7音なのか⑤。

  前回までに作り出す事のできた二種の「5音」音階とは、つぎだ。便宜的に、それぞれX、Zと称しておこう。
 X—①1、②9/8、③4/3、④3/2、⑤27/16、⑥2。
 Z—①1、②32/27、③4/3、④3/2、⑤16/9、⑥2。
 間差の広い箇所に新しい音を設定する。5つある間差の数値は、つぎのとおり。
 X—①②9/8、②③32/27(=(4/3)÷(9/8))、③④9/8、④⑤9/8(=(27/16)÷(3/2))、⑤⑥32/27(=2÷(27/16))。
 最大は32/27で、2箇所ある。残りの3箇所は、9/8。
 Z—①②32/27、②③9/8(=(4/3)÷(32/27)、③④9/8、④⑤32/27(=(16/9)÷(3/2))、⑤⑥9/8(=2÷(16/9))。
 最大は32/27で、2箇所ある。残りの3箇所は、9/8。
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  この最大の(間差が広い=周波数比が最も大きい)32/27を二つの部分に分割しよう。Xでは、②③の間と、⑤⑥の間。Zでは、①②の間と④⑤の間。
 そうすると、32/27は2箇所にあるので、新しい音が二つ増える。そして、既存の5音に加えて、計7音になるはずだ。
 分割方法は無限にあり得るが、つぎの三つの方法を合理的なものとして選択できる、と考えられる。
 まず、すでに9/8という数値を利用していることを参照して、32/27を9/8と残余の部分に分ける方法が考えられる。こも場合は、厳密には二つに分かれる。
 第一に、9/8を先に置き、(9/8)×α=32/27とする。この場合のα=256/243であることが容易に計算できる。
 第二に、9/8を後ろに置き、(256/243)×(9/8)=32/27とする。
 既存の音(の数値)にこれら二つの数値のいずれを乗じるかを決めておく必要があるので、上の第一と第二は区別しなければならない。
 これら以外に第三に、32/27の「中間値」で二つに分割することが考えられる。この「中間値」はもちろん「16/27」ではなく、32/27と64/27の「中間値」である48/27でもない。
 正解は、<2乗すれば32/27となる数値>、すなわち<(32/27)の2乗根>だ。後述もするように、この数値を「β」と称することにする。これを分数表示することはできないし、「無理数」なので、小数化すると無限に数字がつづく。
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  上の三つの方法の順序で、二分割作業を、以下に行なう。結果として計「7音」を得ることができる。その場合の「7音」音階を、便宜的にそれぞれ、XX、ZZと表記しよう。
 第一のXX関連。元の②③、⑤⑥の各間差が、32/27だ。
 (1) 9/8(②)×(9/8)=81/64。なお、(81/64)×(256/243)=4/3で、元の③の数値となる。
 (2) (27/16)(⑤)×(9/8)=(243/128)。なお、(243/128)×(256/243)=2で、元の⑥に戻る。
 以上で、元の「5音」以外に、新しく、(81/64)と(243/128)の二つの数値が得られた。
 元のXの「5音」にこれらを加えて挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 XXの01
 ①1、②9/8、③81/64、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦243/128、⑧2。
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 次いで、第一のZZ関連。元の①②、④⑤の各間差が、32/27だ。
 (1) 1(①)×(9/8)=(9/8)。なお、(9/8)×(256/243)=32/27で、元の②の数値となる。
 (2) 3/2(④)×(9/8)=(27/16)。なお、(27/16)×(256/243)=(16/9)で、元の⑤に戻る。
 以上で、元の「5音」以外に、新しく、(9/8)と(27/16)の二つの数値が得られた。
 元のZの「5音」にこれらを加えて挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 ZZの01
 ①1、②9/8、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦16/9、⑧2。
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  次に、(256/243)を先に乗じる、第二の方法を採用する。
 第二のXX関連。元の②③、⑤⑥の各間差が、32/27だ。
 (1) (9/8)(②)×(256/243)=(32/27)。なお、(32/27)×(9/8)=4/3で、元の③の数値となる。
 (2) (27/16)(⑤)×(256/243)=(16/9)。なお、(16/9)×(9/8)=2で、元の⑥に戻る。
 以上で、元の「5音」以外に、新しく、(32/27)と(16/9)の二つの数値が得られた。
 Xの元の「5音」にこれらを加えて挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 XXの02
 ①1、②9/8、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦16/9、⑧2。
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 次いで、第二のZZ関連。元の①②、④⑤の各間差が、32/27だ。
 (1) 1(①)×(256/243)=(256/243)。なお、(256/243)×(9/8)=(32/27)で、元の②の数値となる。
 (2) (3/2)(④)×(256/243)=(128/81)。なお、(128/81)×(9/8)=16/9で、元の⑤に戻る。
 以上で、元の「5音」以外に、新しく、(256/243)と(128/81)の二つの数値が得られた。
 Zの元の「5音」にこれらを加えて挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 ZZの02
 ①1、②256/243、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥128/81、⑦16/9、⑧2。
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  第三の方法は、32/27を、「2乗すれば(32/27)になる数値」で分割する。この「(32/27)の2乗根」を、「β」と簡称する。この方法による場合は、間差の32/27を構成する大小のどちらの数値からβでの乗除を行っても、結果は異ならない。
 なお、この「β」=「(32/27)の2乗根」は1.088662…なので、「9/8」(1.125)よりも小さい。
 第三のXX関連。元の②③、⑤⑥の各間差が32/27だ。
 (1) (9/8)×β=(9/8)β。なお、(9/8)β×β=(4/3)。
 (2) (27/16)×β=(27/16)β。なお、(27/16)β×β=2。
 以上で、元の「5音」とは異なる、新しい、(9/8)β、(27/16)βを得られた。
 Xの元の「5音」にこれらを加えて挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 XXの03
 ①1、②9/8、③(9/8)β=約1.225、④4/3、⑤3/2、⑥27/16、⑦(27/16)β=約1.838、⑧2。
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 次いで、第三のZZ関連。元の①②、④⑤の各間差が32/27だ。
 (1) 1(①)×β=β。なお、β×β=(32/27)。
 (2) (3/2)×β=(3/2)β。なお、(3/2)β×β=(16/9)。
 以上で、元の「5音」とは異なる、新しい、βと(3/2)βを得られた。
Z の元の「5音」にこれらを挿入し、小さい(周波数比の小さい)順に改めて並べ直すと、つぎのようになる。
 ZZの03
 ①1、②β、③32/27、④4/3、⑤3/2、⑥(3/2)β、⑦16/9、⑧2。
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  これで、最初のXとZの「5音」音階を基礎にして、計6種の「7音」音階を、秋月瑛二なりに作り出すことができた。
 種々の数字・数値が登場しているが、振り返って、重要な数字・数値を挙げると、つぎのとおりだ。
 第一に、4/3と3/2。この二つは古代人もすみやかに気づいた、核となる数字だっただろう。当初はあるいは(3と1/3ではなく)3/2と2/3だったかもしれない。後者の2/3は容易に4/3に転化した。
 第二に、(3/2)÷(4/3)で得られる、9/8という数字。
 私は<ピタゴラス音律での全音>が(9/8)で<ピタゴラス音律での半音>が(256/243)であることをすでに知っているので、(9/8)から出発すればピタゴラス音律での音階と似たものができるだろうと想定はしていた。
 しかし、9/8とは上記のとおり<(2/3)と(3/2)>という原初的二音の間差(周波数比)なのであり、この数字は論理的には必ずピタゴラス音律につながるものではないように思われる。
 第三に、「5音」設定終了の段階で生じた、相互の音の間差のうち最大の間差(周波数比)を示す、「32/27」という数字。
 第四に、(32/27)を二分割する場合に登場した、(32/27)÷(9/8)の結果としての、256/243という数字。
 最後に、(32/27)から生じる、「(32/27)の2乗根」=「β」。
 これらの数字・数値を組み合わせて、六種の「7音」音階ができたわけだ。ピタゴラス音律での計算方法である、3または3/2を乗じつづけて、かつ2の自乗数で除する(「シャープ系」の場合)ようなことをしなかった。
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  正確には、6種ではない。それぞれの音階を、①数値、②1=ド=Cとした場合の十二平均律での近い数値の音(ドレミ)の順に、並べてみよう。第三の方法による場合は除く。
 ①XX01—1、9/8、81/64、4/3、3/2、27/16、243/128、2。
   —ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド
 ②ZZ01—1、9/8、32/27、4/3、3/2、27/16、16/9、2。
   —ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ、シ♭、ド
 ③XX02—1、9/8、32/27、4/3、3/2、27/16、16/9、2。
   —ド、レ、ミ♭、ファ、ソ、ラ、シ♭、ド
  これは②と同じ。「移調」すると、ラ、シ、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラになる。これの並び方を—「移調」することなく—変更すると、ド、レ、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ドにもなる。
 ④ZZ02—1、256/243、32/27、4/3、3/2、128/81、16/9、2。
    —ド、レ♭、ミ♭、ファ、ソ、ラ♭、シ♭、ド
  これは、ラ♭がドになるよう「移調」して全体を並べると、ミ、ファ、ソ、ラ、シ、ド、レ、ミになる。さらにこれの並び方を変更すると、ド〜ドにも、ラ〜ラにもなる。
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 以下は参考として再び付記。
 ⑤XX03—1、9/8、(9/8)×β、4/3、3/2、27/16、(27/16)×β、2。 
 ⑥ZZ03—1、β、32/27、4/3、3/2、(3/2)×β、16/9、2。
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  検討作業がこれで終わったのではない。
 つぎの問題は、これまでの発想や検討作業の過程を継続して、「8音」音階や「9音」音階を作ることはできないのか、できないとすればそれは何故か、だ。
 <「ドレミ…」はなぜ7音なのか。
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2658/私の音楽ライブラリー⑤。

 私の音楽ライブラリー⑤
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 17-01 Albinoni, Hauser, Adagio.

 17-02 Albinoni, Lara Fabian, Adagio.

 17-03 Albinoni, Copernicus ChamberO, Adagio.〔Music Artstrings〕

 17-04 Albinoni, Band Sinfonica, Adagio.〔Banda National De Ukrania〕
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2656/ピタゴラス音律での1オクターブ内12音の設定・第二。

 ピタゴラス音律での1オクターブ内12音の設定方法の第二は、3で割り続け、2の自乗数を乗じるという計算を12回行うことだ。
 これを論理的には後からできた「五度圏(表)」を使って表現すると、「反時計(左)まわり」の12音設定方法と称することができる。あるいは、螺旋上に巻いたコイルを真上(・真下)から見た場合の「下旋回」・「下行」方式とも言える。さらに、論理的には後から生まれた表示方法を用いると、「下降」系の意味での「フラット(♭)系」の12音の設定方法だ。以下、「第二方式」とも呼ぶ。
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  計算結果を示すと、つぎのとおり。基音を⓪とする。①〜⑫が何回めの計算かを示す。関係資料を見てはいるが、過半は秋月瑛二が自ら行なって確認している。
 ⓪1
 ①1x1/3x4=4/3。
 ②4/3x1/3x4=16/9。
 ③16/9x1/3x2=32/27。
 ④32/27x1/3x4=128/81。
 ⑤128/81x1/3x2=256/243。
 ⑥256/243x1/3x4=1024/729。
 ⑦1024/729x1/3x4=4096/2187。
 ⑧4096/2187x1/3x2=8192/6561。
 ⑨8192/6561x1/3x4=32768/19683。
 ⑩32768/19683x1/3x2=65536/59049。
 ⑪65536/59049x1/3x4=262144/177147。
 ⑫262144/177147x1/3x4=1048576/531441
  =2の20乗/3の12乗
 この⑫を小数で表現すると、1.97308073709…となる。2とこの数値の差異で<マイナスのピタゴラス・コンマ>が生じる。1に対する比率は、0.9865036854…だ。「プラス」・「マイナス」は一般には用いられず、秋月の言葉。
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  上の12音(基音を加えて13音)を小さい(周波数比の小さい=高さの低い)順にならべると、つぎのとおり。小数はほとんどに「約」がつく。
 先立ってしまうが、便宜のために、基音1=Cとして、C〜C'の12音階の今日的表示を、右に付す。「第一方式」、純正律、十二平均律の場合と、基音以外の数値は一部を除いて異なる。「第一方式」とはGもFも異なる。また、C♯=D♭等々が成り立たない。
 ⓪1。C。
 ①(上の⑤)256/243=1.053497。D♭。
 ②(上の⑩)65536/59049=1.109857。D。
 ③(上の③)32/27=1.185185。E♭。
 ④(上の⑧)8192/6561=1.248590 。E。
 ⑤(上の①)4/3=1.333333。F 。
 ⑥(上の⑥)1024/729=1.404663。G♭。
 ⑦(上の⑪)262144/177147=1.479810。G 。
 ⑧(上の④)128/81=1.580246。A♭。
 ⑨(上の⑨)32768/19683=1.664786。A。。
 ⑩(上の②)16/9=1.777777。B♭。
 ⑪(上の⑦)4096/2187=1.872885。B 。
 ⑫(上の⑫)1048576/531441=1.973080。C’ 。
 繰り返しになるが、⑫の小数はより正確には1.97308073709…で、1に対する比率は0.98654036854…だ。1とこの数値の差異を<マイナスのピタゴラス・コンマ>と言う。「プラス」・「マイナス」は一般には用いられず、秋月の言葉だ。
 <プラスのピタゴラス・コンマ>は約0.0136であり、<マイナスのピタゴラス・コンマ>は約0.0135だ。
 ——
 

2655/ピタゴラス音律での1オクターブ内12音の設定・第一。

 ピタゴラス音律の考え方での1オクターブ内12音の設定方法の基本は、一定の音(基音)を1として、これに3を「乗じる」(掛ける)または3で「徐す」(割る)ことを12回し続けることだ。
 その際に、例えば3や1/3ではすでに「1オクターブ内」(1とほぼ2の間)という条件を充足しないので、1〜ほぼ2の間になるように、絶えず2の自乗数で「徐」したり、2の自乗数を「乗」じる
 3→3/2、9→9/8、1/3→4/3、2/3→4/3のごとし。
 ここで、例えば3/4、3/2、3はオクターブは違うが「同じ」音、また例えば1/3、2/3、4/3はオクターブは違うが「同じ」音、ということが前提にされている。
 なぜ12音かという問題にはもう立ち入らない。簡単には、12回めの計算でヒト・人間の聴感覚にとって「現実的な」(1に対する)ほぼ2の数値が得られるからだ。
 ピタゴラス音律での1オクターブ内12音の設定方法の第一は、3を乗じ続け、2の自乗数で割るという計算を12回行うことだ。
 これを論理的には後からできた「五度圏(表)」を使って表現すると、「時計(右)まわり」の12音設定方法と称することができる。あるいは、螺旋上に巻いたコイルを真上(・真下)から見た場合の「上旋回」・「上行」方式とも言える。さらに、論理的には後から生まれた表示方法を用いると、「上昇」系の意味での「シャープ(♯)系」の12音の設定方法だ。以下、「第一方式」とも呼ぶ。
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  計算結果を示すと、つぎのとおり。基音を⓪とする。①〜⑫が何回めの計算かを示す。関係資料を見てはいるが、秋月瑛二において自ら確認している。
 ⓪ 1。
 ① 3x1/2=3/2。
 ② 3/2x3x1/4=9/8。
 ③ 8/9x3x1/2=27/16。
 ④ 27/16x3x1/4=81/64。
 ⑤ 81/64x3x1/2 =243/128。
 ⑥ 243/128x3x1/4=729/512。
 ⑦ 729/512x3x1/4=2187/2048。
 ⑧ 2187/2048x3x1/2=6561/4096。
 ⑨ 6581/4096x3x1/4=19683/16384。
 ⑩ 19683/16384x3x1/2=59049/32768。
 ⑪ 59049/32768x3x1/4=177147/131072。
 ⑫ 177147/131073x3x1/2=531441/262144
  =3の12乗/2の18乗
 この⑫を小数で表現すると、2.0272865295410156…となる。この端数を<プラスのピタゴラス・コンマ>と言う。1に対する比率は、1.01364376477…だ。「プラス」・「マイナス」は一般には用いられず、秋月の言葉。

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  上の12音(基音を加えて13音)を小さい(周波数比の小さい=高さの低い)順にならべると、つぎのとおり。小数はほとんどに「約」がつく。
 先立ってしまうが、便宜のために、基音1=Cとして、C〜C'の12音階の今日的表示を、右に付す。「第二方式」、純正律、十二平均律の場合と、基音以外の数値はほとんどについて異なる。 
 ⓪ 1 。C。 
 ①(上の⑦)2187/2048=1.067871。C#。
 ②(上の②) 9/8=1.125。D。
 ③(上の⑨)19683/16384=1.201354。D#。
 ④(上の④)81/64=1.265625。E。
 ⑤(上の⑪)177147/131072=1.351524。F。
 ⑥(上の⑥)729/512=1.423828。F#。
 ⑦(上の①)3/2=1.5。G。
 ⑧(上の⑧)6561/4096=1.601806。G#。
 ⑨(上の③)27/16=1.6875。A。
 ⑩(上の⑩)59049/32768=1.802032。A#。
 ⑪(上の⑤)243/128=1.898437。B。
 ⑫(上の⑫)531441/262144=2.027286。C’。
 繰り返しになるが、⑫の小数はより正確には2.0272865295410156…、1に対する比率は1.01364376477…で、この端数を<プラスのピタゴラス・コンマ>と言う。「プラス」・「マイナス」は一般には用いられず、秋月の言葉だ。
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2654/「ドレミ…」はなぜ7音なのか④。

 以下の一部ずつだけを読んだ。衝撃的に面白そうだ。
 ①小泉文夫・日本の音—世界のなかの日本音楽(平凡社文庫、1977)。
 ②小泉文夫・歌謡曲の構造(平凡社文庫、1996)。
 小泉文夫、1927〜1983。元東京芸術大学教授(民族音楽)。
 日本の音楽・音階についてこの欄に既に記述したことは、書き直しが必要になりそうだ。
 →「2635/<平均律>はなぜ1オクターブ12音なのか②」で、日本の古歌も「西洋音楽」の楽譜で表記され得ることは「西洋音楽」の「広さ・深さを感じさせる」と書いたが、「西洋音楽」を高く評価しすぎかもしれない。
 また、→「2652/私の音楽ライブラリー④」で1963年の「恋のバカンス」は「画期的だった」と(むろん主旋律だけでなく前奏・伴奏を含めての)素人的印象を語ったが、これも単純だったかもしれない。
 すでにこの項の「③」で「律音階」に触れており、今回も「民謡音階」に言及するが、日本の伝統的音階が叙述の主対象ではない。このテーマは、別途、上の小泉文夫著等をふまえて扱いたい。
 このテーマは、「日本音楽」とは何か、「日本民族」とは何か、「日本とは何か」という大きな問題に関連しそうだ。「日本語の成立」過程に関する問題とも、少しは類似性がある。
 ——
  さて、この項の<「ドレミ…」はなぜ7音なのか>は「西洋音楽」での1オクターブ12音をふまえた「ドレミ…」の7音構造の背景に関心をもつものだ。
 1オクターブ内での4/3と3/2の「発見」による1、4/3、3/2(、2)の3音構造の成立に続く9/8と27/16の設定による「5音」音階の成立まで、私ならばどのようにして音階を作るか、を叙述してきた。
 だが、このように迂回しつつ、「西洋」の「ドレミ…」の音階が7音(最後のドを含めて8音)で構成されざるを得なかったことを、「証明」することができる可能性がある、という見通しをもっている。
 ---
  「5音」からさらに数を増やすことを急がず、立ち止まってみよう。
 前回に9/8と27/16を新たに加えたが、それは1×(9/8)と(3/2)×(9/8)の計算結果の採用による。1-(4/3)、(3/2)-2、といういずれも4/3または3対4という広い間差(周波数比)の間に、「小さい」方の数値に9/8を乗じたものだった。
 だが、4/3および2という「大きい」方の数値から9/8だけ小さい数値を計算することによっても、新しい二つの数値が得られるはずだ。次もように、それぞれの「大きい」数値に8/9を掛けることでよい。
 (4/3)×(8/9)=32/27。2×(8/9)=16/9。
 これら二つを1、4/3、3/2、2という「3音」構造に挿入して小さい順に並べると、以下のようになる。
 Z①1、②32/27、③4/3、④3/2、⑤16/9、⑥2。
 これは、前回に記した「5音」(最後を含めて6音)音階の数値と異なっている。前回に記したのは、つぎだった。
 X①1、②9/8、③4/3、④3/2、⑤27/16、⑥2。
 このX は、前回に記したように、今日の〈十二平均律〉の場合に近い音を選んで1=ドとして表現すると、「ド・レ・ファ・ソ・ラ・ド」だ。そして、伝統的音階のうち雅楽に使われる「律音階」にきわめて類似している。
 ----
  上のを、今日の〈十二平均律〉の場合に近い音を選んで1=ドとして表現し直すと、つぎのようになる。
 「ド・ミ♭・ファ・ソ・シ♭・ド」。Xの②と⑤よりもこのZの②と⑤の方が数値が大きいこと(かつその割合は同じだろうこと)は、設定の仕方からして当然のことだ。
 念のための確認すると、つぎのとおり。
 Z②(32/27)÷X②(9/8)=256/243。(=ミ♭とレの間差)
 Z⑤(16/9)÷X⑤(27/16)=256/243。(=シ♭とラの間差)
 ----
  ところで、興味深いことだが、Zの5音(6音)音階の「ド・ミ♭・ファ・ソ・シ♭・ド」=「C-E♭-F-G-B♭」は、日本の伝統的音階のうち、「民謡音階」に相当する、と見られる。
 日本の伝統的音階として四つを挙げること、そして各音階をどう説明するかには、あるいは一致がないのかもしれない。
 ここでは、ネット上で前回に触れた「律音階」とともに「民謡音階」についても以上の叙述と同じ説明をしているサイトを挙げ、その説明を一部抜粋引用しておく。冒頭で記した小泉文夫の著も結局は同様なのだが(というより、小泉の説の影響を受けているように見られるが)、今回は小泉著には直接には触れない。
 →「文化デジタルライブラリー」
 民謡音階—「わらべ歌や物売りの声、日本民謡の中でよく使われている…」。「楽譜の通り、…『ド—♭ミ—ファ—ソ—♭シ—ド』で構成されます」。
 律音階—「『律』という言葉は、中国から入ってきました」。「楽譜の通り、…『ド—レ—ファ—ソ—ラ—ド』で構成されます」。
 →「メリー先生の音楽準備室」
 「民謡音階の構成音は、ド、ミ♭、ファ、ソ、シ♭の5音。わらべ歌や日本の民謡の多くで、この音階が使われています。」
 「律音階で使われている5つの音は、ド、レ、ファ、ソ、ラです。中国から伝来した音楽の基本的な音階で、雅楽にも用いられています。」
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 さらに追記すると、「ド・ミ♭・ファ・ソ・シ♭・ド」=「C-E♭-F-G-B♭-C」をド→その下のラ、C→その下のAへとそのまま「移調」すると、つぎのようになり、「♭」記号は消える。
 「ラ・ド・レ・ミ・ソ・ラ」=「A-C-D-E-G-A」
 「ラ」を主音とする、今日にいう7音(8音)の<短調音階>のうち、「ファ」と「シ」が欠けている。
 ----
  こうして、二種の「5音」音階を作ることができた。
 次回に、「7音」音階に接近してみよう。

2652/私の音楽ライブラリー④。

 私の音楽ライブラリー④。
 日本の<ポピュラー音楽>または<J-POP>はすでに世界的レベルに達していて(但し、下の16追のコメントも参照)、あえて欧米のポップスを渉猟するような時代遅れのことをする必要はない、と考えられる。
 GHIBLI=宮崎駿のアニメ映画=久石譲の音楽という等式が成り立つのかは、宮崎映画を一つも真面目に観ていないのだから全く自信はない。だが、久石譲の音楽は世界の多くの人々の心を捉えているようだ。「専門」教育を受けている久石譲は国際標準の知識と技量をもつとともに、どこか「日本的」な味わいの旋律を作る。たいていを、好ましく感じている。

 13 美空ひばり「東京キッド」1950年〔Mei Wang〕。
 作詞/藤浦洸、作曲/万条目正。
 美空ひばりはこのとき、「専門的・音楽教育」を受けていない。楽譜も読めず、第三者の歌唱かピアノ演奏でこの歌を覚えたのではないか。
 聴いた音楽・旋律を自分の身体と喉で再現し、かつ自分らしく歌唱することに、この人はすこぶる長けていたに違いない。

 14 ザ・ピーナッツ「恋のバカンス」1963年〔H. Shigeoka1〕。
 作詞/岩谷時子、作曲/宮川泰。
 1960年前後に平尾昌章(昌晃の旧名)らの「ロカビリー」が流行していたが、アメリカからの直輸入だったと思われる。
 単純な旋律の坂本九「上を向いて歩こう」(中村八大作曲)の世界的ヒットとほぼ同時期に、この日本製楽曲が登場した。私は、画期的だった、と感じている。
 この曲は決して「日本的」でなく、国際的な普遍性をもっていたと思われる。作曲者の宮川泰は、クラシック以降の欧米の種々の旋律を知っていて、それらにinspire されていたのだろう。

 15 ペギー・マーチ「忘れないわ」1969年〔HKD Japan〕
 作詞/山上路夫、作曲/三木たかし。
 日本人作詞・作曲の曲を、外国人少女が歌い、ある程度はヒットした。この女性の日本語は、ほとんど違和感がない。

 16 井上あずみ「君をのせて」in 天空の城ラピュタ1989〔hamuhamu aki〕。
 久石譲・作曲。歌詞・宮崎駿。
 「地球はまわる 君をのせて
  いつかきっと出会うぼくらをのせて」
 この歌詞は〈ナショナリズム〉ではない。人種・民族等に関係なく、ヒト・人間は一つの地球の上で生きている。
 「父さんが残した熱い想い
  母さんがくれたあのまなざし」
 親に対する想いは、人種・民族等に関係なく、きっと相当に普遍的だ。 

 16追 森麻季「Stand alone」NHK『坂の上の雲』2009主題歌〔Soprano Channel〕。
 「うじゃうじゃした」または多数の女の子や男の子の合唱?曲に接していると、こんな歌が聴きたくなる。久石譲・作曲、作詞・小山薫堂。
 ——

2649/私の音楽ライブラリー③。

 バイオリンという楽器は、演奏がとてもむつかしそうだ。左右両手は全く別の動きだし、ギターにある「フレット」なしで音程を決める必要がある。
 弦を押さえる左指先の位置で音程が変わることは、伴奏や交響楽団つきではない、つまりソロ・「独奏」でならば、〈十二平均律〉以外の音律で、例えばピタゴラス音律や純正律等で音程を調整できることを意味する。練習と訓練次第で、不可能ではない。そうでなくとも、バイオリン協奏曲(Violin Concerto)の場合は背後の音よりも目立たせるために少し高めに「弦を押さえて」弾くことがある、と何かで読んだことがある。
 さて、下の10の日本人少女、村田夏帆の演奏は「見事」ではないか。
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 09 Hilary Hahn, Bach, Sonata f. Violin Solo No.1 in D-minor -4.Presto (BWV1001)。

 10 Natsuho Murata, Saint-Saens, Introduction & Rondo Capriccioso op.28〔International Music & Arts〕。

 11 Sayaka Shoji, Sibelius, Violin Concerto in D-minor (Israel PhO)。

 12 Julia Fischer, Tchaikovsky, Violin Concerto in D (France Radio PhO)〔Classical Vault 1〕。
 ——

2648/「ドレミ…」はなぜ7音なのか③。

 伊東乾には笑われそうだが、「音階あそび」を続けよう。
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  1オクターブの間に、どのように諸音を設定するか。
 基音を1、その1オクターブ上を2とすると、1と2の間にどのような周波数比の音を選定するか。
 これを、1オクターブ12音とか<ドレミ…>の7音音階とかの知識なく行なえばどのようなことになるだろうか。
 もっとも、1オクターブ12音以外に、なぜ「音階」(または「調」)というものが必要になったのか、「調」の長調と短調への二分はどういう意味で自然で合理的なものなのかは、じつは根本的な所ではまだ納得し得ていないのだが。
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 前回に記したように、3/2、4/3の二つの数値が容易に得られて、1・4/3・3/2・2の3音(最後を含めて4音)音階が得られる。
 一定の弦の長さを1/2にして周波数(振動数)を2倍にすると1オクターブ高い音になる。これを古代の人々が知ったならば、つぎに行なったのは、その一定の弦の長さを1/3または2/3にすることだっただろう。すると、周波数比は3倍、3/2倍になる。そして、1と2の間に、3/2と4/3の数値が得られる。
 なお、弦の長さを3/2倍、2倍、3倍…と長くしていくのは実際には必ずしも容易ではないだろうが、一定の長さの弦の下に支点となる「こま」を置くことによって、周波数(振動数)を3倍、3/2倍等にすることがきる。そのような原理の「モノコード」という器具は、—日本列島にはなかったようだが—紀元前のギリシアではすでに用いられていたと言われる。
 この3/2と4/3の設定までは、結果としてピタゴラス音律や純正律と同じ。
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  ①1、②4/3、③3/2、④2。
 これらの間差は、①-②が4/3、①-③が3/2、①-④が②。
 そして興味深いことに、またはしごく当然に、②-④は3/2(2÷(4/3)=6/4=3/2)で、③-④は4/3(2÷(3/2)=4/3)だ。
 あと一つ、明らかになる数字がある。9/8だ。
 すなわち、(3/2)÷(4/3)=9/8。②-③が9/8だ(③-②は8/9)。
 この9/8を「素人」は利用しようと考える。
 上の4つの音の間の3つの間隔のうち広いのは、①-②と③-④の、いずれも4/3だ。
 この4/3を二つに分割しよう。その際に容易に思いつくのは、①の9/8倍、③の9/8倍の音を設定して、上の二つの間隔をいずれも二つに分割することだ。
 得られる数値は、1×9/8=9/8と、(3/2)×(9/8)=27/16。
 この二つを新たに挿入して、低い(周波数比の小さい)順に並べると、つぎのようになる。
 ①1、②9/8、③4/3、④3/2、⑤27/16、⑥2。
 これで、5音音階(最後を含めて6音音階)を作ることができた。
 ----
  ところで、面白いことにここで気づく。
 先入観が交じるのを避けるために「ABC…」とか「ドレミ…」という表現を避けてきているのだが、上の5音(6音)音階は、①1を「ド」として今日的に(〈十二平均律〉の場合の数値に近いものを選んで)表示し直すと、こうなる。
 ド・レ・ファ・ソ・ラ(・ド)。=C-D-F-G-A(-C)。
 これは、日本の伝統的音階の一つとされる<律>音階(・旋律)と同じだ。この「律」音階は「雅楽」の音階ともされ、日本固有というよりも、大陸中国の影響を受けた音階だとも言われている。
 余計ながら、現在の天皇の即位の礼をかつてテレビで見ていて、古式の「雅楽」の旋律や、たなびく(漢字が記された)幟によって、「和」風というよりも「漢」風を私は感じた。先日のG7サミットでも宮島で「雅楽」が演奏されていたが、「雅楽」というのは、平安時代の「みやび」とも室町時代の「わび・さび」とも少し違うような気が、私にはする。日本のとくに天皇家または「朝廷」に継承されてきた音楽ではないだろうか。
 さらに進むと、上の5音(6音)音階は、日本国歌・君が代の音階でもあるようだ。
 〈十二平均律〉の影響をすでに受けた叙述になるのだが、上の「ド·レ·ファ·ソ·ラ·ド」(C-D-F-G-A-C)は、「一全音」ずつ上げると(=ここでは各音に9/8を掛けると)、♯や♭を使うことなく、同じ周波数比関係を維持したまま「レ·ミ·ソ·ラ·ド·レ」と表現し直すことができる(D-E-G-A-C-D)。「レ」が「主音」になる。
 私が中学生時代の音楽の教科書には、この「レ·ミ·ソ…」は「日本音階」(または「和音階」)での<長調>だと記述されていた。「ミ·ファ·ラ·シ·レ·ミ」が<短調>だった。
 「君が代」の旋律の「レドレミソミレ…」は、まさに日本音階の<長調>であり、近年に知った言葉によると、「雅楽」の音階である「律」音階(旋律)そのものだと思われる(但し、上行ではなく下行の場合は「レ·シ·ラ·ソ…」と「ド」が「シ」に変わる「理屈」は私にはよく分からない)。
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  ともあれ、9/8を利用して、5音(6音)音階ができた。数の上では、あと二つで、「ドレミ…」と同じ7音(8音)音階になる。
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