〇5/09の衆議院憲法審査会で日本共産党の笠井亮は、憲法は国家を<縛る>ものだ(ときどきの政権の都合で変えてはいけない)とか、現96条の要件の緩和は<憲法を法律なみに>するものだとかと述べて、同条の改正に反対したらしい。
 テレビでその部分を観ていて、朝日新聞の社説とほとんどと同じことをほとんど同じ表現で述べていると思った。朝日新聞論説委員・社説子の中にも共産党員や確信的な共産党シンパがいるだろうが、少なくとも憲法改正問題に関して、日朝同盟ならぬ<共・朝盟約>が実質的に成立しているものと思われる(もう一つこれに参加している重要な仲間が、出版界の岩波書店だ)。

 朝日新聞5/09朝刊の二面右上には日本共産党を実質的には「応援」としていると読める記事があった。朝日新聞は日本共産党を<無視>することは決してしないのだ。
 NHKも中立をいちおうは装おうとしながら、憲法(96条)改正に反対の方向で報道することに決めているかに見える。その具体例は逐一挙げないが、5/03の憲法記念日の集会に関するニュ-スでは護憲派(憲法改正反対派)の集会の方を先に取りあげていた。
 この問題が参議院選挙の結果にどのような影響を与えるのかは、私には分からない。だが、朝日新聞やNHKが護憲を明確にしているとなると、改憲派(自民党・日本維新の会・みんなの党)が参院で2/3以上を獲得するのは決して容易ではないと見ておくべきろう。
 なお、私は96条の要件の緩和に反対ではない。まずは96条の改正をしたらどうかという案をこの欄に6年前に記したことすらある。

 但し、改正発議要件の2/3か1/2かという問題は、単純な理屈で決せられるものではないだろう。一義的に是非が判断できる問題ではないと思われる。となれば、96条改正のために2/3以上が獲得できるということは、現9条2項の削除等のためにも2/3以上を獲得できることとたいして変わらず、現行改正規定のままで(むろん両院で2/3以上を獲得して)、一挙に9条2項の削除・国防軍設置等の改正を発議した方がよい、あるいはてっとり早い、ような気もする。
 96条の要件の緩和にあえて反対はしないものの、反面では、例えば現憲法の第一章「天皇」の削除が現在よりも簡単に発議されるような事態が生じることも怖れてはいる(日本共産党は96条改正に反対しているから、現時点では「天皇制度」解体のために国会各議院の議員総数の過半数を獲得する自信を持っていないのだろう。だが、日本共産党が他「左翼」政党とともにそれが可能だと判断するときがくると、96条の要件が緩和されていることは怖いことでもある)。

 〇橋下徹護憲派ほどうさんくさいものはない。護憲派の人たちは、今の憲法が絶対的に正しいと思っている」、「『(憲法に対する異なる)価値観を強要しないで』と言いながら(今の憲法が正しいという価値観を)ばりばり強要している」と護憲派を批判したらしい(5/09記者会見)。

 改憲派である「保守派」の論者の一部の長い文章などよりも、はるかに分かりやすい。