中川昭一の死の報に接して書きたいことがあったが、気が重く、書き込めなかった。
 中川は1983~2009年の間、国会(衆議院)議員だった。25年以上も議員として務めてきて、内閣や党内での要職を占めたこともあったのだから、2009年8月衆議院選挙での落選はショックであったに違いない。
 そして、落選していなければ、つまり当選(比例復活であっても)していれば、まだ存命だったのではないか。
 中川は自分は有権者(選挙区民)に必要とされなった(否定された)、との感慨・コメント
を述べたと伝えられる。その結果としての落選の衝撃と失意は、9月に入って議員でない生活を続けている間に、じわじわと精神的にも肉体的にも彼を苦しめただろう。そしてまた、昨年冬の所謂<もうろう会見>が自民党の敗北の原因の一端にはなっただろうと意識もしただろうから、<責任>を感じてもいたに違いない。
 精神・神経の疲労(大雑把にいってストレス)が心筋梗塞等々につながって肉体的な死の原因の一つになることはよく知られていることだ。
 中川昭一は落選したからこそ死んでしまった、と考えている。
 なぜ落選したのか。北海道11区の有権者が対立候補よりも彼に相対的多数票を与えなかったことにある。そしてまた、そのような有権者の投票行動の大きな背景が<反自民・政権交代>ムードを徹底的に盛り上げた朝日新聞や朝日新聞的なテレビ等のマスメディアにあることも間違いない。
 北海道11区・十勝の有権者が、ひいてはマスメディアが、中川昭一を死に至らしめたのだ。むろん刑法上の罪は問えないが、有権者と朝日新聞等が彼を<殺した>のだ。そう思っている。
 朝日系かTBS系か忘れたが(日テレ・フジ系ではなかったと思う)、中川昭一の死を報道するに際して、再びあの<もうろう会見>の映像を流し(泥酔が原因ではなかったともされる)、<死者にムチ打つようですが、あれはやっぱりみっともなかったですね>と(たしか女性の)キャスターに言わせたテレビ局があった。
 このようなマスディアの(特定の政治家に対する)意図的・政治的な冷酷さこそが、中川を苦しめ、死に至らしめたのだ(他にも自殺等々の原因がマスメディアにあると考えられる場合があるが、こでは触れない)。
 加えて、鈴木宗男の名も挙げておく必要があるだろう。鈴木はかつての師の子息である中川昭一の属する党・自民党ではなく民主党と共闘し、北海道でも中川の対立候補を応援した。比例復活ならずの原因も含めて、中川の落選(そして死)の原因の一つは鈴木宗男の判断・行動にもある。
 北海道11区・十勝の有権者は思い知るべきだ。むろんまだ有罪と確定したわけではないが、1月15日に逮捕されたのは、北海道11区で中川昭一に勝って当選した民主党の石川知裕(小沢一郎の元秘書)だ。
 なぜ中川を当選させなかったのか。ぎりぎりでも当選していて国会議員であり続けていけば、おそらく彼はまだ生きている(それだけ落選の精神的衝撃は深刻だったと言うべきだ)。
 悔やんでも仕方がないことではある。マスメディアを批判してもここでの一文は何の意味もないだろう。だが、せめて、北海道11区・十勝の有権者には、(マスコミの造りだしたムードに乗っかって)中川を落選させてよかったのか、石川知裕を当選させてよかったのか、と少しは疑問をもってほしいものだ。
 相当に遅れた記述になる。痛憤の思いは書き尽くせない。よりにもよって中川昭一を殺さなくてもよいではないか…、<神・運命>が存在するとすれば、いったい何のつもりか…。