月刊正論2月号(産経、2008.12)。次の順で読んだ。ふつうの人の読み方とは違うかもしれない。
 1 花岡信昭「『朝まで生テレビ』出演者が明かすお茶の間に届かなかった真実」(p.75-)。前々回に書いたことの関心のつづき。録画しておけばよかった。
 自衛隊の憲法上の明記につき、80%が賛成だったとか。だが、「世論は確実に変わりつつある」(p.79)と言ってよいのかどうか。
 田原総一朗が月刊WiLLの中西輝政論文を褒めていたらしい(p.76)。但し、田原は揺れ動いている人だし、具体的メディア・番組・出演者に調子を合わせることができるような人の印象があり、とても<保守>派とは思えない。かつてはいい本も書いていたのだが。
 読んだ順番どおりではないが、ペラペラ捲っていると、「セイコの『朝ナマ』を見た朝は」(p.158-)、中村粲「NHKウォッチング」(p.176-)の初め部分、も上の『朝ナマ』(11/28)を扱っていた。視聴者によって感想・印象点は同じではないのが面白い。
 平沢勝栄を含めて、辻元清美を代表とする国会議員のレベルはひどいものだ。産経本紙でもそうだったが、元自衛隊関係者・森本敏はいったい何を考えているのか。ナマで観ていたとすると精神衛生に悪かったような気もする。
 2 潮匡人「リベラルな俗物たち/高橋哲哉」(p.208-)。高橋哲哉・靖国問題(ちくま新書)は所持していていつか読むつもりだったが、その気が失せた。潮匡人の紹介・分析だと、高橋哲哉とは、哲学者・大学教授の上衣だけを纏った、<左翼・反日>の政治活動家そのものではないか。ここまで<反右派・親北朝鮮>ぶりを明言する知識人?は今や珍しいのではないか。姜尚中和田春樹らとともに「コリアNGOセンター」専門委員。北朝鮮系新聞・朝鮮新報に「東京朝鮮第九初級学校」の講演会で(反日)講演をした旨の記事が載ったこともあった。
 <左翼>ビラをまじめに読むつもりはない。ちくま新書の筑摩書房とはかなりの<左翼>傾向の出版社であるらしい。樋口陽一の新書も出している。NHKブックスにも高橋は書いているらしい。高橋もNHKも気持ちが悪い。
 この高橋は東京大学大学院総合文化研究科教授でもある。東京大学所属の教授たちにはなぜへんな<左翼>活動家が多いのか。
 東京大学といえば、月刊正論(上掲)の石川水穂「マスコミ走査線」p.171によると、東京大学法学研究科(と思われる)の日本政治外交史担当の北岡伸一も朝日新聞紙上(11/13)で田母神俊雄論文を批判したという。東京大学は(法学部をはじめとして)「戦後的なるもの」あるいは「戦後民主主義」の守護神として、今日の<翼賛>体制を支えているようだ。さすがに<体制べったり>だ(とは言えない教授たちもいるとは思うが)。
 3 高池勝彦「ケルゼンを知らねばパール判決は読み解けないか」(p.278-)。このタイトルは、この欄で既述の私見と同じ。
 東谷暁や八木秀次のパール・ケルゼン関係の文章よりもはるかに私には腑に落ちる。法実証主義の問題もそうだが、また、被告人は個人だが結果としてはパールは「日本」無罪論だったというのも納得がいく。法的に個人を無罪としつつ、道義的には国家・日本を批判していた、などという(<左翼>体制派・東京裁判(多数意見)史観に都合のよい)コジツケ論は信頼できない。中島岳志は政治的・政策的な、又は(左翼)ジャーナリズムに媚びた本を書いたのだ。
 あとは時間的余裕に合わせて、今後に。巻頭の安倍晋三=山谷えり子(対談)「保守はこの試練に耐えられるか」くらいは読んでおきたい。
 それにしても、月刊正論の最初の方の二頁コラムの執筆者5人の中に八木秀次と兵頭二十八がいるのは、重みに欠け、正統「保守」らしくないなぁと感じるのだが、これはごく少数の感想か。