新学習指導要領の内容が発表された。よりよき方向への改正であり、多くの教師たちの努力によって現実化してもらいたいと思う。
 関連していえば、かかる改正の契機の重要な一つは前安倍晋三内閣による教育基本法の抜本改正(の提案と国会による議決)だった。
 マスメディア・論壇の一部にすでに<安倍政治>の全面否定(その証左又は援用材料としての2007参院選の自民党敗北)を当然視する論調もあるが、彼のしたことの意味・評価は、少なくとも将来の歴史的判断に俟つべきだろう。
 朝日新聞2/16社説はいう-「忘れてならないのは、教育基本法が改正されて初めての改訂だということだ。改正基本法に「愛国
心」が盛り込まれ、今回の指導要領には道徳教育の充実が定められた。/教育再生会議が強く求めていた道徳の教科化はさすがに見送られたが、道徳教育推進教師が学校ごとに指定され、全教科を通じて道徳心を教えることになった。武道の必修化もその流れにある。/道徳心を子どもに教えることは必要だが、特定の価値観を画一的に押しつけるようになっては困る。どのように教えるかは教師たちにまかせた方がいい。
 改正基本法上の「愛国心」(正確にはかかる語ではない)涵養を批判する観点から、「道徳教育推進教師」「学校ごと」「指定」を批判し、「武道の必修化もその流れにある」という。さすがに<朝日>らしい、で済ませておくが、「道徳心を子どもに教えることは必要だが、特定の価値観を画一的に押しつけるようになっては困る。どのように教えるかは教師たちにまかせた方がいい」の部分は、いちゃもんを付けるに値するだろう。
 これまでの公教育は「
特定の価値観を画一的に押しつける」ことはなかったのか?。朝日新聞の虚報・誤報・捏造記事が、「特定の価値観を画一的に押しつける」公教育を推進したことはなかったのか。このことに反省の気持ちを示すことなく「特定の価値観を画一的に押しつける」ことを批判するのは欺瞞だ。
 有り体に言ってしまえば、朝日新聞が支持する「特定の価値観」は画一的に広く教えられる(=押しつける)べきだが、「愛国心」・「道徳心」といった朝日新聞が支持しない「特定の価値観」の画一的押しつけには反対だ、と主張しているのだ。
 朝日新聞において珍しくも何ともない。これをダブル・スタンダード(二重基準)とか「ご都合主義」という。