日々の生活や表面的なマスメディアの動向に追われていると、肝心なことが見えなくなる。十分に警戒しなければならない。
 松岡農水相の自殺について、マスコミの扱い方にも原因の一端はあったのではないかとやや遠慮気味に書いたのは自死後1週間の6/04だった。
 その頃から以降、一所懸命に彼のそれを含む政治家の事務所経費の問題に一般国民、読者・視聴者の関心を向けさせていたマスコミや政治家は、この問題をいったいどう扱ってきたのか??
 松岡の死によって、「野党もマスコミもピタリと取り上げなくなった」ではないか。
 本当に重要な問題ならば、政治家の一人の死とは関係なく、その後も究明が続けられて当然だろう。しかるに、なぜ問題については静かになってしまったのか。
 それは、まさしく松岡の事務所経費使途問題が<政争の道具>とされていたこと、安倍内閣および与党(とくに自民党)を攻撃・批判したい朝日新聞を筆頭とするマスコミの(報道に名を借りた)<政治運動>のタネに他ならなかったことを明瞭に示していると思う。「要するに「松岡追及」は全く政争の手段に過ぎなかった」。
 カネ問題に不透明で厚顔きわまる松岡ということでマスコミは安心して「いじめた」ところ、実は繊細だった彼は自殺してしまった。
 マスコミ関係者に自責の念・良心の呵責は少しは生じたのだろうか。自死自体は本人の責任に決まっているが、マスコミの「いじめ」がなければその死もなかった、という因果関係だけは語れるだろう。
 もとはといえば、事務所経費問題を揚げ足取り的に取り上げた最初の政党は日本共産党だった。同党の小池某等は、自党の方針と松岡という一人の人間の死に因果関係など認めたくないか、そもそもそういう問題意識自体を持っていないだろう。
 同党が事務所経費問題を取り上げたとき、対中国、対北朝鮮、対米国、年金・社会保険庁問題、公務員天下り規制問題、改憲問題等々、松岡という一政治家が事務所経費を本当は何に使ったのかという瑣末で些細な問題よりははるかに重要な問題はいくつもあった。共産党が最初に話題ににし、<面白がった>マスコミが追随した
 今やマスコミの関心と煽りは<年金>問題に移った。殆どのマスコミの報道の<仕方>を疑うべきだ。とりわけ、朝日新聞社は、安倍晋三に対して<私怨>をもっており、その<私怨>という感情をもって紙面を作っている。とりわけ朝日新聞の誘導的論調に騙されてはならない。
 以上のうち、一部引用は、月刊正論8月号(産経新聞社)の中西輝政「「年金」を政争の具にする愚かさ」による。