かつて小学校中学年以降に、日本三景とか日本三園(三公園)とかを憶えた、または憶えさせられたような気がする。
 調べないままで書くが、これらの選定は、昭和戦後ではなく明治か大正にすでに文部省あたりによってなされていたのではないだろうか。
 上の計六箇所を、この10年以内にも訪れている。
 三公園についていうと、庭園自体で最も優れていると感じられるのは、金沢・兼六園だ。水戸・偕楽園はこれに比べてやや狭そうだし、岡山・後楽園は樹林のない広場ふうの緑地が大きすぎる。
 三園ともに旧藩またはその城址と関係があるようだ。そして、城・天守閣の展望という点では、むろん岡山・後楽園が最良だ。兼六園からは見えても石垣だけだし、偕楽園は城址から離れていると思われる。再建天守閣らしいが後楽園から望む宇喜多家・岡山城は立派で風格がある(但し、「全国百名城」めぐりもしているので、その他の城・天守閣と比較してベストだと断定しているのではない)。 
 しかし、城址との関係を除くと、展望という点で気に入ったのは、水戸・偕楽園だ。
 すなわち、高台にある偕楽園の南縁から眺める千波湖の水景が清々しく、光も反射して美しかった。鉄道好きにはたまらないだろう、ときどきすぐ下の公園と湖との間を、常磐線の電車が行き来していく。
 この千波湖に関する知識をあらかじめ持っていなかったので、意外性もあった。都市・街(まち)の真ん中にこんな手頃な大きさの小湖があるのは素晴らしい。
 もっとも、三園ともに旧藩・関ヶ原や江戸時代のイメージがくっついてはくる。また、現時点での三都市・三つの街自体の機能美・構成美については別に言及しなければならない。