憲法九条を世界遺産に(集英社新書、2006)を入手して中沢進一のあとがき的部分を見た。
 この中沢新一も、吉永小百合と同じく九条条1項を日本文としてしか読んでおらず、誤った理解に基づく間違った叙述をしている。
 異説もなくはないが、同項の「国際紛争を解決する手段として」の戦争とは国際法上の用語法の歴史的沿革から見て「侵略」戦争を意味する、と政府や学界多数説は解釈してきていることは間違いないのだ。
 1項で自衛権が放棄されていないことを前提として、2項による「戦力」不保持・「交戦権」否認のために「自衛戦力」は持てず「自衛戦争」もできない、しかし「自衛のための必要最小限度の実力」の保持まで禁止されてはおらず、現在の自衛隊はその範囲を超えていないため違憲ではない、というのが(最後の部分などは相当に苦しいが)政府の憲法解釈なのだ。
 この程度の基礎的知識もない二人の対談は、どのように新鮮・珍奇な表現・論法が言葉の上だけで用いられているとしても、建設的なものではありえず、当分読むつもりはないが、たんなる情緒・気分の発露にすぎないだろう。このような本がベストセラーになるとは、まともな国民的議論のためにはマイナスだ。
 イーホームズの藤田東吾社長の言動が話題になっている。
 建築規制行政において建築業界と自治体や国(国土交通省)の「癒着」あるいは前者の不正の「隠蔽」があれば当然に問題で(そのような可能性を私は否定しない)、また安全性を欠いたままのマンション住戸(「…大師駅前」)が販売されているとすれば由々しきことは無論で、マスコミは少なくとも同氏によって「告発」されている川崎市・国交省建築指導課等々を取材すべきだ。
 私は彼が積極的に嘘をついているとは感じないが、告発文等が「推測」の部分を含んでいることは否定できないのではないか。また彼の意図と離れて、アパ・グループが「安晋会」会員であることからこの問題を安倍や自民党と強引に?結びつけようとするのは「政治的」すぎるだろう。
 もう少し一般的にいうと、建築規制部署のみならず旧建設省でいうと旧建設経済局にあたる部署の業界との限度を超えた「癒着」も十分に考えられる。
 同様のことは都道府県の建設業法や宅建業法所管部局についてもいえる。
 適正な規制・監督を効果的にしないことにより、業界を「甘やかして」はいないか。
 マスコミ記者等は専門的知識が乏しい。したがって、彼らに任せるのはまことに心もとないが。